大地震、そのときどうする?~マンション防災の基礎知識

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世界有数の地震国である日本。加えて、近年は豪雨や台風の大規模な被害も、各地で多発しており、命を落としたり、厳しい環境での生活を余儀なくされている方が後を絶ちません。

自然災害はしかし、人間の力では避けようがありません。
もしもの時にあなたやご家族の命を守るには、災いを防ぐ、つまり「防災」のための日頃の備えや訓練が不可欠です。

マンションは、歴史的に見れば比較的新しい住まいのかたちです。マンションならではの防災のポイントもあります。
今回は、安心・安全なマンションライフのための防災知識を学びましょう。

防災の基本は物件選びから

地震のエネルギーは、建物に大きなダメージを与えます。

木造に比べ、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)は地震に強いと言われますが、2016年の熊本地震(最大震度7)では、19棟のマンションが全壊の判定を受けました。

RC造のマンションでも、柱が折れたりすれば、そのまま住み続けることは不可能です。ローンが残っていても、新たな住まいを探さねばならず、いわゆる二重ローンで苦しむことにもなりかねません。

中古マンションの場合、耐震性が低い、経年劣化が進んでいるなどの理由で、新築よりは地震時の被害が大きくなるリスクが、少なからず付きまといます。
物件選びの段階で、地震に強い物件を選ぶことが、あなたの身の安全を左右すると言ってもいいでしょう。

耐震基準は「1981年」を境に変わった

不動産屋さんなどで「新耐震」「旧耐震」という言葉を聞いたことはありませんか?

大地震が起こるたびに法が改正され、耐震性の基準はどんどん引き上げられてきました。
現在の基準は、1981年の建築基準法改正で定められたもので、これを新耐震(基準)と言い、それ以前の建物は旧耐震(基準)と呼ばれます。

最近では「免震」や「制震」という建物もあります。
免震は、建物の下に特殊な装置を組み込んで、地震の揺れが建物に伝わらないようにする仕組みです。
制震は、揺れを吸収する装置を付け、建物の揺れを軽減するつくりのこと。
いずれも、新しい建物でなければ採用例は少ないのですが、知識として知っておくとベターです。

「旧耐震だから弱い」わけではない

旧耐震がすべて地震に弱い、というわけではありません。旧耐震でも大地震に耐えた、頑丈な建物もたくさんあります。
逆に、新耐震でも地盤が弱いと危険なこともあります。新耐震、つまり1981年以降に建てられたかどうかは、ひとつの目安にはなりますが、立地も含めて総合的に判断することが大切です。
不安な方は、お気軽にひかリノベまでご相談ください。

高層マンションは揺れが大きい?

中・高層のマンションは、上階ほど揺れが大きくなる傾向があります。

大規模な地震は長周期地震動(揺れの周期が長い波長が多く、ゆっくりした揺れが長時間続く)が発生しやすく、高層の建物は特に影響が大きいと言われます。

長周期地震動階級 人の体感・行動 室内の状況 備考
1 室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。驚く人もいる。 ブラインドなど吊り下げ物が大きく揺れる。
2 室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 キャスター付きの什器がわずかに動く。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。
3 立っていることが困難になる。 キャスター付きの什器が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 間仕切り壁などにひび割れ、亀裂が入ることがある。
4 立っていることができず、這わないと動くことができない。揺れに翻弄される。 キャスター付きの什器が大きく動き、転倒するものがある。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。 間仕切り壁などにひび割れ、亀裂が多くなる。

高層ビルでの揺れの体感や室内状況
出典:「中高層マンションの防災対策マニュアル マンション防災はじめの一歩」
https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000203288.pdf

建物が大丈夫でも、揺れによって室内の家具・家電が倒れる、落下する、棚の中のものが飛び出す、窓ガラスが割れるなど、さまざまな被害が発生します。揺れが増幅される上階ほど、こうした被害は大きくなると予想されます。
熊本地震では、負傷したマンション居住者の4割が、家具類の転倒によってけがをしています。

東京消防庁「平成 28 年(2016 年)熊本地震に伴う室内被害の実態調査結果~マンション編~」

出典:東京消防庁「平成 28 年(2016 年)熊本地震に伴う室内被害の実態調査結果~マンション編~」 (http://www.tfd.metro.tokyo.jp/tfd/hp-bousaika/report/2018/03/pdf/details_mansion.pdf

防災の第一歩は家具の転倒防止から

マンションで地震時の安全性を高めるには、揺れで大きな家具が倒れないようにすることが重要です。家具を固定するだけで、地震による転倒のリスクを大きく軽減できます。

東京消防庁「平成 28 年(2016 年)熊本地震に伴う室内被害の実態調査結果~マンション編~」

出典:東京消防庁「平成 28 年(2016 年)熊本地震に伴う室内被害の実態調査結果~マンション編~」 (http://www.tfd.metro.tokyo.jp/tfd/hp-bousaika/report/2018/03/pdf/details_mansion.pdf

たんすや本棚のような大型の家具は、L字金具やつっぱり棒、転倒防止板(ストッパー、家具の下に差し込むもの)で確実に固定しましょう。
このうちつっぱり棒や転倒防止板だけでは転倒した事例が報告されており、最も効果的とされるL字金具や、複数の器具を組み合わせて使うことをおすすめします。

テレビやパソコンの脚の下に耐震シートを敷く、戸棚のガラス戸にフィルムを張る、キッチンの吊戸棚の開き戸に留め具(耐震ラッチ)をつけるなどの対策も、忘れずに行いましょう。

