
キッチンは、使い勝手や設備など、こだわりたい部分がたくさん。最近はLDKも多いので、デザインも気になりますよね。
レイアウトを変えてしまうような大規模なものから、一部の機器を変えるだけの小さなものまで、内容が多岐にわたるキッチンのリフォーム・リノベーションは、かかる費用や時間もケースバイケース。
一体いくらかかるのか、なかなか見当がつきにくいのではないでしょうか。
今回は、キッチンのリノベーションでよくあるパターン別に費用や工期の目安などをまとめてみました。
ひかリノベのリノベーション事例も、合わせてご紹介します。
2017年11月16日初出→2020年6月01日更新
目次
1.キッチンリノベーションの費用の相場は?
2.ひかリノベのキッチンリノベーション事例をご紹介
3.費用をおさえるには?オプション・素材選び
4.キッチンリノベーションをする際の注意点
◆キッチンを移動する際の注意点
◆設備を変更する際の注意点
◆マンションのキッチンリノベーションの注意点
キッチンリノベーションの費用の相場は?
まず、キッチンのリノベーションでよくある「キッチンのレイアウトを変更する」、「位置はそのままにキッチン本体を交換する」、「一部の機器だけを交換する」の3つのパターン別に、費用の相場や内訳をみてみましょう。
なお、ここで示す費用や価格は、あくまで目安です。使用する製品のグレードによって費用は変わりますので、正確な金額を把握したい方は、リフォーム会社から見積もりを取ることをおすすめします。
Case1 キッチンのレイアウトを変更する
家全体の間取りを変えるスケルトンリノベーションや、壁付け型の既存キッチンを、対面式やアイランド型に変更するケースです。
キッチンの位置を変える場合、避けては通れないのが配管(水道、ガス)や配線(電気)、排気ダクトの工事です。また、既存壁の解体や、天井・床の内装工事も必要になることもあります。そのため、どうしても大掛かりな工事になりがちで、費用も高額に。
上の写真の事例は、キッチンの移設に伴い、もともと三つに分かれていた部屋を、間仕切り壁をなくして一体化しています。同時に家全体の内装変更、洗面やトイレ・お風呂といった水回り設備の交換も含め、総額は約990万円でした。
工期は(キッチン周りに限定すれば)着工から完成まで2〜3週間程度が目安。
ただしキッチンの移設に伴い、LDKを拡張するなど、家全体の間取りを見直す場合や、LDK以外の内装や設備交換も行う場合は、数ヶ月を見込んでおく必要があります。
Case2 キッチン本体を交換する
キッチン本体の交換(レイアウト変更は無し)に必要なのは、基本的に本体の費用と設置工事費のみです。新しいキッチンと既存のキッチン、双方のサイズが一緒なら、工事費用も抑えられます。
ただし、小規模な内装工事が発生することもあります。古いキッチンにありがちな作り付けの食器棚を撤去や、傷んだキッチンパネルやタイルの張り替えは、しばしば発生するので、ある程度費用や工期に余裕を見ておくのがおすすめです。
上の写真の事例では、キッチンのレイアウトは既存のまま、設備と内装を交換。家全体の内装変更と、間仕切り壁を解体してリビングを拡張する間取り変更、お風呂・洗面・トイレの設備交換も含めた工費は、約670万円でした。
工期は(キッチン周りに限定すれば)3日〜1週間ほど。
ただしキッチン交換に伴い、LDK全体の内装工事や、他の水廻りの工事も行う場合は、やはり数ヶ月を見込んでおきましょう。
Case3 一部の機器だけを交換する
ガスコンロからIHクッキングヒーターへの取り換え、レンジフード交換、食洗器の設置、といった、部分的なキッチンリフォームです。
リフォーム費用は30万円前後(工事費含む)で収まることが多いようです。ただ、例えばコンロをIHにするときの電気工事や、食洗器を新設するには給排水管やコンセントを設ける工事が必要になることも多いので、工事費が予想以上にかかる可能性があることは知っておきましょう。
ひかリノベのキッチンリノベーション事例をご紹介
ここからは、実際のリノベーション事例をご紹介します。
テーブルコンロからシステムキッチンへ
テーブルコンロ(ガステーブル)のセクショナルキッチンから、ビルトインコンロのシステムキッチンへの交換。
システムキッチンはセクショナルキッチンと比べ、コンロやシンクと天板(ワークトップ)を一体化することで掃除がしやすくなる、ビルトインオーブンや食洗機などのオプションが豊富で機能性が高い、といったメリットがあります。
人気のステンレスキッチンに
