賃貸住宅から持ち家にしようと決意したとき、年間いくらぐらいの税金がかかるか知りたくなりませんか?
マイホームを所有すると、固定資産税や都市計画税などの税金がかかりますが、あらかじめどのくらい必要か知らないと不安になりますよね。
固定資産税や都市計画税には軽減措置もあるので、条件を満たせば税金を安くできます。
今回の記事では、持ち家にかかる税金および軽減措置・年間の平均税額などについて解説します。
各種税金の納税額を知るための計算式も記載しますので、ぜひご利用ください。
目次
持ち家にかかる税金~固定資産税と都市計画税
住宅を購入したときには不動産取得税がかかりますが、購入後には毎年「固定資産税」と「都市計画税」の2種類の税金を支払っていかねばなりません。
持ち家取得後にかかる大きな費用項目として、ほかに住宅ローンがありますが、これについては金融機関と契約する際に長期の支払い計画が提示されるため、毎月の支払額は把握することが可能です。
しかし、税金の場合には「支払額がいくらぐらいになるのか?」心配になるのではないでしょうか。
まず初めに、固定資産税と都市計画税はどんな税金なのかを説明しましょう。
固定資産税
固定資産税は、土地や家屋など不動産および事業用の資産に対して課せられる地方税です。
1月1日時点で「固定資産税台帳」に記載されている、所有者の固定資産について課税されます。したがって1月2日以降に取得した場合には、翌々年の納税ということになります。
固定資産税は一年に一回あるいは4回に分割して、都市計画税と合算した金額を納めなければなりません。
固定資産税額は、下記の計算式によって算出されます。
固定資産税の計算式
固定資産税評価額(※)×1.4%
税率は市町村によって異なりますが、ほとんどが標準税率の1.4%といってよいでしょう。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは、固定資産税を課する際に基準となる価格で、3年に一度見直されます。
土地の固定資産税評価額は、通常時価の70%程度が目安とされますが、土地の形や面積・場所・道路の接し方などによって変わってきます。
建物の評価額については、家の構造や規模によっても異なりますが、新築時には購入時の価格に対し60%程度で、建築してからの年数が経つにつれて評価額は低下します。
固定資産税評価額は、固定資産税を計算する際に使用されるほか、都市計画税や登録免許税・不動産取得税の計算にも用いられます。
なお固定資産税評価額を知る方法としては、毎年送付される固定資産税納税通知書に記載されているほか、管轄する市役所でも入手が可能です。
都市計画税
都市計画税は、「市街化区域(※)」に土地や建物を所有している人が支払う地方税で、市街化区域外の人は納める必要はありません。
都市計画税の使途は、道路や上下水道・公園の整備や建設など。住まいが市街化地域内にあるかどうかは、各自治体に問い合わせれば教えてもらえますが、不動産会社やインターネットで検索しても知ることができます。毎年1月1日の不動産所有者について、翌年課税されます。
都市計画税は、下記の計算式によって表せます。
都市計画税の計算式
固定資産税評価額×0.3%
税率0.3%は上限額であり、市町村により異なります。
市街地区域とは
市街化区域とは、都市計画法上の区域区分のひとつで、すでに住宅街や商業施設などがある市街地、または10年以内に市街化を計画している区域を言います。
一方「市街化調整区域」は、市街化が進むことを抑えている地域をいい、通常建物を建てることはできません。
税額が軽減される特例
土地および建物を所有していると固定資産税及び都市計画税がかかりますが、それぞれ特例も用意されているので押さえておきましょう。
土地の固定資産税・都市計画税の軽減特例
土地については小規模住宅用地・一般住宅用地の特例があり、固定資産税及び都市計画税が軽減されます。
200㎡迄(小規模用地) | 200㎡超(一般住宅用地) | |
固定資産税 | 課税標準の6分の1に軽減 | 課税標準の3分の1に軽減 |
都市計画税 | 課税標準の3分の1に軽減 | 課税標準の3分の2に軽減 |
特例の適用条件
