家を買うタイミング、いつが最適?年齢、年収、ライフステージ

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いつの時代も、マイホームの「買い時」は悩みの尽きないテーマです。

仕事、結婚、出産・子育て、老後など、人生にはさまざまなステージがあり、生活も絶えず変わっていきます。また、多くの人が長期間のローンを組んで高額な商品を買うわけですから、お金のことも考えなくてはいけません。

国際情勢や円安の影響で物価が上昇し、住宅価格も上がり続けているなか「家を買っても大丈夫なのか?」疑問や不安を持っている方も多いはず。

この記事では、住宅購入に関する公的期間の最新データや2023年の不動産市場に影響を与えそうな世の中の動きを踏まえ、家を買うベストなタイミングについて解説します。

(2023/10/20 更新)

データで見る「家を買ったタイミング」

マイホーム購入を決断するタイミングは人それぞれですが、周りの人は「いつ・何をきっかけに」住宅を購入しているのだろう? と悩む人も少なくないのでは。

ここでは、国土交通省や住宅金融支援機構の調査データから、一般的な住宅購入のタイミングを探ってみましょう。

平均年齢

国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、住宅の一次取得者(初めてマイホームを購入する人)の平均年齢は、30代後半~40代前半。

物件種別ごとに見ると、新築は30代が多く、中古は40代が多いという傾向がみられます。

世帯主の年齢図 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

世帯主の年齢図 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf

年齢は、住宅ローンの仕組みとも関係があります。

ほとんどの住宅ローンは、返済期間が最長で35年間となっています。定収入のある期間、つまり定年の65歳までに完済しようとするなら、30代前半までに住宅を購入するのがベターということになります。

金融機関の審査でも、年齢に上限を設けています。多くの銀行では、完済時年齢を80歳としています。
逆算すると、35年ローンを組めるのは40代前半までということになります。ちょうど上述の、住宅一次取得者の平均年齢と一致しますね。

平均年収

年収は、資金計画を考えるうえで重要なポイントです。

住宅ローン審査では年収がいくらなのかを考慮して、無理なく返済していくために融資する金額が決定されます。また、毎月の返済額に無理がないかも考えなくてはなりません。

初めて住宅を購入する一次取得者の世帯年収はどれくらいでしょうか。
先ほどの国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、新築の注文住宅では、一世帯あたりの平均年収は733万円。分譲マンションだと852万円。中古マンションを選んだ世帯だと710万円となっています。

一次取得者 世帯年収 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

一次取得者 世帯年収 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf

住宅ローンの審査では、年収だけでなく、返済額とのバランス(返済比率)がチェックされます。「1年間の返済額(利息含む)が年収の35%以内」としている銀行が多いようです。
ただし、審査では、金利は後々の上昇を見込んで、現実の適用金利よりも高めに設定されています。主要都市銀行では、3~4%として計算している銀行が多いようです。

2023年現在の適用金利は固定金利でも1%台ですから、これをベースにする場合、「1年間の返済額が年収の20~25%以内」として計算すると、銀行の審査基準と似た金額になります。
実際、国交省の調査(令和3年度 住宅市場動向調査報告書)によると、住宅一次取得者の返済負担率は20%以内に収まっています。

住宅ローンの年間返済額 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

住宅ローンの年間返済額 出典:国土交通省「令和3 年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf


居住人数

居住人数は家族構成と関係します。

国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」 によれば、一世帯あたりの平均居住人数は、新築戸建(注文住宅)・新築マンションでは「3人」が最も多いという結果。
中古マンションやリフォーム住宅では「2人」。
分譲戸建・中古戸建では「4人」が最多回答です。

戸建物件は多くが二階建てであり、マンションに比べ床面積が広い傾向。居住人数の多いファミリー世帯ほど、広くて部屋数も多い戸建住宅を選ぶ傾向が、データから伺えます。

1 世帯あたりの平均居住人数 出典:国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

1 世帯あたりの平均居住人数 出典:国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」 (https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf


