リフォーム減税と住宅ローン控除、どっちがお得?併用は可能?(2024年最新)

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住宅ローンを組んで住宅を購入すると、所得税の控除を受けられる「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」制度。実は住宅購入資金だけでなく、リフォーム資金についても控除を受けることができます

一方、住宅リフォームの税制優遇制度として、「リフォーム減税」という制度も用意されています。住宅ローン控除とリフォーム減税はどちらがお得なのか、もしくはダブルで利用することはできるのでしょうか?

この記事では、リフォームをした人が使える二つの減税制度「住宅ローン控除」と「リフォーム減税」それぞれの利用条件と、申請方法をわかりやすく解説します。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは、住宅ローンを組んで住宅を購入すると、一定期間、所得税額の一部が控除される制度です。
購入に伴ってリフォームを行う場合は、リフォーム費用も住宅ローンに組み込むことで、まとめて控除の対象となります。

住宅ローンを組まない場合は、住宅ローン控除は適用されません。つまり、住宅購入を伴わないリフォームや、住宅ローンを利用せず全額自己資金で住宅購入やリフォームをする場合は、控除の対象にはなりません。

控除金額と控除期間

住宅ローン控除では、年末のローン残高の0.7%に当たる額が、所得税から控除されます。所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税からも控除の対象になります。
返済を続けて残高が減ってくると、年々控除額も少なくなっていきます。

控除期間は、新築や再販は13年間、中古やリフォームは10年間。
つまり、住宅ローンを利用して中古住宅を購入してリフォームを実施した場合、10年間にわたり、年末時点のローン残高の0.7%相当が、所得税から(控除しきれない分は住民税からも)控除される、ということになります。

ただし、控除対象となる借入額には上限があります。中古やリフォームの場合、通常2,000万円まで、一定の省エネ性能を満たす住宅は3,000万円までです。

住宅ローン減税の概要(出典:令和6年度 国土交通省税制改正概要)

住宅ローン減税の概要(出典:令和6年度 国土交通省税制改正概要


リフォームで控除を受けるための条件

控除が適用となるためには、住宅ローンを利用することが必須条件と上で説明しましたね。この他にも、住宅の性質や年収等の要件があり、これらをすべて満たさないと控除は利用できません。

まず、対象となる住宅について。
新築や再販では、一定の省エネ性能を満たす住宅のみが対象となっています。
中古やリフォームでは、省エネ性能に関わらず控除の対象となります。

そのほかの主な条件は、

  • 自ら居住する住宅であることこと
  • 10年以上の住宅ローンを組むこと
  • 世帯年収が2,000万円以下であること
  • 住宅の床面積が50㎡以上であること(年収1,000万円以下の世帯は40㎡以上)
  • (中古住宅の場合)「新耐震基準に適合していること」

リフォーム費用について控除を受ける場合、さらに「工事費用が100万円以上であること」という要件が加わります。

控除の申請方法

控除の申請は、初年度は確定申告をする必要があります。
毎年2月~3月に、地域の税務署もしくはe-taxにて、「確定申告書」「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に所定の事項を記入して提出します。
このほか源泉徴収票、売買契約書や工事請負契約書、金融機関が発行する住宅ローンの残高証明書、リフォームの場合は増改築等工事証明書などが必要になります。

住宅ローン控除の申告に必要な書類

  • 源泉徴収票
  • 住宅ローン年末残高証明書
  • 土地・建物の登記事項証明書
  • 土地・建物の売買契約書
  • 本人確認書類(マイナンバーカード等)
  • (リフォーム費用控除を受ける場合)工事請負契約書、増改築等工事証明書
  • (長期優良住宅、低炭素住宅の場合)長期優良住宅、低炭素住宅の認定に係る証明書

会社員(給与所得者)の場合、確定申告をするのは初年度のみで、2年目以降は年末調整で手続きが可能となります。税務署から送られてくる「住宅借入金等特別控除申告書」と、銀行から送られてくる「借入金の年末残高等証明書」を会社に提出するだけでOKです。

自営業の場合は、2年目以降も初年度と同様に確定申告を行います。

申請は世帯単位ではなく、ローンの名義単位で行います。夫婦や親子でペアローンを組んでいる場合は、2人がそれぞれ控除を受けることができます。

なお、控除の開始時期は「入居した年」の翌年からとなります。「売買契約を結んだ年」ではないのでご注意を。

住宅ローン控除の必要書類や申請方法については、下記に特集記事があります。より詳しく知りたい方は、こちらもぜひ併せてご覧ください。

リフォーム減税とは

リフォームをした際に利用できる減税制度として、住宅ローン控除のほかに「リフォーム減税」制度があります。

リフォーム減税制度は、ローンの利用の有無を問わず利用できる税制優遇制度です。

特定の工事をおこなうと、工事費用相当額の10%が、翌年の所得税から控除されます。
また必須工事の限度額を超える部分や、対象工事と同時に行うその他のリフォーム工事についても、工事費用相当額の5%が控除されます。

「工事費用相当額」とは、その工事にかかる標準的な費用のことです。つまり実際にかかった工事費用ではなく、予め定められた標準的な費用から控除額が計算されるので、この点注意が必要です。

