20年後の住環境を左右するマンション大規模修繕の基礎知識

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堅牢なコンクリート造のマンションも、10年後も20年後も安心して住み続けるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
具体的には築12~15年ごとに大規模修繕――外壁塗装や屋上・バルコニーの防水処理といった工事を実施します。
新築を購入された方は、実際に体験するまでしばらく間がありますが、中古の場合は数年後に修繕が始まる可能性もありますね。
しかし具体的な工事内容や、必要な費用など、学ぶ機会はほとんどありません。
本日はマンション大規模修繕の基礎知識を、不動産仲介およびリノベーションの専門家として解説します。

2017/12/26初出→2019/1/10更新

1.建物の維持にメンテナンスは不可欠

RC造マンションに代表されるコンクリート建築は、適切な手入れによって100年以上耐久する――とされています。
実際、欧米では築100年以上の現役住宅も珍しくありません。

参照:国交省 RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例

参照:国交省 RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例 http://www.mlit.go.jp/common/001014514.pdf

しかしいくら丈夫なRC造マンションといえども、紫外線や風雨によるダメージが蓄積されると、チョーキング(外壁表面が白っぽい粉を吹く)やシーリング切れ・防水シートの膨張といった劣化が目立つようになり、雨水の浸入、鉄筋の腐食を招き、やがて住めるような状態ではなくなってしまいます。
快適な住環境を保全するためには、外壁塗装や防水処理といった定期的なメンテナンスが不可欠です。

そのため国交省は、マンションの新築分譲時には30年後までの長期修繕計画を作成するよう指導しています(国交省 長期修繕計画策定ガイドライン
この計画は5年ごとに見直しを行い、既存マンションも25年後までの計画を立てることが推奨されています。
また「大規模修繕は12年に一度」と修繕周期の目安が示されています。

2.修繕周期は12年に一度

大規模修繕とはマンションの補修工事のうち、足場が必要な大掛かりな工事をまとめておこなう場合をいいます。

こちらの表は前述の国交省ガイドラインをもとに、建物や住宅設備の修繕が必要な時期をまとめたものです。
外壁や屋上・バルコニーの防水処理といった足場が必要な工事は、ちょうど12年が修繕周期となっています。

修繕箇所 工事内容 修繕周期
屋根 屋上防水の修繕 12年
防水の撤去・再処理 24年
外壁 塗り替え 12年
コンクリート補修 12年
タイル補修 12年
塗装の撤去・再塗装 36年
バルコニー 鉄部の塗り替え 4~6年
床防水の修繕 12年
給排水配管 更正 15年
交換 30年
給排水ポンプ 補修 8年
交換 16年
エレベーター 補修 15年
交換 30年
機械式駐車場 補修 5年
交換 20年

新築分譲から12年目、一回目の大規模修繕では、紫外線や雨・風・汚れによって傷んだ外壁塗装。外壁タイルの浮き・ひび割れ補修。屋上・バルコニーの防水。接合部のシーリング補修といった工事を行います。
いずれも雨水の浸入を防ぐため、マンションの美観を保つために非常に重要な工事です。

築24年目、二回目の大規模修繕は上記のほか、貯水槽やエレベーター・給水/排水管・ガス管といった設備の交換が検討されます。
とくに給水/排水管は、日本の水は軟水なので錆びがつきやすく、経年とともに漏水のリスクが高くなります。
近年は防食性にすぐれたステンレス管を採用するマンションが増え、以前に比べて交換サイクルも長くなってきました。

築36年目、三回目の大規模修繕は、玄関ドアや窓ガラス・サッシといった各住戸の建具交換が検討されます。
(住戸の開口部は共用部分ですから、住民が各々リフォームを行うのではなく、マンション全体で修繕を行います)
一回目・二回目と比べて多額の費用が必要となるため、資金の確保が課題となります。

3.工事に必要な費用と期間

修繕資金は、毎月の修繕積立金によって賄われます。
したがって積立金額は長期修繕計画に基づいて、必要十分な金額設定としなくてはいけません。
新築分譲時の金額はデベロッパーによってあらかじめ決められていますが、入居後は住民自身、つまり管理組合による再検討が必要です。

というのは、多くの新築マンションは、購入のハードルを下げるため、修繕積立金は可能な限り安く設定している場合が多いのです。
中には大規模修繕の資金が足りなくなり、住民から一時金を徴収したり、金融機関から借入をするケースも見られます。
また二回目・三回目の大規模修繕は、一回目よりも修繕箇所が多くなり、したがって費用もより高額になります。
そのときに備えて、築浅のうちから計画的に積立をしてゆきたいものです。

