マンションの間取り変更を伴うリノベーションは、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
「マンションの購入を検討しているけど、理想の間取りの物件がない」「住み慣れた自宅マンションの間取りが、子供の成長やライフスタイルの変化によって不便に感じるようになった」など、今ある間取りに不満を持つ方は多くいらっしゃいます。
しかし具体的な費用がわからないため、計画を立てられないという方も多いようです。
この記事では、マンションの間取り変更を伴うリノベーションの工事費用と施工事例、依頼の流れ、工事の前に知っておきたい注意点を紹介します。これからリノベーションをお考えの方は、ぜひ計画を立てる際の参考にしてくださいね。
目次
マンションはリノベーションで間取り変更ができる
一般的に自由度が高いのは一戸建てですが、マンションでも「リノベーション」によって間取り変更が可能です。家事や生活の動線を改善し、より安心で暮らしやすい住空間にできます。
マンションの場合は専有面積が決まっていますが、住戸の中で新たに壁を立てれば部屋を増やすことができます。間仕切り壁を取り払い、狭い部屋を広くしたり、開放感のある大空間リビングに作りかえることもできます。
居室だけでなく、浴室を広くしたり、キッチンを移設したりと、水廻りの拡張や移動も可能です。
ただし、建物構造や配管経路といった技術的な制約や、管理規約による禁止事項もあるので注意しましょう。
マンションの間取り変更事例4選
実際に当社ひかリノベで間取り変更を行ったマンションリノベーションの施工事例を紹介します。
コの字型キッチンを囲むリビング
4K以上の間取りを2LDKに変更したフルリノベーション事例です。構造上動かせない壁がある中、水廻りと収納のレイアウト変更で使い勝手が大きく向上しました。
コの字型キッチンと小上がり畳を大きく据えたLDK。
ワークトップ下の収納スペースがたっぷりのコの字型キッチンは、「収納はできるだけ隠して、スッキリ暮らしたい」というお施主さまに最適の選択でした。
ソファを置いたリビングスペース側は、窓辺の床を一段下げてインナーテラスに。庭のないマンションでも、こうした土間空間があると暮らしがちょっと便利に、豊かになります。
かまくら収納を据えた大空間ダウンリビング
水廻りを含めた間取りの抜本的な見直しを行った、フルリノベーション事例です。
浴室を住戸の中心に配し、バルコニー側をLDK、玄関側を家族各々の個室で構成。二人のお子様の子供部屋と、夫婦の寝室、大容量のWICを確保しました。
生活の中心となるLDKは、和室を取り込み二室分の広さに。あらわし天井で天井高も最大限に活かし、開放的な大空間に。床はリビング側を一段下げ、段差でダイニングとゾーニングしました。
リビングのフォーカルポイントとなっているのが、グレージュカラーの漆喰塗りで仕上げた「かまくら」型収納。お子様のプレイスペースとしても活躍しそうです。壁面の梯子を上るとワークスペースとなっています。
キッチンは、独立した台所からLDK一体の対面式に。壁がなくなったことで玄関からリビングへ至る通路が一直線となり、閉塞感が解消されました。リビング手前の通路にオープンスタイルの洗面コーナーを配置しました。
収納は、玄関右手のウォークインクローゼット(WIC)に集約。手前側をコートと鞄収納、奥側を洋服収納とし、外出前/帰宅後の着替えがスムーズにできるよう計画しました。
ワークスペースの周囲を回遊する動線
4K以上の間取りを3LDKに変更したフルリノベーション事例です。
洋室2部屋の間仕切りを撤去し、三面の壁と下がり天井に囲まれた「かまくら」形状のワークスペースを住戸中央に配置。スピーカーを使用するため、ワークスペースの壁は遮音施工をおこないました。住戸中央に配置したことも、隣戸への音漏れに配慮した設計となっています。
このワークスペースの周囲を、玄関ホール/ランドリー/キッチン/リビング/WICと回遊する間取り。通路を収納や家事空間として活用するプランです。壁を回り込むことで、建具のないオープンスタイルでもリビングから生活感が丸見えになることを防いでいます。
キッチンとランドリーが隣接したレイアウトで、料理と洗濯を同時並行ですすめられる合理的な動線となっている点もポイント。
離れのようなワークルームでオンオフを切り替え
4K以上の間取りを3LDKに変更したフルリノベーション事例です。ホワイトのクロスとチェリーウッドのフローリング、マットな質感のグレーの建具を使用した、シンプルでフラットな内装がオシャレ。