ステンレスキッチンはデザイン性の高さはもちろん、サッと拭き取れば汚れが落ち、手入れが楽であることもあって、とても人気があります。
こちらの事例は、天板にスタイリッシュなヘアライン仕上げのステンレスを選択。カウンターにはパイン材を使い、リビングのインテリアに溶け込むようなデザインとなっています。
キッチンを場所移動させてアイランドキッチンに
LDKの隅に置かれていたキッチンを、部屋の中心に近い位置に移動。キッチンから室内全体を見渡すことができ、家族とのコミュニケーションが取りやすい空間になりました。
将来、ご自宅で料理教室を開くことも検討されている奥様のために、左右どちらからも回り込め、複数人が同時に調理しても大丈夫な、広い作業スペースを確保しました。
オーダーメイドキッチン
業務用の機器を導入するなど、メーカーの製品にはない、こだわり仕様のキッチンもつくれます。シンプルなものなら50万円から、最新の機器などを導入した場合は200万円以上になることも。納期も1~2カ月はかかります。
こちらの事例は既存のシステムキッチンには組み込めない大容量食洗機を設置し、細かいリクエストにお応えするため、完全なオーダーメードでつくったキッチンです。
ワークトップの奥行きは、一般的なものよりも10㎝は深い75㎝を確保し、シンクも二つ設置。振り向くだけで手が届く位置で、限りなくゼロ動線を目指しました。
海外ブランドのキッチンを輸入
海外の有名ブランドのキッチンに憧れがある、という方は少なくないのではないでしょうか。海外ブランドのキッチンは、各ブランドの代理店にオーダーして購入します。国内メーカーのように規格が一定ではないので、寸法などはオーダー時に細かく指示を出す必要があります。
価格はリーズナブルな製品もあれば、高級なものまでラインアップはさまざまですが、総じて国内メーカーよりやや割高で、200~300万円が相場といったところ。もちろん納期についても、輸送の時間を含むと注文から3~4カ月と長めです。
こちらの事例のキッチンは、イギリスのdeVOL社がデザインを手掛けるSHAKER KITCHEN。一点ずつ手作りで制作されています。すべての木材に無垢材が使用されているため、時の経過とともに色や質感の味わいが増し、エイジングを楽しめる点も魅力です。
費用をおさえるには?オプション・素材選び
キッチンのリノベーションでは、キッチン本体の価格がトータルの費用に最も大きな影響を与えます。
LIXIL、パナソニック、TOTO、クリナップなど国内主要メーカーの場合、スタンダードなタイプの商品で50~60万円。ハイグレードなシリーズなら100万円以上の価格帯が主流で、150万円以上の商品もみられます。
取り扱いが多いメーカーは、割引率も大きくなったりするので、リフォーム会社にどのメーカーの製品を使うこと多いか、聞いてみるのも手ですね。
カタログを見たり、ショールームに行ったりすると、上のグレードの製品が気になったり、便利なオプション機器をつけたくなったりしがちです。素材も、質感の良い天然石や無垢材を使うには、それなりのコストがかかります。
事前に必要、あるいは優先したいもの・機能をはっきりさせ、予算に応じて取捨選択しながら仕様を決めていくのをおすすめします。とくにビルトイン型の機器は、後から追加しようとすると配管、配線など、再び大掛かりな工事が必要になるので、ある程度は設置を前提に考えたほうが良いかもしれません。
また、キッチンの内装にも手を加えたり、キッチン以外の部屋もリノベーションするなら、内装材など設備以外の部分でコストを抑えて、キッチンの機能・設備を優先するという手法も。
写真の事例では、奥様のご希望もあって、キッチンの機能を最優先。手をかざすだけで水を出したり止めたり出来るセンサー付水栓、完全フラットで掃除が簡単なIHクッキングヒーター、炊飯器の蒸気を吸収する機能をもつカップボードと、「欲しかった機能を『全部盛り』で取り入れた」といいます。
一方で、リビングの床材を一部貼り分けるなど、リーズナブルな内装材をデザインで上手に取り入れることで、設備以外の費用を抑制しています。
キッチンリノベーションをする際の注意点
キッチンは、水道やガス、電気が集中している場所だけに、リノベーションの際は注意すべきポイントがたくさんあります。簡単にご説明しましょう。
キッチンを移動する際の注意点
キッチンの位置を変える場合は、配管の移動や延長が必要になります。
一般的な住宅では、床下に配管を設置(床下排水)していますが、水がスムーズに流れるように、ある程度の勾配をつけて配管しなくてはいけません。