これからリノベーションをするなら、転倒防止金具を取り付けられるように下地を補強することも検討しましょう。
さらに、揺れで扉が開かない機構のついた収納、建物自体が損傷しても開閉できる耐震型のドア枠、揺れを感知して火を微動的に消すコンロなど、災害時の安全性を高める部材・設備を採用するのがいいでしょう。

ライフラインの寸断に備える

災害が発生すると、停電や断水がしばしば発生します。交通網も寸断されたり混乱が生じるので、生活必需品の入手も困難になります。
復旧までには一定の時間を要するので、生活に必要なエネルギーや水、食料を確保しなくてはいけません。

最近では、管理組合が中心となって飲料水や非常食、工具やヘルメット・軍手、担架、医薬品、発電機などを備蓄しているマンションが増えています。
あなたがお住まいのマンションに防災倉庫があるのなら、何がどれくらい備蓄されているのかを日頃から知っておくことが大切です。

とはいえ、防災倉庫の備品はマンション住民の共有物。けがをしてしまったり、年齢や体の状態から行動に制約のある方もいるでしょうから、自分でも防災用品や非常食の備蓄をしておくべきです。
食料の備蓄量は「10日分×家族の人数」が目安と言われます。懐中電灯やラジオのように電池を使う機器は、予備の電池を用意しておいたり、手巻き式など電池が不要なタイプを選びましょう。

夫婦・乳幼児・高齢者の4人家族の備蓄品目の例(3日~1週間分)

夫婦・乳幼児・高齢者の4人家族の備蓄品目の例(3日~1週間分)出典:東京都「『日常備蓄』を進めましょうリーフレット」 (https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/554/kiiro.pdf

また、水道が止まっていないなら、浴槽やペットボトルに水をためておくのも有効です。トイレを流したりするのに使えます。
(自宅のトイレを災害時に使う場合、配管の破損には注意してください)

住民同士の助け合いで被害を減らす

共助(きょうじょ)」という概念があります。公的な機関による支援ではなく、住民同士の助け合いによって安心な暮らしをつくろうとする考え方です。

多くの人が集まって暮らすマンションでは、より重要な考え方だと言えるでしょう。
自主的に防災活動を行う、いわゆる“自主防災組織”を規約で定めているマンションも存在します。

消防法では、マンション(共同住宅)においては年1回以上、消防避難訓練を行うことが定められています。
管理組合や管理会社にとって訓練の実施は義務ですが、住民が参加してこそ意味があります。
東京都の調査によると、地域の防災訓練への参加率は、年々上昇してはいるものの、3割程度にとどまっています。コンスタントに参加している人は1割にも満たないのです。

東京都「セーフシティ東京防災プラン進捗レポート2019」

出典:東京都「セーフシティ東京防災プラン進捗レポート2019」 (https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/800/2019report_gaiyou0515.pdf

災害の被害は、同時多発的に発生するため、発生直後は警察や消防の救助が来るまでに時間がかかる可能性があります。
そんな状況で被害を最小限に食い止めるには、住民による初期対応が欠かせません。定期的に訓練に参加しておけば、もしもの時に取るべき行動がわかります。自分や家族の身を守ることにもなるので、積極的に参加しましょう。

マンションによっては、管理組合が独自の防災マニュアルを作成していることも。あれば各世帯に配布されているはずですので、日ごろから内容をチェックしておきましょう。地域の避難所や、給水拠点も確認しておくとベターです。

身の安全を考えて行動しよう

実際に災害が発生したら、どうすればいいのでしょうか。

災害発生時、第一に考えるべきは身の安全です。

大きな地震が起きたら、柱や手すりにつかまって、揺れで体が投げ飛ばされないようにしましょう。倒れたり、落下しそうな家具からは離れ、クッションや布団などで頭を守ることも忘れずに。

エレベーターに乗っていたら、全ての階のボタンを押し、止まった階でエレベーターから降りてください。動いているからと言って、また乗ったりするのはやめましょう。

慌てて動くとかえって危険?

揺れが収まったからといって、すぐに行動するのは危険です。窓ガラスの破片や割れた食器でけがをするかもしれません。
スリッパを履いたり、毛布を床に敷くなど、けがの防止策を取ってから動きましょう。

続いて取るべき行動は、避難経路を確保すること。玄関ドアや廊下側の窓を開けっぱなしにする、ベランダの隔て板を破るなどして、安全に室外へ出るためのルートを作ります。

マンションの外に避難する必要があるときは、一度廊下や、室内なら安全な部屋に集まってから、家族みんなで一緒に行動しましょう。
慌てて屋外に出るのはNG。外装材や割れたガラスが降ってくる恐れもあるからです。

部屋を出るときは、火にはもちろん、電気にも気を付けましょう。電気が復旧した際、コンセントで火花が散ったりして火災が発生する恐れがあります(通電火災)。
ブレーカーを落としてから避難してください。

もしもの時、慌てたり不安になってしまうのは避けがたいことですが、訓練や備蓄など、日頃の心がけ次第心構えは変わってくるでしょう。
自分は大丈夫だせから、と過信せず、日々対策しておくことが大事です。


【記事監修】三好 海斗(ひかリノベ両国コーディネーター )

宅地建物取引士、賃貸経営管理士、既存住宅アドバイザーの有資格者。新築・中古・マンション・戸建てと幅広い不動産の仲介を扱ってきた経験をもとに、資産価値の落ちにくい住まい選びを提案している。「中古リノベーションで住居コストを下げることにより、家族旅行や趣味、老後に備える貯蓄などを生み出せる可能性が広がります。住宅ローンを払うために働く生活から、人生をより豊かにするお手伝いをさせていただきます」。


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