素足で床を歩くことが多い日本の住まいにおいて、床はとても大きな役割を担っています。お部屋のイメージや過ごしやすさは「床で決まる」と言っても過言ではありません。
たとえばカーペットの床がフローリングに変われば、お部屋のムードはガラッと変わります。
「マンションなので足音が心配」とお悩みの方や、「ハウスダストやアレルギーが心配」という方は、床材を変えることで解決できることも。
小さな子どもや、高齢の家族のいる家庭では、段差をなくしてバリアフリー化することで、安全に過ごしやすくなります。
本日はそんな床に注目し、床材の選び方や、バリアフリー化工事の施工例、工事にかかる費用と工期の目安、リフォーム(リノベーション)前にチェックしておきたい注意点を解説します!
2016/1/28初出→2018/10/29更新→2019/4/29更新(バリアフリー化について追記)
目次
床でお部屋の印象が変わる!
床はお部屋の土台ですから、床材が変われば空間の印象も大きく変わります。
イメージチェンジのポイントは、色・素材・張り方です。
ライトな色はお部屋を明るく見せ、ダークな色は落ち着いた、シックな空間を演出してくれます。
素材はフローリングがポピュラーですが、ほかにもカーペットやコルク、タイル等が選べます。
フローリングはナチュラルな木目が魅力的。カーペットやコルクはやわらかな印象で、寝室や子ども部屋に最適です。
タイルは木目調・石調とデザイン豊富で、水に強いことから、キッチンや水回りの床によく使われます。写真はテラコッタ調のフロアタイルです。
フローリングは木材の張り方にもバリエーションがあります。
色違いを組み合わせたり、あえて不規則に並べたりと、張り方によってお部屋の印象もずいぶん変わります。
乱尺張りはつなぎ目が不規則な分、木の風合いが際立ちます。
写真はヘリンボーン張りの床。クラシックで、華やかな印象です。
素材によって異なる性能
素材は見た目だけでなく、性能にも違いがあります。
たとえば、キッチンの床は汚れたらサッと拭き取れるように、防水性や耐久性に優れた床材を選びたい。小さなお子さんのいるご家庭では、足音が響きにくい床材を使いたい。
そんな風に用途や環境に合った床材を選ぶことで、暮らしはもっと快適になります。
こちらの表は、素材ごとの性能を一覧表にまとめたものです。
複合 フローリング |
無垢 フローリング |
カーペット | コルク | フロアタイル | クッション フロア |
畳 | |
価格 | ○ | △ | ○ | △ | ○ | ◎ | ○ |
耐久性 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | △ |
耐水性 | ○ | △ | △ | ○ | ◎ | ◎ | △ |
防汚性 | ○ | △ | △ | △ | △ | ◎ | ○ |
防音性 | ○ | ○ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | ○ |
保温性 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ○ |
耐アレルギー性 | ○ | ◎ | △ | ◎ | ○ | △ | △ |
「フローリング」と一口に言っても、薄いベニヤを張り合わせた合板からなる複合フローリングと、天然木の一枚板からなる無垢フローリングで性能には違いがあります。
複合フローリングは求めやすい価格でキズや汚れにつよく、手入れがしやすいことが特長です。
表面に薄くスライスした天然木を貼り付けた単板タイプは、見た目にも高級感があります。
防音や床暖房対応など、高機能製品も流通しています。
扱いやすさから、もっともポピュラーな床材です。
無垢フローリングは木特有の風合いと香りが魅力。断熱性能にすぐれ、冬に素足で歩いてもヒヤッとしません。
また調湿作用があるので、アレルギー体質の方にとくにおすすめです。
カーペットは毛足が長い分クッション性があり、保温性にすぐれています。埃が舞い上がりにくいので、寝室に用いられることが多いです。
また足音を吸収してくれるので、やんちゃ盛りのお子さまの居室にもおすすめ。
ただし繊維にダニや埃・汚れが溜まりやすいので、こまめなお掃除が必要です。
コルクは、皇室のお子さまのお部屋に取り入れられたことで注目を集めましたね。
粉砕したコルク樫の樹皮を圧縮してつくるコルクタイルは、クッション性が高く、転んでも痛くありません。
またアレルギーの原因となるハウスダストが発生しにくいため、子ども部屋や、ご高齢のご家族の居室に最適です。
フロアタイルは、木材や石材を再現したタイルです。エキゾチックなモザイクタイル風など、デザイン豊富。
丈夫で水に強く、汚れたらサッと水拭きすればシミになりづらいため、キッチンやインナーテラスにオススメ。
ただし保温性はあまりないので、冬は裸足ではなくスリッパ必須です。
クッションフロアは柔らかくクッション性に富み、水に強い素材です。
比較的安価で、近年はデザインも豊富になりました。
水回り全般、とくにキッチンや洗面室に、もし食器やお化粧品を落としたときも割れにくく、オススメです。
畳は、和室には欠かせない床材です。
い草の香りと肌触り。実は調湿機能・防音性能にもすぐれています。