ライフステージ

30代〜40代は、結婚や出産・子育て、子どもの進学など、ライフステージの変化が多い年代です。国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」では、40代以下ほど「結婚・出産」や「子供や家族のため」といった理由から住宅を購入する割合が高くなっています。

他方、年代が高くなると、「老後の安心のため」という理由での購入が増えます。
直接的な目的は異なるものの、年を重ねてからのライフステージの変化(子どもが独立し、夫婦2人になるなど)もまた、住宅購入と密接に関係しているといえますね。

住宅取得動機 出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査(2022年4月調査)」(https://www.jhf.go.jp/files/400361301.pdf)

住宅取得動機 出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査(2022年4月調査)」(https://www.jhf.go.jp/files/400361301.pdf

近年は、独身でマイホーム購入の選択をすることも珍しいことではなくなりました。
とくに女性は、住宅の資産的な価値を重視したり、賃貸の家賃を払い続けるのは無駄と考えて「持ち家を手にすることで暮らしを安定させたい」と考える人が多いようです。

住宅購入を検討した理由 出典:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf)

住宅購入を検討した理由 出典:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf

シングルの人も、仕事、あるいは年齢を重ねることによってライフステージは変化していきます。マイホームは資産、そして生活の基盤として、あなたの生活を支えてくれる存在になるはずです。

「独身だと住宅ローンが組みにくいのでは」と心配される方もいますが、実際にはそんなことはありません。シングルで住宅購入を検討されている方は、ぜひ次の記事もご参考になさってください。

社会情勢から読み解く「住宅の買い時」

2022年に始まったロシアのウクライナへの侵攻はまだ終わりが見えず、日本経済にも多大な影響が及んでいます。新型コロナウイルスも感染拡大が繰り返されました。

住宅市場は経済と密接な関係がありますが、この一年でどのように変化してきたのでしょうか。

住宅価格の上昇と、ウクライナ情勢の影響

土地や戸建て住宅の価格は横ばいで推移する一方、マンションは大きな値上がりが続いている、というのが近年の傾向でした。

しかし、2020年後半〜2021年にかけて、マンションの価格上昇が続く一方、土地(住宅地)や戸建て住宅も価格が上がっていきました。2022年になるとウクライナ情勢の影響が加わり、住宅価格はさらなる上昇をみせました。

出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)(令和4年9月分・季節調整値)」  (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001580605.pdf)

出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)(令和4年9月分・季節調整値)」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001580605.pdf

原材料やエネルギーの価格高騰によって、建築資材の価格が高騰した影響で、新築の価格が上昇。不動産経済研究所によれば、2022年首都圏の新築マンション1戸当たりの平均価格は最高値を更新する6288 万円でした。一戸建てについても、2022年12月の平均価格は4424万円に(東京カンテイ調べ)。

新築が値上がりすると中古を選ぶ人が増えるため、中古住宅の価格も上昇しています。首都圏の中古マンション平均価格は前年比で1割以上の上昇となる、4716万円に達しました(東京カンテイ調べ、70㎡換算)。

2021年春に起きたウッドショックのほか、コロナ禍が招いた人で不足が生産・物流に影響し、住宅価格は上がり続けています。現在のウクライナ情勢、そして2024年から始まる残業規制が物流に与える影響などを考慮すると、当面は住宅価格が下がる可能性は「ほとんどない」と考えていいでしょう。

金利上昇の可能性は?

日本銀行はこの2年間、コロナによる経済の落ち込みを防ぐ策として、それ以前から続いていた大規模な金融緩和政策を続けてきました。

しかし、世界的に見れば金利は上昇傾向にあります。日銀も、2022年12月20日には長期金利の変動幅の上限を0.5%まで引き上げることを決定しました。

2023年1月の政策決定会合では、現在の金融緩和政策を続けることを決めたものの、住宅ローンも世界的な傾向の影響を受け、金利は上昇傾向にあります。

フラット35の金利は2022年1月時点で1.300%だったのが、23年1月は1.680%と、1年間で0.3%も上昇。メガバンクの三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行も、1月から10年固定型住宅ローンの金利を0.2~0.3%引き上げています。

