スケルトンリフォームとは、家の躯体(柱・梁・基礎)だけを残して間取りや内装、外装などを一新するリフォームのこと。新築や建て替えよりも費用が安く済み、自分好みの空間やデザインにできるというメリットがあります。
一方で、元の建物の状態によっては新築以上に費用がかかる可能性や、法律的な問題でリフォーム内容に制約が生じるケースも。
この記事では、そもそもスケルトンリフォームは戸建てでも可能か・具体的に何ができるのか? 費用や注意点をまとめました。
また建て替えとリフォームで迷った場合の考え方についても解説。
戸建物件のリフォームを検討している方は、ぜひ参考になさってくださいね。
目次
スケルトンリフォームとは
「スケルトン」は英語で骨組みや骨格のこと。建築の場面でスケルトンというと、柱や梁、基礎といったいわゆる「構造躯体」を指します。
「スケルトンリフォーム」とは文字通り、既存の住宅を躯体だけの状態にして、それ以外のすべてを一新するリフォームのこと。別名を「スケルトンリノベーション」ともいいます。
戸建てのスケルトンリフォームでできること
戸建住宅の場合、スケルトンリフォームによって次のようなことが可能になります。
- 間取りの変更
- 内装デザインの刷新
- 床のバリアフリー化
- 外壁・屋根の塗り替えや部材交換
- 増築・減築
- 配線や配管の更新
- 水廻り設備(浴室・洗面化粧台・トイレ・キッチン)の交換
- 窓サッシの交換
- 外構(門扉・塀など)の交換
- 耐震補強工事
- 断熱工事
外観や内装の変更はもちろん、耐震性や断熱性といった住宅性能を向上させる工事も可能。家族が安心して暮らせる家へと改修できるのが、スケルトンリフォームの大きなメリットです。
マンションのリフォームでは、住戸内部の間取りや内装は自由に変えられますが、外観は勝手に変更できません。外壁や屋根、増築・減築、外構はもちろん、窓サッシの交換や耐震補強も、共用部分に関わるため個人で工事は行えません。この点、戸建てのほうがリフォームの自由度が高いといえます。
スケルトンリフォームに向かない戸建物件
戸建はマンションと違い、外壁材を交換したりウッドデッキを設置したりと、外観も含めたリフォームが可能で自由度も高いのが特長です。
しかしリフォームでは既存の躯体を利用するため、躯体の状態や、建物の構造によっては、工事内容が制約される場合も。とくに「中古を買ってスケルトンリフォーム」をお考えの方は、物件選びのポイントとしてご留意いただくと良いでしょう。
躯体の状態が悪い物件
スケルトンリフォームをしようと古民家などを解体してみると、柱や梁といった木部にシロアリが発生し、食害にあっていることもあります。このように柱や梁、基礎部分に腐食や劣化があると、修繕して生かすよりも建て替えた方が安くて早い場合も。
躯体の劣化は表面を見ただけでは気付きにくいものですが、「建物状況調査(インスペクション)」を実施することで、解体前にもある程度状況が解ります。
建物状況調査(インスペクション)とは、国交省による技術者講習を受け、技術者として登録された建築士のみが行うことができる「目視、計測を中心とした非破壊による検査」です。
とくに築年数の古い物件では、スケルトンリフォームが良いか、建て替えとした方が良いか、判断に迷うこともありますが、そうした場合はまず専門家によるインスペクションを行うことをおすすめします。
壁を抜けない構造の物件
木造戸建住宅とひと口にいっても、軸組工法とツーバイフォー(2×4)工法、大きく二つの工法があります。このうち間取り変更がしやすいのは、軸組工法。ツーバイフォー工法は、構造上、建築後に壁を撤去することが難しく、間取り変更に制約が生じます。
ツーバイフォー(2×4)工法とは、木造建築工法の一種で、「枠組み壁工法」とも呼ばれています。2インチ×4インチの木材でフレーム(枠組み)を組み立て、そこに合板の構造用面材を張って「面」で建物を構成します。耐震性・耐火性・断熱性・気密性に優れているのがメリットですが、前述のとおり壁を減らしたり後から撤去するのが難しく、間取り変更に制約が生じるデメリットがあります。希望の間取りによっては、リフォームでは対応できない可能性があるので注意点です。
このほか、プレハブ工法の戸建住宅もありますが、こちらも間取り変更が難しい構造です。プレハブ工法とは、工場で生産された壁や床・天井を組み立てる工法です。こちらもツーバイフォー工法と同じく構造上壊せない壁があり、希望の間取りにできない場合があります。
リフォーム向き戸建物件の選び方
スケルトンリフォームに向いているのは、上述の「向かない物件」とは逆の特徴をもつ物件です。すなわち、躯体の状態が良い物件や、間取り変更がしやすい構造の物件です。
躯体の状態は、上述のとおり専門家による「インスペクション」によって解体前にある程度状況を調べられます。
建物の構造については、設計担当者や施工担当者に図面や現地を確認してもらうことで、希望の間取りに変更可能かチェックできるでしょう。自宅や所有物件であれば、通常はまず現地を確認して見積もりやプランニングという流れになります。
