日本の伝統やワビサビと暮らす古民家リノベーションノウハウ

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例えば夏休み、おじいさんおばあさんや親戚の家に遊びに行った時を想像してみてください。

納屋や軒下がある家で、縁側でスイカを食べながら、蝉しぐれをBGMに土庭の家庭菜園を眺めて楽しむ。
そんな日本人の“懐かしさ”や“素朴さ”がぎゅっと詰まった「古民家」。

今、そんな古民家を、最新の技術でリノベーションし、安心・安全・快適に暮らす「古民家リノベーション」が密かに注目されています。

また、Airbnb(エアビーアンドビー)でも、日本の古民家は人気があり、国内外で古民家は注目されています。

「古民家の素材や構造」はそのまま、基礎を補強し設備を最新設備に交換すれば、「夏は涼しく冬は温かい」日本伝統家屋の良さを実感しつつ、快適に生活することができます。

また、「古民家に住んでみたいけど、住みたい場所に良い古民家がない・・・」なんてお悩みの方には、物件を古民家のように改造するリノベーションについてもご紹介します。

この記事では、古民家をリノベーションする古民家リノベーションと、中古物件を古民家風に改造する古民家風リノベーションの二つを、分かりやすいように色分けしながらご紹介していきます。

この記事を読んで、忘れかけていた「日本人の古き好き暮らし」に、夢をはせてみてはいかがでしょうか。

1. 古民家リノベーションとは

古民家リノベーションとは、日本の伝統的家屋に最新設備を導入し、現在の暮らしにあった住まいに変えることです。

ところで、古民家には具体的な定義はありません。古民家鑑定士が50年以上経った日本の伝統的住まいを鑑定の対象にしていることを考えれば、古民家とは「50年以上前に建てられた伝統工法の住まい」と言えるでしょう。

古民家には、大きく3つの魅力があります。

  • デザイン性
  • 昔ながらの知恵が詰まった構造
  • 体に優しい材質

一番の魅力は、なんと言ってもデザイン性ですね。多くの日本人がノスタルジーを感じる純和風建築の佇まいこそ、古民家に惹かれる一番の魅力です。

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▲日本の伝統家屋。縁側やふすまが日本人の郷愁をくすぐります。

次に挙げられるのが、古民家の構造です。高温多湿の気候に合わせた構造になっており、高い天井と深い庇(ひさし:家屋の開口部に付けられる小型の屋根のこと)が夏の暑さを和らげます。縁側は風通しを良くするだけではなく、隣人との社交空間でもあります。家族の団欒や隣人との交流を大事にした構造は、今の住まいの形とは異なる別の魅力があります。

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▲古民家の中。夏でも涼しいように、風通しの良い造りになっています。

最後に古民家の材質ですが、古民家にはシックハウス症候群を引き起こす材料が使われていないため、体に優しい住まいと言えます。

古民家には魅力以外にも、断熱が弱いとか、耐震性に不安があるなどのデメリットもあります。それを解消するのが、古民家リノベーションなのです。

1-1.古民家リノベーションはこんな人にお勧め

古民家リノベーションは、次のような方にお勧めです。

  • レトロな雰囲気が好きな方
  • 歴史や伝統的家屋が好きな方
  • お金や時間に余裕がある方

古民家が好きな方、伝統的家屋に住みたい方は当然ですが、古民家リノベーションは、お金や時間に余裕がある人向きです。

基本的に古民家は、通常の一軒家のリノベーションよりも費用がかかり、施工期間も長くなります。

すぐに引っ越したい、住宅にお金はかけたくないという方は、古民家以外の一般的な住宅を選ぶべきでしょう。

2.古民家リノベーションする方法

まずは、古民家リノベーションのメリット、デメリットを説明し、それから、古民家の探し方・リノベーション会社の探し方について見ていきます。

2-1.古民家リノベーションの素晴らしい4つのポイント

古民家リノベーションの良いところは、次の4つに集約されます。

  • ユニークな歴史ある住まいにできる
  • 昔ながらの素材・建築構造を使用できる
  • 固定資産税を削減できる
  • 環境保護に貢献できる

現代は建築技術が発達し、個性的な建物が次々と建設されていますが、それでも古民家のような、経年変化で得られた雰囲気を再現することは、なかなか難しいです。古民家リノベーションは、その古民家の雰囲気を生かすことができます。

次に、古民家の素材と構造ですが、古民家に使われる優良な材料は古材と呼ばれ、手に入れるのが困難なものもあります。
古民家の材料には、ヒノキやケヤキ、マツなどが使われますが、ヒノキは神社にも使われる木材で、法隆寺もヒノキでできています。ケヤキやマツも400年は耐久性があると言われていますので、このような木材が使われた建築構造を使用できるのは贅沢とさえ言えるはずです。

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▲ヒノキの強さの経年変化。(出典元:木づかい.com)

