キッチンには使い勝手や設備など、こだわりたい部分がたくさんありますね!最近はLDKも多いので、デザインも気になるところ。
レイアウトを変えるような大規模なものから、一部の機器を変えるだけの小さなものまで。内容が多岐にわたるキッチンのリフォーム・リノベーションは、かかる費用や時間もケースバイケース。
「一体いくらかかるのか?」なかなか見当がつきにくいのではないでしょうか。
この記事では、キッチンのリノベーションにかかる費用や注意点について解説します。パターン別の費用や工期の目安もまとめてみました。ひかリノベのリノベーション事例と合わせてご覧ください。
2017年11月16日初出→2023年2月19日更新
キッチンリノベーションの費用の相場は?
まず、キッチンリノベーションでよくある「レイアウトを変更する」「位置はそのままにキッチン本体を交換する」「一部の機器だけを交換する」の3つのパターン別に、費用の相場や内訳をみてみましょう。
なお、ここで示す費用や価格は、あくまで目安です。使用する製品のグレードによって費用は変わりますので、正確な金額を把握したい方は、ご自身でリフォーム会社から見積もりを取ることをおすすめします。
Case1 キッチンのレイアウトを変更する場合
家全体の間取りを変えるスケルトンリノベーション、壁付け型の既存キッチンを対面式や独立式のアイランドキッチンに変更するケースがこちらです。
キッチンの位置を変える場合、避けては通れないのが配管(水道、ガス)や配線(電気)、排気ダクトの工事です。既存壁の解体や、天井・床の内装工事が追加で必要になることもあります。その場合は、大掛かりな工事になるため費用も高額に。
上の写真の事例は、和室を取り壊し、広々としたLDKにリノベーションした事例です。キッチンは壁付けから対面キッチンタイプに変更しました。
費用は、フルリノベーション(間取り変更・内装一式変更)で、約1200万円でした。
工期は(キッチン周りに限定すれば)、着工から完成まで2〜3週間程度が目安。
ただしキッチンの移設に伴ってLDKを拡張するなど、家全体の間取りを見直す場合や、LDK以外の内装や設備交換も行う場合は、数ヶ月を見込んでおく必要があります。
Case2 キッチン本体を交換する場合
キッチン本体の交換(レイアウト変更は無し)に必要なのは、基本的に本体の費用と設置工事費のみです。新しいキッチンと既存のキッチン、双方のサイズが一緒なら工事費用も抑えられます。
ただし、小規模な内装工事が発生することもあります。古いキッチンにありがちな作り付けの食器棚の撤去や、傷んだキッチンパネルやタイルの張り替えなどが発生することも少なくないため、ある程度費用や工期に余裕をみておくのがおすすめです。
上の写真の事例では、キッチンのレイアウトは既存のまま、ヘキサゴンタイルを貼ってイメージを一新しました。費用は、内装一式変更・水廻り設備の交換(間取りは大きく変えず)で約810万円でした。
工期は(キッチン周りに限定すれば)、3日〜1週間ほど。
ただし、キッチン交換に伴ってLDK全体の内装工事や、他の水廻りの工事も行う場合は、やはり数ヶ月を見込んでおきましょう。
Case3 一部の機器だけを交換する場合
ガスコンロからIHクッキングヒーターへの取り換え、レンジフード交換、食洗器の設置、といった部分的なキッチンリフォームがこれに該当します。
リフォーム費用は30万円前後(工事費含む)で収まることが多いようです。
ですが、コンロをIHにするときの電気工事や、食洗器を新設するには給排水管やコンセントを設ける工事が必要になることも多いため、工事費が予想以上にかかる可能性があることも想定しておきましょう。
上の写真の事例では、腰壁を造作して、レンジフードを交換しました。背面の家電カウンターも新たに造作。リビング側から見える部分を変えるだけでも、印象はガラっと変わりますね!費用は、内装一式変更・収納棚の造作(設備機器・間取りは変えず)で、約860万円でした。
費用を抑えるポイント
キッチンリノベーションでは、キッチン本体の商品価格がトータルの費用に最も大きな影響を与えます。
LIXIL、パナソニック、TOTO、クリナップなど国内主要メーカーの場合、スタンダードなタイプで50~60万円。ハイグレードなシリーズなら100万円以上の価格帯が主流です。中には、150万円以上の商品もみられます。
