
お部屋に一歩足を踏み入れたら、パッと視界に広がる天井。
よく晴れた空が景色を明るく見せるように、美しくデザインされた天井はお部屋の印象をグッとアップしてくれます。
高い天井は空間を広く見せてくれますし、個性的な色柄の天井は、お部屋の中に占める面積が大きい分インパクトが強いのです。
そして、家族の健康に気をつけたい場合はぜひ、素材選びもこだわって。調湿効果が高い、お掃除がカンタンなどなど、それぞれの特徴を理解することで、安心で住みやすい部屋づくりが可能になります。
この記事では、そんな天井リノベーションで理想の部屋をつくるコツを大解説!
理想的な天上高、素材ごとの特徴、工事費用の目安といった、リノベーション前に押さえておくべきポイントを総まとめしました!
1.天井リノベーションでこんなに変わる!
2.デザインの考え方
3.素材の効果
4.高さを変える
5.費用と工事期間の目安
6.DIYに挑戦したい方に
1.天井リノベーションでこんなに変わる!
天井は室内に足を踏み入れるとすぐ視界に入り、また面積が大きい分、お部屋の印象を左右しやすいポイントです。さらに、調湿や防アレルギーとったお部屋の性能にも大きな影響があります。
- デザインを変えることで、お部屋全体のイメージチェンジになる
- 素材を変えることで、機能性をプラス
- 高さを変えることで、お部屋が広く感じる
比較的かんたんな方法では、天井のクロスを違う色柄にするだけでも、お部屋のイメージはずいぶん変わります。
また、「うちはマンションだから、天井の高さは変えられない」と思われている方は少なくないようです。しかし、天井裏にスペースがあれば、高さを上げ下げすることは難しくありません。
もちろん、戸建ての場合は(耐久性に問題がなければ)天井そのものを取り払い、吹き抜けにすることも可能です。
2.デザインの考え方
家の間取りはそのままでも、天井の色が変わるとお部屋が広く見えるということはご存知ですか?
白っぽい色、淡い色は膨張色といわれます。また、お部屋の天井には通常、照明を設置しますね。白い色はその明かりが反射しやすいので、光の効果で天井がより広く、高く感じられるのです。

白を基調とした空間は広々と見える(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0013/より)
また、規則的に並んだ細かい模様も、目の錯覚効果で実際以上に天井が広く見えます。

板目のラインで「面の広がり」を感じさせる(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0030/より)
重厚感を演出するなら、白よりも黒やグレー系統のカラー。
開放感よりも落ち着きを重視したいお部屋、たとえば寝室には、夜をイメージさせる深い色がオススメです。

落ち着いた色味が安眠を誘う(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0001/より)
なお、天井に使うクロスや塗料を選ぶ際はサンプルを見て決める場合がほとんどですが、このとき自分のイメージよりもワントーン暗めの色を選ぶことがポイントです。天井は照明を設置するため、実際よりも色が明るく見えるためです。とくに白いクロスは、インテリアとのコントラストでより白く浮き上がって見える場合があります。
実際に施工するカラーは、メーカーやリノベーション業者とよく相談して、「貼ったときにイメージ通りになるもの」を選びましょう。
3.素材の効果
デザインのイメージがわいたら、次は素材を選んでいきましょう。
素材選びは見た目だけでなく、調質効果や手入れのしやすさといった性能も重要です。
ここでは、素材ごとの長所・短所をまとめていきます。
◆クロス
◆塗装
◆板張り
◆あらわし天井
クロス
クロスは値段もお手頃で、施工もかんたんなので、選ばれることが多い素材です。
気軽に扱える素材をお探しの方には、お手入れカンタンで色・柄も豊富なビニールクロスがオススメ。
素材感にこだわりたい方には、織物クロスや紙クロスがオススメです。
①ビニールクロス

ビニールクロスの施工例(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0004/より)
ビニールクロスは、デザインの豊富さ・価格のお求めやすさから、現在もっとも普及している素材です。
施工もカンタンなので工事費用も抑えられますし、お好きな方ならDIYも可能です。
また、最近は防火・防カビ・シックハウス予防といった性能が選べるクロスも登場しています。家族にアレルギーのある方や、小さなお子さまがいるご家庭では、こうした機能性素材がオススメです。
- 価格がリーズナブル
- 施工がカンタン
- お掃除しやすい
- デザインや機能が選べる
ビニールクロスのデメリット
- 化学物質を含んでいる
- 部分補修ができない。キズがついたら張り替えになる
②織物クロス