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利の推移」  (https://www.flat35.com/files/400359529.pdf)

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利の推移」
https://www.flat35.com/files/400359529.pdf

固定金利型ローンの金利が上がっているのは、長期金利に連動しているため。

今のところ変動金利型は金利上昇の動きはみられませんが、4月には日銀総裁の交代がありました。前総裁が続けてきた金融緩和策が、今後一転して引き締めに変わることも考えられます。

そうなれば金利も上昇し、住宅ローン全般で金利は上がっていくでしょう。まだ断言はできませんが、可能性は十分にあるといえます。

住宅ローンと住居費から逆算する「ベストな購入年齢」

不透明な経済・社会情勢、新築・中古のどちらも価格上昇に拍車がかかる不動産市場。購入する動機があるのであれば、早めに購入した方が生涯の住居費が安く抑えられるのは確かです。

一方で、あなたやご家族のライフステージも刻々と変化していくはず。それによって、必要な住まいのかたちも変わっていくでしょう。あなた自身の収支の状況や資金計画から導かれる「あなた自身の買い時」は、どのように見極めれば良いのでしょうか?

多くの人は、マイホーム購入の資金調達に住宅ローンを利用します。
住宅ローンの返済期間は、最長35年です。
前述のとおり、多くの金融機関ではローンを利用できる年齢に上限を設けています。35年ローンを組めるのは、44歳まで。45歳以上になると、返済期間はもっと短くなります。
返済期間が短くなるということは、月々の支払額が増えるということ。ローン返済以外の生活費や教育費との兼ね合いも考慮する必要が出てくるでしょう。

また年齢だけでなく、住宅ローンの審査では健康状態もチェックされます。
多くの金融機関では、融資条件として団体信用生命保険への加入が義務付けられています。加入したいタイミングで健康面に問題があると、団信には加入することができません。健康不安が原因で住宅ローンが組めない場合もあるのます。

こうした観点からいえば、住宅ローンを組むのは健康で若いうちのほうが有利といえるでしょう。

住宅購入に悩み続けて賃貸に住んでいる間も、家賃の支払いは発生します。賃貸に住んでいる時間が長ければ長いほど、生涯の住居費は増えることになります。
住宅ローンは家賃と違い、完済というゴールがあります。完済すれば土地や建物が自分の資産として手元に残り、将来的に住み替えの必要ができたときは売却して現金化することも可能です。

まとめ

国際情勢の不安定化や金利政策の転換など、住宅市場の行き先は不透明です。

しかし、人生の中で住まいを見直すべきタイミングは必ずやってきます。マイホームの買い時は景気だけではなく、あなたやご家族のライフステージが決める部分も大きいのです。

価格推移や金利ばかりを気にするのではなく、正しい知識に基づいて、今の状況で無理なく買える物件を選び、資金計画をしっかり作成すれば費用に関して不安になる必要はありません。周囲の状況に振り回されすぎず、自分にとって良きタイミングを見極めながら、じっくりとマイホーム購入と向き合ってください。

当社ひかリノベでは、中古不動産の仲介からリノベーションまで、ワンストップでご提供しています。適正な予算がわからない、マイホーム検討を機に人生全体のファイナンシャルプランを見直したいなど、資金計画のご相談からサポートいたします。「そろそろマイホームを考えているけれどお金の不安が……」という方も、お気軽にご相談ください。

記事監修

三浦 英樹(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーの有資格者。中古不動産購入からリノベーションの設計・施工、インテリアコーディネートまでワンストップで理想の住まいを提供する『ひかリノベ』代表。「住宅は立地や景観、環境のよい『場所』で選び、購入と同時にリフォームやリノベーションを施すことで、自分らしい暮らしをリーズナブルに取得することが可能となります。住宅ローンの返済に縛られることのない、豊かなライフプランの実現を、家探し、家づくりを通じてサポートいたします」

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