マンション管理のカナメ!大規模修繕のすすめ方・完全ガイド

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10年後も20年後も安心して住み続けるために、マンションは定期的なメンテナンスが欠かせません。
大規模修繕とは、足場の必要なマンションの外壁塗装や、屋上防水やバルコニーの防水処理、配管設備の交換といった、とくに大掛かりな工事をいいます。

「マンションの寿命は管理で決まる」と言われるように、メンテナンスが重要であることはわかっていても、具体的にどんな工事が必要なのか、費用はいくらかかるのか、頻度は何年おきか。実際に大規模修繕工事をすすめるために必要な知識は、きちんと学ぶ機会がほとんどありませんよね。

そこで、今回のブログでは工事のポイントと予算、着工までのプロセス、業者の選び方といった、実際にマンションの大規模修繕工事を実施するにあたって押さえておきたい全知識をまとめました!
管理組合の理事や委員会に選出された方、そろそろ長期修繕計画の時期が近づいてきたという方のガイドブックとして、またこれからマンションのご購入をお考えの方も、ぜひこの記事をご一読いただき、来る日のために備えましょう!

1.大規模修繕は何のため?

コンクリート造りのマンションは、木造家屋に比べていかにも頑丈そうで、そう簡単に劣化しないのでは? という印象がありますね。でも、実際は雨風に晒されたり、紫外線を浴びたりと、日々ダメージは蓄積されています。

それに、建物はコンクリートだけでつくられているわけではありません。
継ぎ目には雨漏りを防ぐシーリングを埋め込まなくてはいけませんし、給水・排水配管のようなライフライン設備も必要です。シーリングや配管はコンクリートよりも早く寿命が来ますから、生活に影響が出るまえに交換しなくてはいけません。

マンションの寿命はメンテナンスで決まる

2017年3月、札幌市のマンションで崩落事故が起こりました。バルコニーのひさしが突然外れて、落下したのです。事故があったマンションは築45年でしたが、これまでどんな修繕をおこなってきたのか記録が残っておらず、外壁もヒビが入ったまま放置されていました。

マンションの外壁はヒビが入るとそこから徐々に雨水が浸透し、中の鉄筋が腐食してもろくなっていきます。あそこもここもヒビがあるのに見ないふりを続けていると、いつか建物全体がグラグラになってしまいます。
逆に言えば、こまめに建物の状態を点検し、小さなヒビを見つけた時点で補修しておけば、それ以上亀裂が広がることもなく、中の鉄筋の腐食も未然に防ぐことができるのです。

コンクリートはそれ自体、100年も長持ちする丈夫な素材です。現に丸の内の旧丸ビルや日本橋の旧三井三号館ビルは80年以上もの間、立派に維持されていました。適切な手入れを続けることで、マンションは「延命」できるのです。

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▲旧丸ビル(Photo taken by PekePON

新築時点で「20年計画」を立てる

小さなヒビや腐食が広がらないうちに発見するためには、定期的な点検が不可欠です。また、コンクリートの躯体よりも早く寿命がくる建築資材や住宅設備は、古くなって生活に影響が出る前に新しくしなければいけません。

マンションを新築する際、デベロッパーは20年ほど先までの長期修繕計画を作成します。どこを・いつ・どんな方法でメンテナンスするのか、そのために必要な費用はいくらかといったことを、あらかじめ明らかにしておくのです。
このうち足場を組んで建物全体の外壁を塗装したり、屋上の防水処理をやり直したりといった大掛かりな工事が必要なものを、大規模修繕工事といいます。

実行は「住民ファースト」で

とはいえ、たとえば「台風の飛来物で、窓ガラスが割れてしまった!」といった事情から、計画外の修理工事が発生することもあるでしょう。あるいは「階段の手すりを塗装予定だったが、キレイなのでしばらくこのままで良さそうだ」というケースも考えられますね。

新築時にデベロッパーによって決められた長期修繕計画は、必ずしも従い続けなければいけないものではありません。住民主体で3~5年おきに見直しをおこない、「いま、本当に必要な工事は何か」を考えていくことが大切です。

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▲長期修繕計画の例(参照:公益財団法人マンション管理センター

