お部屋に一歩足を踏み入れたら、パッと視界に広がる天井。
よく晴れた空が景色を明るくみせるように、美しくデザインされた天井はお部屋の印象をグレードアップしてくれます。
高い天井は空間を広くみせてくれますし、個性的な色柄の天井であれば、お部屋へのインパクトを与えてくれます。
そして、家族の健康に気をつけたいという場合には、素材選びもこだわってみましょう。「調湿効果が高い」「お掃除が簡単」など、それぞれの特徴を理解することで、安心で住みやすい部屋づくりが可能になります。
今回の記事では、そんな天井リノベーションで理想の部屋をつくるコツを大解説!
理想的な天上高、素材ごとの特徴、工事費用の目安といった、リノベーション前に押さえておくべきポイントを総まとめしました。ぜひご参考になさってください。
2017年10月27日初出→2022年7月5日更新
天井リノベーションでこんなに変わる!
天井は室内に足を踏み入れるとすぐ視界に入ります。また面積が大きい分、お部屋の印象を左右しやすいポイントです。さらに、調湿や防アレルギーといったお部屋の性能にも大きく影響します。
- デザインを変えることで、お部屋全体のイメージチェンジになる
- 素材を変えることで、機能性をプラス
- 高さを変えることで、お部屋が広く感じる
比較的簡単な方法として、天井のクロスを違う色柄にするだけでも、お部屋のイメージをがらりと変えることができます。
「うちはマンションだから、天井の高さは変えられない」と思われている方も少なくないようですが、天井裏にスペースがあれば、実は高さを上げ下げすることは難しくありません。
もちろん、戸建ての場合は(耐久性に問題がなければ)天井そのものを取り払い、吹き抜けにすることも可能です。
デザインの考え方
家の間取りはそのままでも、天井の色が変わると、お部屋が広くみえるようになるというのをご存知ですか?
白っぽい色、淡い色は膨張色といわれます。またお部屋の天井には通常、照明を設置しますね。白い色はその明かりが反射しやすいため、光の効果で天井がより広く、高く感じられるのです。
また、規則的に並んだ細かい模様も、目の錯覚効果で実際のサイズ以上に天井が広く見えます。
重厚感を演出するなら、白よりも黒やグレー系統のカラーがおすすめ。
開放感よりも落ち着きを重視したいお部屋に適しています。たとえば、寝室には夜をイメージさせる深い色を選ぶと良いでしょう。
なお、天井に使うクロスや塗料を選ぶ際はサンプルをみて決める場合がほとんどですが、このとき自分のイメージよりもワントーン暗めの色を選ぶことがポイントです。
その理由は、天井には照明を設置するため、実際よりも色が明るくみえるため。
とくに白いクロスはインテリアとのコントラストで、より白く浮き上がってみえる場合があります。
実際に施工するカラーは、メーカーやリノベーション業者とよく相談して「貼ったときにイメージ通りになるもの」を選びましょう。
素材の効果
デザインのイメージが湧いたら、次は素材を選んでいきましょう。
素材選びは見た目だけでなく、調質効果や手入れのしやすさといった性能も重要です。
ここでは、素材ごとの長所・短所をまとめました。
クロス
クロスは値段もお手頃で施工も簡単なため、選ばれることが多い素材です。
気軽に扱える素材をお探しの方には、お手入れが楽で色・柄の種類も豊富なビニールクロスがおすすめ。素材感にこだわりたい方には、織物クロスや紙クロスがおすすめです。
①ビニールクロス
ビニールクロスは、デザインの豊富さと価格のお求めやすさから、現在もっとも普及している素材です。
施工も簡単なため工事費用も抑えられますし、お好きな方ならDIYも可能です。
また、最近は防火・防カビ・シックハウス予防といった性能が選べるクロスも登場しています。家族にアレルギーのある方、小さなお子さまがいるご家庭では、こうした機能性素材がおすすめです。
- 価格がリーズナブル
- 施工がカンタン
- お掃除しやすい
- デザインや機能が選べる
ビニールクロスのデメリット
- 化学物質を含んでいる
- 部分補修ができない。キズがついたら張り替えになる
②織物クロス
織物クロス(布クロス)とは、セルロース繊維、綿、絹などでつくったクロスのことです。
自然素材を使いたい・素材感にこだわりたいという方におすすめです。
また、伸縮性があるので破れにくい点もメリットです。
- 自然素材の風合いが楽しめる
- 化学物質をつかっていない
- 破れにくい
織物クロスのデメリット
- 施工に手間がかかる。DIYには不向き
