戸建てのフルリフォーム、費用はいくら?間取りは変えられる?

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事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0072/

戸建て住宅のフルリフォーム(全面リフォーム)を検討する人が増えています。

しかし、大掛かりな工事になるうえ、内容が多種多様なため費用感が掴みにくく迷っている方もいるのでは?
そもそも、フルリフォームで自分の希望通りの住まいがつくれるのでしょうか。

この記事では、戸建て住宅のフルリフォームについて、費用を中心に説明します。
建て替えとリフォームで迷っている方、中古住宅を買ってリフォームしようと考えている方はぜひご一読ください。

2022.08.23初出⇒2023.1.30更新

戸建てフルリフォームの費用

フルリフォーム(全面リフォーム、フルリノベーション)という言葉に厳密な定義はありませんが、一般的には構造躯体(基礎や柱、梁など)は残し、内装や外壁をそっくり作り替える大規模な改修のことを指します。

内装の改修+水回り設備の交換というケースから、スケルトンリフォーム(内外装を解体して躯体の補修・補強なども行う)まで工事する部分の範囲・リフォーム内容はさまざま。

費用もどんな工事をするか、あるいは物件の規模で大きく変わります。
大まかな費用相場としては、延床面積30坪の二階建て木造住宅の場合、

  • 内装・設備の全面改修:800万~
  • 間取り変更を含むスケルトンリフォーム:1500万~
  • 外壁の塗り替えも行う場合:2,000万円~
  • 耐震・断熱も行う場合:2,500万円~
工事内容
※30坪/二階建て木造住宅を想定
予算
800万円 1,500万円~ 2,000万円~ 2,500万円~
水まわり設備の取り換え
内装(床、壁、天井)の一新
間取り変更
外装材(外壁、屋根)の更新 ×
窓サッシ入れ替え × ×
外構(門扉、塀)の更新 × ×
耐震補強、断熱工事 × × ×

データ出典:SUVACO『予算別 リノベーションでできること』 

スケルトンリフォームとなると新築に近い価格になりますが、SUUMOの「2022年 注文住宅動向・トレンド調査」によれば、新築の建築費用(土地代除く)は平均3,153万円。
既に土地・建物を所有している方なら、建て替えよりもかなり費用を抑えることだって可能です。

戸建てリフォームでローンは使える?

小規模なリフォームなら手持ちの現金で、というパターンも考えられますが、高額なフルリフォームとなるとローンを組む必要も出てくるでしょう。

リフォームの場合、リフォームローンと住宅ローンが利用できます。

リフォームローンは、その名の通りリフォーム資金を借り入れるためのローンで、多くの金融機関では借入限度額が1000万円程度、返済期間は10~15年となっています。
住宅ローンに比べ金利は高め(1.3~3%)ですが、審査はあまり厳しくなく、ローンを組みやすいという特徴があります。

住宅ローンは、本来新築・購入資金を借り入れるためのものですが、リフォームでも利用可能な商品も少なくありません。
厳しい審査を受け、団体信用生命保険(団信)に加入する必要がありますが、低い金利と返済期間の長さ(30年~35年)がメリット。住宅ローン控除が受けられるのも大きなポイントです。
中古住宅を購入してリフォームする人向けに、購入資金とリフォーム資金をまとめて借りられる一体型ローンも増えています。

戸建てリフォームで補助金は使える?

戸建てのフルリフォームでは、複数の補助金が用意されています。

補助額が100万円以上の事業も増えています。工事内容が対象条件に合致している場合は、積極的に利用を検討してみましょう。

国の制度としては、以下のようなものが挙げられます(2022年度時点)。

※2022年12月時点の情報です。利用時には最新の情報を確認してください

また、自治体レベルでも補助・助成を実施しているところも。耐震診断・改修の補助・助成制度は多数の自治体で設けられています。

ひかリノベの戸建てフルリフォーム事例

戸建てのフルリフォームでは、実際にどんなことができるのでしょうか。
当社ひかリノベの施工事例を紹介します。

2階リビングで明るく開放的に

  • エリア:埼玉
  • 専有面積:115.09㎡
  • 築年数:2001年6月(リフォーム施工時点で築20年)
  • 費用:約1,200万円(税抜)

2階にLDKを配した戸建リフォーム事例。梁見せ構造の高い天井、二面の天窓を通じ空からの光がさんさんと降り注ぐ、明るく開放的なリビングが特長です。
もともと二階リビングではあったこちらの物件ですが、明るさと開放感をより生かすため、天窓をくもりガラスからクリアガラスに変更しています。梁にはナラ材の木板を巻き、明るくナチュラルな印象に。
ガラス扉の向こうはサンルーム。ガラス扉は引き違い戸ですが二枚とも袖壁の中に納まるよう計画し、戸を開け放つとリビングとサンルームがひと繋がりの大空間に。
サンルームの奥は洗面室に直結しており、ランドリールームとしても使えます。

構造上欠かせない柱と梁をデザインに取り込む

  • エリア:千葉
  • 専有面積:98.67㎡
  • 築年数:1987年3月(リフォーム施工時点で築34年)
  • 費用:約1,600万円(税抜)

和室と洋室、廊下を集約して広々としたLDKをつくりました。
白いクロスで仕上げた柱と筋かいのあるところが、もともと壁があったところ。壁のなかに構造上欠かせない柱と梁が隠れていましたが、残った柱を梁をデザインとして取り込みました。
キッチンもLDKに合わせて移設し、対面式に。もともとキッチンのあった空間は、パントリーと作業室に。

リビングを1階から2階へ。断熱リフォームで通年快適に

  • エリア:東京23区内
  • 専有面積:95.57㎡
  • 築年数:1996年7月(リフォーム施工時点で築23年)
  • 費用:約2,400万円(税抜)

