「おしゃれなインテリアの部屋に住みたい!」「もっと自分らしいテイストにしたい!」そう考えている方は少なくないはず。
いまの住まいが持家なら、リノベーションで理想のインテリアにするための制約はほとんどありません。強いていうなら、費用がかかることぐらいでしょう。
一方、賃貸マンションやアパートにお住まいの方々にとっては、理想のインテリアを実現するのは至難の業。
アレはだめ、コレもだめ……たくさんの禁止事項が契約書に書かれていますよね。
また、退去時の原状回復も必要な場合がほとんど。インテリアを変えてみようと思っても、制約の多さにためらってしまい、結局はそのまま……なんてパターンも。
インテリアにこだわった部屋を探すという手もありますが、まずはいまの部屋でできる範囲のインテリアコーディネートの方法を考えてみるのはいかがでしょうか。
今回は、賃貸特有の制約があっても「理想のインテリア」を実現するためのポイントを解説します!
2020年1月18日初出→2021年11月12日更新
目次
「原状回復」の基礎知識
まず、賃貸マンション・アパートで、どこまでインテリアに手を加えることができるのかを知っておきましょう。
賃貸住宅で、最も大きな問題は「原状回復」です。ほとんどの場合、退去するときに部屋を入居時の状態まで戻すことが求められます。
しかし、貸主・借主のどちらが、なにをどこまで負担するのか、範囲があいまいでトラブルに発展することも少なくありません。
「通常の使用」がキーワード
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(2011年再改訂版、以下「ガイドライン」)では、「原状回復」は次のように定義されています。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下『損耗等』という。)を復旧すること」
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
(http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf)
いい回しも堅く「通常の使用」がどのようなものなのか判然としませんね。
わかりやすくすると「普通の生活でも十分起こりうる経年劣化・変化(畳や壁紙の日焼け、家具による床のへこみなど)は、原状回復の範囲には含まれない」ということです。
逆に、飲み物をこぼしたのに掃除怠ったためにできたシミや、換気扇の油汚れ、喫煙による壁紙の変色などは「通常の使用」を超えるとみなされます。
この概念を図で表すと、以下のようになります。
なにを、どこまでなら大丈夫?
ガイドラインで提示されている事例から、インテリアに関連する要素を抜き出してみました。すると、ポスターやカレンダーなどを壁に張るためについた「画鋲、ピン等の穴(下地ボード張替えが不要な程度のもの)」は、通常の使用の範囲だとされています。
一方、「壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替えが必要な程度のもの)」「天井に直接つけた照明器具の跡(もともとある照明用のシーリングなどを使わなかった場合)」は、通常の使用の範囲を超えた損耗とみなされ、借主が修繕費用を負担すべきとされています。
ガイドラインは法的な拘束力があるものではなく、必ずしも記述内容が通用するとはいえませんが、賃貸住宅のインテリアを考える場合には目を通しておいたほうがいいでしょう。
インテリアの鍵は照明と配色
ガイドラインを前提にすると、「ネジやくぎは使わず、できるだけ部屋の各部を傷めない」尚且つ「退去するときに取り外しや撤去が容易なものを活用するのがベター」ということになります。
空間の印象を大きく左右するのが、照明、家具、ファブリック類の配色です。
照明は、既存の天井に引っ掛けシーリングが取り付けてあれば、ワンタッチで取替が可能です。カフェ風のペンダントライト、レトロなランプシェード、間接照明を楽しめるダクトレールも、最近は天井に穴を開けずに取り付けられるタイプが市販されており、気軽に楽しむことができます。
また、室内の広範囲を覆うカーテンやラグ、ベッドカバーやクッションカバーといったファブリック類。ソファやテーブルセット、キャビネットといった家具の配色は、空間の印象や圧迫感にも大きく左右します。
センスよくまとめるコツは、メインカラーとアクセントカラーを決めること。
色を揃えることで、部屋に統一感が生まれます。
たとえば、メインカラーを白、アクセントカラーをブルーと決めたら、ファブリックや家具の大半は白で統一。ポイントとしてブルーのアイテムを差し入れる……という感じです。
家具選びは材料にも注意
インテリアのほか、生活の道具として必要なダイニングテーブルや椅子、ベッドなどの家具。引っ越しのタイミングで古い家具を買い替えることも多いですから、こだわって選びたいところです。
手ごろな価格でもおしゃれな家具が販売されていますが、一つ気を付けたいことがあります。それは、化学物質が体の不調を引き起こす「シックハウス」です。
建築基準法で、建材に含まれるホルムアルデヒドの量は規制されており、その他の化学物質についても厚生労働省が含有量のガイドラインを作成しています。しかし、家具にはこうした規制がありません。
安い家具には、合板、接着剤や塗料など、有害な化学物質が多量に含まれている材料が使われていることが多々あるのです。
東京都生活文化局が、インターネット通販で販売されている安価な家具について調査したところ、15個中6個の家具で室内のホルムアルデヒド濃度が、厚生労働省の指針値を超えていました。
とくに安い商品は、指針値超えのものが多いという結果も出ています。
すぐに悪影響がある、というものではありませんが、有害物質は長期間に渡って室内に放出されるので、使っていくうちに影響があらわれる可能性があります。気を付けましょう。
賃貸で使えるDIYグッズのポイント
最近は、原状回復が容易なDIYのアイデアグッズも市販されています。