とくにマンションでは、各住戸からの配管が合流するパイプスペース(PS)があります。キッチンとパイプスペースが離れすぎていると十分な勾配が取れない、つまり水が流れにくくなってしまいます。
また、床の工法によっては、配管の移動が難しいケースもあります。
マンションの躯体(コンクリートスラブ)のうえに下地を組んで、その上に床材を張る二重床工法は、床材と躯体の間で配管を取り回すことができます。
一方、躯体に直接床材を張って仕上げる直床工法の場合、配管スペースが取りづらく、経路を変える場合は壁の中に配管を通す等の工夫が必要です。二重床にする選択肢もありますが、床が高くなる分、もともと天井が低い物件では圧迫感が増してしまう可能性もあります。
こちらの事例では、もともと独立していたキッチンをリビング・ダイニングと一体化。
この際、配管の勾配を確保するために段差が生じる可能性もありましたが、キッチンの向きを変えて配置することでパイプスペースとの距離を既存とほぼ同等に保ち、段差のない床を実現しました。
配管関係でもう一つ気にしなくてはいけないのが、換気扇の排気ダクトです。
梁があるところにダクトを通そうとすると、ダクトが天井裏に収まりきらなかったり、曲った部分に油などがたまりやすいなどの問題が発生することがあります。
設備を変更する際の注意点
キッチンのリノベーションでは、設備の交換・変更がつきものです。ガスコンロをIHにしたり、ガスの口数を増やす場合は、電気やガスの容量に注意しましょう。
ひとつの住宅で利用できる電気やガスの容量には限りがあり、キッチン設備も含めて住宅全体の機器が消費する電気、ガスの量がそれを上回らないようにしなくてはいけません。
ご自宅の電気容量は、契約アンペア数を確認してください。
分電盤についているブレーカーに「30A」や「50A」といった風に数字が記載されているはずですし、ブレーカー本体の色でも判別できます。

出典:東京電力エナジーパートナー「現在のご契約アンペアの確認方法」 (https://www.tepco.co.jp/ep/private/ampere2/ampere02.html)
ガスの容量は、ガスメーターの号数(本体に記載されているアルファベット2文字+2.5から8までの数字)で調べられますが、わかりにくいこともあるので、ガス会社などに問い合わせることをお勧めします。
マンションのキッチンリノベーションの注意点
マンションのキッチンリノベーションは、戸建てに比べ、建物構造や規約による制限が生じやすいので、とくに注意が必要です。
まず、前述の配管経路の問題。
木造戸建ては建物の構造上、配管スペースの確保が比較的容易です。しかしマンションはパイプスペースを動かせない、躯体に手を加えることができないといった制限があるため、配管経路の確保が課題となりやすいのです。
また、「電気・ガスの容量」も、とくにマンションで課題となることが多いです。
一戸建てならブレーカーやガスメーターを交換し、容量を増やせばいいのですが、マンションは基本的に、全体で使用できる電気やガスの容量にも限りがあります。そのため、勝手に増設することはできません。
まずはマンションの電気・ガスの容量を確認して、希望の機器が使えるかをチェックしたうえで、利用する機器を決めましょう。マンションによっては「60アンペアまでは増設可能」など、条件付きでの増設を認めていることもあるので、管理規約を見直してみてください。
さらに、新しいキッチンが既存のものより大きい場合、お住まいの住戸まで搬入ができるのか、きちんと確かめることもマストです。古いマンションだと、エレベーターや階段が狭く、サイズによっては取り付け以前に搬入ができない可能性もあります。
ひかリノベはマンションのリノベーション工事の実績も豊富です。キッチンの選定から購入、設置工事、使いやすいプランづくりやおしゃれな内装に至るまで、ワンストップサービスでみなさまの理想の家づくりをサポートいたします。お気軽にご相談ください。
【記事監修】宇津木 和子(一級建築士、インテリアコーディネーター)
一級建築士、インテリアコーディネーター、カラーコーディネーターの有資格者。家族一人ひとりの生活時間や動線を考え抜き、細部まで暮らしやすさにこだわったプランを提案する。「人の暮らしは十人十色。ありきたりの間取りに自分を合わせるのではなく、自分のライフスタイルに合わせた間取りを。リノベーションで”自分らしく楽しく暮らせる家”を目指していきましょう」
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