マンションの防音力を見極める8つの内覧チェックポイント


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マンションでは隣人の話し声や子どもの足音、ペットの鳴き声などが、トラブルの原因となることがあります。また屋外の喧騒や、自動車の走行音などの騒音が問題となることも……。
今回の記事では、音に煩わされない防音マンションの選び方を紹介。建物構造や壁、床、窓と、内覧でチェックしたいポイントをピックアップします。

2018/6/4初出→2019/4/23更新

鉄筋コンクリートなら安心、ではない?

RC造のマンション。内装や住設機器を解体すると、コンクリートの躯体が現れる。

RC造のマンション。内装や住設機器を解体すると、コンクリートの躯体が現れる。

一般的に、防音性能の高さは、鉄筋コンクリート(RC造)の住宅が一番高く、続いて鉄骨(S造)、木造の順といわれています。

しかし、これは必ずしも正解ではありません。床や壁の材質や厚みによって音漏れの具合は変わってきます。

鉄筋コンクリートのマンションは、床の構造体にコンクリートを使用。
部屋を区切る戸境壁には、コンクリートや乾式遮音壁(石膏ボードでグラスウールをサンドイッチしている壁)を採用しています。
乾式遮音壁は従来、遮音性に劣るといわれていましたが、現代の乾式遮音壁は厚さ200mmのコンクリートと同等の遮音性が認められています。

一方、鉄骨造りの住居では、床にコンクリートやALCパネル(軽量気泡コンクリートの板)を採用しています。
ALCパネルは薄い壁でも遮音性が高いのが特徴で、高層ビルの素材としても用いられています。

ただし乾式遮音壁とALCパネルは、施行するのに高い技術が必要で、専門業者のレベルによって遮音性に大きなバラつきがあります。そのため、床や壁にどの素材を採用しているかだけでは、一概に判断つかないのが現状です。

したがって内覧の際に、話し声や足音など、ひとつひとつの響きをチェックすることが大切です。隣戸の生活音が漏れ聞こえてくる部屋はないか、注意しましょう。

POINT

    • 「RC造だから静か」とはいえない
    • 「乾式遮音壁やALCパネルだから、遮音性が低い」とはいえない
    • 内覧で実際の聞こえをチェックすることが大切!

会話やテレビの音漏れは壁構造をチェック

人の話し声やTV・オーディオ類といった空気伝搬音が漏れてくる場合、原因のほとんどは壁にあります。

成人の声のボリュームである約55dBの音を防ぐためには、コンクリートの戸境壁で150~180mmの厚みが必要です。
乾式遮音壁の場合は、遮音等級D-55以上、特級クラスと呼ばれる品質のものが望ましいでしょう。

なお壁自体の遮音性が高くても、柱、床、天井などの取り合いに隙間があれば、そこから音漏れする場合があります。
物件によっては、地震対策のため、壁と柱の間にわざとスリットを設けていることも。こうしたスリットも音漏れの原因になります。

戸境壁とスリットの図解。地震対策のために戸境壁にあえてスリットを設ける場合があるが、音漏れの原因になりやすい。

戸境壁とスリットの図解。地震対策のために戸境壁にあえてスリットを設ける場合があるが、音漏れの原因になりやすい。

戸境壁にコンセントやスイッチが付いている物件も避けた方が無難。
コンセントを埋め込んだ分、壁が薄くなっており、音が通りやすくなっている可能性があります。

また戸境壁の内装仕上げも確認が必要です。
コンクリートの上に石膏ボードを張り、表面をクロスで仕上げるGL工法は、コンクリートと石膏ボードのわずかな隙間で音が共鳴して増幅する太鼓現象が起きることもあります。
戸境壁がコンクリートの場合、それに直接クロスや塗装で仕上げている方が、音は響きにくいでしょう。

乾式遮音壁は、直接仕上げがふつうですから、太鼓現象の心配はありません。
ALCパネルの場合、直接クロスを貼ってもすぐ剥がれてしまうため、必然的に二重仕上げとなっています。
この場合木下地を組んで100mm程度の空間を設け、空気層をつくる「ふかし仕上げ」を採用している物件であれば、太鼓現象は防げます。

POINT

    • 戸境壁にスリットやコンセントがあると、音漏れの原因になる
    • 戸境壁のコンクリート厚は150mm~180mm以上、内装は直接仕上げが望ましい
    • 乾式遮音壁の場合、遮音等級D-55以上
    • ALCパネルの場合、内装は「ふかし仕上げ」が望ましい

