住宅購入を考えるとき、最初に迷うのは「マンションと一戸建て、どちらを選ぶか」ではないでしょうか?
どちらを選択しても、メリットがあればデメリットもあります。ベストな選択は、あなたの暮らし方や価値観によって変わるはずです。
「マンションと一戸建ての違いとは、なにか?」今回の記事では、それぞれの特徴を徹底的に比較しながら解説します!
2019年11月4日初出→2020年9月8日更新→2021年4月11日更新
目次
マンションのメリット・デメリット
初めに、マンションのメリット・デメリットを確認していきましょう。
マンションのメリット
- ワンフロアで広く住める
- 共用部の管理が楽
- 充実したセキュリティ
マンションのデメリット
- 入居後の支出が多い
- 近隣との関係に配慮が必要
メリット①ワンフロアで広く住める
マンションの住戸は、基本的にワンフロアです。同じ面積でも、一戸建てに比べて有効な床面積が増えるため、狭いと感じにくい傾向があります。
家事動線もシンプルで、階段もないためバリアフリー化への対応もかんたん。
また、中・高層階の住戸なら、採光や風通し、眺望も良好です。窓から空き巣に入られるようなリスクも低くなります。
メリット②共用部の管理が楽
マンションには共用部分(廊下やエントランス、エレベーターなど)がありますが、これらの維持管理は管理会社の役目です。エレベーターや消防設備など、居住者の安全に関わる設備の点検・整備も、個人で心配する必要はありません。
24時間ごみを出せる収集所も一般的ですし、最近ではキッズルームやゲストルームなどの共用設備を整えているマンションも増えているため、生活の利便性もぐんと向上するでしょう。
メリット③充実したセキュリティ
オートロックのマンションなら、不審者が侵入するリスクは大きく低下します。さらに、各所に設置されている防犯カメラに加えて、管理人の見回り、他の居住者など人目も多いため、空き巣や不審者にとっては活動しにくい環境となっています。
最近では一般的になった宅配ボックスも、不審者の侵入を防ぐのには有効な手段です。
デメリット①入居後の支出が多い
一方、大きなデメリットになるのが、毎月の修繕積立金・管理費・駐車場代など、金銭的な負担が発生すること。管理の手間や労力がないぶん、その対価を支払わなくてはなりません。毎月の生活費や保険料、税金などの支払いを加味しながら、購入予算を検討する必要があります。
デメリット②近隣との関係に配慮が必要
マンションは上下左右を他の住戸に囲まれているため、たとえば「生活音」や「ペットの飼育」などを原因とするトラブルが起きることも考えられます。自分では気にならないことでも、隣人にとっては大問題かもしれません。
プライバシー面でも隣人との距離が近い分、配慮が必要です。
住民同士のコミュニティも、マンションによって状況は全く異なります。密接な関係が構築されているところもあれば、隣人であっても関係性が薄いというケースも少なくないようです。
一戸建てのメリット・デメリット
次に、一戸建てのメリット・デメリットを確認していきましょう。
一戸建てのメリット
- 音を気にせず生活できる
一戸建てのデメリット
- 維持管理は自己責任
- 防犯が弱点
メリット:音を気にせず生活できる
マンションのように、近隣に音が響くことはほとんどありません。子どもが走り回る音やテレビの音が「ご近所に迷惑をかけているかも?」と不安に思う必要はないでしょう。
一戸建て購入後の支出は、住宅ローンの返済のみ。管理費や修繕積立金の支払いは不要なため、月々の出費がマンションより少なくて住むことがほとんど。
また当然ながら、一戸建てには管理規約もありません。ペットの飼育や、リフォーム・リノベーションも自由におこなうことができます。
デメリット①維持管理は自己責任
管理費や修繕積立金がない代わりに、維持管理は所有者の責任になります。
たとえば、屋根や外壁は約10年ごとに塗装や張替えをおこなっていかなければ、雨漏れの原因となります。(材質によってはメンテナンスの必要な時期は異なります)
ほかにも、定期的にメンテナンスをしなければ住宅を長持ちさせることは出来ませんので、ご自身で複数箇所の維持管理費を想定し、積み立てていく必要があります。
デメリット②防犯が弱点
一戸建ては、防犯の観点からみるとマンションに劣る部分があるのは否めません。
高層マンションよりは侵入しやすいですし、庭など隠れられる部分もあります。
自分で窓やドアの施錠をしなくてはいけません。雨戸やシャッター、防犯カメラやセキュリティシステムを導入する場合には自費でコストがかかります。
購入費用を比較
次は、誰もが気になる「お金」について。マンションと一戸建てを、物件の価格で比較してみましょう。