リビングを1階から2階へ移動。天井にはロフトを新設。「ふところ」と呼ばれる外からの熱を遮断するスペースを取り払うことで、空間が縦に広がりました。
ただこの「ふところ」を取り払ってしまうと、外の熱が直に部屋を照り付け、このままでは夏はサウナ状態になってしまいます。
そこで徹底したのが断熱対策です。外壁面と屋根の内側双方に断熱材を施工。断熱性能としては最高評価の「4」を実現しました。
さらに床暖房を取り入れ、冬も暖かく過ごせるようになりました。季節問わず快適に過ごせる上に、見上げるほどの高さにある天窓からの光が、柔らかく差し込む明るく開放的な空間に。

事前の構造調査と防水・断熱リフォームで安心と快適を

  • エリア:神奈川
  • 専有面積:85.15㎡
  • 築年数:2002年6月(リフォーム施工時点で築17年)
  • 費用:約900万円(税抜)

物件購入前に構造の調査と計算を実施。1F・2Fとも家の中心に重心があり安定したつくりで、コンディションも良好な物件な物件でした。
しかし築年数(施工当時築17年)を考慮し、将来想定しうるトラブルの予防的措置として、バルコニー防水、1階部分の床下地組み直しを行いました。
また窓はサッシごと交換。複層ガラスを採用し、断熱対策も。
間取り面では、リビングとダイニングキッチンを一体化し、19畳の広々としたLDKに。既存の壁にかくれていた柱と筋かいは木板で仕上げ、デザインとして取り込みました。

大幅な壁撤去も、ステンレスブレースで耐震性を担保

  • エリア:神奈川
  • 専有面積:83.60㎡
  • 費用:約1,200万円(税抜)

玄関土間を拡張し、廊下を介さず直接リビングにつながる間取りへ。
壁を大幅に撤去する大胆な間取り変更を行いましたが、耐震性を確保するため、壁の中の柱は残し、ステンレスブレースの補強を入れています。
柱と梁は木板仕上げで、木立ちのようにナチュラルに。壁と建具はOSB合板で統一し、フラットな印象で開放感を高めています。

戸建てのフルリフォームでできること・できないこと

もとの空間をすっかり変えてしまうフルリフォームですが、もちろんできないこともあります。いざリフォームが始まってから「思った通りにできなかった」と後悔しないように、あらかじめフルリフォームできること・できないことを知っておきましょう。

戸建てのフルリフォームでできること・できないこと

  • 耐震・省エネ性など性能向上のチャンス
  • 間取りが変えられない物件もある
  • 物件の状態や実現したい内容で費用は大きく変動する

耐震・省エネ性など性能向上のチャンス

現代の住宅と比べ、古い住宅はどうしても耐震・省エネ性が劣りがちになりますが、フルリフォームなら新築に近い水準まで性能を高め、安心に暮らせる家にすることはそう難しくありません。

スケルトン状態まで解体すれば、壁の中や床下にある配管の更新や、耐震補強部材や断熱材の施工も、新築とほぼ同じ方法で可能になります。

補助金や税制優遇では、一定の耐震・省エネ性が条件になっていることも多いので、ぜひ性能アップも検討してみてください。

間取りが変えられない物件もある

壁や柱の中には、構造上重要な役割を担っているものもあり、それらを撤去してしまうと耐震性が大きく損なわれ、危険な建物になってしまいます。

また、在来工法は比較的間取り変更の自由度が高いですが、ツーバイフォー(2×4)工法は注意が必要。壁で構造躯体が構成されているため、壁を撤去して二室を一室にするようなリフォームは極めて困難となる場合が多いです。

物件の状態や実現したい内容で費用は大きく変動する

築年数が経過していると、構造の劣化(木材の腐朽やシロアリ被害、基礎のクラックなど)が進んでいたり、新耐震基準に合致していないために、補修や補強が必要になるケースもしばしば。補修・補強箇所が増えれば、その分費用も割高になります。

解体して初めてわかることもあり、追加工事で金額が当初の見積もり以上になることも。お金のことはとかくトラブルになりやすいので、追加工事の扱いについては、事前に工事業者(工務店やリフォーム会社)に確認しておくのを忘れずに。

また、希望するプランや使用する建材・設備のグレードによって、同じ規模のリフォームでも費用は上下します。例えば開放的な空間をつくりたい場合、構造の補強が必要になればコストも上がるでしょう。

全ての要望を叶えようとすると、新築と同じかそれ以上お金がかかってしまう可能性もありますので、優先順位を決めて、予算も考えながらプランを決めていきましょう。

まとめ

新築は確かに魅力的ですが、愛着のある今の家、あるいは実家に住み(続け)たいという方や、今後の生活を考えて中古住宅を選ぼうという方も多いはず。そんな方々におすすめしたいのが戸建てのフルリフォーム。新築よりもお手頃な費用で、自分や家族だけの住まいが手に入るのです。

一方で、戸建てのフルリフォームに対応しているリノベーション会社はまだまだ多くないようです。
構造にふれる戸建ての施工は、建物の強度や耐震性を損なうリスクと隣り合わせ。構造の専門知識と経験が欠かせません。

ひかリノベでは、戸建住宅の建物構造に精通した【構造専門部】をもっており、長く安全に住めるリノベーションの設計・施工をサポートしております。
物件探しからのリノベーションをご希望の方は家探しから設計・施工まで、居住中のご自宅のリノベーションは工事中の仮住まい探しから設計・施工まで、ワンストップでおまかせください。

現在、ひかリノベのサービス概要をまとめたパンフレットと施工事例集のPDFデータを無料で配布中です。下記ダウンロードボタンより、どうぞお気軽にご覧ください。

記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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