取り扱いが多いメーカーは、割引率も大きくなることがあるため、リフォーム会社にどのメーカーの製品を使うことが多いか、聞いてみるのも手ですね。
カタログやショールームをみていると、上のグレードの製品が気になったり、便利なオプション機器をつけたくなったりしがちです。素材も、質感の良い天然石や無垢材を使うには、それなりのコストがかかります。
事前に「絶対に必要である」あるいは「優先したいものや機能」をはっきりさせ、予算に応じて取捨選択しながら仕様を決めていくことをおすすめします。
とくにビルトイン型の機器は、後から追加しようとすると配管、配線など、大掛かりな工事が再度必要になるため、ある程度は設置を前提に考えたほうが良いかもしれません。
キッチンの内装にも手を加えたり、キッチン以外の部屋もリノベーションする場合であれば、内装材など設備以外の部分でコストを抑えて、キッチンの機能・設備を優先するという手法もあります。
写真の事例では、奥様のご希望もありキッチンの機能を最優先しました。
手をかざすだけで水を出したり止めたり出来るセンサー付水栓、完全フラットで掃除が簡単なIHクッキングヒーター、炊飯器の蒸気を吸収する機能をもつカップボードと、「欲しかった機能を『全部盛り』で取り入れた」といいます。
一方で、リビングの床材を一部貼り分けるなど、リーズナブルな内装材をデザインで上手に取り入れることで、設備以外の費用を抑制しています。
ひかリノベのキッチンリノベーション事例
ここからは、実際のリノベーション事例をご紹介します。
テーブルコンロからシステムキッチンへ
テーブルコンロ(ガステーブル)のセクショナルキッチンから、ビルトインコンロのシステムキッチンへの交換。
システムキッチンはセクショナルキッチンと比べて、「コンロやシンクと天板(ワークトップ)を一体化することで掃除がしやすくなる」「ビルトインオーブンや食洗機などのオプションが豊富で機能性が高い」といったメリットがあります。
人気のステンレスキッチンに
ステンレスキッチンはデザイン性の高さはもちろん、サッと拭き取れば汚れが落ちて手入れが楽であることから、とても人気があります。
上の写真の事例では、オールステンレスのキッチンがミニマルなデザインと雰囲気を醸し出し、家具にも馴染みやすくスマートな印象。もちろん料理がしやすく、お手入れもラクにできるよう変更しました。
リビングとキッチンが一体となったLDKスタイルが一般的になった現代の住宅には、ぴったりのキッチンです。こちらの事例のようなインダストリアルテイストはもちろん、ナチュラル・シンプルモダンなど、ステンレスはさまざまなスタイルやインテリアに調和します。
キッチンを場所移動させてアイランドキッチンに
こちらの事例では、長身である施主様が作業しやすい高さでアイランドキッチンをオーダー。ブラックのボディがスタイリッシュな印象です。広いカウンターは、バーカウンターとして使用するにもぴったりなデザイン性を兼ね備えています。
機能面では、海外メーカー『ガゲナウ』のIHヒーターとミーレの食洗器を搭載しました。
オリジナル造作キッチン
業務用の機器を導入するなど、メーカーの製品にはない、こだわり仕様のキッチンをつくることも可能です。
シンプルなものなら50万円から、最新の機器などを導入する場合は200万円以上になることもあります。納期は、1~2カ月程度と考えておきましょう。
こちらの事例は、作る人と食べる人が輪になるコの字型レイアウトになっています。
天板がダイニングテーブルを兼ねているため、広い作業空間と省スペースを両立。天板はヤマザクラのブックマッチ、側面はモールテックスで仕上げ、日々のハードユースに耐える強さと家具としての美しさを両立しました。
海外ブランドのキッチンを輸入
「海外の有名ブランドのキッチンに憧れがある」という方も少なくないのではないでしょうか。海外ブランドのキッチンは、各ブランドの代理店にオーダーして購入します。国内メーカーのように規格が一定ではないため、寸法などはオーダー時に細かく指示を出す必要があります。
価格はリーズナブルな製品もあれば、高級なものまでラインアップはさまざま。
総じて国内メーカーよりやや割高で、200~300万円が相場です。もちろん納期についても、輸送の時間を含むと注文から3~4カ月と長めにかかります。
こちらの事例のキッチンは、イギリスのdeVOL社がデザインを手掛けるSHAKER KITCHEN。一点ずつ手作りで制作されています。すべての木材に無垢材が使用されていることから、時の経過とともに色や質感の味わいが増し、エイジングを楽しめる点も魅力です。
