住宅ローン審査の基準とは?落とされる理由を知って対策しよう

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住宅購入に不可欠な住宅ローンですが、申し込めば必ず利用できるというわけではありません。融資を受けるには、銀行(金融機関)の審査をクリアすることが必要。住宅は非常に高価な買い物であるうえに、返済期間も最長35年と長いので、必然的に貸す側もシビアにならざるを得ないのです。

銀行はあなたの収入や職業、健康、あるいはあなたが購入する住宅の価値をチェックし、「お金を貸しても安心な人物か?」「返済不能になる可能性はないか?」を判断します。

金融機関がなにを審査の基準にしているのかを事前に知っておけば、マイホームの夢もぐっと実現に近づきます!

2015年6月27日初出→2023年1月25日更新

住宅ローン審査の流れ~事前審査と本審査

ローンの審査は、「事前審査」と「本審査」の二段階で実施されます。
まずはそれぞれの概要と、審査の流れ・スケジュールを整理しましょう。

事前審査とは

事前審査とは、物件購入の事前に融資の目途を立てるための審査です。

購入したいと思える物件が出てきたら、そのタイミングで事前審査に出しましょう。

もしも複数人が同じ物件の購入を希望した場合、事前審査に通った人の方が有利となります。

事前審査では、購入予定の物件や、年収や職業などの審査項目から「返済能力があるかどうか」が判断されます。

結果が出るまでの期間は通常、数日〜1週間です(金融機関によって差があります)

本審査とは

本審査は、物件の売買契約を結んだあと、正式な融資の申込としておこないます。

本審査では、返済完了時の年齢・勤務先の事業内容や勤務形態・勤続年数・健康状態などが新たに審査されます。

事前審査でも審査された返済負担率や物件の担保価値も再チェックされますが、事前審査と内容が変わっていなければ、基本的に通ると考えて差し支えありません。

ただ、ネット銀行のように事前審査を行わずに最初から本審査という場合や、みずほ銀行のように事前審査はAI簡易審査という場合は、本審査で結果が変わる可能性はあります。

本審査の結果が出るまでには、早い場合で1〜2週間、長いと1ヶ月程度の時間がかかる金融機関もあります。

審査のスケジュール

ここで、一般的な住宅ローン審査の流れを確認してみましょう。

住宅ローン審査の流れ

  1. 事前申し込み⇒事前審査
  2. 正式申し込み⇒本審査
  3. 融資の契約(金消契約)
  4. 融資の実行

事前審査は、ご自身で直接金融機関に申し込むことも可能ですが、おすすめなのは購入したい物件の取引相手(仲介会社)である不動産会社に申し込みを依頼する方法です。
不動産会社に依頼することで、物件の仮押さえや申し込みはもちろん、必要書類の用意もすべて任せることができるため「面倒な書類準備などを自分でする必要がない」「事前申し込みや審査結果が出るまでのスケジュール管理を任せられる」といったメリットがあります。

審査に必要な書類

住宅ローン審査の申込時には、源泉徴収票・住民税・課税証明など、さまざまな書類の提出が必要です。
以下の表は、一般的な金融機関で求められる審査書類と、その入手先をまとめたものです。

書類 入手先
源泉徴収票(自営業の場合は確定申告書) 勤務先
売買契約書 不動産事業者
重要事項説明書
物件の資料(チラシやパンフレット、図面など)
登記簿謄本
印鑑証明書 市区町村役所
住民票
課税証明書(住民税決定通知書)
本人確認書類(運転免許証、パスポート、健康保険証)

事前審査のポイント

事前審査をクリアできれば、本審査も高い確率で通過できると言われています。それでは事前審査で落ちてしまう人は、いったい何が原因なのでしょうか?
国交省が毎年発表している「民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によれば、融資を行う際に考慮する項目として、多くの金融機関が次の8つの項目を挙げています。

  • 完済時年齢(99.1%)
  • 健康状態(98.2%)
  • 担保評価(98.2%)
  • 借入時年齢(97.8%)
  • 年収(95.7%)
  • 勤続年数(95.3%)
  • 連帯保証(95.1%)
  • 返済負担率(92.1%)

引用元:令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査

返済負担率

審査に落ちる原因としてよくあるのが、年収に対して借入額が多すぎるパターンです。

審査では、年収の額そのものより「利息を含めた年間返済額が年収に占める割合(返済負担率)」で判断されます。
合格ラインは金融機関によって異なりますが、概ね30%〜35%以下であれば問題ありません。
なお、利息(金利)は「審査金利」といって、実際の金利よりも高め(今なら3%〜4%)で計算されます。

