修繕積立金、管理費……マンション購入後の支出も忘れずに


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今では住宅の購入費用を、住宅ローンでまかなう人がほとんどなので、毎月一定額、ローンを返済していかなくてはならないことはわざわざ述べるまでもないでしょう。
ですが、マンションの場合、ローンの返済以外にも月々の支出があることを忘れてはいけません。それが「修繕積立金」や「管理費」です。

修繕積立金も、管理費も、快適なマンションライフを送るためには不可欠なもの。さらに、マンションの住民全員が負担するものですから、自分だけ払わない、というわけにはいきません。

一方、初めてマンションを購入して住むという方は、その存在を意外と忘れがちでもあります。ローンの返済額だけに気を取られ、月々の出費が思ったより高額になってしまう可能性も。

購入後、そんな事態に陥って慌てないよう、ローン返済以外の支出についてちゃんと知っておきましょう。

修繕積立金って?管理費との違いは?

まず、マンションでの暮らしには必ずかかる「修繕積立金」と「管理費」の基本から説明しましょう。

修繕積立金は、その名の通り「修繕」、つまり建物の傷みや壊れたところを補修するために貯めておくお金のことです。

どんな建物でも、住み続けるうちに傷んでいきますが、マンションの場合、建物そのものはもちろん、エレベーター、廊下などの共用部分もあります。
共用部を直すとなれば、使っている住民全体の負担で直すのが筋ですよね。

大規模修繕における部位別の費用の割合

国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」大規模修繕における部位別の費用の割合

出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf

マンションの寿命は、長いもので100年とも言われます。それだけ長い期間住まいとしての役割をきちんと果たすためには、マンション全体を定期的に点検し、不具合を補修していくことが欠かせません。

安全で、快適に生活するために必要な修繕費用を、住民から毎月集め、貯めておく。それが修繕積立金の役割なのです。

管理費は日常のため、修繕積立金は将来のため

もうひとつ必要な出費が「管理費」です。賃貸住宅で家賃とは別に管理費が設定されている物件も多いので、言葉としてはより馴染みがあるかもしれません。

管理費は、主に共用部の維持管理に必要な費用をまかなうためのもの
みなさんが支払う管理費は、設備の点検や共用部の掃除、光熱費、管理人の人件費などに充てられます。どれも、日々の暮らしに必要なものであることがおわかりでしょうか。

修繕積立金は、今すぐ必要、というわけではないけど、いずれは必要になる大規模修繕のためのものです。
しかも、高額なので将来のために積み立てておく必要があります。

管理費は日常的にかかる費用の負担、修繕積立金は将来に備えるためのお金、と覚えておくとわかりやすいでしょう。

積立金はどう決まる?いくらが相場?

毎月の修繕積立金の徴収額は、長期修繕計画や部屋(専有部)の広さ、マンションの古さ(築年数)など、さまざまな要素に左右されます。

通常、マンションの管理組合は、マンション全体の点検や修繕工事(大規模修繕)を行う時期や内容の予定を立てます。これが長期修繕計画です。
いつ(12年や15年周期が多い)、どんな工事を行うか、そのためにはいつまでにいくら用意する必要があるかを算出して、修繕積立金の額は決められます。

国土交通省は2011年4月、マンションでの良好な居住環境の確保と、資産価値の維持に必要な修繕費用を確実に積み立ててもらうため、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を策定しました。

同ガイドラインでは、「長期修繕計画作成ガイドライン」(国土交通省、2008年6月策定)にそって作成されたマンションの長期修繕計画の事例84事例を分析したうえで、修繕積立金の目安を次のように示しました。

修繕積立金の額の目安=専有床面積当たりの修繕積立金の額 × 専有床面積(㎡)

※機械式駐車場のあるマンションは「機械式駐車場がある場合の加算額」をプラス

「専有床面積当たりの修繕積立金の額」は、次の表を参照してください。 

国土交通省「『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の概要」専有床面積当たりの修繕積立金の額

出典:国土交通省「『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の概要」(http://www.mlit.go.jp/common/000141884.pdf

この式をもとに試算してみると、「10階建てで延べ床面積が8000㎡のマンションの、専有床面積80㎡の住宅」の修繕積立金の一月あたりの額は、

目安の平均値:80㎡×202円/㎡・月=1万6160 円

目安の幅:80㎡×140円/㎡・月=1万1200円~80㎡×265 円/㎡・月=2万1200円

となります。

計算式に「占有床面積」が入っていることも要注意ポイント。区分所有している、つまり部屋の面積が広いほど、月々の徴収額も高くなるわけです。

戸数も積立金の額に影響する要素で、50戸以下の小規模マンションは、一戸あたりの負担額は高めに設定されています。これは修繕に必要な金額を分担できる戸数が少ないため、つまりスケールメリットが小さいためです。
一方で、50戸を超えると、戸数の多いマンションほど高額になります。戸数が多いマンションは規模も大きくなりますから、当然と言えば当然ですが、覚えておきたいポイントです。

