
中古マンションは新築と違い、定価がありません。値段に比べお得な物件なのか、割高なのか判断しづらい――そんな風に感じる方も多いのでは?
中古マンション購入で損をしないためには「相場」を知ることが大切。2年近く続き、先も見通しにくいコロナ禍では、不動産市場の状況、中古マンション価格の相場も大きく変動しています。
今回は、2022年現在のマンション市場の概況、そして中古マンションの相場を知るために必要な知識と役立つ情報サイトをご紹介します。
2019年11月15日初出→2020年7月28日更新→2021年7月1日更新→2022年1月14日更新
目次
1.2022年のマンション市場はどうなる?
2.値下がりを待つにはリスクもある
3.中古マンションの価格の成り立ち
4.相場の調べ方①販売価格を調べる
5.相場の調べ方②成約価格を調べる
6.相場の調べ方③マンション市場・市況を調べる
7.おわりに
2022年のマンション市場はどうなる?
首都圏のマンション価格は、2013~14年ごろから新築、中古ともに上昇傾向が続いています。
新型コロナの影響が心配された2020年も価格上昇は止まらず、平均価格は新築6055万円・中古は3487万円と、2010年以降で最も高い金額となりました(東京カンテイ調べ。一戸当たり、70㎡換算)。
2021年に入ってもその傾向は変わらず。不動産経済研究所によれば、2021年11月時点の新築マンションの平均価格は 6123 万円(㎡単価87.1 万円)。
中古マンションの価格も、2021年10 月時点で平均4360万円と上昇を続けています(東京カンテイ調べ、70㎡換算)。他の地域も、首都圏よりは緩やかですが上昇傾向が見られます

出典:東京カンテイ「10 月首都圏 前月比+1.3%の4,360 万円と6ヵ月連続プラス 東京 23 区も小幅に上昇」(https://www.kantei.ne.jp/report/c202110.pdf)
マンション市場はコロナでどう動いた?
新型コロナの感染拡大当初(2020年春)は、首都圏で中古マンション成約件数が前年比4~5割減となるなど、大幅な低迷が見られましたが、下半期に入ると一転して回復傾向に。
2021年に入ってもその傾向は続き、前半は成約件数も前年同月比でプラスの月が続きました。後半は多少落ち着きを見せたようですが、件数自体は大きく変動しているわけではなく、3000戸台で推移しています。

出典:(公財)東日本不動産流通機構「月例速報 MarketWatch サマリーレポート2021年 11月度」http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202111_summary.pdf
1㎡当たりの成約単価で見ると、むしろ価格上昇が鮮明にわかります。2021年11月の平均は 60.92 万円/㎡(前年比 7.1%増)で、なんと19カ月連続の上昇です。
ワクチン接種も進んでコロナの感染状況が落ち着き、行動制限も緩和されたために、人々のマイホーム探しも活発になったのでしょう。在宅勤務や、自宅で過ごす「新しい生活様式」もある程度定着したと思われ、よりよい住まいを求めて住宅購入に踏み切った人も多いと考えられます。
もちろん変異株など、新しい不安要素もあります。ですが、取引・価格の推移やライフスタイルの変化を踏まえると、今後、中古マンションの価格相場が低下することは、可能性としては低いと予想されます。
資材不足・値上がりの影響
日本国内ではコロナの感染状況が落ち着きを見せていますが、海外ではまだ深刻なエリアも少なくありません。
国際的な物流に支障が出、コンテナが不足したところに、欧米での住宅需要の増加が重なって起こったウッドショック、そして東南アジアでのロックダウンによって発生した建材・設備機器の納期遅延・価格高騰などは、日本の住宅市場にも深刻な影響を及ぼしています。
資材が値上がりすれば、当然ですが住宅の価格も上昇します。値上がりした新築を避け、中古住宅を選ぶ人も増え、価格にも影響するはず。もともとのニーズの高まりを考えれば、やはり中古マンションの相場はこれからも上がりそうです。