東京カンテイによると、2019年の首都圏におけるマンション1戸当たりの平均価格は以下の通り。
- 新築 5,904万円
- 中古3,395万円
新築が値上がりし、それにつられて中古も値上がりしたとみられます。
一方、一戸建て(木造)の平均価格は以下の通りです。
- 新築4,064万円
- 中古3,414万円
マンションに比べ価格の変動は小さく、中古はやや値下がり傾向となっています。
両者を新築価格で比べると、約2,000万円の差があります。新築にこだわるなら一戸建てのほうがお得だといえるでしょう。
中古にはそれほどの差はありませんが、値上がりの可能性が少ないのは一戸建ての良さかもしれません。
また、不動産会社に中古物件探しを依頼した場合は、マンション・一戸建て関係なく、仲介手数料が発生します。
資産価値を比較
将来、住まいを手放さなくてはならない場面に遭遇することも考えられます。もしかすると、まだ住宅ローンが残っている状態で売らなくてはならないかもしれません。
ここでは売却のしやすさ、資産価値(リセールバリュー)の観点から、マンションと一戸建てを比べてみましょう。
マンションは、外観や間取り・内装が、万人受けするデザインになる傾向があります。
これは、設計の段階で入居者がわからないため、そのときの市場のニーズを意識していることが影響しています。
そのため、結果的に中古になっても、新たな買い手が付きやすいのです。
そして、マンションの資産価値を大きく左右するのが「立地」。マンションは一戸建てに比べ、都市部や交通の利便性が高いエリアに多く存在します。
立地条件の良い住まいを求める人は少なくないため、それだけ売却しやすいといえるでしょう。
一方、一戸建て(とくに注文住宅)は自由度が高いですが、それゆえに他の人には住みづらくなってしまい売却しにくいという側面があります。
ただし、一戸建てには「土地の価値」という強みがあります。
現在、日本の不動産評価では、木造の一戸建ては約20年で価値がほぼゼロになることがわかっています。
同じく、マンションも一戸建てほど早くはないものの、時間が経つにつれ建物の価値が下がっていきます。
土地の価値は、建物のように「年数が経ったから下がる」という訳ではありません。
長期的に考えると、1住戸当たりの土地所有面積が狭いマンションよりも、一戸建てのほうが資産価値が高いことになります。
また、所有する土地や建物には、それぞれ固定資産税がかかります。土地と建物、それぞれにかかる税は、以下の計算式で算出します。
- 土地にかかる固定資産税=土地の評価額×1.4%×1/6
- 建物にかかる固定資産税=建物の評価額×1.4%
戸建ての方が所有する土地の面積も大きいため、固定資産税・都市計画税はマンションより高くなることが多いです。ただし、エリアによってはマンションよりも倍近い金額になることもあるため、注意が必要です。
住み続けるコストを比較
時間の経過につれて、建物は劣化していきます。同じ住まいで暮らし続けていくためには点検や、機器の交換、リフォームなどの維持管理が必要であり、実行するにはコストがかかります。
マンションは、管理組合が修繕積立金や管理費を徴収し、共用部の維持管理や補修工事をおこないます。組合によって多少の差はありますが、積立金・管理費の合計は平均で2〜3万円程度。車をお持ちなら、駐車場代も必要ですね。
新築マンションでは、初めは積立金の額を安く抑えて、時間が経つごとに値上げしていくケースもみられます。
一戸建てには、修繕積立金や管理費、駐車場代の負担はありませんが、経年劣化も起きますし、設備機器も老朽化していきます。
屋根や外装、構造、内装、設備に至るまで、すべてのリフォームを自分で業者等に依頼して工事を手配する必要があります。その分、タイミングや内容は自由に決めることができますが、しっかりとメンテナンスをしていかなければ、住宅の寿命を縮めてしまうことになるため注意が必要です。
暮らしを比較
マンションと一戸建て、それぞれの暮らしはどう違うのでしょうか。これまで説明してきた内容も踏まえ、以下に特徴をまとめました。
マンション | 一戸建て | |
立地 | 都市部や駅近に多く、交通の利便性は高い。スーパー・コンビニや公共施設、病院も近い | 郊外に多く、通勤や日常の買い物などの利便性では劣るかも。周辺環境の良さは魅力 |
日照・通風 | 高層階は優れているが、都市部の低層階では期待できない可能性が高い | 窓が多いので日当たりも良く、風も取り入れやすい。住宅密集地では難しいことも |
防犯 | 防犯カメラやオートロックに加え、人目が多いことも安全につながっている | 窓が多くやや脆弱。対策も自分で行う必要がある |
車 | 駐車場があっても有料 | 敷地内にあることが多く、2台以上置けることもある。もちろん費用は不要 |
