マンションのメリット・デメリット。戸建てと比べてどっちが良い?

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マイホーム購入でまず悩むのは「マンションと一戸建てのどちらを選ぶか?」という点ではないでしょうか。

世代によっては、マイホームといえば一戸建て、マンションやアパートなど集合住宅は若い頃の仮住まい、という意識をお持ちの方もまだまだいらっしゃるかもしれません。

しかし、マンションにはマンションならではのメリットが数多くあります。
そしてメリットがあればデメリットもあるもの。
いったい、マンションのメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。

今回は、マイホームの購入という視点から、マンションのメリット・デメリットをご紹介します。

2016/3/30初出⇒2023/2/22更新

マンションのメリット

まずはマンションのメリットを見ていきましょう。
暮らしやすさ、資産価値、購入コストやランニングコスト――さまざまな観点から総合的にみると、次のようなメリットが挙げられます。

  • 立地が良い
  • セキュリティが良い
  • 共用の施設・設備がある
  • ワンフロアで高齢者も暮らしやすい
  • 気密性・断熱性が高い
  • 眺望や採光が良い
  • 耐用年数が長い
  • 将来売却がしやすい
  • 維持管理の負担が少ない
  • 居住者同士のコミュニティが形成される

立地が良い

生活は、住まいの中だけで完結するわけではありません。
仕事や学校、買い物、趣味、休日のお出かけなど、わたしたちは住まいの外でもさまざまな活動をしています。職場までのアクセスがいい、最寄り駅に特急や急行が停車する、学校や保育園、病院が近くにある、スーパーやコンビニが多い――このように、立地が良いと生活の利便性がぐんと向上しますよね。

一般的な傾向として、マンションは都心部や駅近の物件も多く、好立地の住まいを手に入れやすいといえます。

実際に、立地を理由としてマンションを選択する人も多いです。
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、マンション購入者の6割から7割の人が「立地環境が良かったから」という理由でマンションを選んだと回答。
一戸建てに比べると、立地を理由にした割合が1~2割ほど高くなっています。

出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf

立地条件のいい地域は地価も高くなるため、専有する土地が広い一戸建てに比べると、マンションは割安な価格で購入することができます。
また都市部は防耐火の制限なども厳しく、木造の一戸建てがNGな地域もあります。
そもそも「好立地で一戸建て」という条件を満たすのは、ハードルが高いのです。

セキュリティが良い

共用部の防犯カメラやオートロックなど、初めから適切な対策が取られており、防犯性が高い物件が多いのは、マンションならではのメリットでしょう。

管理者が常駐していて、共用玄関(エントランス)から入ってくる人を監視していたり、夜間の見回りを行ったりしている物件も存在します。
また警備会社と契約して、24時間の警備体制を敷いているマンションも増えています。

姿を見られたくない侵入者にとっては居心地が悪いでしょうが、住民の立場からすれば安心感がありますね。

また、モニター付きのインターフォンや宅配ボックスなども近年普及しており、これらの設備は利便性を高めると同時に、防犯性の向上に一役買っています。

住民に紛れたり、宅配業者を装って侵入してくる不審者を完全に防ぐことは不可能ですが、これらの設備があれば、不用意にドアを開けて危険に遭遇してしまうリスクを減らすことにつながります。

さらに、中・高層階の部屋なら、外から侵入することは難しくなるので、空き巣にも狙われにくくなります。建物の造り自体が、一種のセキュリティにもなっているというわけですね。

もちろん一戸建てであっても、防犯カメラを付けたり、セキュリティシステムを導入したりすることは可能ですが、その分の費用を別途自己負担しなくてはいけません。

共用の施設・設備がある

マンションには、住民が利用できる共用の施設や設備が備わっています。

便利な共用施設・設備の代表格といえば、まずは敷地内のゴミ捨て場でしょう。24時間いつでもゴミを出すことができ、朝忙しいとき、あるいは雨の日にわざわざ外まで持っていく必要がない、収集日まで部屋の中に貯めざるをえず、不衛生で邪魔になる……といったこともなくなります。

先ほど、防犯のところで取り上げた宅配ボックスも、生活の利便性を高めてくれます。

ほかにも「ゲストルーム」も、マンション特有の施設です。「遠方の親が遊びにやってきた」なんて時も、ゲストルームに泊まってもらえば部屋を片付けたり、寝具を用意したり、わざわざホテルを予約する必要はありません。
利用にはお金がかかることが多いですが、一泊数千円程度なので、ホテルよりもお得です。

