【2023年】家を買うタイミング、いつが正解?金利上昇の影響は?

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いつの時代も、マイホームの「買い時」は悩みの尽きないテーマです。

仕事、結婚、出産・子育て、老後など、人生にはさまざまなステージがあり、生活も絶えず変わっていきます。また、高額なものを長期間のローンを組んで買うわけですから、お金のことも考えなくてはいけません。

国際情勢や円安の影響で物価が上昇し、住宅価格も上がり続けている中、家を買っても大丈夫なのか、疑問や不安を持っている方も多いはず。

この記事では、2022年を振り返りながら、2023年の不動産市場に影響を与えそうな世の中の動きを踏まえ、マイホームの買い時について解説します。

2020年10月7日初出→2023年2月24日更新

2023年、家を買うのは大丈夫?

2022年2月に始まったロシアのウクライナに侵攻はまだ終わりが見えず、日本経済にも多大な影響が及んでいます。新型コロナも感染拡大が繰り返されました。住宅市場は経済と密接な関係がありますが、この1年でどのように変化してきたのでしょうか。

住宅価格は上昇が続く? ウクライナ情勢の影響は?

土地や戸建て住宅の価格は横ばいで推移する一方、マンションは大きな値上がりが続いている、というのが、近年の傾向でした。

しかし2020年の後半2021年にかけて、マンションは価格上昇が続く一方、土地(住宅地)や戸建て住宅も価格が上がりつつありました。
2022年になるとウクライナ情勢の影響が加わり、住宅価格はさらなる上昇を見せました。

出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)(令和4年9月分・季節調整値)」  (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001580605.pdf)

出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)(令和4年9月分・季節調整値)」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001580605.pdf

原材料やエネルギーの価格高騰によって、建築資材の価格が高騰した影響で、新築の価格が上昇。不動産経済研究所によれば、2022年、首都圏の新築マンション1戸当たりの平均価格は最高値を更新する6288 万円。

一戸建ても、2022年12月の平均価格は4424万円(東京カンテイ調べ)に。

新築が値上がりすると、中古を選ぶ人も増えるため、中古住宅の価格も上昇しています。首都圏の中古マンション平均価格は、前年比で1割以上の上昇となる4716万円に達しました(東京カンテイ調べ、70㎡換算)

2021年春に起きたウッドショックや、コロナの影響が生産・物流に影響したせいで、住宅価格は上がり続けていましたが、今のウクライナ情勢や、2024年から始まる残業規制が物流に与える影響などを考慮すると、住宅価格が下がる可能性は、当面はほとんどないと考えていいでしょう。

金利上昇の可能性は?

日本銀行はこの2年間、コロナによる経済の落ち込みを防ぐ策として、それ以前から続いていた大規模な金融緩和策を続けてきました。

しかし、世界的に見れば金利は上昇傾向にあります。日銀も、2022年12月20日には長期金利の変動幅の上限を0.5%まで引き上げることを決定しました。

1月17・18日の政策決定会合では、現在の金融緩和策を続けることを決めたものの、住宅ローンも世界的な傾向の影響を受け、2022年以降は金利が上昇傾向にあります。

フラット35の金利は、2022年1月時点で1.300%だったのが、23年1月は1.680%と、1年間で0.3%も上昇。 メガバンクの三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行も、1月から10年固定型住宅ローンの金利を0.2~0.3%引き上げています。

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利の推移」  (https://www.flat35.com/files/400359529.pdf)

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利の推移」
https://www.flat35.com/files/400359529.pdf

固定金利型ローンの金利が上がっているのは、長期金利に連動しているため。今のところ変動金利型は金利上昇の動きは見られませんが、今年4月には日銀の総裁が後退する予定で、現総裁・黒田東彦氏が続けてきた金融緩和策が、一転して引き締めに変わることも考えられます。

そうなれば金利も上昇し、住宅ローン全般で金利が上がっていくでしょう。まだ断言はできませんが、可能性は十分にあると言えるでしょう。

どのタイミングで家を買うのがベスト?

家の買い時を決める要素は、経済・社会情勢と、人生設計やライフステージの2つに大別されます。物件の価格は世の中の景気に大きく左右されますし、金利や消費税の負担も決して小さくはありません。

一方、あなたやご家族のライフステージも刻々と変化していくはず。それによって、必要な住まいのかたちも変わっていくでしょう。

ライフステージに対する社会情勢の影響は、実はそれほど大きくはありません。お金のことばかりを考えていると、あなたやご家族の生活と、住まいのかたちがマッチしない状態が続いてしまうかも。その間、賃貸に住むなら家賃も支払い続けなくてはいけないので、生涯の住居費は増えるばかりです。

家を買うべきタイミングだと感じたら、その時の経済・社会情勢を踏まえつつ、その時にお得だと思える物件を探すのが良いでしょう。

どのタイミングで家を買う人が多いの?