- 汚れが落ちづらい
- 耐火性能が乏しいためキッチンには不向き
- ビニールに比べて高価
③紙クロス
紙クロスは、パルプが原料の紙を原料としたクロスです。
自然素材の風合いが楽しめるうえ、布に比べてデザインが豊富です。
表面を凹凸に加工したり、鮮やかな色・柄の商品も登場したりと選択肢が豊富です。
- 自然素材の風合いが楽しめる
- 化学物質をつかっていない
- デザインが豊富
紙クロスのデメリット
- 施工に手間がかかる。DIYには不向き
- 汚れが落ちづらい
- 擦りキズに弱い
- ビニールに比べて高価
塗装
天井の下地となる石膏ボードや、建物の躯体(コンクリートスラブ)に直接塗料を塗って仕上げることもできます。あるいは、クロスの上から塗装することも可能です。
漆喰や珪藻土といった粘りのある素材なら、塗り方で模様をつけることもできます。
一方、施工が手軽なのはやはりペンキ。DIYをやってみたいという方にもおすすめです。
④漆喰
漆喰は日本の伝統的な塗壁材で、消石灰に砂と糊とスサなどを混ぜて水で練ったものです。内外壁・塀などにも利用されます。
ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着・分解する働きがあり、健康素材として人気です。
- 調湿性能があり、結露しにくい
- 耐火・抗菌・防汚性能に優れている
- 化学物質をつかっていない
- 汚れたら表面を削れば良い
漆喰のデメリット
- 施工に時間と費用がかかる
- 地震でヒビが入ることがある
⑤珪藻土
珪藻土は藻の化石からつくられた土材です。
耐火性能が高く、日本では古くから七輪やコンロの製作にも使われてきました。また、調湿や消臭性能にも優れています。
調湿性能はピカイチ! ただ、扱いには少々気を遣います。
- 調質性能が非常に高い
- 耐火性に優れている
- 脱臭効果がある
珪藻土のデメリット
- 施工に時間と費用がかかる
- シミになりやすい
- 粉落ちしやすい
- 地震でヒビが入ることがある
⑥ペンキ
ペンキは、材料費も安価で施工も手軽。いまお住まいの天井が一般的なビニールクロスであれば、DIYで上からそのまま塗っても大丈夫です。
ペンキは水性と油性がありますが、シックハウス症候群など健康への影響やにおいの発生を考えると、水性塗料の方がおすすめです。
- 施工がカンタン
- 価格がリーズナブル
ペンキのデメリット
- 粘りがないので、模様がつけられない
- 化学物質を含んでいる
板張り
木材を張り合わせた天井は立体的で、表面に木の表情があります。
自然素材にこだわるなら、無垢材や天然化粧板がおすすめ。
価格のリーズナブルさを求めるなら、プリント合板がおすすめです。
⑦無垢材
無垢材は、切り出した天然木の一枚板です。
木の風合いを楽しむなら、なんといっても無垢材が一番!
木肌が呼吸するため調湿性能に優れており、天然木の香りには気持ちをリラックスさせてくれる効果もあります。
- 天然木の風合いが楽しめる
- 調湿性能があり、結露しにくい
- 断熱性能が高い
無垢材のデメリット
- キズつきやすい
- 湿度や気温の変化で曲がったり、歪んだりする
- 合板に比べて高価
⑧天然木化粧板
天然木化粧板とは、美しい木目の天然木を薄く削り、合板の木材の表面に貼り付けたものです。天然木の風合いをリーズナブルに楽しめるのが魅力。中身は合板なので、無垢材に起きやすい割れ・歪みの心配がありません。
- 天然木の風合いが楽しめる
- 無垢材に比べて割れ・歪みが起きづらい
天然木化粧板のデメリット
- キズつきやすい
- 表面が剥がれやすい
⑨プリント合板
プリント合板とは、木目を印刷したシートを合板の木材の表面に貼り付けたものです。
手頃な価格で木目調の天井を楽しむことができます。
和室の天井に使用されることも多い素材です。最近では、天然木と見分けがつかないほど美しい仕上げのプリント合板も増えてきています。
- 価格がリーズナブル
- 施工がカンタン
- お掃除しやすい
プリント合板のデメリット
- 商品によっては安っぽく見えてしまう
あらわし天井
あえて仕上げを施さず、躯体をデザインとしてみせる天井です。
天井裏をつくらないため、電気配線やダクト配管もむき出しになりますが、ラフな素材感とデザインが、最近では人気を集めています。
⑩コンクリートあらわし
コンクリートあらわし(スケルトン天井)とは、コンクリート造の建物の躯体(コンクリートスラブ)をあえてむき出しにした仕上げのこと。
