マンションは耐用年数を過ぎても住める!?建物の真の寿命とは

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マンション 耐用年数

がっしりと堅牢なコンクリート造のマンション。
木造家屋に比べて丈夫そうに見えるけれど、実際のところあと何年住み続けられるのでしょう?

最近は「築古物件をキレイにリノベーションして住もう!」という方も増えていて、流行していますが、外からは見えない躯体の老朽化がすすんではいないか。耐震性に問題はないか。じきに取り壊しになってしまったらどうしよう……といった不安がありますね。

そこで、今回の記事では「マンションの耐用年数」についてくわしく解説いたします。
一般にマンションは何年住めるのか。また「長生き」するマンションの条件、安全・安心な物件の見分け方とは?
とくにこれからマンションを購入される方は、物件選びのヒントに、ぜひご一読ください!

1.本来、RC造の寿命は100年超!

減価償却資産の耐用年数等に関する省令の定めによると、RC造マンションの耐用年数は47年
この定めは建物が古くなるにつれてだんだん価値がなくなっていき、築47年でついにゼロになる(減価償却)――というものです。

▲減価償却についての解説記事。
減価償却とは、購入したマンションを賃貸に出す等して所得を得たときに、経年による建物の劣化を『経費』として計上し、その分、所得税の課税額を減らすことが出来るという仕組みです。

この定めを根拠に「マンションの寿命は47年」と言われることがしばしばありますが、あくまで「古くなったので財産としての価値がなくなった」というだけですから、実際には「築47年を超えたからもう住めない」というわけではありません。
(同省令では「PCの耐用年数は4年」と定めていますが、4年で必ず買い換えるという方はむしろ少数派ではないでしょうか?)
現にニューヨークのエンパイアステートビルなどは1930年の建築ですから、そろそろ築90年になりますが、オフィスビルとして立派に現役です。

Empire_State_Building

「欧米はカラッとした気候なので石造りの建物が長持ちしやすい」という事情もありましょうが、ここ日本でも「RC造建築の寿命は117年」とか、「マンションの寿命は120年、メンテンナンスにより150年まで延命できる」といった研究結果が出ています(国交省)先ほどの耐用年数の倍以上の年数ですね。

ところが、実際に取り壊された平均年数を見てみると、およそ68年(国交省)このうち建て替えが実行されたケースだけを取り出すと、平均33.4年(東京カンテイ)ですから、多くのマンションは建物の限界を迎える前に役目を終えているのです。

なぜそんなに早く引退を余儀なくされているのか? それは、高度経済成長期に普及したRC造マンションの「配管」に原因がありました。
配管設備の寿命はおよそ25~30年。しかし1960~70年代に建てられたマンションの多くは配管設備をコンクリートの躯体に埋め込んでしまっており、取り替えることができないのです。
イマドキのRC造は、建物の躯体はそのままで配管その他の設備を一新できるつくり(スケルトン・インフィル)ですから、築30年を迎えるころに配管を交換すれば、もっと長く住み続けることができます。

また耐震性の問題から、建て替えや取り壊しが決まった例もあります。
現行の『新耐震基準』がスタートしたのは、1981年6月。
それ以前の古い建物は、震度6〜7の大きな地震で倒壊のおそれが否定できないことから、耐震性に問題がないか住宅診断を受け、必要に応じて補強工事をするのが望ましいのです。
しかしマンションの補強工事は大掛かりで、工事費用も高額です。そんなにお金がかかるのなら、いっそ建て替えてしまおう。ついでに戸数を増やして新築として分譲販売すれば、建て替え費用もペイできる——というわけです。

さらに立地によっては区画整理や再開発のために、取り壊しが決まった例もあります。
とくに古い建物が多い地域は「地震や火災といった災害のリスクが高い」と行政は問題視しています。

old-mansion

このように建物の限界を迎える前に取り壊されるケースもありますが、本来RC造マンションは、適切な維持管理のもと100年以上住み続けることができるのです。
ただし「適切な維持管理」を怠れば、築30〜40年ほどで廃墟のようになってしまうおそれもあります。
外壁塗装や屋上防水・配管の保守クリーニングなど、必要なメンテナンスを必要なタイミングで実施することが大切です。

2.「長生きマンション」4つの条件

マンションと一口にいっても、どんな設計で、どんな建材をつかっているか、物件によってさまざまです。では、どんな物件が長く安心して住めるのか? マンションの寿命を左右する条件は、次の4つです。

  • 管理(適切なメンテナンスを行なっているか)
  • 構造(修繕に適した設計で建てられているか)
  • 材料(劣化しにくい建材で建てられているか)
  • 立地(日当たり・風雨・塩害など建物にとって過酷な環境でないか)
  • ①   管理状態をチェック!