出展:豊建素株式会社(http://www.k-yutaka.com/index.php?id=55)
織物クロス(布クロス)とは、セルロース繊維、綿、絹などでつくったクロスのことです。自然素材をつかいたい・素材感にこだわりたいという方にオススメです。
また、伸縮性があるので破れにくい点もメリットです。
- 自然素材の風合いが楽しめる
- 化学物質をつかっていない
- 破れにくい
織物クロスのデメリット
- 施工に手間がかかる。DIYには不向き
- 汚れが落ちづらい
- 耐火性能が乏しいので、キッチンには不向き
- ビニールに比べて高価
③紙クロス

出典:株式会社イケダコーポレーション オガファーザー(https://ougahfaser.jp/)
紙クロスは、パルプが原料の紙を原料としたクロスです。
自然素材の風合いが楽しめるうえ、布に比べてデザイン豊富です。表面を凹凸に加工したり、鮮やかな色・柄の商品も登場しています。
- 自然素材の風合いが楽しめる
- 化学物質をつかっていない
- デザインが豊富
紙クロスのデメリット
- 施工に手間がかかる。DIYには不向き
- 汚れが落ちづらい
- 擦りキズに弱い
- ビニールに比べて高価
塗装
天井の下地となる石膏ボードや、建物の躯体(コンクリートスラブ)に直接、塗料を塗って仕上げることもできます。あるいは、クロスの上から塗装することもできます。
漆喰や珪藻土といった粘りのある素材なら、塗り方で模様をつけることも可能です。
一方、施工が手軽なのはやはりペンキ。DIYにもオススメです。
④漆喰
漆喰は日本の伝統的な塗壁材で、消石灰に砂と糊とスサなどを混ぜて水で練ったものです。内外壁・塀などにも利用されます。
ホルムアルデヒド等の有害物質を吸着・分解するはたらきがあり、健康素材として人気です。
- 調湿性能があり、結露しにくい
- 耐火・抗菌・防汚性能に優れている
- 化学物質をつかっていない
- 汚れたら表面を削れば良い
漆喰のデメリット
- 施工に時間と費用がかかる
- 地震でヒビが入ることがある
⑤珪藻土

出典:武居左官(http://takesuesakan.com/4433/)
珪藻土は藻の化石からつくられた土材です。耐火性能が高く、日本では古くから七輪やコンロの製作にもつかわれてきました。また、調湿や消臭性能にも優れています。
調湿性能はピカイチ! ただ、扱いには少々気を遣います。
- 調質性能が非常に高い
- 耐火性に優れている
- 脱臭効果がある
珪藻土のデメリット
- 施工に時間と費用がかかる
- シミになりやすい
- 粉落ちしやすい
- 地震でヒビが入ることがある
⑥ペンキ

白く塗装した現し天井で開放的に(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_40/より)
ペンキは材料費も安価で、施工も手軽。いまの天井が一般的なビニールクロスなら、DIYで上からそのまま塗っても大丈夫です。
ペンキは水性と油性がありますが、シックハウス等の健康への影響や、においの発生を考えると、水性塗料の方がオススメです。
- 施工がカンタン
- 価格がリーズナブル
ペンキのデメリット
- 粘りがないので、模様がつけられない
- 化学物質を含んでいる
板張り
木材を張り合わせた天井は立体的で、表面に木の表情があります。
自然素材にこだわるなら、無垢材や天然化粧板がオススメ。
価格がリーズナブルなのは、やはりプリント合板です。
⑦無垢材
無垢材は、切り出した天然木の一枚板です。木の風合いを楽しむなら、なんといっても無垢材が一番! 木肌が呼吸するため、調湿性能に優れています。さらに、天然木の香りには気持ちをリラックスさせてくれる効果もあります。
- 天然木の風合いが楽しめる
- 調湿性能があり、結露しにくい
- 断熱性能が高い
無垢材のデメリット
- キズつきやすい
- 湿度や気温の変化で曲がったり、歪んだりする
- 合板に比べて高価
⑧天然木化粧板
天然木化粧板とは、美しい木目の天然木を薄く削って、合板の木材の表面に貼り付けたものです。天然木の風合いをリーズナブルに楽しめるのが魅力。また、中身は合板なので、無垢材に起きやすい割れ・歪みの心配がありません。
- 天然木の風合いが楽しめる
- 無垢材に比べて割れ・歪みが起きづらい
天然木化粧板のデメリット
- キズつきやすい
- 表面が剥がれやすい
⑨プリント合板

出展:南海プライウッド(http://www.nankaiplywood.co.jp/product/j_ceiling/)
プリント合板とは、木目を印刷したシートを合板の木材の表面に貼り付けたものです。お手頃価格で木目調の天井を楽しむことができます。和室の天井につかわれることが多い素材です。
最近では、天然木と見分けがつかないほど美しい仕上げのプリント合板も増えてきています。
- 価格がリーズナブル
- 施工がカンタン
- お掃除しやすい
プリント合板のデメリット
- 商品によっては安っぽく見えてしまう
あらわし天井
あえて仕上げを施さず、躯体をデザインとして見せる天井です。天井裏をつくらないため、電気配線やダクト配管もむき出しになります。
ラフな素材感がいま、人気を集めているデザインです。
⑩コンクリートあらわし