「無造作な雰囲気がカッコイイ!」と人気のデザインです。
天井裏をつくらない分、天井高が上がり、お部屋に開放感が生まれます。
- 天井高が上がり、開放感が生まれる
- ワイルドな「味」を楽しめる
あらわし天井のデメリット
- 上階の音が響きやすい
- 外気の影響を受けやすいため、最上階では施工できない
- 照明器具が限られる(埋め込み型は取付できない)
高さを変える
天井裏のスペースを削って高さを出すと、狭苦しかったお部屋に開放感が生まれます。
反対に「梁の凸凹が気になる」「天井が高すぎて冷暖房の効きが悪い」という場合には、天井を低くすることも可能です。
戸建てであれば、1階の天井を取り払って吹き抜けにすることもできます。あるいは屋根裏を利用して、勾配天井(斜めの天井)にするのもオシャレですね。
天井高を上げる
天井裏に空間があれば、そこを削って高さを出すことが可能です。
このように、コンクリートスラブの下に天井があり、天井裏の空間がある仕上げを二重天井といいます。
この空間には断熱材や防音材、配線・配管がしまわれており、この空間を狭くする、あるいはまったく無くしてしまうことで、天井を現在のものより高くできるのです。
天井裏がなく、コンクリートスラブに直接仕上げを施すことを直天井といいます。
直天井はお部屋の天井高を最大にできるというメリットがある一方、断熱材や防音材を仕込むことができないので、上階の足音が響きやすくなります。
とくに最上階のお部屋の場合、外の暑さ・寒さを防ぎにくいというデメリットもあります。建物の構造を支える梁や、配線・配管を通しているところは、そこだけ天井が下がるので、天井に凹凸ができることになります。この梁をどのように処理するかで、お部屋の表情がガラリと変わります。
天井高を下げる
高すぎる天井は、冷暖房の効きが悪くなるおそれがあります。
天井裏に断熱材や防音材を足したい、埋め込み型の照明を取り付けたいという場合には、天井裏のスペースを増やし、天井高を下げることになります。
天井の高さは、もちろん住む方の好みによりますが、標準サイズは2400mmです。これより低くする場合は、家具や住宅設備との兼ね合いを考える必要が出てきます。
たとえば、LDKの天井高を下げる場合、キッチンの換気設備(レンジフード)の高さを考慮して設計しなくてはいけません。
これは、消防法により、レンジフードはコンロから800mm以上離さなくてはいけないと決まっているためです。各メーカーのキッチンとレンジフードの仕様からいうと、天井高は2300mmはキープしたいところ。
勾配天井でロッジ風に
勾配天井とは、天井が斜めになっている天井のこと。傾斜があることでお部屋に立体感が生まれ、空間が広くみえるといったメリットがあります。
箱型の住戸が多いマンションでは勾配天井にすることは難しいですが、戸建ての場合は屋根の形に合わせて勾配をつけることができ、オシャレさを演出できます。
天井が高いところに窓をつければ、やわらかな光を取り入れることもできますね。
注意点として、高いところの窓は掃除の際に足場がないと大変になるため、その点は設計に配慮が必要です。
開放感バツグンの吹き抜け
吹き抜けとは、一階の天井をつくらずに、上階と空間をつなげることです。
マンションは構造体に手を入れることができないため、もともとメゾネットタイプで吹き抜けがあるというケースでなければ、取り入れることは難しくなります。
一方、戸建てなら建物の耐震・耐久性に問題さえなければ自由がききます。天井の高さが倍になるので、開放感は抜群です。さらに、上階にいる家族の気配も感じることができ、お子さまがいるご家庭にもおすすめです。
また、床の面積が減る分、容積率に制限がある地域では吹き抜け空間をつくることによって、建坪を増やしたり、ひとつ階を増やしたりすることができます。
ただし、天井がグーンと高くなる分、冷暖房にパワーが必要になります。一階の音が上まで響きやすいため、「書斎や寝室で静かに過ごしたい」というような方には向かないでしょう。
費用と工事期間の目安
ここまでは、天井リノベーションでお部屋をもっと素敵に、過ごしやすく変身させるアイデアをご紹介してきました。ここからは実際に、リフォームやリノベーション工事をするための費用や段取りについて確認していきましょう。
リノベーション費用のめやす
天井リフォームやリノベーションと一口にいっても、新しいクロスを貼る、塗装するといった工事と、天井を解体して高さを変える工事では価格も大きく変わってきます。