グレードの高いマンションともなれば、スポーツジムやフィットネスクラブ、プールがあるケースも。
管理人とは別に、住民の生活をサポートする「コンシェルジュ」と呼ばれる人がいるマンションなど、まるでホテルのような施設・サービスを完備している物件も増えてきました。

ワンフロアで高齢者も暮らしやすい

メゾネット式(内階段があり2層に分かれている)やロフト付きの物件を除けば、マンションの専有部分はワンフロアが基本。
2階建て以上が主流(平屋も存在しますが)の一戸建てとマンションで、大きく異なるポイントのひとつです。

若い時は苦にならない階段の上り下りも、歳を重ねるときつく感じられたりするもの。
新築や築浅のマンションは、室内の段差がないフルフラットフロアが主流になってきており、バリアフリーの観点からすると、マンションはとても安全な空間を作りやすいといえるでしょう。

あるいは、住戸内の動線を考えてみても、垂直がなく水平のラインだけなのでシンプル。家事のために、1階と2階を行き来するわずらわしさとも無縁ですね。

気密性・断熱性が高い

マンションと一戸建ての違いというより、鉄筋コンクリート造と木造の違いになりますが、コンクリートで一体的に躯体を造るマンションは、躯体にすき間ができにくく、気密性が高くなります。

気密性が高いと外気が室内に入りにくく、室内の空気も外に漏れにくくなり、結果的に冷暖房の効きが良くなります。室内の温度も安定し、光熱費も安くなります。

2003年の建築基準法改正によって、機械で室内の空気を入れ替える24時間換気システムの設置が全ての住宅に義務付けられたため、新しいマンションであれば汚れた空気が室内にこもってしまうという心配もありません。

眺望や採光が良い

中・高層階の住戸なら、余程ビルやマンションが密集しているような地域でもない限り、低層の住宅に比べ窓からの眺めもよく、日当たりや通風の面でも優れています。

外から覗かれる可能性も高層になるほど小さくなるため、プライバシーが侵害されにくい点もメリットでしょう。

耐用年数が長い

税法上どれだけの期間利用することができるのかを表す「法定耐用年数」という概念があります。

年数は構造や用途(住宅、店舗、事務所など使い方の区分)によって変わりますが、用途が住宅だとすると、木造は22年に対し、鉄筋コンクリート造は47年です。
簡単にいうと、木造住宅は築23年以上で税法上の価値はゼロになってしまいますが、鉄筋コンクリート造のマンションは、築50年近くになるまで価値があるとみなされるということです。

この概念はあくまでも法律上のものですが、マンションが資産として高く評価される理由にもなっています。

将来売却がしやすい

マンションは、設計の段階では誰が入居するかわからないので、普遍性のある間取りや仕様になっているのが一般的です。
そのため、どんな人にとっても住みやすい住宅になっており、市場での競争力も高く、売ったり貸したりしやすいのです。

戸建の注文住宅は設計の自由度も高く、自分の好きなように建てることができますが、あなたにとって都合がよくても、他の家族には住みにくいものになってしまう可能性があるため、中古物件市場では売れにくいという側面もあるようです。

仮に昔風の間取りで、現代的なライフスタイルには合わないファミリー向けだった物件に単身で住むというケースでも、鉄筋コンクリート造であれば間取りから変えてしまうようなリフォーム・リノベーションも比較的かんたん。
木造の一戸建てだと、構造上撤去できない柱や壁があり、間取りの変更には制約が出てしまうこともあります。

さらに初めに述べたように、立地の良さも、売りやすさ・貸しやすさを高める要因になります。

維持管理の負担が少ない

共用部の清掃や点検・メンテナンス、建物そのものの修繕などは管理組合の役割です。
(実際に修繕計画をまとめたり、作業するのは、委託を受けた管理会社など専門の人が行うことがほとんどです)

一戸建ては居住者が自分で家の周りを掃除したり、リフォームの手配をしたりしなくてはなりません。
対して、マンションであれば、住民がするのは自分が所有する専有部のことだけ。日常の負担は少なくて済みます。