プラン面では、「はなれ」のようなワークスペースが特長的。土間を通じて「プチ出勤」する動線で、オンオフの切り替えや、Web会議の音の問題に配慮しています。「靴を履いて入ることでオンオフの切り替えになった」とお施主様。
洗面スペースも土間に隣接。手洗いと洗面を兼ね、外の汚れを家の中に持ち込まないプランになっています。
洗面スペース・脱衣室・浴室・キッチンが回遊式となったとなったレイアウトで、家事が楽にできる空間設計となっています。
マンションの間取り変更の費用
間取り変更を伴うリノベーション工事の費用は、間取り変更に伴って行う工事の内容、採用する設備や内装建材のグレード、住戸の広さ、また物件の状態によって上下しますが、広さ60平米の住戸であれば1,000万円~が目安となります。
下記は、ひかリノベも加盟しているリノベーション会社ポータルサイト『SUVACO』調べのデータです。
専有面積60平米のマンションの一室を例に、800万円~1,500万円で「何ができるか」をまとめました。
工事内容 ※マンション 60㎡を想定 |
予算 | ||
800万円 | 1,000万円 | 1,500万円 | |
水まわり設備の取り換え | ◎ | ◎ | ◎ |
内装(床、壁、天井)の一新 | ◎ | ◎ | ◎ |
間取り変更 | △ | ◎ | ◎ |
造作家具や素材へのこだわり | △ | △ | ◎ |
断熱工事 | × | × | ◎ |
データ出典:SUVACO『予算別 リノベーションでできること』
戸建ては下記のとおりです。
延床面積30坪/二階建て木造住宅を想定した表となっています。
工事内容 ※30坪/二階建て木造住宅を想定 |
予算 | |||
800万円 | 1,500万円~ | 2,000万円~ | 2,500万円~ | |
水まわり設備の取り換え | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
内装(床、壁、天井)の一新 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
間取り変更 | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
外装材(外壁、屋根)の更新 | × | △ | ◎ | ◎ |
窓サッシ入れ替え | × | × | △ | ◎ |
外構(門扉、塀)の更新 | × | × | △ | △ |
耐震補強、断熱工事 | × | × | × | ◎ |
データ出典:SUVACO『予算別 リノベーションでできること』
上表のように、間取りを見直す場合は、マンションは1,000万円から、戸建は1,500万円からが目安となります。
ただし、水廻りの大幅変更を含む場合や、内装や設備機能にこだわりがある場合、梁や段差など既存の物件状況によっては、費用もさらに嵩みやすくなります。
マンションリノベーションの流れ
実際にリノベーションを依頼するときの流れを見ていきましょう。
リノベーションはオーダーメイドのため、個別にプランを作り、必要な費用の見積もりを取る流れとなります。
リノベーション業社を探す
まずはリノベーションを依頼する業者を探します。
リフォーム業者の中には、デザイン設計が可能な「リノベーション会社」と、トイレの交換や部分的な補修、壁紙の貼替といったデザイン設計を伴わない小規模リフォーム専門の会社があります。
間取り変更を伴う大規模リノベーションは、デザイン設計ができる業者に依頼する必要があります。
「リノベーション会社」の中でも、マンションが得意、戸建が得意、ナチュラルテイストが得意、モダンなテイストが得意など、それぞれ得意分野や特長があります。HPやパンフレットの施工事例を見て、自分のイメージや好みと合う会社を判断することが大切です。
プランと見積もりの提案を受ける
気になるリノベーション会社が見つかったら、個別相談へ。
まずはやりたいことを伝え、おおよその必要な費用の概算を聞きましょう。
大きく予算と乖離しないようなら、プランと見積もり作成を依頼します。
注意点として、プランと見積もりの作成は有料の場合もあります。また、間取りや内装、設備のグレードを決めるための打ち合わせや、調査のため現地に足を運ぶ必要もあります。設計料の金額や、打ち合わせ・現地調査の回数はケースバイケースで異なるため、個別相談の際に確認しましょう。
初回のプランと見積書ができるまでに掛かる時間は、通常は現地調査と打ち合わせのあと1〜2週間ほどを要します。