例えば、ベーシックなグレードのクロスを使ったケース。
12畳の部屋の天井一面を張り替えた場合には、材料費と施工費でおよそ6万円~。内装材のグレードが上がれば、比例して価格も変わります。
面積にもよりますが、クロス仕上げに比べると塗料のほうが高額になりやすい傾向にあります。ただし天井の張り替えと同時に、壁紙や床のフローリング施工も実施したいと考えている方も多いでしょう。その場合は工事の箇所が増える分、さらに費用は上乗せになります。
天井高を変える場合、既存の天井の構造や躯体のコンディションによっても価格は変化します。雨漏りがみつかるなど、予想していなかった劣化が発見された場合には、補修費用も別途必要です。
このように、リフォームやリノベーションの価格はもとの状態や素材のグレードなど、不確定な要素が多いこともあり、正確な費用についてはプロに見積もりをとるのが確かです。
その際は「天井高を上げたい」「珪藻土を塗装したい」というように、やりたいことを明確に伝えることが大切。行き違いがあっては大変ですし、現地調査で「こちらの天井は直天井ですね。これでは天井高は上げられません」というように、できること・できないことをあらかじめ調べやすくなります。
工期はどれくらい?
工事にかかる時間も、リノベーションの内容や工程によって異なります。
先ほどと同じ、20㎡(12畳)の場合、クロス張替えであれば、1~2日ほどで完了します。塗装の場合は、3~4日はみておくとよいでしょう。(ただし広さ、塗料によって異なる)
天井高の変更は、元の状態が良好だったとして、1週間程度。
工事期間は、既存の天井のコンディションによって前後します。
よくあるのは、経年変化により「もとのクロスがなかなか剥がれない」「電気配線の傷みがひどい」といったケース。
場合によって追加工事を検討することになるため、とくに築年数が古いお宅では気に留めておきましょう。
見積もりのとき、「うちは築30年になるんですが、追加で直すところが出てくることはありますか?」とあらかじめ確認しておくと安心です。
DIYに挑戦したい方に
DIYがお好きな方なら、クロス張替えやペンキ塗装といった作業は自分でやってみるのも楽しいですね。
DIYは「誰でも手軽にできて、工事費用が節約できる」と人気が高まっています。
しかし、天井のリフォーム・リノベーションの場合、高いところの作業になるので危険をともなう可能性も高くなり、美しく仕上げるには技術も必要。また、広い面積を施工するために専用の工具を購入したり、安定して作業をおこなうために足場を用意する必要も出てきます。
そのため、天井のDIYは初心者にはおすすめできません。
「DIYに挑戦してみたい!」という方は、まずは小さめの部屋の壁の塗装や簡単な家具造作からはじめ、天井リノベーションはDIYそのものに慣れてからチャレンジしていきましょう。
また、DIY上級者の方も注意していただきたいのが、電気配線と火災報知器の設置です。
電気配線は、電気工事士の資格がなければおこなってはいけないと法律で決まっています。電気配線を動かすときは、必ず専門業者を呼ぶようお願いいたします。
火災報知器は、寝室と寝室があるフロアの階段のほか、条例で所定の場所に必ず取り付けなくてはいけません。DIYに取り掛かる前に、お住まいの市町村の消防署(都内在住の方は東京消防庁)で設置場所をご確認ください。
DIYで美しい仕上がりを目指すには、施工のコツや工具の扱いについての情報収集が大切です。
DIY雑誌やWebサイトを参考に、楽しみながら世界にたったひとつのお部屋をつくっていきましょう!
日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会HP。材料・道具・目的別にDIYのコツを紹介したり、全国のホームセンターの店舗情報を調べられたりと、すぐに使える情報が満載!
DIY情報誌ドゥーパ! 大規模DIYからちょっとした住まいの補修まで、幅広い事例やDIYテクニックを紹介。
お部屋に開放感を与えたり、機能性をプラスしたりと、さまざまな効果が得られる天井リノベーション。お部屋に占める面積が大きいだけに、天井は家の中でも非常に重要なパーツです。
「リビングを広く見せたい」「子ども部屋の天井はアレルギーやシックハウスの心配のない素材をつかいたい」そんな家族の生活や好みに合わせて、より過ごしやすいお部屋を天井から作っていきましょう。
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