最近はカラーや形が多様化し、モダンな印象のデザイン畳も珍しいものではなくなりました。
一方で色褪せしやすい、擦れや水濡れに弱いなど、耐久性は高くないので、3年後に裏返し、5年後に表替え、10年後に交換と、数年おきの畳替えが必要です。
ライフスタイルで選ぶおススメ床材
床材選びは、そこで生活される方のライフスタイルに合わせて考えましょう。
元気に駆け回りたい年ごろのお子さまがいるご家庭では、足音を吸収するクッションフロア・コルク・カーペットがおすすめ。
毎日のお手入れを考えるなら、水拭きできる複合フローリング・フロアタイル・クッションフロアが楽チンです。
アレルギーが気になる方は、調湿機能にすぐれた無垢フローリング・コルク。畳も調湿してくれますが、目の中にダニや埃が潜みやすいので、こまめなお掃除が必要です。
段差をなくして「バリアフリー」に
小さな子どもや、高齢の家族のいる家庭では、ちょっとした段差がケガの原因になることも。
厚生労働省の人口動態調査(2017年)によると、1年間に家庭内で発生した不慮の事故死は14,671人。交通事故死の5,004人の3倍近い件数となっています。
(参照:厚生労働省 人口動態調査 2017年 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003214738)
部屋と廊下の段差や、ドアや引き戸の敷居をなくして、フルフラットの床にすることで、躓きや転倒を防ぎやすくなります。
戸建住宅の場合は、下地を組み直せば、床の高さを変えるのは比較的自由にできます。
一方マンションの場合、躯体のコンクリートは共用部分ですから、凹凸を削ることはできません。そのため床が高い方に合わせて「上げる」ことになります。
天井高が低い物件の場合、床を上げることで家全体の天井が低くなったように感じられる場合もあります。とくに背が高い方は注意が必要です。
リノベーションの費用と工期
床に限らずリフォームやリノベーション一般にいえることですが、床材のグレードや、バリアフリー化するか否か、床暖房施工はするのか等、工事内容によって費用も工期も大きく変わります。
ベーシックなグレードの複合フローリングで、12畳の部屋一面の床を張り替えたとすると、平均的な価格は20万円~、工期は3日~。
とはいえ床の張り替えと同時に壁や天井のクロス交換も施工する場合が多いでしょうし、とくに築古物件では、張り替えのために既存の床を解体してみたら下地がひどく傷んでいた……という場合もままあります。
もし下地が劣化していた場合、放置しておくとシロアリ被害に発展するおそれもあり、別途補修が必要です。
「わが家の場合はいくら必要か」については、やはり希望の工事内容や現地調査をしたうえで、見積もりをとるのがやはり確かです。
リノベーション前のチェックポイント
戸建住宅の場合は、技術的には比較的自由度が高く、あとは予算との兼ね合いです。
一方マンションの場合は、物件によっては管理規約がネックとなり、希望の床材に変更できないケースがあります。
集合住宅であるマンションは、防音対策として床材が指定されている場合があります。
「防音フローリングなら問題ないだろう」と思いきや、カーペット以外禁止と決められていることも……。
また床の段差をなくしてバリアフリー化したいという場合も、前述のとおり、躯体のコンクリートは共用部分ですから、削ることはできません。
したがって一面フラットにするためには、床が高い方に合わせることになりますから、天井高が充分確保できるかを事前に確かめる必要があります。
とくに既存の床が直床といって、躯体に直接仕上げを施している物件では、床を上げることによって天井高が大きく変わる可能性があるので要注意。
「中古を買ってリノベーション」をお考えの方は、購入物件を決める前に、リノベーションの設計者と、現地や図面を確認することをおすすめします。
ひかリノベでは物件探しの段階から設計担当者が参加して、希望の工事内容が施工可能かどうかをチェックしたうえで、購入を決められるシステムとなっています。
フローリングの張り替えをご希望の方は、張り替えか、重ね貼りかで迷われる方が少なくありません。
重ね貼りは安価なだけでなく、床の厚さが二枚になる分、防音性能が高まるというメリットもありますが、下地に劣化がないか確かめられない、という心配があります。
せっかく床を変えるのであれば、この機会に下地の状態も確かめておいた方が安心ですから、予算が許すのであれば、張り替えの方がおすすめです。
またもう一点、張り替えのタイミングで検討しておきたいのが、床暖房を設置するか否かです。
床暖房には電気式と温水式がありますが、おすすめは温水式です。温度調節機能があるので低音やけどの心配が少なく、暖房効率も良いのでランニングコストも抑制できます。
床暖房を使用するには、床材は専用のものを選ぶ必要があります。といっても、いまはフローリング・カーペット・フロアタイル・クッションフロア・畳とそれぞれ床暖房用の製品が出ていますから、ご希望の材を設計担当者にご相談ください。
当社ひかリノベは、オーダーメイドのリノベーションと中古マンション・中古戸建の売買仲介サービスをご提供しています。
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