さらに、マンション管理のプロが適切に実行してくれるので、マンション全体の環境を良好に保ちやすく、資産価値の評価にもつながりやすいのです。

どんなにお金をかけて立派に造った建物でも、メンテナンスやリフォームをしないままで傷みがひどく汚れたままでは、わざわざ買う気は起きませんよね。

居住者同士のコミュニティが形成される

居住者同士が知り合いになれる環境があると、災害発生時など安心感がありますね。

共用施設が充実している大規模マンションでは、居住者が集まって催し物をしたり趣味活動をしたり、という場合も多くみられます。
またコロナ禍以降、リモートワークの普及から、共用部にコワーキングスペース(居住者専用のワークスペース)を設けているマンションも。

またファミリータイプのマンションは、やはり子育て世代の入居者が多い傾向にあります。子どもを介して住人同士の交流が活発になることもよくあるケースです。
共用施設として託児所を用意していたり、敷地内に公園があるマンションも。

マンションのデメリット

メリットがあればデメリットもあるのは当然。マンションには、いったいどんなデメリットがあるのでしょうか?

  • 管理費・修繕積立金が必要
  • 駐車場代がかかる
  • 面積が狭い
  • 音やプライバシーのトラブルが起きやすい

管理費・修繕積立金が必要

マンション特有の出費として、「管理費」「修繕積立金」があります。

管理組合と管理会社によって維持管理が行われることは、先ほど説明した通り。その費用として住民は毎月、管理組合にお金を支払わなくてはいけません。
管理組合は、住民から徴収したお金で管理会社に費用を支払い、いずれ行われる大規模修繕の費用を貯めておきます。

国土交通省の「マンション総合調査」(2018年度)によると、平均的な管理費の金額は、月15,956 円(駐車場使用料等からの充当額を含む)。
修繕積立金は月12,268円(駐車場使用料等からの充当額を含む)。
マンションによって違いはありますが、合わせて月2〜3万円が相場といったところ。

つまり、一戸建てなら、住宅ローンの月々の返済額だけで済むところを、マンションはプラス2~3万円かかることを考慮しておかなくてはなりません。

管理費・修繕積立金を負担することで、維持管理の負担がなかったり、良好な環境を手に入れたりできるわけなので、メリットとコインの裏表のようなものではあるのですが、経済的にはデメリットであるといえるかもしれません。

駐車場代がかかる

マイカーをお持ちの方には欠かせない駐車場。

一戸建てであれば、敷地内に駐車場を作れば自由に使うことができるでしょう。

しかし、マンションの駐車場は共用施設とはいえ、利用にはお金がかかることがほとんど。
そのうえ部屋と駐車場が離れてしまう、機械式駐車場で車の大きさが制限されてしまう、といった心配もないわけではありません。

面積が狭い

二階建てが多い戸建てに比べると、マンションはワンフロアで床面積も狭い傾向にあります。

SUUMOリサーチセンター(株式会社リクルート)の「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、2022年に分譲された新築マンションの平均専有面積は66.0㎡。
またマンションの間取りは1LDK〜3LDKの物件が主流で、家族が多い場合、部屋数や広さが足りないといった点がネックになることもあります。

とくに、お子さまがまだ小さい場合は寝室が一部屋だけでも問題ないことも多いですが、成長に伴い「それぞれ自分の部屋が欲しい」というようなケースも出てくるはず。そういった将来的な視点にも注意して検討する必要が出てきます。

音やプライバシーのトラブルが起きやすい

マンションは複数の住戸が隣り合っているため、ときには隣や上下階に自分たちの生活音が聞こえてしまったり、逆に隣や上階からの音に悩まされたりする事態も起こります。

テレビや洗濯機、掃除機の音、あるいは子どもの声や足音など……生活していれば音は出てしまうもの。ですが、自分は気にならなくても他人にとっては耐えがたいこともあります。逆も然りです。

住民同士、音を原因としてトラブルに発展することは以前から多く、国土交通省の「マンション総合調査」(2018年度)では、違法駐車や駐輪、ペットをおさえて「生活音」によるトラブルが最多となっています。

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」 (https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html)

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」 (https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html

とくに、小さいお子様がいらっしゃるご家庭や、仕事で帰りが遅くなりやすい方にとってはストレスを感じやすい環境かもしれません。

また、「お隣は、平日の〇時から×時までは家にいない」など、生活音からあなたの生活のリズムや習慣がご近所に伝わってしまうことも考えられます。

管理規約がありライフスタイルに制約がある

多くの人が住むマンションでは住民同士のトラブルを防ぐため、管理組合が管理規約を定めています。
「飼育できるペットは〇〇まで」、「楽器は〇時から×時まで禁止」など、やってはいけないことが細かく定められているので、窮屈さを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