ワイルドな魅力のあらわし天井はいま注目度ナンバーワン(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0029/より)
コンクリートあらわし(スケルトン天井)とは、コンクリート造の建物の躯体(コンクリートスラブ)をあえてむき出しにした仕上げのこと。「無造作な雰囲気がカッコイイ!」と人気のデザインです。
天井裏をつくらない分、天井高が上がり、お部屋に開放感が生まれます。
- 天井高が上がり、開放感が生まれる
- ワイルドな「味」を楽しめる
あらわし天井のデメリット
- 上階の音が響きやすい
- 外気の影響を受けやすいため、最上階では施工できない
- 照明器具が限られる(埋め込み型は取付できない)
4.高さを変える
天井裏のスペースを削って高さを出すと、狭苦しかったお部屋に開放感が生まれます。
反対に、梁の凸凹が気になるとか、天井が高すぎて冷暖房の効きが悪いという場合は、天井を低くすることも可能です。
また、戸建ての場合は1階の天井を取り払って吹き抜けにすることもできます。あるいは屋根裏を利用して、勾配天井(斜めの天井)にするのもオシャレですね。
天井高を上げる
天井裏に空間があれば、そこを削って高さを出すことが可能です。
このように、コンクリートスラブの下に天井があり、天井裏の空間がある仕上げを二重天井といいます。
この空間には断熱材や防音材、配線・配管が仕舞われています。この空間を狭くする、あるいはまったく無くしてしまうことで、天井をいまより高くできるのです。
天井裏がなく、コンクリートスラブに直接仕上げを施すことを直天井といいます。
直天井はお部屋の天井高を最大にできるというメリットがある一方、断熱材や防音材を仕込むことができないので、上階の足音が響きやすい、とくに最上階では外の暑さ・寒さを防ぎにくいというデメリットがあります。また、建物の構造を支える梁や、配線・配管を通しているところは、そこだけ天井が下がるので、天井に凹凸ができることになります。この梁をどのように処理するかで、お部屋の表情もガラリと変わってきます。

アクセントクロスを貼り、梁をデザインとして取り入れる(事例:https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0010/より)
天井高を下げる
高すぎる天井は冷暖房の効きが悪くなるおそれがあります。
また、天井裏に断熱材や防音材を足したい、埋め込み型の照明をつかいたい、という場合には、天井裏のスペースを増やして、天井高を下げることになります。
天井の高さはもちろん住む方の好みによりますが、標準サイズは2400mmです。これより低くする場合は、家具や住宅設備との兼ね合いを考える必要が出てきます。
たとえばLDKの天井高を下げる場合、キッチンの換気設備(レンジフード)の高さを考えなくてはいけません。消防法により、レンジフードはコンロから800mm以上離さなくてはいけないと決まっているためです。各メーカーのキッチンとレンジフードの仕様からいうと、天井高は2300mmはキープしたいところです。
勾配天井でロッジ風に
勾配天井とは、天井が斜めになっている天井のこと。傾斜があることでお部屋に立体感が生まれる、空間が広く見えるといったメリットがあります。
箱型の住戸が多いマンションでは勾配天井にするのは難しいですが、戸建ての場合は屋根の形に合わせて勾配をつけるのもオシャレです。天井が高いところに窓をつければ、やわらかな光を取り入れることができます。
ただし、高いところの窓は掃除が足場がないと掃除が大変になりますので、その点は設計に配慮が必要です。
開放感バツグンの吹き抜け
吹き抜けとは、一階の天井をつくらずに、上階と空間をつなげることです。
マンションは構造体に手を入れられないため、もともとメゾネットタイプで吹き抜けがあるという場合でなければ、取り入れることは難しいですが、戸建てなら建物の耐震・耐久性に問題さえなければ自由がききます。天井の高さが倍になるので、開放感はバツグン! さらに、上階にいる家族の気配も感じることができます。
また、床の面積が減る分、容積率に制限がある地域では吹き抜け空間をつくることによって、建坪を増やしたり、ひとつ階を増やしたりすることができます。
ただし、天井がグーンと高くなる分、冷暖房にパワーが必要です。また一階の音が上まで響きやすいので、「書斎や寝室で静かに過ごしたい」というような方には向きません。