足音を軽減するカギは床構造の違い

マンションのフローリングの写真。人が歩くときの足音(重量衝撃音)や、カトラリー類を落としたときの音(軽量衝撃音)は、床のコンクリート厚や床材によって軽減できる

人が歩くときの足音(重量衝撃音)や、カトラリー類を落としたときの音(軽量衝撃音)は、床のコンクリート厚や床材によって軽減できる

ナイフやフォークなどを落としたときの軽量衝撃音(「カツン」という音。こうした音をどれだけ防げるかを示す等級をLLといいます)や、人が歩くときの重量衝撃音(「ドスン」という音。こうした音をどれだけ防げるかを示す等級をLHといいます)は下の階に響きやすい音です。こういった音は、床の構造次第で軽減できる可能性があります。

軽量衝撃音は、フローリングやカーペットなどの床材によって軽減できます。遮音性に優れているのは、カーペットや畳ですが、デザイン的にはフローリングが人気ですね。そこで近年のマンションは、多くが遮音フローリング(遮音等級LL-45~-40)を採用しています。

重量衝撃音は、コンクリートスラブの厚みによって、遮音性が大きく左右します。
大人が静かに歩く足音はスラブ厚180mm程度でもほとんど気になりませんが、子どもが走り回って遊ぶ足音は200mm以上は必要です。

また二重床の方が直床より防音性能に優れているという意見がありますが、二重床は将来の間取り変更がしやすいという理由で採用されるので、遮音性が向上するとは限りません。むしろスラブと仕上げの床の間に空間があることで太鼓現象が起きやすくなります。
したがってスラブと仕上げの床の間に100mm程度の空気層をつくったり、スラブの上にグラスウールなどの緩衝材とを入れる「浮床」工法を採用したり、工夫が必要です。

POINT

    • 床材はカーペット・畳・遮音フローリングが望ましい
    • コンクリートスラブの厚みは200mm以上が目安
    • 二重床は太鼓現象が起きやすい。空気層を設ける・浮床工法等の工夫が必須

屋外からの騒音は窓サッシでキャッチ

窓から入ってくる車や電車、通行人などの喧騒の防音は、窓サッシの防音性能が鍵

窓から入ってくる車や電車、通行人などの喧騒の防音は、窓サッシの防音性能が鍵

窓から入ってくる車や電車、通行人などの音は、サッシの隙間から入ってくることがあります。特に道路や線路が近くにあるマンションは、防音性能にすぐれた窓サッシが必須です。

駅近・街中の場合は遮音等級T-1以上幹線道路や線路沿いはT-2以上のグレードの窓サッシがおすすめ。楽器の演奏やペットの鳴き声が心配という場合もT-2以上を選びましょう。

また窓ガラス自体が防音仕様の場合もあります。
レギュラータイプの窓ガラスは3mm厚の単板ですが、防音仕様の場合は5mm厚・8mm厚、あるいは二枚のガラスの間に緩衝材を挟んだタイプなどがあります。
ただし防音ガラスも、サッシの気密性が高くなければ、ほとんど意味がありません

よく複層ガラスは単板より防音性能に優れているという話がありますが、実は複層ガラスは結露の防止を目的としており、遮音性は考慮されていません
むしろ二枚のガラスが反響して、低音は大きく聞こえることがあります。とくに車や電車の走行音を気にする場合は、避けた方がよいでしょう。

POINT

    • 駅近・街中のマンションは、遮音等級T-1以上の窓サッシが望ましい
    • 道路・線路沿いのマンションは、遮音等級T-2以上の窓サッシが望ましい
    • 複層ガラスは低音が響きやすく、遮音性に優れているとは言えない

立地や周辺環境も騒音の原因に

静かな環境を望むなら、幹線道路や線路が目の前にあるマンションは避けた方が賢明

静かな環境を望むなら、幹線道路や線路が目の前にあるマンションは避けた方が賢明

大型車両が通る幹線道路や線路沿いのマンションは、いくら壁を厚くしたリ、防音サッシを設置したりしても、無音とはいきません。
騒音が気になるようなら、幹線道路や線路が目の前にあるマンションは避けた方が賢明です。