複数社に見積もりをとって比較したいという方も多いと思います。たくさん取りすぎると打ち合わせや現地調査の手間もその分増えますし、結果の比較も難しくなります。そのため、相見積もりは多くとも三社以内におさめることをおすすめします。
また相見積もりをする場合は、各社に伝える要望は必ず同じ内容としましょう。条件に抜け漏れや相違があると正しく比較できなくなるためです。
工事請負契約を結ぶ
各社からもらったプランと見積書をよく検討し、依頼するリノベ―ション会社が決定したら、コンセントの数と位置など細部も含めた細部のプランや仕様の確定を行います。
詳細が確定し、最終な金額が決まったら、工事請負契約を結ぶことになります。
契約をしたら、あとは完成を待つこととなりますが、工事の節目には「立ち会い検査」を実施します。工事の過程の確認や、棚板の取付位置、壁の位置などを見て家具の大きさや配置を検討する機会にもなるので、積極的に立ち会いましょう。
間取り変更しやすい物件、しにくい物件
間取り変更の妨げとなりやすいポイントについて解説します。
マンションの建物構造によっては、住戸の中に壊せない壁があり、希望の間取りを実現できない場合もあります。水廻りの移動も検討している場合は、配管経路による制約を受けることもあります。
壁式構造とラーメン構造
マンションの構造には、「壁式構造」と「ラーメン構造」という種類があります。
「壁式構造」は、建物を支える「構造壁」を壊すことができないので、間取りの変更に制約があります。築古物件に多いので、中古マンションを買ってリノベーションする場合は、希望どおりの間取りにできるかどうか確認して物件選びをする必要があります。
PS(パイプスペース)の位置
水回りの移動はPS(パイプスペース)の位置を考えなくてはなりません。
PSとは、上下階の給排水管をまとめて通しているスペースのことで、動かすことができません。
キッチンやバスルームなどの水回りを動かしたくても、PSからあまり遠くにすると配管の勾配がとれず、給排水がうまくできなくなってしまいます。水回りは移動できる範囲に限りがあることを覚えておきましょう。とくにマンションのリノベーションでは、PS位置が希望の間取りに影響しないか、よく検討する必要があります。
共用部分と専有部分
マンションには「専有部分」と「共用部分」があります。
リノベーションで変更できるのは専有部分(住戸内)に制限されます。共用部分(共同廊下や階段・エントランスなど)は手を加えることができず、増設も不可能です。
窓(ガラス・サッシ)や玄関ドア・バルコニーは、部屋についているものだから好きに変えてもいいのでは? と思われがちですが、じつは共用部分。戸建てとは違い、勝手に色を塗り替えたり、新しいものに交換したりすることはできません。
また、建物の構造体も共用部分にあたります。築年数や建物の丈夫さなどは関係なく、構造体を削って天井を高くしたり、前述の構造壁を壊したりといった工事もできません。
耐震補強工事も同様です。構造体に触れる工事は、マンション全体の構造耐力に関わるため、個人で自由に手を加えることはできません。
マンションを買ってリノベーションする場合は、これらの「変えられない部分」をよく確認する必要があります。
おわりに~間取り変更を成功させるポイントは?
マンションの間取り変更を伴うリノベーションの工事費用と施工事例、依頼の流れ、工事の前に知っておきたい注意点を解説しました。
今回は費用相場について解説しましたが、ここから補助金などを活用して、コストを抑えることも可能です。そういった情報をチェックし、悩みを感じたタイミングだけでなく、将来を見据えたリノベーションを考えるのもいいですね。
マンションのリノベーションの場合、構造体や水回りなど、一戸建てとは異なる専門的な知識が必要となります。そのため、失敗しないためにはリフォーム会社選びが重要。マンションのリノベーション経験が豊富な会社を選びましょう。
マンションリノベーションをご検討中の方は、ぜひマンションリノベーションの実績豊富な「ひかリノベ」にお気軽にご相談ください。
当社ひかリノベは、オーダーメイドのリノベーションと中古マンション・中古戸建の売買仲介サービスをご提供しています。家探しからのリノベーションをご希望の方は、物件探しから設計・施工まで。居住中のご自宅のリノベーションは、工事中の仮住まい探しから設計・施工まで、ワンストップでおまかせいただけます。
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