マンションの住戸数 1戸あたりの修繕積立金の額の平均(円)
20戸以下 14,722
21~30戸 11,416
31~50戸 12,028
51~75戸 9,850
76~100戸 10,872
101~150戸 10,058
151~200戸 10,526
201~300戸 10,467
301~500戸 13,566
501戸以上 11,967

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」(http://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf

そのほか、都心部など地価の高いところに立地しているマンションも、高めに設定されることが多いようです。

積立金は値上げ前提で考える

修繕積立金の額は、一度決まったらずっと変わらないわけではありません。値上がりしていくケースのほうが多いのです。

国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」の結果では、2018年度の平均額は1万1243円となっています。

国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」修繕積立金の平均額

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」(http://www.mlit.go.jp/common/001287570.pdf

まず、築年数による金額の差を見てみましょう。
完成年次が遅い(=築年数が浅い)マンションほど1月あたりの徴収額は小さくなり、2010年以降に完成したマンションは8351円と、全体の平均よりも約3000円ほど安くなっています。

一方、昭和54年以前に建てられたマンションは、全体平均を上回る額になっています。

国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」築年数別・修繕積立金の平均額

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」(http://www.mlit.go.jp/common/001287570.pdf

このデータからは、築年数が経過していくほど積立金の額も高くなっていく傾向が読み取れます。
つまり、築年数が経過した中古マンションは、新築よりも修繕積立金、管理費ともに高く設定されていることが多いと言えるでしょう。

また、修繕に必要な資材や、工事をする人材の人件費も、修繕費に少なからず影響する要素です。
現在は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、建設需要が増加し、建設費用が高騰していると言われています。では、オリ・パラ後はもとの水準に戻るのかというと、少子高齢化による慢性的な人手不足や、地震や水害といった自然災害の復興重要により、このまま高止まりする可能性が高いと見られています。

当初の設定に問題ありなことも

かつて、新築のマンションで問題になったのが、修繕積立金の当初月額を、極端に低く設定している事業者が少なくなかったことです。

積立金を低く設定すれば、それだけ月々の負担が減るので、購入者にとっては負担が小さくなるように思えます。
ですが、設定額を低くしすぎたために、十分な額が積み立てられず、修繕費用が足りなくなるマンションが続出。2008年度のマンション総合調査の結果では、2割以上のマンションで積立金だけでは修繕費用がまかなえず、一時金を集めたり、金融機関からお金を借りたりするはめになったそうです。

中には、数年後に高額な値上げを行うことを前提にしていた、というケースもあったようです。

積み立て方の違いに注意

修繕積立金の積み立て方は、計画期間中は均等に積み立てていく「均等積立方式」、当初の積立額を抑え、その後は段階的に値上げしていく「段階増額積立方式」の2通りがあります。

国土交通省「『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の概要」均等積立方式と段階増額積立方式

出典:国土交通省「『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の概要」(http://www.mlit.go.jp/common/000141884.pdf

国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の中で、段階増額積立方式は、合意形成の面から計画通りの増額が難しいため、安定的に修繕費用を確保するためには均等積立方式が望ましいとしています。

購入時に提示されている修繕積立金の額を見て「安いからここにしよう」と決めることは、あまりおすすめできません。極端に安かったり、高い額になっていないか、前述の計算式や、周辺のマンションの設定金額などを見ながら、慎重に判断してください。

特に、段階増額積立方式の場合は、将来も無理なく支払っていけるのかを見極めることが大切です。

修繕積立金も資金計画に組み込もう

みなさんが住宅ローンを利用して住宅を購入しようとするときは、ご自身(または世帯)の収入をもとに、いくらなら返済していけるかを考えながら予算を決め、購入する住宅を選ぶのではないでしょうか。
もちろんこれは正しい行為なのですが、ここで修繕積立金や管理費のことを考えないと、あなたの資金計画は狂ってしまうでしょう。

住宅ローンだって、金利が上昇して返済総額が変わる可能性もあります。しかし、住宅ローンは借り換えという選択肢があります。
しかし修繕積立金や管理費は、そのマンションに住み続ける限り支払っていかなくてはいけません。
みなさんがちゃんと修繕費を積み立てたり、管理費を支払わなければ、十分な修繕や管理がなされず、資産価値が低下したり、安全に暮らせない恐れも出てくるでしょう。

一方、修繕積立金や管理費に家計が圧迫されることも避けたいもの。
車があれば駐車場代もかかりますし、子どもの教育費も必要です。病気やけがで医療費が予想外にかかることだってあるでしょう。

念願のマイホームを手に入れたはいいけど、暮らしにちっともゆとりがない――そんな状況は誰だって嫌ですよね。
安心してマンションを買い、住んでいくためにも、修繕積立金や管理費のことを考えた資金計画を立てましょう。

 

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【執筆】荒井 隆大(ライター)
【監修】柴田 朝子 (宅地建物取引士)

 

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