インスペクションは中古住宅の「健康診断」

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中古住宅を探している方なら、一度は「インスペクション」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

ここ数年、インスペクションを導入する不動産事業者やリフォーム会社は増加しており、目にする、耳にする機会は増えていますし、「既存住宅の状態を調べること」だ、というぐらいはご存知だと思います。
しかし、実際に何をどうするのか、詳しく知っている方はまだまだ少ないでしょう。

インスペクションの知識を持っておくと、中古住宅を購入するときはもちろん、将来、マイホームや相続した住宅を売却するときにも、とても役立つのです。

2017年5月18日初出→2019年12月20日更新

インスペクションとは

インスペクション(ホームインスペクションとも)とは、専門家(インスペクター)が建物の状態、例えば劣化の度合いや箇所、欠陥の有無などを調査し、場合によっては修繕やリフォームが必要な箇所やタイミング、かかる費用についてアドバイスを行うことをいいます。
日本では、「住宅診断」「建物状況調査」「現況検査」などともいわれます。

新築と違って中古住宅は、経年劣化や維持管理によって物件ごとの質が大きく異なります。そこで、売買の前にインスペクションで状態を確認することが大切なのです。
また、リフォーム・リノベーションでも、きちんとした工事をするには状態の把握が欠かせません。
実際に、中古住宅の流通が活発なアメリカでは、売買前のインスペクションが当然のようになっています。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)を活用しませんか?」

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)を活用しませんか?」 (https://www.mlit.go.jp/common/001219899.pdf

宅建業法上のインスペクション~「建物状況調査」

日本でも中古住宅の流通件数が増えるに伴い、インスペクションの重要度は増す一方。国土交通省も2013年にガイドラインを策定して、検査の方法や検査すべき項目を提示しています。

さらに、2018年4月の宅地建物取引業法(宅建業法)の一部改正で、インスペクションに関する項目が追加されました(詳しくは後述)。
宅建業法では「建物状況調査」という言葉で表されます。

木造の戸建てとRC造のマンション等で多少違いはありますが、基本的には「建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況」を調べます。

具体的には次の図のような部位です。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)を活用しませんか?」

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)を活用しませんか?」 (https://www.mlit.go.jp/common/001219899.pdf

建物状況調査を行えるのは、建築士の資格を持っていて、国交省が行う「既存住宅状況調査技術者講習」を受けて登録された「既存住宅状況調査技術者」です。

既存住宅インスペクション・ガイドライン

宅建業法の建物状況調査をはじめとして、日本におけるインスペクションの基本になっているのが、先ほども挙げた「既存住宅インスペクション・ガイドライン」です。

このガイドラインでは、住宅・建築の専門家(有資格者や実務経験のある人)が行う「目視、計測を中心とした非破壊による検査」が基本です。
足場を組んだりせずに見られる範囲内で、マンションなら専有部(室内)と、その部屋のバルコニーから目視で確認できる部分が、診断の対象となっています。

また、「客観性・中立性」も大切なポイントです。
インスペクションの実施者が、不動産事業者やリフォーム業者であったり、売主、あるいは売買に関わる他の事業者と関係を持っている場合は、その旨をちゃんと告知しなくてはいけません。

インスペクションのメリット

それでは、中古住宅の売買において、インスペクションを行うことはどんな意味があるのでしょうか?

建物の質・状態を判断材料にできる

一つ目のメリットは、建物の質や状態が購入前にわかること。

建物自体の欠陥・劣化は、安全性にも関わることなので、問題のある物件はできるだけ避けたいですよね。
インスペクション済みの物件なら、劣化状況や欠陥の有無が事前にわかるので、質の高い物件をセレクトするのに役立ちます。
売主も、安心、安全な物件だとアピールできるエビデンスを手に入れられるのです。

また、ひかリノベでは、インスペクションを事前に受けずに売りに出されている物件でも、ご希望に応じて購入前インスペクションを実施しております。ご希望の方は、お気軽にお申し付けください。

適正な価格かどうかがわかる

インスペクションの結果は、物件の状態に対して価格が高いか、安いかを判断する材料としても有効です。

「状態がとてもいい。ちょっと高いけど、実はお得な物件かも」。
「劣化が進んでいて将来リフォームにお金がかかりそうだから、結果的には割高かも」。

こんな風に、長い目で考えるときの参考にもなりますね。
売主にしてみれば、劣化が少なく状態も良いので、高めの価格を設定する、なんてこともできるでしょう。

リフォームの計画が立てやすい

劣化や不具合といっても、すぐさま直すべきものもあれば、そこまで緊急性がないものもあります。

どこがどの程度劣化しているのかが、インスペクションによってわかっていれば、購入と同時に行うべき、もしくは将来、5年後や10年後に必要になるリフォームの見当をつけることができます。

費用もある程度は予測できますから、将来のリフォームを見据えた資金計画も立てやすいでしょう。

かし保険に加入できる

購入した住宅に重大な不具合があったとき、補修費用などを補償してくれるのがかし保険です。

中古住宅の売買では「既存住宅売買かし保険」を利用しますが、保険に加入するには検査を受け、耐震性や劣化の基準をクリアすることが必須条件です。

通常は、保険加入の申込を受けてから検査が行われますが、事前にインスペクション(建物状況調査)を受けておけば、検査を省略することが可能になります

かし保険に入ると、引き渡し後に構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分に不具合(瑕疵)が見つかった場合、5年間は保証が受けられます。

宅建業法改正とインスペクション

先ほどもちらっと触れましたが、2018年4月1日の宅地建物取引業法改正で、中古住宅売買時に仲介をする宅建業者、つまり不動産会社などに対して、インスペクションに関する義務が課せられました。

とはいえ、インスペクションの「実施」が必須になったわけでもないのです。宅建業者がしなくてはならないのは、

  • 媒介契約を締結する際、宅建業者はインスペクション業者をあっせんできるかどうかを媒介依頼者(売主、買主)に説明し、希望があればあっせんする(買主の希望でインスペクションを実施するには、売主の許可が必要)
  • インスペクションを既に行っている場合、重要事項説明でインスペクションの結果を買主に対して説明する

の2つです。
簡単に言えば、インスペクションについて売主や買主に説明する、ということですね。

出典:国土交通省「「宅地建物取引業法の一部を改正する法律 概要」

出典:国土交通省「「宅地建物取引業法の一部を改正する法律 概要」 (http://www.mlit.go.jp/common/001120594.pdf

出典:国土交通省「「宅地建物取引業法の一部を改正する法律 概要」

出典:国土交通省「「宅地建物取引業法の一部を改正する法律 概要」 (http://www.mlit.go.jp/common/001120594.pdf

今の宅建業法では、やや物足りなさもあります。それでもプロが勧めてくれることで、以前よりもインスペクションが利用しやすくはなったのではないでしょうか。事前のインスペクションは、売主にとっては物件の悪い部分を公開するようなものですから、できればしたくないと思う人も少なくはありません。ですが、購入する側からすれば、高額な対価を支払うのですから、状態を詳しく知ることは当然の権利だとも言えます。

法律にも盛り込まれたことで認知度も高まっていき、今後はインスペクションの活用が進むことが期待されています。インスペクション済みの物件も増えるかもしれません。
満足できる、安心なマイホームを手に入れるためにも、ぜひインスペクションの利用を検討してみてくださいね。


【記事監修】大宮 良明(ひかリノベ両国デザイナー )

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」。


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