人口減少による影響
長期的に見ると以前から、人口減少によって全国的に住宅需要が減り、価格も下っていく可能性が指摘されていました。
東京都では、23区では2030年、都全体では2025年をピークとして減っていくと予測されていますが、再開発が進む湾岸エリアや、都心部は、逆に人口が増加する見込みです。
現に総務省が発表した国勢調査の速報値によると、2020年10月1日時点の日本の人口は1億2262万6568人で2015年の前回調査より86万8177人減少していますが、東京、神奈川、千葉、埼玉は人口が増加しており、中でも人口増加率は東京が前回を上回る4.1%と最も高く首都圏1都4県で人口全体の約3割を占めており、東京圏一極集中が鮮明になっています。
新型コロナによって広まった在宅勤務などを理由に、広さや周辺環境を重視して郊外に移り住む人は一定数存在しているようですが、完全にリモート勤務へと切り替えた企業はさほど多くないのが現状です。
結局、コロナ禍でも通勤・通学の利便性が高い、都心部の立地を選択する人は減らず、当初想定もされていた、都市部のマンション価格が下落する事態にはなりませんでした。中長期的にはわかりませんが、短期的な視点では、立地のいい物件は値上がりが続きそうです。
値下がりを待つにはリスクもある
社会や経済の先行きが不透明な現在、マンションを買うのは価格が下がってからにしよう――そう考える方もいるかもしれません。
しかし、値下がりを待つことには、リスクもあります。
新型コロナの感染拡大当初は「コロナの影響でマンションの価格は下がる」とも言われていましたが、現実は逆に値上がりを続けています。値下がりを待っていたはずが、結局はより高い予算が必要になる可能性は決して小さくありません。
注意すべきは「いつ」ではなく「今の相場」
また「中古マンションは一品もの」です。値下がりを待っている間に買われたら、同じ物件には二度と巡り合えない可能性は圧倒的に高いのです。
市況や相場の将来予測ばかりに気を取られていると、あなたやご家族の人生におけるベストタイミングを逃すことにもなりかねません。
歳を取るほどローンは組みにくくなるうえ、住居費(賃貸住宅の家賃など)の負担も増える一方です。
もし、今がマンションを購入すべきタイミングであれば、「今の相場」と比べて安いのか高いのかを見極めて検討することをおすすめします。
中古マンションの価格の成り立ち
中古マンションには、新築のような定価はありません。中古マンション価格を最終的に決めるのは売主です。
不動産会社の査定などは判断材料にはなりますが、売却時、その通りに価格をつける必要はありません。安くするのも高くするのも、売主の自由です。
良い物件を安く買えればラッキーですが、割高な物件を選んでしまったら……?
お買い得なのか、割高なのかを判断することは、その物件の市場価値を見極めることでもあります。
市場価値は、「立地」「築年数」「広さ」の3つの要素で決まります。
新築なら間取りや内装、設備のグレードも影響しますが、中古はリフォーム・リノベーションを前提とするケースも多いので、変えようがないこの3要素で物件の価値がほぼ決定します。
また賃貸住宅だと、季節による変動も大きいですが、中古マンション市場では、「何月が高くなる」という傾向は、さほど強くは現れないようです。
相場は販売価格・成約価格+市場で決まる
同じエリアで、築年数や面積が同じぐらいのマンションを比較すれば適正な価格、つまり相場がわかります。
ポイントは、販売価格、成約価格の双方を調べること。
中古マンションは値引きが一般的なので、販売価格通りの額で売れるとは限らないからです。
また、相場は不変ではなく、世の中の状況によって刻々と変わっていきます。
例えば、鉄道の駅ができて交通の便が良くなれば、立地上の価値も上昇します。
景気が良くなれば、不動産も含めて取引が活発になって値上がりしますし、逆に経済状況が低調な時は値下がりもします。