    堅牢なコンクリート建築も、長い間風雨や日差しにさらされるうちに少しずつ消耗していきます。
    外壁塗装や屋上防水など10〜12年ごとにやり直す必要がありますし、鉄製の階段手すりの錆びを防ぐ塗装や、開閉しづらくなった扉に油を差す、台風でものが飛んでくるなどして割れたガラスを交換するといった補修は都度行う必要があります。

    あなたがお住まいのマンション、あるいはこれから購入しようとしているマンションは、そうしたメンテナンスがきちんとされていますか? 定期的な大規模修繕は、管理組合が修繕記録やこれからの計画を保管していますから、手元にない方はぜひ照会なさってみてください。
    修繕資金が足りているかも要チェックです。建物の外壁や屋上・バルコニー・エントランス・廊下といった共用部分の修繕は、住民の皆さまが毎月納めている修繕積立金で賄っています。一度の大規模修繕に必要な金額は、一戸あたり100〜120万円です。
    修繕積立金の滞納が多い物件・毎月の納付額が少なすぎる物件は、購入を避けた方が賢明です。大規模修繕のスパンは10〜12年ですから、毎月の納付額はおおよそ1万円以上が目安となりますね。

    もちろん、内覧で実際の建物の状態を確認することも大切です。
    外壁のタイルが欠けたまま放置されている・階段の手すりがひどく錆びている・廊下が汚れていたり、傘や自転車が放置されているといった物件は、管理が行き届いておらず、購入はおすすめできません。
    また住戸の中についても、給排水配管から水漏れしている・水道の水が赤っぽく錆びている・床がひどく傾いているといった物件は「リフォームすれば直る」とは限りません。
    住戸の中は専有部分ですから自由にリフォームやリノベーションが出来ますが、住戸と住戸をつなぐ配管の詰まりや錆び、建物の基礎の傾きは共用部分に原因があるので、管理組合の領分です。ですからこのような問題を放置している物件は「管理が行き届いていない」と言えます。

    hallway

    ②   構造をチェック!

    マンションの売り出し広告に「RC造」とか「SRC造」と記載されているのを見たことがありませんか?
    RC造・SRC造とは建物構造のことです。
    RC造は鉄筋コンクリートの略で、コンクリートに鉄の棒(鉄筋)を埋め込んだ構造をいいます。耐久・耐火・耐震・防音性能にすぐれた建て方です。
    SRC造は鉄骨鉄筋コンクリートの略で、鉄筋コンクリートの「芯」に鉄製の柱(鉄骨)が通っている構造です。RC造よりもさらに丈夫で、長もちする建て方です。価格はその分お高めになりますが、より長生きするマンションをお求めの方におすすめです。

    地震に対する強さは、建築基準法によって基準が定められていますが、施行前の建築については適用されません。
    現行の「新耐震基準」がスタートしたのは1981年6月ですから、それ以前の建築は震度6以上の地震で倒壊のおそれが否定できません。
    ですから1981年6月1日以降に建築確認を受けているか、もっと古い建物であれば耐震診断を受け、必要であれば補強工事を行い、新耐震並みの耐震性が認められている物件を選びましょう。

    また、配管設備は20〜30年ほどで交換が必要になります。配管がコンクリート埋め込みではなく、容易に取り外せる設計(スケルトン・インフィル)になっているかどうか?
    こちらは必ず広告に載っている情報ではありませんから、もし記載がなければ、購入を仲介する不動産会社に確認なさってくださいね。

    ③   材料をチェック!

    コンクリートそのものにも劣化しやすい・しにくいという品質の違いがあります。
    セメントに対して水の比率が低いコンクリートを使っている。あるいは鉄筋を覆うコンクリートが厚ければ厚いほど、ひび割れにくく、中の鉄筋が錆びる心配がなくなります。
    また給排水配管も、錆びやすいメッキ鋼管ではなく、腐食や詰まりに強い塩化ビニール菅がベター。

    こうした建材や配管設備の材質については、ふつう売り出し広告には載っておらず、設計図書住宅性能評価書を確認する必要があります。
    設計図書や住宅性能評価書は、購入を仲介する不動産会社にいえば取り寄せてもらえますから、いっしょにチェックしてみてくださいね。

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    ④   立地をチェック!

    立地環境も建物の消耗に影響します。
    たとえば周りに背が高い建物がなく、開けている場合、眺望や採光には適しているのですが、雨・風・日差しをまともに浴びるため、外壁や屋上防水はダメージを受けやすいのです。
    反対に日光がまったく入らず、閉鎖的な環境でも、湿気がたまってカビやコケの温床となりやすい。
    また海の近くはロマンチックな景色が魅力的ですが、潮風が金属の腐食を招きます(塩害)

    もちろん、外壁塗装や屋上防水の補修をこまめに施す等、環境に合ったメンテナンスを行うことで劣化は防げます。
    ですから「日差しを浴びやすいタワーマンションは購入すべきでない」とか「海の近くに住んではいけない」というわけではなく、立地条件なりの修繕計画が練られているか、ということがポイントです。
    「この辺りは潮風の影響があると思うのですが、塩害にはどのような対策をとられていますか」というように、不動産会社を通じてお聞きになってみるとよろしいでしょう。
    「外壁に錆び防止の塗料を使用しています」というように、明確な回答が返ってくるなら安心ですね。