実際のところ、どんな人がいつ、何をきっかけに住宅を購入しているのでしょうか?データから住宅購入のタイミングを探ってみましょう。

ライフステージ

国土交通省の調査によると、一次取得層(初めて住宅を購入する人)の平均年齢は30代が中心。次いで40代が多くなっています。
新築は30代が多く、中古は40代が多いという傾向が見られます。

世帯主の年齢図 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

世帯主の年齢図 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf

30代、40代は、結婚や出産・子育て、子どもの進学など、ライフステージの変化が多い年代です。
そのため、若い世代ほど、「結婚、出産」や「子供や家族のため」といった理由で住宅を購入する割合が高くなっています。

逆に、年代が高くなると「老後の安心のため」が増えています。
年を取ってからのライフステージの変化(子どもが独立し、夫婦2人になるなど)もまた、住宅購入と密接に関係していると言えますね。

住宅取得動機 出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査(2022年4月調査)」(https://www.jhf.go.jp/files/400361301.pdf)

住宅取得動機 出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査(2022年4月調査)」(https://www.jhf.go.jp/files/400361301.pdf

また、最近では、独身のうちにマイホームを購入する人も増えています。特に女性は、住宅の資産的な価値を重視したり、賃貸の家賃を払い続けるのは無駄と考える傾向があり、住まいを持つことで暮らしを安定させたいと考える人が多いようです。

住宅購入を検討した理由 出典:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf)

住宅購入を検討した理由 出典:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf

シングルであっても、仕事、あるいは年齢を重ねることによってライフステージは変化していきます。マイホームは資産、そして生活の基盤として、あなたの生活を支えてくれる存在になるはずです。

独身だと住宅ローンが組みにくい、とも言われますが、実際にはそんなことはありません。シングルで住宅購入を検討されている方は、次の記事もご参照ください。

年齢

年齢は、住宅ローンの返済計画に大きく影響します。

ほとんどの住宅ローンでは、返済期間は最長で35年間。定収入のあるうち、つまり定年の65歳までに完済しようとするなら、遅くとも30代前半までに住宅を購入するのがベターということになります。

住宅ローンを組む際には加入が必要な団信(団体信用生命保険)も、年齢を重ねると、持病などで加入できないリスクが高まります。

ローンの返済だけを考えれば、貯金して頭金を用意してから、と考えるより、早めに購入を決断してしまうほうがベターなケースもあります。

年収

資金計画を考えるときは、年収が大きなポイントになります。住宅ローンの審査では、年収がいくらなのか考慮して、無理なく返済できるように融資する金額を計算しますし、月々の返済額も考えなくてはなりません。

一次取得層の世帯年収はどれぐらいでしょうか。新築の注文住宅だと、一世帯あたりの平均年収は733万円。分譲マンションだと852万円、中古マンションを選んだ世帯だと710万円となっています。

一次取得者 世帯年収 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

一次取得者 世帯年収 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf

ただ、購入する物件の種類やライフイベントは、人によって大きく異なります。そのため、年収から見た買い時を、一概に言うことはかなり困難です。

シングルの方なら、夫婦共働きに比べ世帯年収は少なくなりがちですから、これも額だけでは判断しづらいですよね。

「年間の返済額が年収の25%」が、無理なく返済を続けられる上限と言われているので、これを目安として、資金計画を立てるのが良いかもしれません。実際の返済負担率も、15%から20%の間が一般的です。

住宅ローンの年間返済額 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

住宅ローンの年間返済額 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf

40代以上で住宅購入を検討するなら、住宅ローン控除の恩恵を受けられる物件を選びながらも、一定の頭金を用意する、繰り上げ返済を視野に入れておく、など、返済の負担を軽減することを考慮しておきましょう。

住宅ローンを組むときの注意点については、次の記事でも詳しく特集しています。こちらもぜひ併せてご覧ください。

時期・シーズン

会社員の転勤や異動、子どもの小学校入学シーズンに重なる年度末(1~3月)や、9~10月ごろは不動産取引が活発になる時期です。

より多くの物件が市場に出るので、希望の物件に巡り合いやすい一方、競争相手が多く、すぐに売れてしまう、値引きが期待できない、注文住宅では工事が立て込み工期が延びやすい、などのデメリットも。

ただ、売買の市場では、賃貸住宅ほど需要が大きく変動することは少ないので、そこまで強く意識する必要はないでしょう。

住宅購入、いつから動き始めればいい?

