
住宅を購入する方の多くが利用する住宅ローン。
自分の年収でいくら借りられるか、また無理なく完済できるかどうか、不安を感じる方は少なくないようです。
年収500万円の方の借入可能額はいくら? あるいは年収600万円なら……? 安心して借入できる金額を、年収別にひと目で分かる一覧表にまとめました。
2015/7/10初出⇒2019/2/23更新
1.住宅ローン=年収の5倍はバブル期の常識
2.金融機関の審査基準
3.年収別・借入可能額の目安表
4.返済負担率25%以内なら安心……とは限らない
5.現在のお住まいの家賃を基準に
6.ローンを組むなら早い方が安心
1.住宅ローン=年収の5倍はバブル期の常識
一般に、住宅ローンで借りられる金額は「年収の5倍が目安」と言われてきました。
しかし、これはローン金利が3%前後で推移していたバブル期の常識で、いまや長期固定金利は1.5%、変動金利は0.5%を切る超低金利時代ですから、必ずしも当てはまりません。
実際に住宅を購入した方の平均値を見てみますと、一昨年(2017年)の調査でマンション6.9倍、建売住宅6.6倍、注文住宅(土地付)7.3倍となっています。

出典:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf)
2.金融機関の審査基準
住宅ローンを借りるためには、金融機関の審査を通過する必要があります。
住宅ローンは個人に対する融資としてはもっとも高額で、返済期間も最長35年と非常に長いので、お金を貸す側の金融機関(銀行・信金・労金・ネット銀行など)としても、返済能力に不安がある方には貸したくないという本音があります。
そのため年収や年齢、勤続年数、個人信用情報などをチェックして、融資の可否や限度額(借入可能額)を審査するのです。
借入可能額は、年間の返済額が年収に占める割合(返済負担率)をもとに算定されます。
多くの銀行では、返済負担率35%(年収400万円未満の場合は30%)以内を合格ラインとしています。
※主要都市銀行や、住宅金融支援機構のフラット35の基準です。中にはもっと厳しく、25%程度を合格ラインとしている銀行もあります。
ここでいう返済額とは、利息も含めた金額です。
とはいえ審査の段階ではまだ融資実行時点の金利相場はわかりませんから、仮に審査用の金利(審査金利)を決めて返済負担率を計算します。
審査金利は銀行によって異なりますが、たいてい3.5~4.0%です。
※例外はフラット35。審査時点の実効金利で審査されますから、銀行系ローンと比べて大きな借入が認められやすいです。
なお年収はご家族と合算することも可能です。
民間銀行のローンでしたらペアローン、住宅金融公庫のフラット35でしたら連帯債務といって、夫婦や親子で組めるローン商品が用意されています。
3.年収別・借入可能額の目安表
実際に返済負担率35%(年収400万円未満の場合は30%)・審査金利4.0%・返済期間35年として、年収ごとの借入可能額(元金)の目安を見てみましょう。
こちらの表から、ご自分の年収に近い欄をご覧ください。
年収 | 借入可能額(元金) 年収負担率30-35%・金利4.0%・返済期間35年 |
300万円 | 1,693万円 |
400万円 | 2,634万円 |
500万円 | 3,293万円 |
600万円 | 3,952万円 |
700万円 | 4,611万円 |
800万円 | 5,269万円 |
900万円 | 5,928万円 |
1,000万円 | 6,587万円 |
※試算にはこちらのシミュレーターを使用しました:フラット35 ローンシミュレーション https://www.flat35.com/simulation/simu_03_2.html
※あくまで目安ですのでご注意ください。実際の審査では、物件の担保価値や、自動車ローンなど住宅ローン以外の借入状況によっても限度額は変わります。
4.返済負担率25%以内なら安心……とは限らない
マネー雑誌やWebのコラム記事などを見ますと、返済負担率(返済比率)は20~25%が安心……というアドバイスがよく見られますが、これらは適用金利を前提とした考え方です。
現在の金利相場は0.5~1.5%程度。
他方、金融機関の審査では将来の金利上昇や景気変動のリスクをあらかじめ見込んでおくため、審査金利は3.5~4.0%と高めに設定しています。
仮に適用金利1.0%として、返済負担率25%というと、年収500万円の場合は3,293万円。600万円なら4,428万円、700万円なら5,166万円です。
他方、金融機関の審査では、年収500万円で3,293万円、600万円で3,952万円、700万円で4,611万円が合格ラインです。
実は、金融期間の審査の方が厳しいことがお分かりになるでしょう。
5.現在のお住まいの家賃を基準に
いまと同程度の負担でマイホームが買えるなら……とお考えの方は、月々の支払いを現在のお住まいの家賃と同額とした場合、35年間でいくらになるかを試算してみましょう。
マンションの場合は管理費・修繕積立金がありますから、家賃-3万円と考えます。
現在の家賃が10万円という方なら、管理費・修繕積立金の分を差し引いて、ローンの返済に充てられる分は7万円になりますね。
フラット35のWebサイトに毎月の返済額から総借入額(元金)を計算できるシミュレーターがありますから、こちらを使ってシミュレーションしてみましょう。
仮に金利を1.0%とすると、35年間の総借入額(元金)は2,479万円となります。
6.ローンを組むなら早い方が安心
住宅ローンの返済期間は最長35年まで設定できますが、多くの銀行が完済時年齢を80歳と規定しています(中にはさらに厳しく、75歳という銀行も……)
つまり35年ローンを組めるのは、遅くとも44歳まで。
45歳を超えると返済期間が短くなりますから、比例して借入可能額も年々少なくなっていきます。
また審査では健康状態もチェックの対象となります。
もっと収入が増えるまで購入に踏み切れないという方は多いですが、時期を待っている間にもし健康を害してしまったら、融資を受けること自体困難になってしまいます。
ローン破綻のリスクを避ける秘訣は、ローンを組むならなるべく早いうちということ、そして自分の家計状況に合った借入額はいくらか正しく知ることです。
ひかリノベでは各ショールームにて、資金計画や物件探しについての個別相談も承っております。どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
【記事監修】三浦 英樹(ひかリノベ代表取締役)
ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。中古不動産購入からリノベーションの設計・施工、インテリアコーディネートまでワンストップで理想の住まいを提供する『ひかリノベ』代表取締役。「立地や景観、環境のよい場所の中古住宅の購入と同時にリノベーションを施すことで、自分らしい暮らしをリーズナブルに取得することが可能となります。住宅ローンの返済に縛られることのない、豊かなライフプランの実現を、家探し、家づくりを通じてサポートいたします」。
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