次に、固定資産税ですが、固定資産税は築年数によって決まるので、新築や他の中古住宅よりも安く済みます。ただし、固定資産税の見直し(3年ごとに行われる)で、高くなる場合もありますので注意が必要です。

最後に、古民家リノベーションは、古くからある材料を使用して暮らすので、その分、環境に優しい住まいと言えます。環境に優しく、日本の「もったいない」という精神にも合うのが古民家リノベーションなのです。

2-2.古民家リノベーションする前に注意したい4つのポイント

古民家リノベーションの欠点として、次の4つが挙げられます。

  • 費用が通常のリノベーションより高い
  • 耐震性に不安がある
  • 断熱性に不安がある
  • メンテナンスが多くなりがち

一番のネックは古民家リノベーションのコストです。古材を使用する場合、解体して洗ってから組み立てる必要があります。それに、その古材に合った木材を使うなどの費用がかかってきます。他にも現代の住まいに合わせた工事が必要になってくるわけで、費用は多めに見積もっておかなければなりません。(新築以上の予算を見ておく必要があります。)

次に耐震性ですが、現代の耐震基準に合わない場合は補強する必要があります。ただし、釘を使わない木組み構造は、揺れを吸収するため、現在の木造建築と比べても劣らない耐震性があるのは事実です。地震大国の日本ですから、耐震についてはリノベーション会社に相談し、専門家に見てもらうなどしてもらうと良いでしょう。

また、古民家では断熱対策が必須です。日本の伝統家屋は「夏をもって旨(むね)となす」と言われるように、夏の快適さを第一に造られています。冬の寒さをしのぐため、断熱材を壁や床に入れる必要があります。その後に、囲炉裏などの伝統的な防寒装置を検討したいですね。

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▲囲炉裏のある風景。古民家なら取り入れてみたいものの代表です。

最後にメンテナンスについてです。古民家の傷む最大の原因は湿気ですが、茅葺屋根は夏の高温多湿に弱く、腐った茅を取り除くことが必要になってきます。また、土台もシロアリに食われないような対策と、定期的なチェックが必要です。

まずは、古民家鑑定師に依頼して、状態の良い古民家を選んでください。特に屋根と土台の確認は必須です。全国に古民家再生協会があり、そちらに問い合わせると良いでしょう。

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古民家再生協会の一覧ページ

2-3.物件の探し方

古民家は、エリアを決めて住みながら探すのが良いと言われています。

東京の人が高知県の古民家に住みたいと思ったら、一気に高知県の古民家に飛び込むのではなく、高知市などの都心部に一度居を移してから、古民家を探します。そうすると、土地勘も養われ、どこに住んだら快適かどうかも分かってくるので、古民家選びの成功率が高まるというわけです。

それでは、物件の探し方を3つほど挙げておきます。

<ネットで探す>

まだ、どこに住むか決めていないなら、まずはネットでいろいろ探すべきです。全国規模で広範囲に探すなら、ネットに及ぶものはありません。

スーモやホームズなど大手サイトでも古民家の扱いはありますが、古民家スマイル田舎ネット.日本など、古民家専門のサイトも利用してみましょう。(古民家専門ではありませんが、「空き家バンク」も古民家情報が豊富で一見の価値ありです。)

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田舎ねっと.日本のHP。田舎暮らしマニュアルもあって一見の価値ありです。

<地元の不動産会社に相談する>

住みたい場所を決めたら、地元の不動産会社に相談してみましょう。ネットでは出回らないお買い得な古民家が見つかるかもしれません。

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▲山梨の古民家再生事例。新築にはない重厚さが印象的です。(出典元:伝匠舎)

リノベーションするわけですから、現地のリノベーション会社・古民家再生会社に当たってみても良いでしょう。有益なアドバイスをもらえるはずです。

<イベントに参加する>

古民家を有効活用したイベントが多く開催されていますが、そういうところに参加すれば、古民家の愛好家とも知り合いになれますし、古民家探しでためになる情報を聞けるということもあります。

一足飛びで古民家を探すのではなく、良くその土地を知ってから探すのがお勧めと書きましたが、イベントに参加するというのは、きっと役に立つ経験になるはずです。(購入してから自分には古民家は合わないな・・・なんて思うことがないようにしたいですよね。)

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日本民家再生協会HP。古民家の扱いのみならず、古民家関連のイベントが紹介されています。

2-4.リノベーション会社の探し方

古民家リノベーションに理解のある会社を探しましょう。

「古民家 リノベーション」で検索するといろいろな会社が出てきますが、「古民家再生」というキーワードでも探すと良いでしょう。リノベーションは、現代風にアレンジするのに対し、古民家再生は文字通り、古民家を蘇らせるという意味合いがあります。どちらの会社でも古民家に住みたいなら快く相談に乗ってくれるはずです。