また通行人の声や近隣のコンビニやスーパーの音が多い環境がストレスになる場合もあります。
どんな音を不快に感じるかを考えた上で、物件を探すほうが良いでしょう。

ただし繁華街に近い物件は外の喧騒をシャットアウトする必要から防音設備が充実しているケースが多く、かえって室内は静かだという場合も往々にしてあるので、内覧の際に実際の音の聞こえの確認が大切です。

POINT

    • 幹線道路や線路沿いのマンションは、厚い壁や遮音サッシでも完全な防音は難しい

居室の間取りにワンクッション

キッチンやバスルームで水をつかうと、給排水管を流れる水音が聞こえることがあります。水音が頻繁に気になる場合は、各住戸の間取りに注意しましょう。
とくに寝室と水回りが隣接している間取りは、お隣がキッチンやバスルームで水を使う音で目が覚めてしまう、といった心配があります。

具体的には、居室と水回りエリアの間に収納スペースを挟む間取りが理想的。洋服や布団など、中に仕舞っているモノが音を吸収して、その奥に位置する居室までは音が届きません。

また水回り同士が隣り合うような間取りも良いでしょう。トイレやバスルームは使うとき以外は立ち入ることが無いため、音の緩衝地帯になります。

POINT

    • 居室と水回りの間に収納を挟む間取りは、荷物が音を吸収してくれてGood
    • 水回り同士が隣り合う間取りも、居室まで音が届きにくくGood

住戸配置や階数は目的別に選ぶ

音の出る空間と静かな空間が遠いほど、騒音リスクが減少します。
上階の足音が気になる場合は、上に住戸がない最上階人の声やTVの音などを避けたい場合は、片側に住戸がない角部屋がおすすめです。

また子どもの足音など、下階の住人との騒音トラブルを避けたい場合は、地上階が安心。
楽器の音などが心配な場合は角部屋を選び、住戸が接していない側で楽しむことをおすすめします。

POINT

    • 最上階なら足音が聞こえることはない
    • 角部屋は話し声やTV・楽器の音が聞こえる心配も半減
    • 子どもの足音がトラブルになるのを避けたいなら、地上階がおすすめ

管理規約から分かる「音事情」

住心地のよいマンションを決める際には、管理規約を事前に確認しましょう。ペット禁止や楽器演奏不可といった内容が管理規約に含まれている場合、そのマンションの静かさを推し量れます。
また床材は遮音等級LL-45の遮音フローリングを使うことが決まっていれば、マンションの音のトラブルへの厳しさを察せます。
楽器を演奏したい場合は、楽器に制限がないか、演奏時間帯の決まりはないか、といった点も確認しましょう。

また過去に騒音トラブルはあったか、それはどんな内容かも確認しておきたいところ。
さらに住民のモラルを知るため、駐車場・駐輪場・ゴミ置場などの共用部の使用状況も内覧で見ておきましょう。マナーが良くない物件は、音に関するルールも守られていない可能性があります。

POINT

    • 静かな環境を望むなら「ペット・楽器禁止」「遮音床材の使用」のマンションがおすすめ
    • 住民の生活マナーも内覧でチェック

住民層でマンション内のムードが決まる

マンション内には、子育て中のご家庭や単身世帯、セカンドライフ世代のご夫婦など、さまざまな価値観の人たちが生活しています。そのため、ときには生活スタイルの違いからトラブルが起きる場合があります。

住民同士がお互いに気兼ねせず暮らしていくためには、事前にマンションに住む人達にどのような層が多いのかを確認しましょう。より静かな環境を望む場合、単身世帯やDINKS、セカンドライフ世代が多いマンションが良いでしょう。

また子育て中の家庭には、同じ状況にいる家庭の多いマンション、ペットと暮らしている家庭には、ペットに寛容な雰囲気のマンションがおすすめ。自分のライフスタイルに合わせた選択が、トラブルを回避するコツです。

POINT

    • 住民層のライフスタイルが自分と近いマンションはトラブルになりにくい

 

騒音と一口にいっても、壁から漏れ聞こえてくる人の会話やTV音声、上階から響いてくる足音、窓の外の喧騒と、原因はさまざま。
快適な住環境のためには、壁や床、窓と、一つひとつ内覧や不動産会社を通じてチェックしましょう。

ひかリノベで中古マンションを探す際は、壁や床といった構造上の懸念点や間取り、管理規約など、担当コーディネーターがご希望に応じて調査しますので、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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【執筆】堀田 隆大(ライター)
【監修】 三部 浩一(宅地建物取引士)

 

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