2.最初にやるべきことは? 着工までのプロセス

分譲マンションでは、入居と同時に住民による管理組合を組織します。そして管理組合の代表となる理事を選出し、管理会社のサポートを受けながらマンションを運営していきます。長期修繕計画に基づいて必要な修繕工事を手配するのも、管理組合の業務の一環です。

とくに大規模修繕工事は、プランニングをどこに頼むか、施工会社はどこにするか、修繕資金は充分か、と考えること・決めることが多くあります。そこで、理事会とは別に専任の大規模修繕委員を決めるマンションも多いです。
この委員会が中心となって、然るべき会社にプランニングや施工をアサインし、住民の意思をとりまとめ、着工に向けて動いていくのです。

具体的な進め方は、設計監理方式、責任施工方式、CM・RM方式と、主に3つの方法があります。

設計監理方式

設計監理方式は、現在もっともポピュラーな方法です。管理会社主導の修繕工事ではなく、住民が選んだ外部の設計事務所にコンサルティング(工事の設計・監理)を委託し、施工はまた別の会社に依頼します。
設計・監理と施工が分離しているので、コンサル会社には第三者の立場から「補修が必要な箇所はどこか?」「施工会社の見積価格は適正か?」「工事方法は適切か?」をチェックしてもらうことができます。

大規模修繕委員会発足
コンサルティング会社を公募
建物診断・設計
施工会社を公募
工事提案書の作成
着工

通常、コンサルタント選びは『建通新聞』等の業界紙を通じて公募します。多数の応募があった場合は、各社から見積もりをとって価格と内容を比較したり、プレゼンを受けるなどして、最終的に委託する1社を決定します。
コンサルタント会社の中には、実は施工会社と癒着関係があって、工事価格を不当につり上げたり、手抜き工事があっても見て見ぬふりをしたりといった会社もあり、社会問題となっています。

ですから、コンサル料金だけを見て決めるのではなく、過去の実績をプレゼンで確認し、信頼できる会社を選びましょう(なお、コンサル料金の目安は1戸あたり3~5万円程度。100戸のマンションなら、合わせて300~500万円になります)
また、施工会社の見積もりは1社だけではなく、3社程度から相見積もりをとるか、もしくはコンサル選びと同様、公募の形をとりましょう。

責任施工方式

責任施工方式とは、マンションの管理会社にプランニング・施工・監理までを一括して任せる方式です。
工事計画のスタートから完工までを管理会社に「おまかせ」で進められるので、理事会や大規模修繕委員会の負担が少ないこと、中間マージンが発生せず、費用が節約できることから、以前はこの方式が一般的でした。

大規模修繕委員会発足
管理会社が建物診断・設計
管理会社が工事提案書の作成
着工

責任施工方式では、「補修が必要な箇所なのに見過ごされていないか、あるいは必要のない箇所まで工事に含まれていないか」「工事価格が高すぎはしないか」「手抜き工事ではないか」といったことをチェックする第三者の目がありません。
管理会社はマンションの財政状況をよく知っているので、中には修繕積立金の残高いっぱいの工事をさせようとしてくるケースもあります。コンサル料金を節約したはずが、不適切な工事によって、かえって高くついてしまうこともあるのです。

ですから、責任施工方式をとる場合は、理事会または委員会がコンサル会社の代わりにチェックの目を光らせる必要があります。そのためには、建築やマンション管理に関する専門知識が不可欠です。したがって責任施工方式は、住民の中に建築の専門家、設計士やマンション管理士、施工管理の経験がある方がいる場合に適した方法といえます。

CM・RM方式

CM・RM方式はアメリカでは一般的な方式で、近年日本でも採用されることが増えてきています。

CM方式は、設計管理方式と同様、外部のコンストラクションマネージャーに工事の手配をサポートしてもらいます。設計管理方式と違うのは、設計会社1社に全ての工事を任せるのではなく、塗装工事は塗装業者に、防水工事は防水業者に、というように個別に相見積もりをとることで、コストダウンを図るということです。

RM方式も、設計管理方式と同様、外部のリノベーションマネージャーに工事の手配をサポートしてもらいます。リノベーションマネージャーは施工会社にオープンブックを作らせ、全ての工事(元請け・下請け・孫請け)の原価と利益を明確にすることで、工事価格の透明化を図ります。