    3.安心・安全を見極めるコツは……

    このように長もちするマンションの条件は理解できましたが、実際に「このマンションが条件を満たしているか?」を見極めるのは簡単ではありません。
    そこで、これからマンション購入を検討されている皆さまにぜひおすすめしたいのがインスペクション(住宅診断)です。

    インスペクションとは、建物の性能や、欠陥・劣化がないかを専門家に調べてもらうこと。
    診断項目や検査方法は国交省がガイドラインを策定し、シロアリ被害や躯体のひび割れ、雨漏り等を(建物を破壊しなくても分かる範囲で)調査します。

    2018年4月には宅建業法が改正され、中古不動産の売買について、仲介をする不動産会社は「インスペクション業者をあっせんできるかどうかを明らかにすること」「インスペクション済みの場合、その結果を重要事項説明の際に買主に示すこと」が義務付けられました。
    また同時に『安心R住宅制度』がスタート。売却にあたってインスペクションが実施され、一定の品質と耐震性を備えた中古住宅には、売り出し広告に「安心R住宅」のロゴマークが表示され、安心・安全な物件が一目で見分けられるという制度です。

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    これからマンションを購入される方は、安心R住宅や、インスペクションによって性能が明らかになった物件を選ばれるか、あるいはご自分でインスペクション業者に診断を依頼し、結果に納得された上で購入を決められることをおすすめします。

    類似の制度で『住宅性能表示制度』が2000年10月から法制化されましたが、もともと新築を想定した制度であったため、中古市場においてはあまり普及していません。
    『住宅性能表示制度』は、設計段階と竣工段階の二段階審査で建物の安全性を調べ、その結果を『住宅性能評価書』にまとめて買主に提示する、という制度です(既存住宅の場合、調査時点の建物の状態を審査することになります)
    この審査項目の中には「建物の劣化がすすまないように、充分な対策が取られたか」を示す項目(劣化対策等級)があり、コンクリートの質や配管構造を調べて1〜3等級で評価が示されます。

    1等級は建築基準法をクリアする最低限の対策。
    2等級は50年~60年間(およそ二世代)大規模改修不要。
    3等級は75年~90年間(三世代)大規模改修不要という評価です。

    近年、新築マンションでは『住宅性能表示制度』の普及が急速にすすんできました。新築や、築浅マンションをお求めの方はぜひ、不動産会社に「住宅性能評価書はあるか。あるなら購入前に確認させて欲しい」とお申し付けください。
    「築古なら安心R住宅、新築あるいは築浅なら住宅性能表示」と覚えておくとよろしいでしょう。

     

    以上のように、マンションの耐用年数について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
    マンションは本来100年以上もつ丈夫な建物です。
    しかし安心して住まい続けるには配管設備のメンテナンスや地震への備えなど、適切な維持管理が不可欠です。
    必要なときに必要な修繕が実施されていること、そしてもともと修繕に適したつくりであることが、長もちするマンションのポイント。
    安心・安全な物件をお探しの方は、ぜひ私たちひかリノベにお任せください。

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    ひかリノベは物件探しからリノベーションまで、ワンストップサービスでご提供しているリノベーション会社です。
    ひかリノベでは物件の購入前にインスペクションを行い、性能や状態をよく調べた上で購入をお決めいただけます。さらに快適なお住まいいただくためのリフォームプランもご提案!
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    どなたもお気軽にご連絡ください♫

    この記事のまとめ

    マンションの耐用年数は、省令によると47年。しかしこの定めは「財産としての価値」の問題であって、実際に「47年で住めなくなる」というわけではありません。
    欧米では築100年を超える建物も珍しくありませんし、ここ日本でもRC造建築の寿命は100年以上という研究結果が出ています。

    しかし高度経済成長期に多く立てられたマンションは、給排水配管が交換できない設計であるために配管設備が老朽化する30年ほどで建て替えを余儀なくされるケースや、耐震性が現行の基準にそぐわないという理由で取り壊しとなるケースがありました。

    マンションの寿命を決めるポイントは、管理・構造・材料・立地です。
    建物は適切な維持・管理によって延命できます。外壁塗装や屋上防水の大規模修繕は計画的に行われているか、そのための修繕積立金は足りているか、日々の清掃は行き届いているか。内覧や仲介業者を通じてチェックしましょう。
    また建物の構造がそもそもメンテナンスに適しているかも重要です。配管の交換が容易なSI設計が望ましい。耐震性も重要です。新耐震基準に適合した物件を選びましょう。
    建材や配管設備の材料も建物の耐久性に影響しますが、こちらは仲介業者に申し出て、設計図書や住宅性能評価書を調べる必要があります。
    さらに立地条件によっては、建物の劣化が進みやすくなることも押さえておきましょう。海辺は塩害対策が、開けたエリアはこまめな塗装や防水補修が必要です。

    これらのポイントをすべてご自分で見極めるのは現実的に難しいので、プロのインスペクションや安心R住宅・住宅性能表示制度を利用されることをおすすめします。
    制度のお問合せや物件探しのご相談は、ひかリノベまでお気軽に!

    執筆は、ひかリノベの施工管理、田中でした。

    t-tanaka

    田中 寿樹

    リノベーション専門会社「ひかリノベ」施工管理

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