リノベーションを前提に中古マンションを探している方も多いと思いますが、「リノベーション向き」物件の条件は、どんなものかわかりますか?
リノベは確かに、理想の住まいをつくる手段ではあるのですが、実はすべてを自由にできるわけではなく、“できないこと”もあるのです。
マンションの構造上できないこともありますし、管理規約でこういう工事はダメ、と決められていることもあります。
あなたの希望通りのリノベができるのか、きちんとチェックして物件を選択しないと、いざリノベというときに「こんなはずじゃなかった…」となりかねません。
「リノベーション向き」のマンションを見分けるには、できないことを事前に確認することが大事。具体的な選び方のポイントを見ていきましょう。
2016月1月14初出→2020年1月30日更新
目次
壊せない「構造壁」があるか
希望通りのリノベを実現し、理想の住まいをつくるために、まずチェックすべきポイントはマンションの「構造」です。
マンションの構造は、壁式構造とラーメン構造に大別されます。
壁式構造(下図左)はその名の通り、壁で建物を構成するつくり方。ラーメン構造(下図右)は、柱と梁を組み合わせた骨組で、建物を構成するつくり方です。
ラーメン構造は、室内に柱型・梁型が出てくるものの、基本的に壁がなくても成り立つので、間仕切り壁を移動させたり、ワンルームのような空間にすることも容易にできます。
一方、壁式構造は、壁で建物の力を支えているので、間取りが壁の位置に左右されてしまいがちになります。
通常、6階建て以上の高層マンションにはラーメン構造が採用されるのに対し、5階建て以下の中低層マンションは、壁式構造で建てられることが多いです。
古いマンションは、部屋が細かく区切られている物件も多く、間取り変更はリノベの中でも重要な要素。
特に、壁式構造の物件を選ぶなら、好みの間取りが実現できるかどうか、購入する前にリノベーション会社とよく相談する必要があります。
(※通常の不動産会社では、工事や建物の設計については詳しくない場合がほとんどです。そのため不動産会社ではなく、リノベーション会社に確認する必要があるのです)
配管経路を確認しよう
水まわりの配管も、間取りの変更に大きく影響します。
現在主流になっているのは、床スラブ上配管という方式。室内の床と、床スラブ(躯体のコンクリート)の間に配管を通しており、配管に傾斜をつけたりすれば、位置を変えることができます。
しかし、古いマンションでは床スラブに配管を通し、下の会の天井裏から排水管に接続する床スラブ貫通配管となっている物件が、時折見受けられます。
この場合、配管の移動は不可能ですし、配管のメンテナンスに支障をきたすこともあります。
見た目ではとてもわかりにくいので、こちらも壁と同様、リノベ会社に判断をあおぐ必要があります。配管の位置によって、キッチンや浴室の位置が変えられない可能性があることだけは覚えておきましょう。
各住戸に上下水道やガス管を通すためのパイプスペースも、どこにあるかは要注意。
部屋の端にあればリノベーションに制約は出にくいですが、部屋の真ん中にある物件もあります。
耐震改修は個人では不可能
マンションで個人(区分所有者)がリノベーションできるのは専有部、つまり自分の部屋の中だけ。共用部分の維持管理や修繕は、管理組合が行います。
(ちなみに、窓やバルコニー、玄関のドアも共有部分に分類されるので、個人での改修はNGです)
地震の多い日本では、耐震性も気になるところですが、マンションの耐震改修は、個人では不可能です。
耐震基準は、1981(昭和56)年6月1日の建築基準法改正後、いわゆる新耐震基準となり、それより前は旧耐震基準として区別されます。
その物件が、1981年6月1日以降に建築確認を受けていれば新耐震です。
ただ、1982年ごろに完成した物件だと、旧耐震基準で設計されている可能性もあります。通常、建築確認日は広告等で公開されていないことが多いので、その場合は不動産会社に確認を。
旧耐震時代の建物でも、耐震診断を受けて十分な耐震性があると確認されていたり、耐震改修済みの物件もあります。
また、住宅の耐震性は耐震基準だけで図れるものではありません。たとえ新耐震であっても、地盤の弱いエリアでは、リスクが高まることも。
建物以外の部分にも目を向けて、ハザードマップを確認してみましょう。
各自治体のハザードマップでは、地震のほか水害や土砂災害のリスクも確認できます。自然災害は地震に限りませんから、そちらも併せて確認しましょう。
管理規約による制約
