「省エネ住宅」とは? 家計にも健康にも優しいエコな家


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世界中でエネルギー問題が深刻化していますが、資源に乏しく、大部分を輸入に頼っている日本では、特に省エネルギーの必要性が高まっています。

また、わたしたちが使うエネルギーを生み出すために、化石燃料(石油や石炭など)を大量に使用すると二酸化炭素(CO2)の排出量も増え、地球温暖化の進行につながります。
2015年12月に締結された「パリ協定」において、日本は2030年までに温室効果ガスの排出量を26%削減(2013年度比)しなくてはなりません。
そのような状況下で、省エネ住宅への注目がこれまでになく高まっています。国も、省エネ住宅の普及に力を入れています。

ただ、「省エネ住宅」とはどんな住宅なのか、具体的なことを理解している方は、意外と少ないのではないでしょうか?
省エネ住宅は、地球環境にやさしいだけではなく、みなさんの日々の暮らしにもたくさんの利益をもたらしてくれます。
今回は、省エネ住宅のつくり方を一緒に学びましょう。

家計にも健康にも優しい省エネ住宅

省エネ住宅とは、すぐれた断熱性能・気密性能・日射遮蔽性能により、冷暖房効率を高め、エネルギー消費量を抑えた住宅。冷房や暖房を強くしなくても、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせる家です。

省エネ住宅は住環境として快適であることはもちろん、他にもさまざまな面でわたしたちの暮らしを豊かにしてくれます。省エネ住宅の主なメリットを3つ、ご紹介しましょう。

光熱費を抑制できる

断熱性を高めると空調の効きが良くなり、より少ないエネルギーで冷暖房することが可能になります。
また、効率のよい設備機器を導入することでもエネルギー消費量は少なくなります。

エネルギー消費量が少ないということは、光熱費も安くなるということ。
断熱材や高性能な窓を使うぶんイニシャルコストはかかりますが、光熱費の削減分で十分にカバーできます。

補助金や税制優遇が受けられる

省エネ住宅の建築を支援する補助金や助成制度が数多く実施されています。リフォーム・リノベーションに使える制度もたくさん。2019年度に実施される主な補助金や助成制度には、次のようなものがあります。

また、省エネ性は所得税、固定資産税の控除などを受けるための条件のひとつにもなっています。

省エネ基準以上の性能になる省エネリフォームをすると、対象となる工事費用の10%が所得税から控除されます(投資型減税の場合。ローン型減税はローン年末残高の2%を5年間控除)。

消費税増税で拡大される贈与税の非課税枠も、省エネ性の高い住宅は3000万円(一般的な住宅は2500万円)となります。

健康にいい

冬、暖かいリビングから寒い廊下を通って、同じように寒い脱衣所で服を脱ぎ、熱いお風呂に入ると、短時間で血圧が大きく上下します。
最悪の場合、失神してしまい、溺れて命を失う恐れもあるのです。これを「ヒートショック」と呼び、特に高齢になるほどヒートショックのリスクが高まります。

消費者庁「冬季に多発する入浴中の事故に御注意ください!」

出典:消費者庁「冬季に多発する入浴中の事故に御注意ください!」 (https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/pdf/caution_009_181121_0001.pdf

断熱性を高めると、住宅内の温度差が小さくなって血圧が安定するので、ヒートショックが発生しにくくなります。
今や国民病ともいわれる高血圧の改善にもつながるとの研究結果も出ています。

国土交通省「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?調査結果から得られつつある「新たな知見」について報告します~断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)~」

出典:国土交通省「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?調査結果から得られつつある「新たな知見」について報告します~断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)~」 (http://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000198.html

健康になれば医療費の負担も減るので、経済的なメリットも得られますね。
ちなみに、このようなエネルギー消費以外のメリットを「NEB(ノン・エナジー・ベネフィット)」と呼びます。

省エネ住宅の認定基準

省エネ住宅とひとくちに言っても、さまざまな基準や定義が存在しています。
まずは、代表的なものを知っておきましょう。

省エネ基準

日本の省エネ住宅の基本となる基準。2020年にはすべての住宅がこの基準に適合するよう義務化される予定だったが、見送りとなり、いままでどおり努力義務に留まることになった。
また、「グリーン投資減税(所得税、固定資産税の優遇)」の適用基準にもなっている。