管理 | 管理費や修繕積立金を使い、管理組合が管理会社等に依頼して行う | 所有者が自分で手配し、資金を用意して行う |
リフォーム | 専有部のみ。管理組合の承諾が必要で、規約で内容が制限されていることもある | 所有者が自由に行える |
共用施設 | ごみ収集所は24時間利用できるところも多い。キッズルームやゲストルームを備えた物件も増加 | 近くの施設(公園、自治体の施設)を利用する |
近所づきあい | 管理組合への参加は必須。関係性はまちまちで、自治会があるマンションもある | 地域によっては町内会への参加を求められる可能性あり |
プライバシー | 住戸の間隔が非常に近いため、音などで生活習慣が伝わってしまうことがある | 建物が独立しているので、プライバシーを確保しやすい |
トラブル | 音やペットの飼育がトラブルの原因になることもある。 | マンションに比べればリスクは低いが、近隣への配慮は必要 |
老後も視野に入れた場合
住宅を購入するときは、「いまの暮らしに合っているか?」というのはもちろん重要ですが、将来のことも考えて選びたいものです。
歳を取れば、子どもが独立して家を離れるかもしれませんし、自分やパートナーの身体が衰える可能性もあります。いまは良くても、いずれは生活に住まいのかたちがマッチしなくなる日が来るかもしれません。
マンションは、初めに説明したようにワンフロアであるため、家の中で階段など上下の動線ができることはまずありません。
足腰が弱ったとき、身体に負担のかかる階段の上り下りをしなくて済むのは、とても大きなメリットです。ほかにも年齢に関係なく、階段の上り下りがないことは「洗濯物を干すときの負担が軽くなる」「子どもの転落事故のリスクが減る」など、利点はたくさんあるでしょう。
もちろん、一戸建てにも良い点はあります。
一戸建ては自由にリフォームできるため、「減築」(増築とは逆に、一部を解体して家を小さくする)して、夫婦二人だけの暮らしに合わせた規模につくり変えることが可能です。また、子どもが戻ってきたときに二世帯住宅にすることもできます。
場合によっては増減築が難しい場合もありますので、ライフスタイルに合わせて戸建からマンションに引っ越すことも一つの選択肢ですね。
介護の視点から考えると、マンションの玄関ドアを引き戸にリフォームすることは難しいですが、一戸建てであれば、リフォームによって開閉式から引き戸へ変更することができます。また、お風呂やトイレの位置を寝室の近くに移動するなど、安心して介護ができるポイントをおさえた住まいへと変更しやすい利点があります。
こちらも建物の状態や排水管の位置によっては一戸建てでも難しいこともあるため、確認が必要です。
あなたに合うのはどっち?
マンションと一戸建て、どちらを選ぶか。人の暮らしはそれぞれですから、最終的には「自分や家族の暮らしに合っているか」で判断するしかありません。
ご自身の理想とする暮らしをイメージしながら、マンションか一戸建てかーーー最後のまとめに入っていきましょう。
マンションに向いている人
マンションは、立地の良さや管理の楽さが最大の特徴です。
シングルの方、DINKS(共働きで、子どものいない夫婦・カップル)、あるいは共働きの夫婦+子ども一人の世帯は、ライフスタイルに合わせて負担なく住替えができて、通勤や子どもの通園・通学の負担も少ない、都市部マンション向きのライフスタイルといえます。
また、子どもが独立して「夫婦だけの暮らしを楽しもう」というセカンドライフ世代の方も、階段がなくワンフロアであり、通院や買い物が楽な市街地のマンションが向いているでしょう。共有部分は管理会社が清掃・管理してくれるため、そういった面では歳をとったときの負担が少ないともいえます。
一戸建てに向いている人
一戸建ては、広さや周辺環境の良さを求める人に向いています。テレワークの普及によって、あえて郊外の一戸建てを求める人も増えているようです。
「子どもをのびのびと育てたい」といった子育て真っ最中のご家族は、音を気にしなくてよく、プライバシー面でも有利な郊外の一戸建てがおすすめです。
大きな公園や、ショッピングモールが近くにあれば、日常生活の負担もそこまで大きくはないでしょう。
将来、親との同居を考えている方も、介護の必要性などを加味し、可変性の高い一戸建てを選択肢に入れてもよいかもしれません。
おわりに
すべての希望を叶えるのは、とても難しいもの。いまの暮らしや希望するライフスタイル、そして将来の可能性も考えながら優先順位をつけていくことで、あなたにとってより良い住まいのかたちがみえてくるはずです。
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