先ほど紹介した日本民家再生協会では、民家再生専門家を紹介しており、地方の会社探しでも重宝します。

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日本民家再生協会の専門家紹介ページ

3.中古物件を古民家風リノベーションする方法

「古民家をリノベーションしたくても自分の住みたい街に古民家がない」「そもそも、手に入れたい古民家が見つからない」と言った場合には、古民家風リノベーションをお勧めします。

古民家風リノベーションなら、一軒家でもマンションでも、現代建築の中で古民家の住まいを再現できます。茶室や縁側と言った日本の伝統的住まいにある間取りを再現できるのです。

3-1.古民家風リノベーションだからこそできる4つのポイント

実際の古民家のリノベーションと比較すると、古民家風リノベーションは次のメリットが挙げられます。

  • 費用を安くできる
  • 豊富な物件から選べる
  • メンテナンスに手間がかからない
  • 設備・構造も新しい

まず、古民家リノベーションのデメリットである費用の高さをクリアーできます。さらに、古民家は数が少ないのに対し、中古住宅は都心、郊外を問わず、物件数が豊富です。

大都会の駅から10分以内の所で、家を入ったら別世界の古民家というようなこともできるのです。

もちろん、郊外で中古戸建てを購入して、古民家風リノベーションをすることもできます。

さらに、古民家より優れているのは、メンテナンスに手間がかからないことです。設備・構造も新しい住まいで、古民家風の暮らしができるのです。

3-2.古民家風リノベーションする前に注意したい4つのポイント

実際の古民家のリノベーションと比較した場合、古民家風リノベーションのデメリットとして次の点が挙げられます。

  • 古民家の本当の味が出るかは、リノベーション次第
  • 周辺環境とミスマッチを感じる
  • 固定資産税が高い

古民家風リノベーションをしても、実際の古民家の味が出るかはリノベーション次第というのは当然ですね。本当に古いものを利用するわけではないので、その点は注意が必要です。

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▲時代箪笥。和風アンティークが古民家風リノベーションを引き立たせてくれます。(出典元:和音)

周辺環境とミスマッチしてしまうというのは、古民家との山や川といった自然との一体感を感じられない場合があるということです。ただし、裏を返せば、どこでも実現できる古民家風リノベーションのメリットでもあります。

もう1つは、付属的ですが、固定資産税についてです。築年数によりますので、古民家よりかは高くなります。しかし、リノベーション費用がそもそも古民家の方が高いので、デメリットというわけでもありません。

3-3.物件の探し方

古民家風リノベーションする場合の物件の探し方は、普通の中古物件探しと何ら変わりはありません。

一番大切なのは、自分の住みたい土地で探すことですが、古民家の雰囲気を大事にしたいなら、周辺環境をチェックすると良いでしょう。

マンションなら外装を変えることはできませんが、一戸建てなら外装まで古民家に変えることができます。

その時に、周辺環境と溶け込むかどうか、そんなところまでチェックすると満足する住まいを手に入れられるはずです。

古民家風リノベーションに向いているマンションを探したい方は、別の記事「最適なリノベーション向きマンションを見極めるポイント4つ」を参考にしてください。

中古戸建ての場合ですが、日本の戸建てのほとんどを占める在来軸組工法の住宅なら、基本的に間取りの変更も自由なので、特に心配する必要はありません。(しかし、自分の理想のリノベーションが実現できるかは、リノベーション会社としっかり相談しましょう。)

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HOME4U。しっかり相場を確認すれば、損のない中古物件を選ぶことができます。

中古物件の相場の確認方法は、「中古マンションの相場・動向の調べ方と値引き交渉2つのコツ」を参考にしてください。また、中古物件の諸費用は、別の記事「これで安心!中古マンション購入にかかる諸費用の全て」を参考にしてください。

3-4.リノベーション会社の探し方

古民家風リノベーションに理解のある会社を選びましょう。和風リノベーションを手掛けているところがお勧めです。物件探しも行ってくれるリノベーション会社がありますので、自分のリノベーションプランの作成とともに依頼してみると良いでしょう。

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▲ひかリノベの基本スタイルの1つである「粋(スイ)」。茶室や縁側を作ることもしています。

その他にも、和風テイストとして、古民家風リノベーションの参考になるサイトを紹介しておきます。

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リノベりすのHP。和テイストが古民家風リノベーションの参考になります。

4.最後に

古民家リノベーションと、中古戸建ての古民家風リノベーションについて見てきましたが、いかがでしたか?

古民家の生活は不便にはならないということがお分かりいただけましたか?

古民家をリノベーションすることは、古民家を現在の住まいに改修するということです。現代の快適な暮らしを日本伝統の古民家の中で実現できます。

また、当記事で紹介したように、中古物件を古民家風に改造して暮らすこともできます。家全体を変えるのではなく、家の一部分を古民家風にしても面白いかもしれません。

古民家に憧れのある方は、ぜひ、古民家リノベーション、あるいは古民家風リノベーションに挑戦してみてください。

この記事が、読者の皆さまの理想の生活に役立てば幸いです。

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