大規模修繕委員会発足
RM/CMを公募
建物診断・設計
施工会社に相見積もり
オープンブックの作成
着工

CM・RM方式は情報公開により、住民が納得できる形で工事がしやすいという特長がありますが、その情報をもとに施工会社や工事の内容を決定するのは理事会や委員会を中心とする住民の一人ひとりです。
オープンブックや見積もりを精査せず、マネージャーの言うなりに工事を手配していては、けっきょく施工会社との癒着は防げません。

必要な工事を・適正な価格で・適切な工法でおこなうには、住民の一人ひとりが修繕に主体的に関わっていくことが大切です。
住民の中に専門家がいる場合はその方を中心に、いない場合は地域のマンション管理士のサポートを受けるなどして、オープンブックや見積もりをよく吟味し、住民主体で納得のいく修繕工事を目指しましょう。

3.工事にかかるお金と時間

着工までの流れを押さえたところで、実際に修繕工事にかかるお金や時間といったコストを確認していきましょう。

費用の相場

大規模修繕工事にかかるお金は、マンションの管理費といっしょに毎月支払う修繕積立金によってまかなわれます。
毎月の積立金額は長期修繕計画に基づいて、必要な金額がいくらかを決めます。
分譲時はデベロッパーが設定した金額を積み立てていくことになりますが、長期修繕計画の見直しとともに、管理組合で話し合い、適宜ベストな金額を決めることができます。

第一回の大規模修繕工事にかかる費用は、一戸あたりおよそ100万円。第二回は、およそ120万円が目安です。
国交省のガイドラインによると、大規模修繕工事は12年に一度おこなうことが望ましいとされていますから、月あたり1万円程度の積立が必要ということになります。

さらに台風や地震による被害、給排水や電気系統のトラブルへの備えも含めると、㎡単価200円程度が必要だという見解を国交省は示しています。たとえば65㎡の部屋だとすると、13,000円程度が積立金額の目安となるわけです。

階数/床面積 月額/㎡
15階未満 5,000㎡未満 218円
5,000~10,000㎡ 202円
10,000㎡以上 178円
20階以上 206円

国交省のガイドラインより

積立金が足りないときは……

多くのマンションでは、分譲時は買い手がつきやすくするため、積立金額を低めに設定しておいて、数年おきに値上げしていく形をとっています(漸増式)
値上げはその都度、住民の合意が必要です。中には住民の反対にあって必要な値上げができず、修繕資金が足りなくなるケースもあります。そんなケースでは工事前に一時金を徴収するか、銀行や住宅金融支援機構から融資を受けることになります。

融資を受けた場合、返済はその後の修繕積立金でまかなうことになります。そのため次回の大規模修繕工事ではさらに資金が足りなくなり、必要な工事が実施できなくなってしまうおそれがあります。

ですから、マンションを購入する際は、修繕積立金の設定金額は妥当か、中古マンションであれば充分な貯蓄があるか、滞納している世帯はないかといったことを確認しておくことが大切です。
毎月の管理費や修繕積立金の金額は物件広告に必ず記載されていますし、中古マンションの積立状況は不動産会社にいえば調べてもらえます。

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ひかリノベの物件情報

節約のコツは「こまめなメンテ」

修繕費用を抑えるためには、定期的なメンテナンスを先延ばしせず、こまめに実施すること。大規模修繕工事はもちろん、その合間に適宜、部分的な補修工事が必要です。

「積立金が足りないから」「工事の手配が面倒」「工事中は生活が制限されるからイヤ」等といって、大規模修繕工事の合間におこなうべき部分塗装や給排水ポンプの点検・修理といった小さな補修工事を怠っていると、どんどんダメージが蓄積していき、問題が表面化する頃にはもっと大掛かりな工事が必要になります。そのため、けっきょく余計にお金がかかってしまうのです。
「裏手側の外壁に塗装剥げがあるけれど、目立たないところだし、次の大規模修繕工事までそのままでいいか」というのではなく、問題が見つかったら小さなうちにお手入れしておくことが大切です。

期間の目安

大規模修繕は足場を組んで建物全体を塗装したり、屋上の防水処理をやり直したりと大掛かりな工事になるので、工期も数ヶ月単位を見込んでおく必要がありますが、それ以上に時間がかかるのが計画です。