2017年に基準の一部見直しが行われた(H28基準)が、基本的には従来のH25基準、H11基準(次世代省エネ基準)を踏襲した内容となっている。

低炭素住宅

省エネ基準から10%、エネルギー消費量を削減した住宅のこと。加えてHEMS、節水、木造、緑化のうち2つ以上を満たすことで、行政から認定を受ける。
低炭素住宅と認定されると、「地域型住宅グリーン化事業」「住宅ローン減税(投資型減税)」「フラット35S(金利Aプラン)」といった補助金・減税制度を利用できる。

※都市計画法上の“市街化区域”などにある住宅でなければ認定は受けられない。

ZEH(ゼッチ、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

太陽光発電などの創エネ機器を備え、発電量≧消費エネルギー量となる住宅(エネルギー削減率100%以上)。認定には、省エネ基準よりも高い断熱性が求められる(強化外皮基準)。
ZEHと認定されると、「ZEH支援事業」「ZEH+実証事業」「ZEH+R強化事業」「次世代住宅ポイント事業」「地域型住宅グリーン化事業」といった補助金・減税制度を利用できる。

マンション版の基準「ZEH-M」もスタート。またエネルギー削減率75%以上100%未満の「Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)」と呼ばれる基準もある。

LCCM住宅(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅)

エネルギー消費量(CO2排出量)を減らし、建材の製造や、住宅の建設・解体の過程で出るCO2との収支をゼロ以下にする住宅。
LCCM住宅と認定されると、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2型)」による補助金を受けることができる。

※今のところ、戸建住宅のみが対象。

省エネ性は「UA値」「一次エネルギー消費量」でチェック

「UA値」「一次エネルギー消費量」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 省エネ住宅の話をするとき、必ずと言っていいほど出てくる言葉です。

UA値は、「外皮平均熱貫流率」と言って、断熱性能を表す単位です。
この数値が小さいほど熱が伝わりにくく、断熱性が高いということになります。
ちなみに、H28省エネ基準では東京都の場合、UA値の基準値は0.87になります。

※かつては「Q値(熱損失係数)」という単位が主に使われており、今でもQ値で断熱性を表すこともあります。Q値とUA値は、算出法に違いはありますが、数値が小さい=断熱性が高いことを表すのは同じです。

一次エネルギー消費量は、電気やガスなどの消費量を、石油・石炭や原子力、水力、太陽光などの資源に換算したものです。単位は熱量を表すJ(ジュール)。
設備機器のエネルギー消費量は、一次エネルギー消費量として表されます。

省エネの基本は断熱

住宅の中でエネルギーを使うものとしては、冷暖房や給湯、照明、生活家電などがあげられます。
特に冷暖房は、家庭のエネルギー消費の約3割を占めており、多くのエネルギーを消費しています。

環境省「エネルギー白書2018」

出典:環境省「エネルギー白書2018」 (https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2018html/2-1-2.html

冷暖房の効きをよくし、使うエネルギーの量を減らすカギになるのが、断熱性です。
断熱性を高めることはつまり、熱が伝わりにくくすること。
冬は暖房で暖めた室内の空気が冷えないようにし、夏は外の熱が室内に伝わるのを防ぎます。

断熱性を理解するには、魔法瓶を想像するのがいいかもしれません。
熱いお湯を魔法瓶に入れておけば、冬の屋外でも温度が保たれます。逆に、氷水を入れても、氷はなかなか溶けません。
これは、魔法瓶が熱を伝えにくい(=断熱性が高い)構造になっているからです。

住宅も、魔法瓶のように断熱性を高めると、室温が変化しにくくなるので、エアコンなどで一気に温度を上げる、あるいは下げる必要がなくなります。また、エアコン自体の出力や台数も少なくてすみます。

住宅全体を、6畳用のエアコン1台で空調する――そんなこともできたりするのです。

断熱材、どれを選ぶ?

断熱性を高めるには、まず壁や床・基礎、天井・屋根などに断熱材を施工することが必要。グラスウール、セルロースファイバー、ウレタンフォーム…さまざまな断熱材があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
肝心の断熱性も大切ですが、住宅の構造や使う部位、予算なども考え、専門家(リフォームの場合は、設計担当)と相談しながら選びましょう。

また、断熱と同時に気を付けたいのが、気密性です。
壁などにすき間がたくさんあると、そこから室内の熱が逃げたり、屋外から熱が入りやすくなってしまうので、冷暖房の効きが悪くなってしまいます。
そのうえ、大きな温度差が発生してしまうので、内部で結露が発生しやすくなります。カビが生えたり、木造なら柱や梁が腐る原因にもなりかねません。

