二重サッシと複層ガラス、何が違う?断熱効果はどちらが高い?

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二重サッシを取り入れたリノベーション事例 (https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0031/)

光熱費や快適さに大きく影響する住まいの断熱性能ですが、特に大きな弱点になるのが窓です。
断熱性を高めるためには、窓の高性能化は必須といってもいいでしょう。

窓の性能アップにはさまざまなやり方がありますが、リフォーム・リノベーションでよく使われるのが、既存の窓の内側にもうひとつサッシを取り付ける「二重サッシ(二重窓)」です。

二重サッシにすると、暮らしはどう変わるのでしょうか?
具体的な効果やメリットデメリット、また意外と勘違いが多い「複層ガラス(ペアガラス)」との違いをお伝えします。

二重サッシってどんな窓?

二重サッシ(二重窓)は、ひとつの窓枠に外窓と内窓、2つのサッシが取り付けられている窓のことを指します。

二重窓施工の例

二重窓施工の例(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0031/より)

内窓と外窓の間にできた空気の層が熱を伝わりにくくする、つまり断熱材の役割を果たすので、外気温が室温に与える影響をかなり小さくしてくれるのです。

一般的な単板ガラスの窓(ガラスが一枚の窓)だと、窓の近くに行くと屋外のような寒さ、冷え込みを感じたり、耐えられないほど暑くなっていることがありますよね。二重サッシにすれば、そんな状態になることはありません。
エアコンの効きも良くなるので、かかる光熱費も減らすことができます。

結露防止にも効果アリ

冬場、暖房していると窓に発生する結露。窓まわりにカビが生えたりする原因になるので、何とかしたいものですよね。
結露は暖まった空気が冷たい窓ガラスで冷やされて起こる現象ですが、熱が伝わりにくい二重サッシなら結露も起こりにくくなります。

複層ガラスとは?二重サッシとの違い

二重サッシ以外で、窓の断熱性を高める手法としては「複層ガラス(ペアガラス)」が挙げられます。
二重サッシと複層ガラス、この2つを同じものと思っている方も多いようですが、実は別物です。

複層ガラスは、ガラスを二重にして、間に空気層を設けたガラスのことを指します。ひとつのサッシに、2枚のガラスが取り付けてあると言えばわかりやすいでしょうか?
窓の構造を表す二重サッシに対し、複層ガラスは単一サッシにガラスが複数枚ある状態を表す言葉だと考えてください。

空気の代わりに特殊なガスを封入しているものや、遮熱効果のある膜を貼ったもの(Low-Eガラス)、3枚のガラスを組み合わせたトリプルガラスなどもあります。

二重サッシにする場合でも、内窓に複層ガラスを使えばさらなる性能アップが期待できます。
(ガラスの値段が高くなる分、費用もかかります)

断熱だけじゃない、二重サッシのメリット

窓を二重にすることは、断熱性向上以外にも複数の利点をわたしたちにもたらしてくれます。

防音効果がある

空気層は熱だけではなく、音が伝わるのも防いでくれます。
例えば駅や幹線道路が近く、電車や自動車の音が気になりやすい立地に住んでいる場合は、室内に侵入する騒音が軽減されることも期待できます。
逆に、テレビやオーディオなど、室内からの音漏れにも効果があります。

防犯性も高まる

窓は、空き巣にとっては格好の侵入経路です。警察庁の調べによると、一戸建住宅や、集合住宅でも低層階は窓から侵入してくるケースが半数以上を占めています。
4階以上でも、3割は窓から侵入しているそうですから、窓がいかに防犯上重要かがわかるでしょう。

出典:警察庁「住まいる防犯110番」(https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1.html)

出典:警察庁「住まいる防犯110番

二重サッシは、ガラスを割って鍵をこじ開ける手間が二倍になるので、見られないよう素早く侵入したい空き巣にとっては厄介な存在。それだけ狙われにくくなるのです。

マンションでも施工可能

窓の断熱リフォームは、窓(サッシ)自体を高性能なものにする、ガラスを複層ガラス等に換えるなど、複数のやり方がありますが、マンションの場合、窓は共用部の扱いになります。
そのため、個人が自由に交換することができないケースが多いです。