計画は1〜2年越し

責任施工方式なら管理会社が設計から施工まで一括して主導するのでスムーズに進みやすいですが、より住民の意見を反映した設計監理方式・CM方式・RM方式では、まず設計や監理を担当するコンサルタント会社もしくはマネージャーを選定します。公募から相見積もり・プレゼンを経て決定まで、平均して3ヶ月程度かかります。

それから建物診断をおこない、診断結果をうけて修繕箇所や工事の内容を決めます。診断~プラン作成・住民の合意を得て工事箇所や内容を決定するまでに、およそ6ヶ月。

修繕プランがきまったら、施工会社を決定します。施工会社はコンサル会社にいくつか紹介してもらい、相見積もりをとるケースもあれば、コンサル選びと同様に公募の形をとるケースもあります。CM方式では、修繕箇所や工事の内容ごとに施工会社を手配します。どちらも3ヶ月ほど見込んでおきましょう。

施工会社は工程や費用の詳細を提案書にまとめ、RM方式ではマネージャーがオープンブックを作成します。住民の合意が得られたら、ようやく着工です。

  ≪設計監理方式≫ ≪責任施工方式≫ ≪RM/CM方式≫
3ヶ月~ コンサルティング会社の選定   RM/CMの選定
   
6ヶ月~ 建物診断・設計
   
3ヶ月~ 施工会社の選定   施工会社の選定
 
  着工

このようにスムーズに進めば12カ月程度で着工に至りますが、コンサル会社や施工会社がなかなか決まらなかったり、プランや施工方法・費用について住民の合意が得られなかったりして難航することも考えられます。
ですから、大規模修繕工事の計画は最低1年・場合によっては2年以上かかるものとして、時期が近づいてきたら余裕をもって動き出しましょう。

着工から完成までは「1フロア1ヶ月」

工事に必要な期間は建物の大きさと工事の内容によって変わります。
1回目の大規模修繕工事であれば、外壁塗装・屋上やバルコニーの防水処理・接合部のシーリングといった内容で、おおよそ1フロア1ヶ月が目安です。
2回目以降、給排水配管や電気配線・貯水槽の交換といった工事も実施する場合は、その分さらに長くなることもあるます。

4.メンテナンス時期の目安は……

「マンションを良い状態に保っていくためには、定期的なメンテナンスが大切」ということは分かりましたが、具体的にいつ・どんな工事が必要なのでしょう? 分譲時にデベロッパーが長期修繕計画を立てているとはいえ、その内容で本当に充分なのか、目安を押さえておきたいところです。

政府の推奨は「12年に1回」

国交省のガイドラインによると、大規模修繕工事のタイミングは12年に一度が望ましいとされています。
大規模修繕工事とは、一章でお話ししたとおり「マンションの補修工事のうち、足場が必要な大掛かりな工事をまとめておこなう場合」をとくにそう呼んでいるわけですが、外壁の塗装や、屋上・バルコニーの防水処理といった工事が必要になるタイミングが、ちょうど12年頃なのです。

修繕箇所 工事内容 周期
屋根 屋上防水の修繕 12年
防水の撤去・再処理 24年
外壁 塗り替え 12年
コンクリート補修 12年
タイル補修 12年
塗装の撤去・再塗装 36年
バルコニー 鉄部の塗り替え 4~6年
床防水の修繕 12年
給排水配管 更正 15年
交換 30年
給排水ポンプ 補修 8年
交換 16年
エレベーター 補修 15年
交換 30年
機械式駐車場 補修 5年
交換 20年

こちらの表は、国交省のガイドラインをもとに、建物や住宅設備の修繕が必要なタイミングをまとめたものです。外壁や屋上・バルコニーの防水処理といった足場が必要な工事は、ちょうど12年おきに補修が必要だということがわかります。
こうした建物の外側部分は、紫外線によるダメージが避けられません。マンションによっては資金不足から周期を15年、20年と遅らせているケースも見られますが、やはりダメージが少ないうちに工事を実施した方が、建物も長もちしますし、コストも抑えられます。