マンションはもともと気密性が高いので、神経質になる必要はありませんが、断熱のポイントとして、ぜひ覚えておいてください。

開口部の高性能化はマスト

開口部(窓や玄関ドア)は、もっとも重要なポイントです。
住宅の中で、最も熱の出入り多いのが開口部で、屋内から逃げる熱、屋外から入ってくる熱の5割から7割は開口部経由だと言われています。

「断熱リフォームをしたいけど、予算に余裕がない……」そんな方は、まず開口部の性能向上を優先しましょう。

窓は、複層ガラスLow-Eガラス(複層ガラスの内側に特殊な膜を張り、より熱を伝えにくくしたもの)を使ったり、樹脂や木など熱が伝わりにくいサッシを使うことで断熱性を高めることができます。
玄関ドアも、断熱性の高いものに交換するのがベストです。

ただし、樹脂や木のサッシは防火の観点から使えない地域があったり、マンションの場合は管理規約でサッシの交換ができないことも。
その場合、室内側に取り付ける内窓(インナーサッシ)などを使うという手もあります。短時間で施工できるので、住みながらリフォームするという場合にもおすすめです。

経済産業省 資源エネルギー庁「家庭向け省エネ関連情報 省エネ住宅 省エネルギー住宅を建てるには」

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「家庭向け省エネ関連情報 省エネ住宅 省エネルギー住宅を建てるには」 (https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index02.htmll)

季節に合った日射対策を

夏、強い日差しが窓から入ってくると、室内の温度が上昇してしまいます。
Low-Eガラスならいくらかは防げますが、窓そのものだけで完全に日射の影響を遮ることは困難です。
また、冬は夏とは逆で、できるだけ日射を取り込むことが省エネにつながります。
夏は日射を遮蔽し、冬は日射を利用できるようなつくりにすることが大切です。

戸建住宅なら、軒の出(庇)を深くすることも有効です。
軒を出せるだけのスペースがないときは、マンションなら外付けのシェードやブラインドを利用し、日差しの強さに合わせて開け閉めしましょう。
昔ながらのすだれを窓にかけておくのもいいでしょう。

設備機器は最新のものに

いくら高断熱といっても、最低限の冷暖房機器は必要ですよね。
また、お風呂やキッチンでの家事に欠かせない給湯も、たくさんのエネルギーを使います。どうやったら省エネになるのでしょうか?

その答えは「最新の機器を選ぶ」ことです。

エアコンにしても給湯機にしても、年々省エネ化が進んでおり、新しい機種ほど効率がよくなっています。
例えば、エアコンのエネルギー消費効率(APF)の推移を見てみましょう。新しい機種ほど効率がよくなっているのがわかりますね。

環境省「省エネ性能カタログ 2017年度冬版」

出典:環境省「省エネ性能カタログ 2017年度冬版」 (https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/pdf/winter2017.pdf

リフォーム・リノベーションのタイミングで設備を交換したり、家電を買い替えたりする方も多いと思いますが、あまり難しく考えることはありません。その時の最新機種を選べばいいでしょう。

エコキュート、エコジョーズ…給湯は?

設備機器選びのポイントをあげるなら、エネルギー消費量の多い給湯器は慎重に選びたいところです。
今なら、エコキュート、エコジョーズ、ハイブリッド式などの高効率タイプの給湯器がおすすめです。

エコキュート

空気中の二酸化炭素を利用するヒートポンプを使った給湯器。電気で動作する。料金の安い深夜電力を使うことで、光熱費を抑えられる。床暖房などに対応したタイプもある。

エコジョーズ

ガスを燃やして一度水を温め、さらにその排熱を利用してお湯を沸かす。瞬間式なので、いつでもお湯が使える。小型でスペースに余裕のないところにも取り付けやすい。

ハイブリッド式(エコワン)

電気、ガスを両方使用するタイプ。使用するお湯の量に応じて、タンク内のお湯のみを出したり、ガスで沸かしたお湯を加えたりしてより効率的な給湯を実現する。

給湯器自体の効率はいいのに越したことはありませんが、お湯をどのように使うのか、オール電化にするのかガスも使うのか、給湯器を置くスペースがどれぐらいなのか――ご自身のライフスタイルや環境に合わせて選びましょう。

省エネ住宅は、地球環境にも、住まい手であるわたしたちにも優しい存在。
おしゃれなインテリアもいいですが、理想の暮らしを支える性能にも目を向けてみませんか?

 

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