リノベーションで抜けない柱とは?柱を活用したリノベ事例を紹介!

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フルリノベーションの魅力のひとつが間取り変更。小さな部屋が多い昔の住宅を、広々としたLDKを中心とした間取りにつくり変えることだってできます。

間取りを大きく変えるとなると、柱や壁を撤去する場合も出てきますが、全ての柱や壁を抜けるわけではありません。

この記事では、リフォーム・リノベーション時に抜ける柱、抜けない柱の違いを説明します。また、ひかリノベのリノベーション事例から、抜けない柱をデザインで生かした事例も合わせて紹介します。

リノベーションには抜ける柱と抜けない柱がある

日本の戸建て住宅で広く使われている木造軸組工法(在来工法)の柱には、構造上重要な役割を担っていて抜くことができないものと、そうではないものが混在しています。

前者をむやみに取り外したり切ったりしてしまうと、強度が損なわれてしまう可能性が高くなります。

抜けない柱

柱は「通し柱」と「管柱」に分けられます。

通し柱は、土台から軒までつながった柱のこと。柱の中では最も重要で、これを抜いてしまうと耐震性が大幅に低下する恐れがあるため、抜くことは不可能です。
建物の四隅に位置しているものが多いですが、他の位置に通し柱が置かれることもあります。

通し柱出典:LIXIL「リフォーム用語集」 https://www.lixil.co.jp/reform/yougo/kouhou/mokuzou/24.htm

出典:LIXIL「リフォーム用語集」
(https://www.lixil.co.jp/reform/yougo/kouhou/mokuzou/24.htm)

管柱は、土台または梁(2階以上)から桁まで(桁で柱が中断されている)の柱を指します。通し柱を使わず、管柱だけで構成されるつくり方もあります。

管柱も通し柱と同様、構造上重要な場合があるので、抜くことができないケースが多いです。

管柱出典:LIXIL「リフォーム用語集」 (https://www.lixil.co.jp/reform/yougo/kouhou/mokuzou/04.htm)

出典:LIXIL「リフォーム用語集」
https://www.lixil.co.jp/reform/yougo/kouhou/mokuzou/04.htm


抜ける柱

管柱の中には、抜ける柱もあります。ただ単純に抜けるわけではなく、その柱の直上にある梁を太く補強して柱を抜きます。もちろん、これが可能な柱は限られており、どの柱でもできるというわけではありません。

抜けるかどうかは構造的な検討が必要です。また可能な場合でも、補強した梁のほうが天井より低くなるケースもあり、その場合は天井にライン上の梁がでる形になります。

さらに「間柱」は抜くことができます。

間柱は、内・外壁に張る合板や石膏ボードなどを支えるためのもの。通し柱や間柱よりも薄い(半分、または3分の1の厚み)木材が使われます。

間柱は「柱」という字が入っていますが、厳密には柱のカテゴリーには入りません。
構造の強度にも関係していないため、間柱は撤去しても耐震性に影響することはありません。

間柱出典LIXIL「リフォーム用語集」 (https://www.lixil.co.jp/reform/yougo/kouhou/mokuzou/40.htm)

出典LIXIL「リフォーム用語集」
https://www.lixil.co.jp/reform/yougo/kouhou/mokuzou/40.htm


筋交いや壁にも注意

柱以外にも、撤去できない部分はあります。

耐震性を高めるため、柱と柱の間に取り付けられる筋交いも、撤去できないケースが多いです。

また、筋交いや構造用合板、耐力面材と呼ばれる強度の高い板状の材を使って強度を高めた壁を「耐力壁」と呼びます。
耐力壁も、耐震性を確保するための大事な要素なので、撤去はできないと考えたほうがいいでしょう。

逆に、ただの間仕切り壁なら撤去しても問題はありません。

スケルトンリノベーションなら、梁を補強したり、耐力壁の位置を変更することで、管柱や耐力壁は撤去することもできますが、高度な専門知識や、技術が要求されます。
設計や工事を依頼する会社に、どこまでが可能なのか、きちんと確かめておきましょう。

構造や工法の違いでも変わる

ここまでは、木造軸組工法のお話。

同じ木造の戸建て住宅でも、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は柱や梁ではなく、壁で構造が成り立っています。既存の壁はほぼ構造とイコールです。
耐震性が高い一方、リノベーションで壁を撤去するのはできないケースが多いです。また、窓やドアなどの増設も難しいことが多いです。

また、RC造のマンションで、壁式構造の場合も壁の撤去はNGです。

RC造でもラーメン構造(木造軸組工法のように、柱が構造を担う)なら、壁式構造よりも間取り変更の自由度は高いですが、室内に出ている梁だけは撤去できません。

抜ける柱・抜けない柱、どう見分ける?