マンションでは、住民のみなさんが快適に過ごせる環境をつくるため、管理規約が定められています。リフォーム・リノベーションについても、一定のルールがあるマンションがほとんどです。
独自のルールがあるマンションも少なくはなく、「フローリングへの変更」や「水まわり設備の移動」、「配管の交換」を禁じている例も。
あるいは、工事はできるけど、建材の種類や色が細かく指定されていたり、工事業者も管理組合指定の業者でなくてはNG、というケースもあるそうです。
理想のリノベーションができるか、購入を決める前に不動産会社に言って、管理規約を見せてもらいましょう。
また、いつどんな工事をするのか、あらかじめ管理組合に申請して許可を受ける必要があるのも、マンションリノベーションならではの注意点です。勝手に工事を始めると、工事の差し止めや原状回復を求められる可能性もあります。
(※ひかリノベでは、こうした工事前の申請手続きもフルサポートいたしますので、お客さま自身が管理組合にコンタクトをとる必要は、基本的にありません)
維持管理は適切か
耐震改修の項目でも触れた通り、躯体を含む共用部分の管理や修繕は、管理組合の役割。管理組合の意識によって、管理の状況にも差が出てきます。
そこで暮らすことを考えれば、共用部が汚かったり、傷みっぱなしのマンションよりは、きちんと管理されているマンションのほうが安心ですよね。
マンションの管理状況は、内見時、次のようなポイントを実際に目で見て判断しましょう。
- 外壁のひび割れやはがれ
- バルコニーの亀裂、手すり等の錆
- 屋上の水たまりや、防水のふくらみ
- エントランスや階段の清掃状況
- 駐輪場、駐車場、ゴミ置き場の清掃状況
- その他共有部分にある、壊れたり劣化したままになっているもの
あわせて、長期修繕計画もチェックしておきたいもの。国土交通省のガイドラインでは、(中古マンションの場合)25年後までの計画を立てておくように推奨されています。
またこれまでの修繕履歴も、同時に確認したいものです。これまでに適切な修繕を行っているかを確認できますし、きちんと記録を残しているということ自体、管理に対する意識があるマンションだという指標にもなります。
修繕計画や履歴は管理規約と同様、不動産会社に手配を依頼しましょう。
「お買い得」なリノベ向き物件
実際に購入するとなれば、やっぱり価格も気になりますよね。リノベするなら、その費用も見込んでおかなくてはいけません。
最後に、お買い得な物件選びのポイントを2つ、ご紹介しましょう。
築年数は20年以上
ひとつめのポイントは築年数。具体的には、築20年が目安となります。
理由は「資産価値」にあります。
新築や築浅物件は需要も多く、高値で売り出されますが、築20年が経過するまでは、短期間で資産価値が大きく下落していきます。
3000万円で購入したのに、数年後には2500万円の価値しかなくなってしまうことも珍しくはありません。
しかし、20年を過ぎると、その後時間が経過しても大きく価格が変動することは少なくなります。
下のグラフを見てください。新築から5年で一気に価格が下落し、一方で20年を過ぎると価格変動が緩やかになっていくのがわかりますね。
価格が安定していれば、将来売却するとしても、購入価格に近い値段で売ることも可能です。
リフォーム・リノベーション前の物件
中古マンション中には、売り出す前にリフォーム・リノベーションを行っている物件があります。
当然ですが、その費用は物件価格に反映されます。
買ってそのまま住むなら、高くてもきれいにリフォームされている方がいいかもしれません。
しかし、リノベーションする前提なら、割高な物件となってしまいますよね。リフォーム・リノベーション前の物件のほうが、リノベ向きのお買い得物件だと言えるのです。
おわりに
「リノベ向き」物件のポイントは多く、専門的な知見がないと見分けにくいことも少なくありません。自分で検索して物件を見て回り、購入が決まったらさらにリノベーション会社を見つけるとなると、労力も時間もかかります。
ですが、ひかリノベなら心配はご無用。物件探しから設計、施工まで自社で管理しており、設計担当や現場監督も一丸となって、あなたの住まい探しをサポートします。迷ったら一度、ご相談ください。
当社ひかリノベは、オーダーメイドのリノベーションと中古マンション・中古戸建の売買仲介サービスをご提供しています。
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