部分補修も周期的に

この他、同ガイドラインでは、鉄部は雨に濡れる部分が4年ごと・雨に濡れない部分でも6年ごとの塗り替えが望ましいとしています。
鉄部の錆びは見た目が悪いばかりでなく、放っておくと腐食が進み、触っただけで曲がったり、崩れたりするおそれがあります。こうなると塗装ではどうにもならず、階段やバルコニーの手すり・玄関の扉枠など、建具ごと交換しなくてはいけません。

また設備面では、給水・排水ポンプの補修は8年ごと、機械式駐車場の補修は5年ごとの実施を推奨しています。
こちらも故障がないとつい後回しにしがちですが、メンテナンスを怠るとかえって設備の寿命を招き、頻繁に交換しなくてはいけなくなります。また故障が起きてからでは生活に影響しますから、やはり周期的な点検・修理が欠かせません。

5.第一回・第二回・第三回の修繕のポイント

それでは、第一回・第二回・第三回の大規模修繕ではどんな工事をおこなうのか、それぞれの工事にどんな意味があるのか、もう少し具体的に見ていきましょう。

第一回・築12年目は「雨漏りを防ぐ工事」

  • 外壁の塗装
  • 屋上防水
  • バルコニー防水
  • 接合部のシーリング

新築分譲から12年目、第一回目でおこなう工事は、外壁や屋上・バルコニーといった建物の外側部分の補修です。具体的には、紫外線や雨・風・汚れによって傷んだ外壁塗装や、屋上の防水をやり直したり、タイルやコンクリートの継ぎ目を埋め直したりといった内容になります。

中でもとくに重要なのが防水処理です。屋上防水やシーリングは普段の生活の中で目につきにくく、「雨漏りしているワケではないのに、本当にいま工事しなくちゃいけないの?」といった疑問が出やすいポイントです。
しかし、雨漏りが見つかってからでは遅いのです。居住中のお部屋で雨漏りが見つかれば実は運がいい方で、すぐに修理すれば被害は最小限に食い止められますが、共用廊下の片隅、非常階段の出入り口周辺といった、目につきにくい場所の雨漏りは見過ごされやすいもの。やがてコンクリートの内部に水が浸透して鉄筋の腐食を招き、1章でご紹介した札幌市のマンションのように、重大な事故につながりかねないのです。

第二回・築24年目は設備交換が加わる

  • 外壁の塗装
  • 屋上防水(撤去と再処理)
  • バルコニー防水
  • 接合部のシーリング
  • 貯水槽の交換
  • 給水・排水配管の交換
  • ガス配管の交換
  • エレベーターの取り替え

新築から24年目、第二回目では、第一回でも実施した工事に加えて、エレベーターや貯水槽、給排水およびガスの配管といった設備の交換が検討されます。
エレベーターと給排水配管については、第一回の修繕工事~築15年を迎えるころに一度メンテナンスを入れておく必要があります。

給排水配管やエレベーターの交換時期は30年が目安ですが、第二回の修繕が終わってから5年ほどでまた工事の手配をする手間を省くため、まとめて実施してしまおうというマンションが多いのです。

とくに給排水配管は、日本の水は軟水なので錆びがつきやすく、そこに塩素が侵食して穴が開いてしまうことも。錆びが生じると赤い水が出たり、腐食が進むと床下漏水のおそれもあります。
近年は耐久性が高いステンレス管を採用するマンションが増えていますが、それでもお手入れなしで永久に使用できるわけではありません。

また、築20年を超えるとエレベーターやオートロックにも不具合が生じやすくなります。
エレベーターの扉が開いたまま動き出したり、中に乗っている人が閉じ込められたりと、エレベーターの故障は命に係わる重大な事故につながるおそれがあります。
オートロックも防犯のために欠かせない設備ですから、モニターが映らない、開錠・施錠の遠隔操作ができない、といった故障をそのままにしておくわけにはいきません。

第三回・築36年目は建具の取り替えも

  • タイルの浮き
  • 外壁の塗装(撤去と再塗装)
  • 屋上防水
  • バルコニー防水(撤去と再処理)
  • 接合部のシーリング
  • 手すり交換
  • 玄関ドア交換
  • 窓ガラス・サッシ交換