リフォーム・リノベーションに制限がある場合も

マンションで自由にリフォーム・リノベーションができるのは、専有部、つまり室内のみなのは多くの方がご存知でしょう。

しかし窓やベランダ・バルコニーは、実は共有部として扱われるため、勝手にサッシやガラスを交換したりすることはできません。
断熱性を高めるには、内窓(インナーサッシ)の設置に限られるなど、思った通りのリフォーム・リノベーションができない可能性もあります。

マンションと戸建て、お得なのはどっち?

「マンションは管理費・修繕積立金がかかるから、一戸建てのほうが割安だ」といった意見を耳にすることがあります。

確かに月々の出費で見れば、マンションはローンの月々の返済以上にお金がかかるのは事実です。ですが長い目で見れば、マンションは一戸建て以上にお金がかかるというのは間違いです。

どんな建物も時間が経てば多かれ少なかれ劣化していき、修繕やリフォームが必要になるときがやってきますし、そうなればお金が必要になります。
マンションは管理組合が住民から集めた管理費や修繕積立金によって、メンテナンスや修繕を行いますが、一戸建てはリフォームするかどうかを決めるのは所有者です。
リフォームをしないという決断もありですが、不具合を放置すれば劣化が進み、取り返しのつかない事態になる可能性もあります。

建て替えしか手段がないとなってしまえば、費用はリフォームの比ではありません。
維持管理が確実に実行される、という点では、マンションの方が低リスクを期待できるでしょう。

暮らしの変化に対応できるマンション

ライフスタイルは環境の変化や歳を重ねることで、変わっていくものです。引っ越しを余儀なくされたり、親の介護といった理由で地元に戻ったりすることもあるでしょう。そうなると「いまの住まいをどうするか?」という問題が発生します。

立地や、売却・賃貸がしやすいのが特徴のマンションなら、リセールバリューは当然高くなるため、それなりの価格で売却して次の住まいの資金を作ることもできます。

いずれ戻る予定があるなら賃貸すれば、あなたの資産を有効活用して、家賃収入を得ることだってできるでしょう。

一戸建であっても売却や賃貸はできますが、立地条件が不利だったりすると住宅の需要も少なく、買い手や借り手が思うようにつかないという可能性もあります。劣化が進んでいると、価格も高くはつけられません。

まとめ

今回はマンションのメリットを中心にご説明しましたが、デメリットの方が自分たちの生活に影響がある……と感じた方もいらっしゃるでしょう。

「都心より郊外で暮らしたい」「子どもをのびのびと育てたい」あるいは、自分と家族のプライバシーを重視したいのなら、マンションより一戸建てがベターかもしれません。

マンションは、日々の暮らしの負担はなるべく軽減したいシングル世帯やDINKS、セカンドライフ世代などにおすすめ。転勤の可能性がある、Uターンを考えているような方も、マンションを選択肢に入れてみましょう。

自分にはマンションと一戸建て、どっちが最善か?さらに詳しく比較検討してみたいという方は、以下の記事も参考にしてみて下さい。今回はマンション重視の内容でしたが、より一戸建てについても詳しく解説しています。

メリット・デメリットと、ご自身や家族のライフスタイル、人生設計を比較して、あなたに合ったマイホームを手に入れてくださいね。

当社ひかリノベは、オーダーメイドのリノベーションと中古マンション・中古戸建の売買仲介サービスをご提供しています。
マンションと戸建て、どちらにしようかまだ迷っているという方も、宅建資格をもつコーディネーターが、ライフスタイルに応じたベストな選択をいっしょに考えるところからサポートさせていただきます。その後のリノベーション提案、資金計画やローンのご相談もワンストップでおまかせください。

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記事監修

櫨元 宏(宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー)

宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザーの有資格者。中古リノベから注文住宅まで、13年間におよぶ建築業界での営業経験をもつ。プライベートでは料理をこよなく愛する一面も(クックパッドにてレシピ公開中!)「食と住は生活の“根っこ”だと思います。キッチンへのこだわりを口にされるお客様は非常に多いです。一方で水廻りのリフォームは、物件によって制約も生じやすい部分。知識と経験をもとに『リノベ向き物件』をご紹介します」<

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