古いマンションをリノベーションする場合に注意したいこと


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現在、築30年~40年ほどの古いマンションをリノベーションするケースが多く見られます。
一方で建物の老朽化や建て替え問題など、多くの心配事があるのも事実。
この記事ではそうした不安を解決するために、築古物件を選ぶ際に注意すべき点や、リノベーションする際のポイントを解説します。

※ 「古いマンション」と一口にいっても、定義はさまざまな意見がありますが、この記事では新耐震基準以前、つまり1981年以前旧耐震基準で建てられたマンションについて解説します。

2016年7月2日初出→2019年7月23日更新

古いマンションを選ぶメリット~価格、資産価値、立地

古いマンションを選ぶメリットは、まず何と言っても価格が安価であること。
建物の価格は新築されたときがもっとも高く、その後は築年数の経過とともに下落していきます。
マンションの場合、築20年ほどでほぼ底値となり、新築時の半額ほどになります。
同じエリア、同じグレードのマンションでも、新築と築20年以上の中古では、倍ほどの価格差があるのです。

東日本レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場

参照:東日本レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_201902.pdf

古いマンションは購入時にすでに価格が下げ止まりしているので、将来もし売却することになったときに、損をしにくいのも特長です。
また、現在は都市の中心部や、駅周辺はたいてい商業ビルや住宅で埋まっていて、マンションを新たに建てられる土地はほとんどありません。
しかし古いマンションは、土地が潤沢にあったころに建てられているわけですから、立地の良い物件が多いのです。交通インフラが充実していたり、地盤が良い場所に建っていたりする物件が目立ちます。
立地の良いマンションは需要が高いため、売却条件も良い傾向があり、この点も「築古物件は資産価値が安定している」という根拠になっています。

古いマンションのデメリット~仕様の古さと老朽化

一方で古い建物は、現代のライフスタイルとは異なる価値観に基づいて設計されているため、いまを生きる私たちの生活にはそぐわない部分もあります。
たとえば天井の高さが、現在のマンションの平均的な天井高は2.4メートルですが、それよりもずっと低かったり、室内に大きな梁(はり)が見えていたりと、圧迫感がある。遮音性や断熱性が不充分である――といった問題です。

耐震性についても、現行の耐震基準を満たしているとは限りません。
地震の多い日本では、建築基準法によって、すべての建物に一定の耐震基準を満たすことが義務付けられていますが、この耐震基準は時代の変化とともに更新されてきました。
現在は震度6~7でも倒壊しない「新耐震基準」が適用されていますが、1981年以前は震度5程度の地震を想定した「旧耐震基準」が適用されていました。

また、建物や設備の老朽化も心配ですね。躯体が弱り、バルコニーや壁の一部が崩落した、というニュースを聞いたことのある方も多いでしょう。
それほど重大なケースは、そう頻繁にはありませんが、配管の経年劣化によって赤錆が出たり、水漏れしたりという場合も考えられます。

しかし、これらを理由に「だから、古いマンションは買うべきではない」と結論づけるのは、まだ早急です。

専有部分、つまり住戸の中の問題は、リフォームやリノベーションによって解決できます。天井の仕上げを変えて天井高を上げる、防音リフォームや断熱リフォームを行うなど。

他方、共有部分は個人で勝手にリフォームすることはできません。躯体に手を加えたり、外壁を塗り替えるなどの工事は、認められないのです。
躯体や基礎の老朽化、共用設備の故障などは個人で解決することが難しいため、物件選びの段階で問題がないかどうか、しっかりとチェックする必要があります。
翻って言えば、購入前に建物の管理状態を確認することで、「買ってはいけない物件」を回避することができるということです。

耐震性についても同じことがいえます。
古い建物の中にも、新耐震基準並み、あるいはそれ以上に堅牢につくられた建物は存在しています。耐震基準適合証明といって、耐震診断を受けて「新耐震並みである」と認められているマンションもあります。

とはいえ地震による倒壊のおそれは、建物構造だけでなく立地条件の影響も大きく、一概に「新耐震だから安心、旧耐震だから危険」と言い切れるものではありません。
ハザードマップも併せて確認し、地域の安全性も調べた上で、住むエリアを決定することをおすすめします。

マンションの寿命と建て替え問題

そもそも、マンションはいつまで住めるのでしょうか。

RC造マンションの法定耐用年数は47年です。しかし、これは不動産収入に課せられる所得税の課税額を計算するための概念ですから、実際の建物の寿命とは異なります。
では、実際の建物の寿命はどうかというと、コンクリート建築の歴史がまだ浅いため、諸説あり、一口には言えないのが現状です。
欧米では100年以上、現役の住宅として住まわれている石造りの建物も珍しくありません。
しかし日本とは気候風土が異なるため、同じに考えて良いのか、という疑問も残ります。