住宅はしばしば「一生に一度の買い物」と言われます。気に入らないからといって、ぽんと買い替えるわけにもいきませんね。十分に時間をかけて、検討してから契約したいものです。

事前の情報収集(物件探し、住宅会社選び)や打ち合わせも、失敗しないためにはある程度の時間をかけて慎重に進めましょう。少なくとも1~2カ月は見ておくべきです。

新築の注文住宅や中古住宅+リノベーションでは、少なくとも設計に1カ月、工事に3~6カ月はかかります。
もちろん工事内容の規模・面積によって変わりますし、資材の納期遅延などが起きれば工事の進捗にも影響が出ることもあり得ます。

合計すると、入居までにかかる時間は半年から1年ほど。建売や分譲マンションなら、もう少し短くて済むかもしれませんが、早めに取り掛かるのに越したことはありません。

中古マンションは市場の影響を受けにくい

マイホームはやっぱり新築がいい、とお考えの方も少なくないでしょう。

もちろん、新しい設備や高い性能、注文住宅なら自由な間取り、といった新築ならではのメリットは魅力的ですが、価格が高い、諸費用以外の支出(マンションの修繕積立基金など)が発生する、建売や分譲マンションは間取りや設備が万人向けで、自分のライフスタイルとのミスマッチが起こりやすい、といった側面もあります。

対して中古住宅は、性能が低い、劣化している、設備が古い、といった問題を抱えていますが、価格が安いのは大きな魅力です。個人間取引なら消費税も非課税に。
デメリットの大部分はリフォーム・リノベーションで解消することができますし、購入費用とリフォーム・リノベーション費用を合わせても、新築と同等以下の金額にすることも可能です。

また、中古でもマンションは市場の影響を受けにくいのも大きな特徴です。

新築は完成直後から価値が下がっていき、築20~25年で底値となります。
翻っていえば、中古マンション(とくに築20年以上の物件)を買うということは、価格が安定した段階で手に入れるということです。将来もし売却することになっても、購入価格と売却価格の差に大きな開きができることはあまりありません。

都市部の、立地の良い物件を手に入れるのにも、中古のほうが有利です。立地の良い物件は資産価値、リセールバリューも高いため、いずれはあなたに利益をもたらしてくれるかもしれません。

その他にも、資産価値に大きく影響すると言われる管理状態も実際に見て確認できたり、管理費や修繕積立金が短期間で値上がりしにくいのも、中古ならではの特徴。不安定な時代だからこそ中古を選ぶ意味は大きくなっているのです。

人生、何があるかわかりません。住宅ローンの返済が暮らしを圧迫するような事態は避けたいものです。まずは将来のライフプランをしっかり立て、不測の事態も考慮しながら、無理なく返済できる資金計画を立てましょう。

そうすれば、おのずと適正な物件価格がわかるはず。

マイホームの買い時は、景気だけではなく、あなたやご家族のライフステージが決める部分も大きいのです。価格推移や金利ばかりを気にするのではなく、正しい知識に基づいて、今の状況で無理なく買える物件を選び、資金計画をしっかり作成すれば、不安になる必要は全くありません。

新築に囚われず、中古住宅を購入してリノベーションをするなど、それ以外の選択肢を考えておくと、より理想の住まいと巡り合える機会が増えるはずです。

おわりに

国際情勢の不安定化、金利政策の転換と、住宅市場の先行きは不透明に。
しかし、人生の中で、住まいを見直すべきタイミングは必ずやってきます。マイホームの買い時は、景気だけではなく、あなたやご家族のライフステージが決める部分も大きいのです。
価格推移や金利ばかりを気にするのではなく、正しい知識に基づいて、今の状況で無理なく買える物件を選び、資金計画をしっかり作成すれば、不安になる必要はありません。

周りに振り回されすぎず、自分にとってのタイミングを見極めながら、じっくりとマイホーム購入と向き合ってください。

当社ひかリノベでは、中古戸建物件・中古マンション物件のご紹介からリノベーションの設計・施工、資金計画やローンのご相談までワンストップでみなさまの住まいづくりをサポートいたします。

記事監修

三浦 英樹(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーの有資格者。中古不動産購入からリノベーションの設計・施工、インテリアコーディネートまでワンストップで理想の住まいを提供する『ひかリノベ』代表。「住宅は立地や景観、環境のよい『場所』で選び、購入と同時にリフォームやリノベーションを施すことで、自分らしい暮らしをリーズナブルに取得することが可能となります。住宅ローンの返済に縛られることのない、豊かなライフプランの実現を、家探し、家づくりを通じてサポートいたします」

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