費用の目安

一回目の大規模修繕工事にかかる費用は、一戸あたりおよそ100万円。二回目は120万円が目安です。
大規模修繕の周期は12年に一度ですから、一ヶ月あたり1万円程度の積立が必要ということになります。
さらに台風や地震といった予期せぬ災害への対応や、給排水や電気系統のトラブルへの備えも含めると、「1㎡あたり200円程度が必要」という見解を国交省は示しています(国交省 長期修繕計画策定ガイドライン)たとえば専有面積65㎡の住戸にお住まいの方は、月額13,000円程度が相場ということになります。

※ただし、総戸数が多いマンションは資材の大量仕入れによって単価を抑制できる。あるいはフィットネスやプール等の共用施設が併設されているマンションは、その分修繕費用がかかる――といった事情もあります。あくまで参考値としてお考えください。

階数/床面積 月額/㎡
15階未満 5,000㎡未満 218円
5,000~10,000㎡ 202円
10,000㎡以上 178円
20階以上 206円

とくに中古マンションの購入を検討中の方は、築年数と総戸数から逆算して、充分なお金が積み立てられているかをチェックしましょう。
中には修繕積立金が払えないからといって、支払いを滞納しているケースもまれにあります。

積立金の残高は担当コーディネーターにご質問いただければお調べできますので、遠慮なくお申し付けくださいませ。
また毎月の管理費・修繕積立金の金額は、物件情報に記載されています。

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期間の目安

工事に必要な期間は建物の大きさと工事の内容によって変わります。
一回目の大規模修繕工事であれば、外壁塗装・屋上やバルコニーの防水処理・接合部のシーリングといった内容で、おおよそ1フロア1ヶ月が目安です。

さらに着工までのコンサルティング会社の選定、建物診断と設計、施工会社の選定といった計画には1~2年を要します。

START 大規模修繕委員会設立
 
3ヶ月~ コンサルティング会社の選定
 
6ヶ月~ 建物診断・設計
 
3ヶ月~ 施工会社の選定
 
GOAL 着工

計画は住民自身が主体となって進めます。
まずは住民の代表となる委員を決め、修繕工事のプランニングや監理を行うコンサルティング会社を選定します。

多くのマンションは、エレベーターやオートロック等の設備の保守点検立会や、管理員による巡回・受付業務、共用部分の破損・汚損の確認、運営上の会計処理etc……日常管理業務を管理会社に委託しています。
そのため大規模修繕も管理会社におまかせ(責任施工方式)というマンションが従来は非常に多かったのですが、工事内容や費用の妥当性に疑問が残るケースもあり、近年はコンサルタントを外部から公募して決める(設計監理方式)のが一般的です。
また最近はコンサル会社と施工会社の談合を防ぐため、「塗装工事はA社、防水工事はB社」と各工程の施工会社も自分たちで選定するマンションが増えてきています(CM方式・RM方式)

4.工事中の生活への影響

大規模修繕中は、ベランダやバルコニーで洗濯物を干したり、植物やウッドデッキ・物置・物干し等を置くことができません。窓の網戸も外して室内へ。
エアコン室外機やBS・CSアンテナも、一時的に移動の必要があります(多くの場合、施工業者が必要に応じて移動しますが、移動中はエアコンの使用、特定チャンネルの受信ができません)
また足場が組まれ、シートで外壁や窓が覆われますから、一時的に採光が遮られます。
作業中はたえず作業員が出入りするので、プライバシーを守るため、カーテンを閉たままにしておこう、という方もいらっしゃるでしょう。
施工中に騒音が響く場合もあります。

工事期間は1フロア1ヶ月が目安ですから、マンションの規模によっては半年以上に及ぶことも。
その間ずっと我慢が必要なこともありますし(ベランダの私物撤去は工事期間中ずっと続くケースが多いです)「この日は音の出る工事を行います」というように、一時的に生活に制限が生じることもあります。
事前にお知らせが入りますので、工事前・中はこまめにポストを確認しましょう。

大規模修繕中のマンション。外壁が足場で覆われ、窓の外を作業員が行き来する

大規模修繕中のマンション。外壁が足場で覆われ、窓の外を作業員が行き来する

大規模修繕は、マンションの住環境を快適に・安全に保つために欠かせないものです。
とくに中古マンション購入をお考えの方は、購入後まもなく修繕に入る可能性もあるわけで、そのときになって積立金が足りないからと多額の一時金を徴収されたり、実施すべき工事を怠ったために建物の劣化・老朽化がどんどん進んでいってしまうようでは困ってしまいます。
「マンションは管理を買え」と俗に言われるとおり、積立金の残高、滞納はないか。長期修繕計画は25年後まで作られているか。いつどんな工事を実施したか、修繕記録は保存されているか――といった管理状態をよく確認して購入しましょう。

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【執筆】高橋 千晶(ひかリノベ 広報)
【監修】 三部 浩一(宅地建物取引士)

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