国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書(http://www.mlit.go.jp/common/001014514.pdf)によると、RC造の住宅の平均寿命は68年。
一方、東京カンテイの調査(https://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/80TR_life%20span.pdf)では、これまでに建て替えられたマンションの平均築年数は33.4年という結果が出ています。

マンションの建て替えが検討される要因としては、建物の老朽化はもちろんですが、エレベーターがないマンションで居住者の高齢化が進み、生活利便性を著しく損ねているとか、あるいは耐震性の問題から、建て替えが求められた例もあります。

しかし、国土交通省の平成28年の調査(http://www.mlit.go.jp/common/001081473.pdf)によると、建て替え準備中と建て替え中のマンションは合わせて252件ほど。
建て替えが実行されるには高いハードルがあり、「建て替えの必要があるのに、住民の反対などによって議論が進まないマンション」も増えてきており、社会問題となっています。

概してそういうマンションは、日々のメンテナンスも適切に行われていない場合が多いようです。
建物の外壁は紫外線や風雨のダメージを受けます。給排水配管の寿命は25~30年ほど。エレベーターや貯水設備も、定期的な保守点検が欠かせません。
こうした修繕を管理組合がきちんと行っているか、管理状態をチェックすることが、古いマンションを購入するとき非常に重要になってきます。

管理状態は修繕履歴と修繕積立金で分かる

管理状態を確かめる指針となるのが、これまでに行われた大規模修繕の履歴と、今後の修繕計画、そして修繕資金の積立金額です。

国土交通省では「長期修繕計画ガイドライン」(https://www.mlit.go.jp/common/001172737.pdf)を策定し、全国のマンション管理組合に対し、25年先までの修繕計画を立てることを推奨するとともに、築年数に応じた標準的な修繕の内容を示しています。
しかし古いマンションの中には、いまだ修繕計画をもっていなかったり、計画はあっても内容が不適切である、といった場合も見られます。
過去の修繕履歴を記録していないケースもあり、こうした物件は管理の実態が見えづらいため、より慎重に検討する必要があります。

また計画どおりに修繕を行うためには、充分な資金が必要です。
マンション購入者は、毎月管理費と修繕積立金を管理組合に収める義務がありますが、この修繕積立金が、建物の修繕費用に充てられます。
一回の大規模修繕に必要な金額は、一戸あたり100万~120万円です。
したがって100万~120万円×総戸数相当の積立があれば、安心して大規模修繕を迎えられるということになります。

大規模修繕の周期は、先程のガイドラインによると12年ごとが目安。
次回の大規模修繕の予定から逆算して、充分な積立がなされているか?
そして、修繕積立金の滞納状況も、併せて確認しておきたいところです。
修繕積立金の滞納が重なれば、修繕資金も不足しますし、長期にわたる滞納が多数発生しているマンションは、管理体制にもやや不安が残ります。

ひかリノベでは、経験豊富な中古住宅コーディネーターが管理状態を調査し、安心・安全な物件をご紹介しています。
また疑問や不安に思うことがあれば、コーディネーターが調査いたしますので、何でもお気軽にご相談下さいね。

リノベーション向き物件と、そうでない物件

古いマンションは、リノベーションにおいても制限がある場合がしばしばあります。

最近のマンションは柱で建物構造を支える「ラーメン構造」がメジャーですが、古いマンションや、低層マンション(5階以下)では、壁で支える「壁式構造」の物件も多くあります。
その場合は、壁を自由に壊せないため、間取りの変更に制限があります。
既存の間取りから大きく変える必要がない、あるいは構造壁(壊せない壁)の位置が希望の間取りに影響を与えない場合は問題になることはありませんが、抜本的に間取りを見直す予定の方は注意が必要です。

壁式構造とラーメン構造

壁式構造とラーメン構造

また、電気とガスの容量も確認が必須です。
築古物件は電気容量が30アンペアしかないケースもあり、電気製品を一度に多く使用するとブレーカーが落ちてしまいます。この場合キッチンのガスコンロをIHヒーターにしたり、エアコンの容量を大きくしたりすることは困難です。
同様にガスについても、ガス管の太さの関係で、10号程度のガス給湯器しか設置できず、追い焚き機能つき給湯器を設置できない場合があります。

物件を購入してから希望どおりのリノベーションができないと発覚する――そんな事態を避けるため、ひかリノベでは、まずリノベーションの希望をヒアリングし、プランに合った物件を探していく、という形をとっています。

古いマンションは価格がリーズナブルである分、リノベーションにコストを集中できるという利点があります。
リノベーションにこだわりがある方ほど、良質な築古物件という選択肢があることを、考えてみていただきたいのです。

 

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【執筆】堀田 隆大(ライター)
【監修】柴田 朝子 (宅地建物取引士)

 

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