出展:SUVACO(https://suvaco.jp/room/LOTDa6s9Rf)
5.費用と後期のめやす
天井リノベーションでお部屋をもっとステキに・過ごしやすく変身させるさまざまなアイデアを見てきたところで、ここからは実際にリフォームやリノベーション工事をするための費用や段取りについて確認していきましょう。
リノベーション費用のめやす
天井のリフォームやリノベーションと一口にいっても、新しいクロスを貼る、塗装するといった工事と、天井を解体して高さを変える工事では、価格も大きく変わってきます。
ベーシックなグレードのクロスを使った場合で、12畳の部屋の天井一面を張り替えたとすると、材料費と施工費でおよそ6万円~。内装材のグレードが上がれば、比例して価格も変わります。
なお、面積にもよりますが、クロス仕上げに比べ、塗料のほうが高額になりやすいです。
ただし、天井の張り替えと同時に壁紙や、床のフローリング施工も実施する場合が多いでしょう。
また天井高を変える場合、既存の天井の構造や、躯体のコンディションによっても価格は変わります。
雨漏りが見つかるなどした場合は、補修費用も別途必要です。
このように、リフォームやリノベーションの価格はもとの状態や素材のグレードなど、不確定な要素が多いので、正確な費用については見積もりをとるのがやはり確かです。
その際、「天井高を上げたい」「珪藻土を塗装したい」というように、やりたいことは明確に伝えることが大切です。行き違いがあっては大変ですし、現地調査で「こちらの天井は直天井ですね。これでは天井高は上げられません」というように、できること・できないことがあらかじめ分かります。
工期はどれくらい?
工事にかかる時間も、工程によって違ってきます。
先ほどと同じ、20㎡(12畳)の場合、クロス張替えであれば、1~2日。
塗装の場合は3~4日は見ておく必要があります(広さ、塗料によって異なる)
天井高の変更は、もとの状態が良好だったとして、1週間程度です。
工事期間は、既存の天井のコンディションによって前後します。
よくあるケースは、経年変化によってもとのクロスがなかなか剥がれない・電気配線の傷みがひどい等。
場合によっては追加工事を検討することになりますから、とくに築年数が古いお宅では気に留めておきましょう。
見積もりのとき、「うちは築30年になるんですが、追加で直すところが出てくることはありますか?」と必ず確認してください。
DIYで天井をイメチェン!
DIYがお好きな方なら、クロス張替えやペンキ塗装といった作業は自分でやってみるのも楽しいですね。
よくDIYは「誰でも手軽にできて、工事費用が節約できる」といいます。しかし、天井のリフォーム・リノベーションの場合、高いところの作業になるので危険をともないますし、美しく仕上げるには技術も必要です。また、広い面積を施工するために専用の工具を購入したり、安定して作業をおこなうために足場を用意する必要も出てきます。
ですから、天井のDIYは初心者にはオススメできません。「DIYに挑戦してみたい!」という方は、まずは小さめの部屋の壁の塗装や、かんたんな家具造作からはじめて、天井リノベーションはDIYそのものに慣れてからチャレンジしていきましょう。
また、DIY上級者の方も注意していただきたいのが、電気配線と火災報知器の設置です。
電気配線は、電気工事士の資格がなければおこなってはいけないと法律で決まっています。電気配線を動かすときは、必ず専門業者を呼ぶようお願いいたします。
火災報知器は、寝室と寝室があるフロアの階段のほか、条例で所定の場所に必ず取り付けなくてはいけません。DIYに取り掛かる前に、お住まいの市町村の消防署(都内在住の方は東京消防庁)で設置場所をご確認ください。
DIYで美しい仕上がりを目指すには、施工のコツや工具の扱いについての情報収集が大切です。
DIY雑誌やWebサイトを参考に、楽しみながら世界にたったひとつのお部屋をつくっていきましょう!
日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会HP。材料・道具・目的別にDIYのコツを紹介したり、全国のホームセンターの店舗情報を調べられたりと、すぐに使える情報が満載!
DIY情報誌ドゥーパ! 大規模DIYからちょっとした住まいの補修まで、幅広い事例やDIYテクニックを紹介。
お部屋に開放感を与えたり、機能性をプラスしたりとさまざまな効果が得られる天井リノベーション。お部屋に占める面積が大きいだけに、天井は家の中でも非常に重要なパーツです。
「リビングを広く見せたい!」「子ども部屋の天井はアレルギーやシックハウスの心配のない素材をつかいたい!」
家族の生活や好みに合わせて、より過ごしやすいお部屋を天井から作っていきましょう。
さまざまなニーズに合わせた素材選びやデザイン、またイメージどおりのお部屋をつくる工事の現場管理まで、リノベーションのご相談はぜひ、ひかリノベにおまかせください!
【執筆】高橋 千晶(ひかリノベ 広報)