- 敷地の上に住宅が存在すること
- 店舗併用住宅では、居住用部分が1/2以上あればその敷地全てが住宅用であること
- 建物の課税床面積の10倍が上限
例えば250㎡の土地を持っている場合には、200㎡迄は小規模住宅用地が適用となり、残りの50㎡については一般住宅用地の扱いとなります。
したがって固定資産税・都市計画税の計算式は、
特例適用後の固定資産税の計算式
- 200㎡迄:固定資産税評価額×1.4%×1/6
- 200㎡超:固定資産税評価額×1.4%×1/3
特例適用後の都市計画税の計算式
- 200㎡迄:固定資産税評価額×1.4%×1/3
- 200㎡超:固定資産税評価額×1.4%×2/3
建物の固定資産税の軽減特例
建物については、新築住宅及び認定長期優良住宅について、固定資産税が軽減される特例があります。なお建物については、都市計画税の軽減措置はありません。
建物の構造 | 特例を受けられる期間 | 特例の内容 |
3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅 (≒マンション等) |
新築後5年間 | 120㎡(課税床面積)までの部分について固定資産税が1/2に減額 |
上記以外の一般住宅 | 新築後3年間 |
特例の適用条件
- 居住部分の課税床面積が50㎡以上280㎡以下
- 賃貸住宅については、一戸につき40㎡以上280㎡以下
- 店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上
したがって新築住宅の場合、新築から3年間(マンション等は5年間)の固定資産税は下記のように計算されます。
新築後3年間(マンションは5年間)の固定資産税額の計算式
固定資産税評価額×1.4%×1/2
※5年経過後は通常の計算式に戻る
「長期優良住宅」に認定された住宅は、特例期間が上記より2年間長く新築から5年間(マンション等は7年間)となります。
建物の構造 | 特例を受けられる期間 | 特例の内容 |
3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅 | 新築後7年間 | 120㎡(課税床面積)までの部分について固定資産税が1/2に減額 |
上記以外の一般住宅 | 新築後5年間 |
認定長期優良住宅の主な認定基準
- 耐震性(耐震等級2以上または免震建築物)
- 省エネルギー性(省エネルギー対策等級4以上)
- 居住環境(居住環境の維持や向上に配慮している)
- バリアフリー性(将来バリアフリーにリフォームが可能)
- 住戸面積(床面積が一戸建ては75㎡以上)
このように、建物の固定資産税の軽減措置は特例を受けられる期間が決まっていて、それを過ぎると本則どおりの税率へと戻ります。
一方で、建物は古くなると評価額が下がってきます。木造家屋の場合には一年経過すると20%下がり、25年経つと80%も下がります(東京都法務局「経年減価補正率表」)
評価額が下がれば、建物部分の固定資産税も比例して安くなります。そのため、軽減措置がなくとも、築年数が古くなるほど固定資産税も安くなるのです。
省エネ改修工事による固定資産税の軽減
既存住宅のリフォームやリノベーションについても、一定の要件を満たせば翌年の固定資産税を減額できます。具体的には、省エネ改修工事を行った場合です。
省エネ改修工事による固定資産税の軽減
省エネ改修工事を行った場合、翌年の固定資産税額が1/3に減額される
- 期間:2026年3月31日まで
- 減額内容:120平米相当分まで
固定資産税軽減の対象となるためには、物件の床面積や工事内容について、一定の要件を満たす必要があります。
省エネ改修工事をした住宅に対する固定資産税の減額のおもな要件
- 予め定められた断熱改修工事をおこなうこと
- その結果「省エネ基準」に達していること
- 工事費用が60万円以上であること
- 2014年4月1日以前からある住宅であること
- 床面積が50㎡以上280㎡以下であること
- 床面積の1/2以上が居住用であること
平均的な税額は年間いくら?
それでは持ち家にかかる税額は、1年間でどれぐらいになるのでしょうか?