新たな物件を購入してリフォームしようという場合は、購入を決める前にリフォーム会社の担当者に現地を確認してもらうことをおすすめします。通常の不動産会社は、建築に関する知識は専門外で、躯体の状態や建物構造については回答できない場合もあるためです。
リフォーム会社の中には、物件の仲介からリフォームの設計・施工までを一貫して請け負う「ワンストップリノベーション」の会社もあります。ワンストップリノベーション会社であれば、物件探しからリフォームまでが一社で完結します。当社ひかリノベも、ワンストップリノベーション会社です。リフォーム前提で物件購入を検討している方は、ぜひ物件探しからご相談ください。
費用と期間の目安
現実的にリフォームを検討する際、気になる費用や工期。予算内でどの程度のリフォームができるか、知りたい方もいるのではないでしょうか。戸建物件をスケルトンリフォームする場合の、費用や工期の相場について解説します。
費用の目安
スケルトンリフォームする場合の費用の目安は、工事の規模や内容、使う部材の種類や躯体の傷み具合によって大きく変わってきます。
とくに戸建物件のリフォームは、外装や外構の更新、減築・増築も可能で自由度が非常に高いため、一概に「㎡数×単価」で費用を算出しにくいという特徴も。
正確な金額は、個別にリフォームの要望を伝え、現地を調査して、見積もりをとる必要があります。
とはいえ「一般的にいくらあれば何ができるのか、そもそも見当がつかない」「おおよその目安が知りたい」という方もいらっしゃるでしょう。
下表は、当社ひかリノベもひかリノベも加盟しているリノベーション会社ポータルサイト『SUVACO』調べのデータです。延床面積30坪/木造二階建て物件で、「いくらあれば何ができるか」の目安をまとめがまとめられています。
工事内容 ※30坪/二階建て木造住宅を想定 |
予算 | |||
800万円 | 1,500万円~ | 2,000万円~ | 2,500万円~ | |
水まわり設備の取り換え | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
内装(床、壁、天井)の一新 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
間取り変更 | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
外装材(外壁、屋根)の更新 | × | △ | ◎ | ◎ |
窓サッシ入れ替え | × | × | △ | ◎ |
外構(門扉、塀)の更新 | × | × | △ | △ |
耐震補強、断熱工事 | × | × | × | ◎ |
データ出典:SUVACO『予算別 リノベーションでできること』
居住中の自宅をスケルトンリフォームする場合、そこで生活しながら工事することはできないため、上記の他に家財道具を保管する倉庫の賃料や仮住まいへの引っ越し費用、家賃なども考える必要があります。
工事期間の目安
戸建のスケルトンリフォームに要する期間は、相談から完工引き渡しまで、全体で4ヶ月~6ヶ月程度が目安となります。
プランを確定するまでの設計期間として1ヶ月~3ヶ月ほど。
着工してから完成までは、およそ3ヶ月~4ヶ月の時間が必要です。
外構や外装工事も行う場合、天気や季節の影響を受け、工期が延びる場合もあります。
スケルトンリフォームと建て替えで迷ったときは
とくに自宅のリフォームを検討している方からよく寄せられるご相談として、「古くなった住まいをスケルトンリフォームするか、建て替えるか」というお悩みがあります。
木造戸建住宅のスケルトンリノベーションは、躯体の状態がトータルの費用を大きく左右します。雨漏りや結露で構造材がひどく腐っていたり、シロアリの被害が大きいと、補修にかかる費用によって、総額も高くなります。
新築以上に費用がかかるほどの工事が必要ならば、建て替えの検討をおすすめします。
ただし、物件によっては再建築不可物件といって、法律上、建て替えができない場合もあります。この場合、必然的にリフォームが唯一の選択肢となります。
まとめ
戸建住宅のスケルトンリフォームとは、柱や梁、基礎などの躯体部分だけを残し、間取り変更や内外装の一新、設備機器の新設を可能にする大規模リフォームのこと。ライフスタイルや暮らし方そのものを変えられるのも魅力です。
当社ひかリノベは中古住宅購入から設計、施工まで一貫して提供する「ワンストップリノベーション」をご提供しています。お客様のご要望やライフスタイルに合わせた快適な家づくりをサポートさせていただきます。
ひかリノベでは戸建住宅のスケルトンリフォームを数多く手がけております。戸建てのスケルトンリフォームは、マンションに比べて高度な技術が必要になりますが、ひかリノベでは戸建住宅の構造に精通した「構造専門部」を持ち、戸建リフォームの設計経験豊富な一級建築士が在籍しています。両国・横浜のショールームにて無料相談サービスも実施していますので、お気軽にご相談ください。
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