キッチンリノベーション工事の注意点
キッチンは、水道やガス、電気が集中している場所だけに、リノベーションの際は注意すべきポイントがたくさんあります。簡単にご説明しましょう。
キッチンを移動する際の注意点
キッチンの位置を変える場合は、配管の移動や延長が必要になります。
一般的な住宅では、床下に配管を設置(床下排水)していますが、水がスムーズに流れるように、ある程度の勾配をつけて配管しなくてはいけません。
とくにマンションでは、各住戸からの配管が合流するパイプスペース(PS)があります。キッチンとパイプスペースが離れすぎていると十分な勾配が取れない、つまり水が流れにくくなってしまいます。
また、床の工法によっては、配管の移動が難しいケースもあります。
マンションの躯体(コンクリートスラブ)のうえに下地を組んで、その上に床材を張る二重床工法は、床材と躯体の間で配管を取り回すことができます。
一方、躯体に直接床材を張って仕上げる直床工法の場合、配管スペースが取りづらく、経路を変える場合は壁の中に配管を通す等の工夫が必要です。
二重床にする選択肢もありますが、床が高くなる分、もともと天井が低い物件では圧迫感が増してしまう可能性もあります。
配管関係でもう一つ気にしなくてはいけないのが、換気扇の排気ダクトです。
梁があるところにダクトを通そうとすると、ダクトが天井裏に収まらない、曲った部分に油などがたまりやすいといった問題が発生することがあります。
この写真の事例では、壁付けから対面へとレイアウトを変更しました。袖壁にダクトを収めることで、換気が必要な火の元の位置が変わっても、生活空間や家事動線に大きな梁が出ない工夫をしています。また、レンジフードにダクトを露出させた天吊りタイプを採用することで、圧迫感をまったく感じさせない空間づくりを実現しました。
設備を変更する際の注意点
キッチンのリノベーションでは、設備の交換・変更がつきものです。ガスコンロをIHにしたり、ガスの口数を増やしたりする場合は、電気やガスの容量に注意しましょう。
ひとつの住宅で利用できる電気やガスの容量には、限りがあります。キッチン設備も含めて住宅全体の機器が消費する電気、ガスの量がそれを上回らないようにしなくてはいけません。
ご自宅の電気容量は、契約アンペア数を確認してください。
分電盤についているブレーカーに「30A」や「50A」といった風に数字が記載されているはずですし、ブレーカー本体の色でも判別できます。
ガスの容量は、ガスメーターの号数(本体に記載されているアルファベット2文字+2.5から8までの数字)で調べられますが、わかりにくいこともあるので、ガス会社などに問い合わせることをおすすめします。
マンションの場合:管理規約や電気容量・ガス容量
マンションのキッチンリノベーションは、戸建てに比べて、建物構造や規約による制限が生じやすいため、とくに注意が必要です。
まずは、前述の配管経路の問題。
木造戸建ては建物の構造上、配管スペースの確保が比較的容易です。
しかし、マンションはパイプスペースを動かせない、躯体に手を加えることができないといった制限があるため、配管経路の確保が課題となりやすいのです。
また、「電気・ガスの容量」も、マンションで課題となることが多いポイントです。
一戸建てであれば、ブレーカーやガスメーターを交換して容量を増やせばいいのですが、マンションは基本的に、全体で使用できる電気やガスの容量にも限りがあります。そのため、勝手に増設することはできません。
まずはマンションの電気・ガスの容量を確認して、希望の機器が使えるかをチェックしたうえで、利用する機器を決めましょう。
マンションによっては「60アンペアまでは増設可能」など、条件付きでの増設を認めていることもあるので、管理規約を見直してみてください。
さらに、新しいキッチンが既存のものより大きい場合は、「お住まいの住戸まで搬入ができるのか?」きちんと確かめることもマストです。古いマンションだと、エレベーターや階段が狭く、サイズによっては取り付け以前に搬入ができない可能性もあります。
ひかリノベは、マンションのリノベーション工事の実績も豊富です。
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