対象となる工事

リフォーム減税の対象となる工事は、内容が限定されています。

対象となるのは、耐震、バリアフリー、省エネ、三世代同居対応、長期優良住宅化、そして2024年からは「子育て」が新たに加わりました。
子育てリフォームとしては、具体的には対面式キッチンへの交換や防音性の高い床への交換、可動式間仕切壁の設置、転落防止の手すりの設置などの工事が対象となります。

控除額の上限は、工事の種類によって異なります(下図)

出典:既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充・延長(所得税)(出典:令和6年度 国土交通省税制改正概要)

出典:既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充・延長(所得税)(出典:令和6年度 国土交通省税制改正概要


減税の申請方法

控除の申請は、確定申告で行います。所定の工事証明書を提出することになるので、申告前に施工業者を通じて入手しましょう。

工事証明書は、工事後の性能で一定の基準を満たしているかや、床面積などの要件を満たしているかを証明するものです。必要な性能や要件は工事ごとに細かく規定が決まっているので、本制度を利用したい方は、工事を依頼する段階でその旨を施工業者に伝え、工事内容をよく相談することが大切です。

その他リフォームでつかえる減税制度

リフォームをすると、所得税以外の税金からも控除を受けられる制度があります。

固定資産税の減税措置

耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化、いずれかのリフォームを行うと、工事が完了した翌年の固定資産税が減額されます。

軽減額は住宅の種類ごとに異なり、耐震改修を行った場合はその年の固定資産税額の1/2が減税されます。バリアフリーと省エネは1/3、長期優良化は2/3が減税されます。

  減額割合
耐震 2分の1
バリアフリー 3分の1
省エネ
長期優良住宅化 3分の2

申請方法は、工事完了から3ヶ月以内に市区町村に所定の書類を提出して申告手続きを行います。
所得税のリフォーム減税と同様、工事内容を確認できる書類が必要になるので、本制度のご利用をお考えの方は、工事を依頼する段階でその旨をリフォーム会社に伝え、工事内容をよく相談することが大切です。

贈与税の非課税措置

親や祖父母から、住宅(自分で居住するための家屋)取得資金の贈与を受けた場合、一定の金額までは贈与税が非課税になります。
新築や購入はもちろん、リフォーム費用を援助してもらった場合にも適用されます。

この制度を利用する主な要件は、

  • 直系尊属からの贈与であること
  • 住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下
  • 贈与を受けた年の所得が2000万円以下(住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1000万円以下)
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに工事が完了して入居していること

非課税枠は、住宅の質によって異なります。
質の高い(省エネ等)住宅は1,000万円まで非課税、その他の住宅は500万円までと、省エネ性能の高い住宅は非課税枠が拡大されています。

質の高い(省エネ等)住宅 一般住宅
1,000万円 500万円

「質の高い(省エネ等)住宅」とは、中古やリフォームの場合、

  • 断熱等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 耐震等級2以上もしくは免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

上記のいずれかに当てはまる住宅のことをいいます。住宅性能証明書など所定の証明書が必要です。

住宅ローン控除とリフォーム減税は併用できる?

住宅ローン控除も、リフォーム減税も、所得税を控除する制度です。
そのため、原則として住宅ローン控除とリフォーム減税を併用することはできません。

住宅ローン控除の要件を満たしている場合、これを第一選択とする方が多いですが、工事の内容や費用によっては、住宅ローン控除よりもリフォーム減税を利用するほうが控除額が大きいこともあります。どちらを使うべきか、リフォーム会社とよく相談して比較検討してみてください。

またリフォーム減税は、複数の工事を行った場合はそれぞれ申請が可能ですが、中には併用できない組み合わせもあります。どういった組み合わせで申請するか、こちらもリフォーム会社とよく相談して決めると良いでしょう。

所得税の控除と固定資産税の減額の併用の組み合わせ(出典:(一社)住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームガイドブック」)

所得税の控除と固定資産税の減額の併用の組み合わせ(出典:(一社)住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームガイドブック」


おわりに

どんな住宅も、時間が経てばリフォームが必要になります。費用のことも、あらかじめきちんと考えておくことが大切です。

減税や優遇制度、補助金等を上手に使って、余裕のあるリフォームをしたいものですね。

住宅リノベーションのひかリノベでは、物件探しからリノベーション、資金計画までワンストップでお住まいづくりをサポートいたします。ローンや資金計画のご相談、各種補助金やリフォーム瑕疵保険にも対応しておりますので、ぜひ遠慮なくご相談ください。

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記事監修

櫨元 宏(宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー)

宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザーの有資格者。中古リノベから注文住宅まで、13年間におよぶ建築業界での営業経験をもつ。プライベートでは料理をこよなく愛する一面も(クックパッドにてレシピ公開中!)「食と住は生活の“根っこ”だと思います。キッチンへのこだわりを口にされるお客様は非常に多いです。一方で水廻りのリフォームは、物件によって制約も生じやすい部分。知識と経験をもとに『リノベ向き物件』をご紹介します」<

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