ここでは、室内の印象を大きく変える壁紙の模様替え、身近な100均グッズを使った収納や家具アレンジのアイデアをご紹介します。
「はがせる壁紙」で印象を変える
部屋の印象を大きく左右する壁。賃貸住宅では、無難な白い壁紙が張られがちですが、白い壁に飽きてしまった、もっと個性のある色や柄の壁にしたいという方も多いはず。
いまは、簡単にはがせる壁紙が市販されています。お好みの色、柄の壁紙をはさみやカッターで切って、シールのように裏紙をはがして張るだけ。あっという間に壁の模様替えは終わりです。
壁紙は貼る面積が広いので、空気が入ったりしやすいもの。
カッティングシートのように、端の裏紙を切って、位置決めを慎重におこなった上で、少しずつ貼っていくのがコツです。
ヘラなどを使い、壁と壁紙のあいだの空気を追い出すようにしながら貼っていきましょう。
100均グッズで収納充実
あらゆる住まいに欠かせないのが収納です。
キッチンであれば、調理器具や食器、カトラリー。リビングであれば、本やCD、スマートフォンやパソコン。寝室であれば、布団や枕。玄関であれば、傘や靴、コート……それぞれの場所に必要なものがたくさんありますね。
とくに、ワンルームなど狭い部屋にお住まいの方にとっては尽きない悩みでしょう。
「もとある棚やクローゼットでは収納スペースが足りない!」という方も多いはず。使い勝手がよく、かつ美しく収めたいものですね。
世の中には、多数の収納グッズが売られています。いまや、私たちの生活に欠かせない100円ショップでも、モダンなデザイン、便利な収納グッズがたくさん扱われるようになりました。
衣類ケースや「CDが〇〇枚入る」ボックスなど。用途が明確に表示されているものもありますが、シンプルなカラーボックスやかごなど、多目的に使えるものもたくさんあります。
散らばりがちなカウンターテーブルやキッチンの調理器具、調味料。あるいは机の上にいつも置いておきたいペン類を、おしゃれなデザインのボックスやかごに入れて全体の雰囲気を考えながら配置するだけでも、部屋の印象は大きく変わるでしょう。
もちろん使ったあとも、もとに戻す場所が決まっているだけで、ずいぶん便利になるはずです。
サイズやカラーバリエーションも豊富で、なんといっても安く、簡単に手に入れられます。まずは、100均グッズを活用してみるのも良いのではないでしょうか。
用途やサイズはばっちりだけど、気に入った色や柄がないーーーそんなこともあるでしょう。その場合は、カッティングシートの出番です。
木目調をはじめ、さまざまな色、柄のものが市販されています。もちろん100均でも手にいれることができます。後ではがせるものもあるので、あとで雰囲気を変えたくなったとしても問題ありません。
カッティングシートの貼り方のコツ
カッティングシートを貼るときは、裏紙を全部はがしてから貼るのではなく、端や中央を少し切り、貼る位置を慎重に決めてから徐々に裏紙をはがしつつ貼っていきましょう。空気が入って見た目が悪くなる、という失敗が減ります。空気が入ってしまった場合、針などで小さい穴をあけて空気を出し、平らにするといいでしょう。
全体の雰囲気を考えたコーディネートに
インテリアは、一つひとつの要素も大事ですが、トータルなコーディネートが部屋全体の雰囲気を左右します。「とにかく収納を増やせればいい」というような場合ともかく、せっかくならば全体の雰囲気がいい部屋に暮らしたいですよね。
江戸時代、アメリカが開国を要求したとき、日本人は畳の部屋にテーブルと椅子を置いて交渉に臨んだというエピソードがあります。これは、まだ海外の生活様式がまったく入っていなかった時代だからこそのできごと。いま、そんな部屋があったら、なんともちぐはぐな印象になるでしょう。
たとえば、白いミニマルな印象の部屋のなかに、派手な装飾を施した中世ヨーロッパの家具があったら、不釣り合いだと感じると思いませんか?
ですが逆に、和を感じさせる畳の部屋に北欧デザインの家具を置いたら意外と溶け込んで見えるーーーそんな成功例もあります。
部屋のデザインにどんな家具や小物があうかは、実際に置いてみないとわからないものです。思っていたのと違う感じになってしまうこともあるでしょう。
できれば、ご自身が理想とするインテリアの実例を探してから、自室のインテリアデザインに取り組みましょう。
ひかリノベHPでも、お客様のリノベーション事例を写真で公開しています。理想のインテリアデザインを考えるヒントとして、ぜひ一度ご覧になってみてください。
「DIY型賃貸」ならもっと自由に
最近「DIY型賃貸住宅」というものが存在することをご存知でしょうか?
「カスタマイズ賃貸」などと呼ばれることもあり、その名の通り、入居者がDIYで自由にカスタマイズできる賃貸住宅をさします。
まだ数が多いとはいえませんが、UR(独立行政法人都市再生機構)が「DIY住宅」の名でDIY可能な賃貸住宅を提供するなど、徐々にDIYがOKという物件は増えつつあります。
国土交通省が2016年4月に公表したガイドブック「DIY型賃貸のすすめ」では、借主が入居後に手を加えた部分の所有権が、貸主・借主のどちらにあるのかは「当事者間の合意により取り決める」としています(塗装など、建物から分離できない部分は貸主が所有権を持つ)。
原状回復については、退去時に残したままにするのか、撤去するのかで変わってきます。残したままの場合、基本的に原状回復の義務はないとされています。
逆に、撤去する場合や、新しく設置した設備が壊れている、といったケースのために、事前に原状回復の必要性や範囲、補修をどちらの責任でするのかを事前に決めておくことを推奨しています。
いずれは住まいを持ちたいけど、いまは賃貸住宅に住んでいる。ずっと賃貸でいいと考えている。
どちらのケースでも、インテリアへのこだわりは同じくらいあるはず。
理想のインテリアデザインを実現するための工夫は、きっと今後の住まい選びの参考になるでしょう。
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