購入予定の中古住宅や、今お住まいの家をリノベーションしようと考えている方は、希望の間取りにするためどこまで柱や壁が抜けるのか、気になってしまったかもしれません。

抜ける柱・抜けない柱を見分けるには、何をチェックすればいいのでしょうか?

図面で確かめる

もし手元、あるいはその住宅を設計・施工した会社に図面があれば、平面図を見るとある程度通し柱や管柱の位置を把握することができます。

四角の中に、対角線上に2本の線が×印のように引かれていれば、そこには通し柱や管柱などの構造材があることを意味します(通し柱はさらに丸で囲まれています)。
間柱などがあるところには、斜めの線が一本だけの記号になっているはず。

筋交いや耐力壁の記号はまちまちですが、たいていの図面には「凡例」が下の方に書かれています。どの記号が筋交いを表しているかを確かめ、図面を見てみましょう。

ただ、古い住宅だとそもそも図面が残っていなかったり、過去のリフォームによって新築時とは異なる状態になっている(柱などが抜かれている、耐力壁が移動している)可能性もあります。

柱や筋交いの要否を判断するには、構造的検討(計算)を要するため、自分でチェックするのはあくまでも目安程度だと考えてください。現実的にはリノベーション会社でも、そこまでやらない場合が多く、抜けるかどうかわからない場合は「抜けません」という風に答える会社が大半です。

リノベーションは、「なぜこの柱を抜くことができないか」をきちんと説明できる会社に依頼しましょう。

柱をおしゃれに演出したリノベーション事例

抜けない柱があっても、設計を工夫すればむしろ空間のアクセントになることも。
ひかリノベのリノベーションから、抜けない柱をアレンジして素敵な空間に仕上げた事例をいくつかご紹介しましょう。

床の色に合わせて一体感を

残った柱や筋交いを床材の色に合わせて、統一感のあるインテリアに仕上げました。
グリーンはご主人の趣味。梁からつるして飾るのは、柱や梁を残しているからこそできる方法ですね。

家の雰囲気に合う色味に

「ヴィンテージ風」とのリクエストに応え、お客さまのライフスタイルや好みを考慮してブルックリン風のデザインを提案。
柱は艶のある濃いウォルナット色に塗装し、使い込まれた木の風合いを演出しました。

柱と梁を同じあしらいに

施主様から天井を高くしたいというリクエストがあった事例。
ただ天井を高くした分、天井裏の梁を隠すことが出来なかったため、梁の表面に薄い木の板を貼り自然な「木の天井」に仕上げました。柱も、同じように薄い木の板を巻いて仕上げ。壁のOSB合板や天井の木目調クロスも相まって、木の家らしい内装になりました。

存在感を逆手にとり空間のアクセントに

リビングと隣り合う和室を一体化。残ってしまった柱と筋交いもアクセントにしよう、と、足元に巾木を取り付けました。
さらに天井に梁型を取り付けて、空間全体で柱と筋交いを生かしました。

ただ柱や筋交いを出すためには、以下に注意してください。

柱や筋交いを出すときの注意点

  • 建物が建たれた地域が、防火・準防火地域(東京23区・横浜・川崎市内はほぼ全域が街頭)では、基本的に柱・筋交いを出すことはできません。
  • 柱は元々壁の中にあるもののため、表面に出ることを想定していません。そのため、建築時の記号等が掛かれている場合があります。

上記2点をカバーするために、実際は剥き出しの柱ではなく、柱の表面にボードや特殊な塗料をして、防火と見栄えに配慮するのが一般的です。

まとめ

リノベーションを成功させるには、デザインや間取りのことだけではなく、構造のことも知っておく必要があります。間取りの希望を叶えるといっても、抜いてはいけない柱を抜いてしまえば、住まいの基本的な性能が損なわれてしまいます。

抜けない柱や壁があっても、設計・デザインの工夫で使いやすく、快適な空間をつくることはできます。むしろ、それがリノベーションならではの楽しみと言えるかもしれません。

ひかリノベでは、安全性を守りつつ素敵な空間を、あなたとともに考え、実現します。構造や耐震のことも、専門のスタッフが対応します。リノベーションでお悩みなら、いつでもお気軽にご相談ください。

現在、ひかリノベのサービス概要をまとめたパンフレットと施工事例集のPDFデータを無料で配布中です。下記ダウンロードボタンより、どうぞお気軽にご覧ください。

記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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