そのため、市場はどんな状況にあって、相場がどのように変化しているかを理解すれば、今後の予測も立てやすくなるのです。
相場の調べ方①販売価格を調べる
まずは、希望エリアの平均的な販売価格を調べましょう。
ひかリノベでは、市区町村や沿線ごとに物件を探せるWeb物件検索システムをご用意しています。
専有面積・駅までの時間・築年数も指定しての検索もOK。「○○線の××駅から徒歩15分以内」「築20年以内」「広さは70㎡ぐらい」など、ご希望の条件を入力して検索してみてください。一覧画面で基本的な物件の情報と、販売価格が確認できます。
相場の調べ方②成約価格を調べる
販売価格の相場がわかったら、次は成約価格の相場を調べましょう。成約価格は「レインズマーケットインフォメーション」と「土地情報システム」で調べることができます。
レインズ(REINS)マーケットインフォメーション
公益財団法人不動産流通機構による、不動産取引の情報提供サイト。
都道府県、築年数、専有面積を入力して検索すると、直近1年間の取引事例から、1㎡当たりの単価がわかります。希望の面積を掛ければ、おおよその成約価格が算出できます。
仮に1㎡当たり50万円だとすると、専有面積70㎡の物件は、50万円×70㎡=3500万円程度が、成約価格の相場ということになります。
土地総合情報システム
国土交通省による、取引価格の情報を提供したり、地価を公示するサイトです。
エリアで検索すると、駅までの時間や築年数、面積などの条件と、過去5年間の成約価格が表示されます。
検索結果を並べ替えられるのが、このサイトのメリット。
専有面積が広い順で見てみましょう。同じぐらいの面積で、駅から5分なら○○万円、10分になると××万円、と比較するとわかりやすいかも。
相場の調べ方③マンション市場・市況を調べる
市況を調べるには、「東京カンテイ」「レインズデータライブラリー」「不動産流通推進センター」の各サイトを覗いてみましょう。
東京カンテイ 市況レポート
市況を専門家が調査、分析したレポートから、70㎡換算の価格推移、価格の上がり下がりを天気図で表した価格天気図など、マイホームを探している人の参考になるコンテンツが揃っています。
レインズ データライブラリー
東日本の市場動向や価格推移をチェックできるサイト。毎月の市況分析レポート(マーケットウォッチ)もわかりやすくまとまっているのでおすすめ。中部、近畿、西日本と、地域別のサイトもあります。
公益財団法人不動産流通推進センター
レインズのデータを分析して掲載しています。価格の推移もグラフ化されていて一目でわかるので、データライブラリーと合わせてチェックしておきましょう。
おわりに
変異株の出現など、コロナ禍もなかなか先が見通せませんが、住まいはわたしたちにとって、最も重要なインフラのひとつ。
景気もどうなるかわからない中、「今、マイホームを買っていいのか」と迷うのも当然ですが、あなたやご家族にとって、今、マイホームを持つのが最善ならば、今が買い時なのです。
ただ、不安定な時代だからこそ、よりお買い得な物件を見つけることが大事。
今年は10年固定が数年ぶりに上振れしたこと、また来年は日銀総裁が任期を迎えるため政策に変動があるかもしれません。
ひかリノベでは、不動産会社でしか調べることができない成約物件も、不動産会社と同じように調べることができます。上記URLより細かい住所で調べられるため、近隣の成約物件価格が知りたい場合は、是非ひかリノベにご相談ください!
【記事監修】三浦 英樹(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーの有資格者。中古不動産購入からリノベーションの設計・施工、インテリアコーディネートまでワンストップで理想の住まいを提供する『ひかリノベ』代表。「住宅は立地や景観、環境のよい『場所』で選び、購入と同時にリフォームやリノベーションを施すことで、自分らしい暮らしをリーズナブルに取得することが可能となります。住宅ローンの返済に縛られることのない、豊かなライフプランの実現を、家探し、家づくりを通じてサポートいたします」