第三回目では、築36年目を迎え、建物や設備の修繕周期がおおむね一巡します。
この頃になると、バルコニーの手すり、玄関ドア、窓といった各住戸の建具が交換時期を迎えます。また、エントランスや集会室といった共用スペースのリフォームを検討するマンションも多いです。
そのため、第一回・第二回と比べて費用が大幅にかさみ、一戸あたり50~100万円ほどの一時金が求められるケースも珍しくありません。第一回の工事を終えた後で、長期修繕計画の更新と、修繕積立金の見直しをすることをオススメします。

築30年を超えると、開口部(窓やドア)の歪み・ガタつきが気になるようになってきます。
窓やドアが枠にピッタリとはまらなくなるために、すき間風や雨が吹き込んだり、外の音が響いたり、冷暖房の効きが悪くなったりといった問題が生じやすくなります。また、スムーズに開閉できない、カギが閉まらない等、建て付けの悪さもストレスになります。

ところで、バルコニーや玄関ドア・窓は各住戸にセットされているため、「専有部分だ」と思っている方が少なくないのではないでしょうか。
実は、各住戸の開口部は全て共用部分。
したがって、リフォームやリノベーションで好みのデザインのドアに変えたり、窓ガラスを自分で遮音ガラスにグレードアップしたり、バルコニーを塗り替えたりといったことは認められません。つかっているうちに「建て付けが気になる」とか、「地震で窓ガラスにヒビが入った!」というような場合は、管理組合に申し出て、修繕積立金で交換・修繕します。

6.工事中・工事後のトラブル対策

修繕工事中は、窓を開けられない、洗濯物を干せない、作業員から部屋の中が見えてしまう等、生活に不便が生じることがあります。エレベーターを交換する場合はしばらく使用できませんし、騒音や塗料のニオイが気になるというように、工事期間中は何かとガマンすることが多いもの。小さな不満が積み重なって、やがて大きなクレームに発展することもあり、注意が必要です。

ストレスを最小限にするために

最近は騒音や振動が生じにくい機材や、ニオイの少ない塗料で、工事中の「うるさい・臭い」は随分ラクになりましたが、やはり「まったく気にならない」というわけにはいきません。

もちろん工事の時間や工法・使用する資材を工夫して、ハード面からストレスを感じにくい工事を目指すことも大切ですが、どうしても発生してしまう騒音や臭い、お住まいの方の協力が必要なことについては、あらかじめ「この日はエレベーターの交換を実施するので、11時~16時の間は使用できません」「外壁塗装のため、バルコニーに作業員が入ります。気になる方はカーテン等で目隠しをお願いします」というようにくわしく伝えておくと、心構えができるので、クレームにつながりにくくなります。

情報共有は徹底的に!

とくに世帯数の多いマンションでは、情報が行き届きにくいですね。エントランスやエレベーターホールに張り紙をするだけでは、気付かなかった・よく見なかったという方も出てきます。「何日に何の工事をする」という工程表や、工事時間のお知らせ、「この時間はバルコニーに洗濯物を干せません」といった協力のお願いを各家庭のポストに入れる等して、周知を徹底する必要があります。

また、最近はSNSやグループチャットで連絡や情報交換をおこなうマンションが増えています。とくに住民の年齢層が若いマンションでは、回覧やチラシよりもよく見てもらえる・総会や理事会を開こうにもなかなか集まれないという場合でも、Web上でカンタンに意思確認ができるといったメリットがあります。

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マンション管理組合専用Webシステム・マンボー

責任者を明らかにする

「今日はベランダに入る工事の予定はないはずなのに、作業員が入って来た!」「塗料が窓ガラスに飛んでいる!」といった場合に、誰に言えば対応してもらえるのか? トラブルや工事の不備があったときの責任者は誰か、工事前にハッキリさせておきましょう。トラブル発生時の相談先を明らかにしておくことは、クレームを未然に防ぐ意味でも大切です。

大規模修繕工事は予算も大きく、工期も数ヶ月にわたります。その間、作業員が何人も出入りしますし、生活も制限されますから、住んでいる方は「何かトラブルがあったらどうしよう?」と不安なものです。そんなとき誰に相談したらいいかわかっていれば安心につながりますし、ちょっとした行き違いが重なって大きなクレームに発展する心配もなくなります。