固定資産税や都市計画税は、不動産評価額や保有する土地の広さ・住宅の構造及び広さ・各市町村の税率・地価の変動などによって変わってきます。
持ち家にかかる税額は、条件によって異なるので一概にいえません。一般的には年間10万円~15万円程度、4年目以降は建物の減額がなくなるので、年間15万円~20万円程度が平均的な金額と考えると良いでしょう。
より正確な税額は、下記のように計算することをおすすめします。具体例をあげて説明しましょう。
例:土地面積200㎡以下、家屋床面積120㎡以下の新築戸建て
- 土地評価額:1,500万円
- 住宅評価額:1,000万円
この場合の固定資産税の計算式は、
- 土地:1,500万円×1/6×1.4=35,000円
- 家屋:1,000万円×1/2×1.4%=70,000円
- 合計で105,000円
都市計画税の計算式は、
- 土地:500万円×1/3×0.3=15,000円
したがって固定資産税および都市計画税を合わせて12万円となります。
特例を受けた場合と受けなかった場合を比較してみましょう。
特例を受けた場合 | 特例を受けない場合 | ||
固定資産税 | 土地 | 35,000円 | 210,000円 |
家屋 | 70,000円 | 140,000円 | |
都市計画税 | 土地 | 15,000円 | 45,000円 |
合計 | 120,000円 | 395,000円 |
特例を受けることにより、大幅な減税になることがお分かりになると思います。
マンションと一戸建て、税金が安いのは?
マンションと一戸建ての税額を比較した場合、マンションの方が一般的に税額は少なくなります。
マンションのような集合住宅の敷地は、区分所有(敷地面積を総戸数で割った部分の所有権)のため戸建住宅に比べて負担する土地面積は小さくなります。
したがって固定資産税や都市計画税の税額は土地部分が少ない分、一戸建てに比べて相対的に税額は少なくなります。
また土地の価格は、経済情勢などの条件が変わらない場合ほぼ一定ですが、建物の場合は経年劣化により固定資産税評価額が年々低くなってきます。
したがってマンションの場合は建物の比重が高いので、固定資産税は安くなりやすいと言えるでしょう。
税金が高くなるケース
次のような場合には、固定資産税や都市計画税金が高くなる可能性があるので、注意しなければなりません。
- 家屋を取り壊した場合
- 空き家にしている場合
- 家屋調査に協力しない場合
家屋を取り壊した場合
家屋を取り壊した場合、その土地は更地の状態となり、住宅地の軽減措置が受けられません。そのため、税金も高くなります。
既に述べたように固定資産税と都市計画税は、1月1日時点で「固定資産税台帳」に記載されている固定資産に対して課税されます。したがって年末に取り壊しを行うと、宅地と認められず減額措置が受けられません。
売却前後で更地にする場合、可能であれば買主が決まってから壊すほうが合理的です。
空き家にしている場合
市町村から「特定空き家等」に認定されると、軽減措置の対象外となるばかりか、建物の撤去や修繕を勧告され、罰則を受けることにもなりかねません。
以前はどんな空き家でも固定資産税と都市計画税の軽減措置の対象となるので、放置されていました。しかし管理されていない空き家は、建物の倒壊の心配や保安上の不安・衛生上の問題・景観上の問題などから、社会問題化してきました。そこで2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、規制の対象となりました。
空き家といえどもきちんと管理する必要があり、管理できない場合には取り壊すか売却しなければなりません。
家屋調査に協力しない場合
家屋調査に協力しない場合には、評価額を高く設定されてしまうこともあり得ます。
家屋調査とは家を新築したり増築した場合に、住んでいる市町村が固定資産税評価額を決めるための基準とするもの。したがって、家屋調査には快く協力しなければなりません。
まとめ
住宅を購入するときは、住宅ローンや不動産取得税にばかり目が行きがちですが、購入後の税金や維持費についても知っておくことは大事なことです。
持ち家にすると、固定資産税や都市計画税がかかりますが、要件に当てはまれば軽減措置を受けられます。しかし軽減を受けられる期間は決まっているので、それを過ぎると税額が戻ることも覚えておきましょう。
一方で、建物は経年によって減価償却され、評価額が下がっていきます。築25年ほどで減価償却され、固定資産税・都市計画税も落ち着きます。
「中古住宅を購入してリノベーション」は、納税の面からもメリットある住宅購入の選択肢です。古くなった内装や間取りを一新して付加価値が付いたからといって、固定資産税が上がることはありません。減価償却のメリットを受けながら、好きな家で好きな暮らしを送ることができます。
ひかリノベは中古住宅の売買、リノベーションの設計・施工のご相談を随時承っております。
住宅ローンを利用してのマイホーム購入は、所得税や住民税の税額控除を受けられる「住宅ローン控除」の制度もあります。
また、仮住まいの家賃や引っ越しにかかる諸費用含めた資金計画のご相談まで、すべてをワンストップサービスでご提供いたします。
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