しかし二重サッシは、既存の窓の内側にもうひとつ窓をつくる施工方法です。既存の窓を交換するわけではありません。そのため二重サッシは専有部内の工事となり、個人の判断で実施できます。

二重サッシのデメリット

一方、デメリットもないわけではありません。人によっては、前述したメリットよりも、デメリットの方が気になるかもしれません。

開け閉めが面倒

2枚の窓を開け閉めしなくてはいけなくなるので、ちょっと窓を開けて空気を入れ替えたいといった場面では、面倒くささを感じることがあるかも。

掃除しにくい

開け閉めと同様、掃除も手間がかかります。とはいえ、汚れがつきやすいのは外窓の屋外側で、内窓が気になるほど汚れることは考えにくいので、それほど気にしなくてもいいかもしれません。

部屋が狭く感じられる

室内にもうひとつサッシが取り付くので、狭さや圧迫感を感じる人もいるようです。
内窓は樹脂製が主流で、カラーや柄のバリエーションも増えているため、インテリアと合わせてコーディネートすることで、狭さを感じにくくできるでしょう。

窓の形状などに制限がある

引き違い窓以外の窓に対応した二重サッシ商品は、まだまだ少ないのが現状です。
また、開け閉め用のハンドルや防犯装置も、スペースの関係で取り付けが難しくなることがあります。
窓用エアコンも、二重サッシへの取り付けには対応していない機種が多いようです。

補助金でお得に窓リフォーム

二重サッシを含む窓の断熱改修に対する補助金は、住まいづくりに関する公的な支援制度の中でもとりわけ充実しています。
おすすめの制度をいくつかご紹介しましょう。

先進的窓リノベ事業

2024年は「住宅省エネ2024キャンペーン」として、省エネに関するさまざまな補助金が政府から用意されています。

二重サッシをはじめとする窓リフォームに関する補助金政策は、「先進的窓リノベ事業」。
補助金額は、窓サイズや設置する製品の性能ごとに細かく定められており、二重サッシの補助金としては、窓一箇所につき最大124,000円。

その他、外窓交換やガラス交換も併せると、一戸当たり最大200万円が補助される大型事業です。
この機会に、家全体で二重窓化を検討しても良いのではないでしょうか。

既存住宅の断熱リフォーム支援事業

既存住宅の断熱リフォーム支援事業とは、高性能窓や断熱材を施工するリフォームに対する補助金事業です。
戸建住宅は一戸当たり120万円(窓のみの改修は40万円)、マンションは一戸当たり15万円を上限として、工事にかかった費用の3分の1を補助します。

居間の窓だけでも補助金が利用できますが、生活の中心となる居間空間を含まないリフォームは補助対象となりません。
使用する窓・ガラスや、断熱材は、あらかじめ登録されているものでなくてはいけません。
(登録製品は、既存住宅における断熱リフォーム支援事業公式HPで確認できます)

リフォーム減税

窓を含む省エネリフォームをすると、所得税や固定資産税の控除を受けることができます。

まず所得税の控除率は、「標準的工事費用」の10%。
控除金額の算出は実際にかかった費用ではなく、国交省が定めた「標準的工事費用」の10%が控除されます。
一定の要件を満たす窓の断熱工事を行うと、最大62.5万円が控除されます。
窓と併せて太陽光発電設備設置工事もおこなった場合は、最大67.5万円です。

出典:既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充・延長(所得税)(出典:令和6年度 国土交通省税制改正概要)

出典:既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充・延長(所得税)(出典:令和6年度 国土交通省税制改正概要

固定資産税も、一定の要件を満たすリフォーム工事を行うと減税されます。
省エネリフォームの軽減額は、固定資産税額の3分の1です。

対象となる工事(必須工事) 軽減率
耐震 2分の1
バリアフリー 3分の1
省エネ 3分の1
長期優良住宅 3分の2

出典:平成6年度国土交通省税制改正概要

まとめ

窓の性能をきちんと考えることで、住まいの快適性は大幅に向上します。
二重サッシなら、何かと制約の多いマンションでも高性能な窓を作ることができます。
リノベーションの際は、ぜひ窓の性能もお考えくださいね。 

リノベーションのひかリノベは、二重サッシ(二重窓・内窓)を取り入れたリノベーション施工の事例も豊富です。
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記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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