工事の品質保証・大規模修繕かし保険

工事を終えたあと、万が一雨漏りや塗装の失敗・窓ガラスの塗料汚れ等が見つかった場合は、施工会社の負担でやり直しを求めることができます。
しかし、大規模修繕工事は多額の費用がかかるので、不具合の範囲があまりに広いと、施工会社が工事費用をまかないきれないためにやり直しができないというおそれがあります。

このようなリスクに備えるのが大規模修繕工事瑕疵保険です。2009年に始まった保険制度ですが、申込件数は年々増えています。

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住宅あんしん保証のあんしん大規模修繕工事瑕疵保険

補償期間は工事から5年間

大規模修繕工事瑕疵保険は、マンションにお住まいの方・管理組合の保護を目的とした保証制度です。
万が一、工事の瑕疵で雨漏り等の不具合が生じた場合、補修費用を保険金でまかなうことができます。
また、適切に工事がおこなわれているか、完工後に保険法人のチェックを受けることができます。

補償対象は、工事を実施した部分のうち建物の構造に関わる部分・防水部分・給排水配管・電気設備などです。

補償期間は、修繕工事から5年間(手すり部分は2年間)ただし、オプションとしてタイル剥落や防水・給排水配管などの瑕疵は、10年間の延長特約を付けることもできます。
もし5年間で施工会社が倒産してしまっていても、保険は適用され、管理組合は負担金額ゼロで補修を受けられます。

補償範囲は工事費用にとどまらない

保険金は工事費用のほか、建物診断や工事中に仮住まいが必要になった場合の費用も、80%相当がカバーされます。
ただし、家具や家電の補償はありません。ですから雨漏りが原因で家具や家電が使えなくなった場合は、戸別に加入している火災保険でまかなうことになります。

大規模修繕工事瑕疵保険を活用するためには、国交省の認定を受けた保険法人の審査を受け、登録されている施工会社を選ぶ必要があります。
逆に言えば、登録のある・なしが施工会社選びのヒントになりますね。もしも工事に瑕疵があった場合の補償はもちろん、工事の現場調査を受けられるのは大きなメリットです。

 

以上のように、マンションの大規模修繕工事について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

マンションに永く安心して住み続けるためには、計画的なメンテナンスが欠かせません。
管理組合の理事や修繕委員会に選出された方はもちろん、マンションにお住まいの皆さん一人ひとりが主体的に取り組むことが大切です。

長期修繕計画にはない工事で、修繕が必要なところはないか? あるいは、不要な工事・もっと後でもいい工事はないか?
いざ大規模修繕工事の時期がきたら、コンサルティング会社や施工会社はどう選ぶか?

そんなとき、この記事をヒントに修繕をすすめていただけたら幸いです。

また、中古マンションを購入される方は、数年後に大規模修繕工事が控えているかもしれません。
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この記事のまとめ

永く安心して住めるマンションは、メンテナンスで決まります。
中でも足場が必要な外壁塗装や屋上防水といった補修工事を大規模修繕といいます。

大規模修繕工事のタイミングはおおよそ12年に一度、費用は一戸につき100~120万円かかります。
費用は毎月の修繕積立金から賄われますが、中には金額が足りないために一時金を徴収したり、工事を遅らせたりといったマンションもあります。ですから、修繕積立金が安すぎるマンションには注意が必要です。毎月の積立金額は、一戸あたり10,000~13,000円が相場です。

大規模修繕の工事内容は、第一回が外壁塗装や屋上・バルコニーの防水の補修、第二回は給排水配管の交換やエレベーターの取替が加わり、第三回はさらに各住戸の玄関ドアや窓サッシといった建具の交換をおこなうというように、築年数に応じて直すところが増えていきます。ですから、修繕積立金の金額も都度、見直しが必要です。

大規模修繕工事の実施準備は、工事予定の1~2年前からスタートします。以前は管理会社におまかせというマンションが多かったですが、いまは工事費用の透明化や手抜き工事防止のため、工事の設計・監理と施工をそれぞれ別の会社に委託するやり方が一般的です(設計監理方式)

とくに中古マンションを買われる方は、数年後に大規模修繕工事が控えているかもしれません。そのときこれまでのずさんな管理状態が明らかになり、多額の一時金を求められて公開しないためにも、修繕記録と長期修繕計画、修繕積立金の残高を購入前に必ず不動産会社に確認しましょう。
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