返済負担率は、車のローンや奨学金・消費者金融の利用・カードキャッシングなど、住宅ローン以外の借入の残高も含めて計算されるため、計算方法には注意が必要です。
最近ではスマートフォンの端末代を分割で支払っている人も多いですが、これも借入として扱われます。

年収別の合格ラインをまとめた記事もありますので、こちらもご参考にご覧ください。

個人信用情報

これまでの借入や支払いの状況、クレジットカードの利用履歴などを「信用情報」といいます。金融機関は信用情報をもとに、返済の延滞の有無を厳しくチェックします。

キャッシングの返済やクレジットカードの引落としが61日以上遅延すると、信用情報に「異動」と記載されます。
異動の記録がつくと、間違いなく審査は通りません(異動記録は支払いから5年で消滅します)。

事前審査と本審査の間に滞納してしまった場合も、審査に影響する恐れがあります。

ご自身の信用情報は、割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)・日本信用情報機構(JICC)全国銀行協会(KSC)の各機関が記録しています。
不安な方は審査を受ける前に、ご自身の信用情報を取り寄せて調べておくことをおすすめします。

物件の担保価格

もしローンが返済できなくなった場合、銀行は担保となる物件(土地・建物)を売却してお金を回収します。

物件の担保としての価値は、築年数や周辺の相場を踏まえた上で決まります。
その価値以上に融資することはなく、融資額に値するだけの価値がその物件にないと判断したら、「融資をしない」または「金額を下げる」という対応がなされます。

中古物件、とくに築年数の古い建物は担保評価が低くなりがちで、希望する額の借入が認められないこともあります。
もっとも築古物件は概して価格も安価なため、担保価値とそれほど大きなギャップが生じるケースは稀です。

健康状態や年齢

健康状態は、ほとんどの銀行が融資の条件としている団体信用生命保険団信)への加入に関わる要素です。
万が一のとき、団信の保険金が残額の返済に充てられることになります。

団信は生命保険であるため、加入にあたっては既往症や病歴の有無を告知しなくてはなりません。
もし病気を理由として加入できないと、ローンを組むこともできなくなります。

また、年齢のリスクも大きいです。
金融機関や商品にもよりますが、多くの銀行では完済時の年齢のリミットを80歳としており、35年ローンだとすると、借入時の年齢は44歳が上限になります。

さらに、会社員には定年があります。
当然、安定した収入があるうちに完済する方が望ましいので、40歳以上になると審査はやや厳しくなるようです。

本審査のポイント

事前審査で申告した内容が異なっていたり、本審査までの期間で収入や借入の額が変動したりした場合は、本審査で落ちてしまう可能性が考えられます。
「収入や借入は、審査でとくに厳しく見られる項目である」と頭にいれておきましょう。

事前審査から本審査までのタイミングで新たにローンを組んだり、キャッシングや消費者金融を利用したりすることは避けましょう。
また、本審査までの間に転職をした場合も、勤続年数の基準を満たせなくなる可能性があります。

最近はインターネットで事前審査ができることも多いですが、ネットだと源泉徴収票などをチェックしないことが多く、それゆえに「事前審査は通過したが、本審査を通過できない」というケースも多いようです。
事前審査で提出した書類の控え、またはWeb申込みで自分が回答した内容をよく確認しながら、本審査の申込書類を作成するようにしましょう。

よくある疑問

ひかリノベのお客様にも疑問をお持ちの方が多い内容について、Q&A方式でお答えします。ローンの審査に関する疑問解消に、ぜひお役立て下さい!

住宅ローンよくある疑問

  • 審査が通りやすい金融機関はある?
  • 転職は審査に影響する?
  • 車のローンや学資ローンなどが残っていると不利になる?
  • 自営業でも住宅ローンは組める?
  • 独身でも住宅ローンは組める?
  • 外国籍でも住宅ローンは組める?

審査が通りやすい金融機関はある?

ローン審査を受ける前に、インターネットで「審査  通りやすい銀行」といったキーワードで検索する方もいるでしょう。

検索結果で出てくる《審査が通りやすい銀行ランキング》や口コミサイトの情報は、銀行側がおこなう「私たちの銀行は他より審査に通りやすいですよ!」といったセールストークによる影響が大きいようです。
これは銀行側が顧客を増やそうとした結果であり、「〇〇は審査に通りやすいらしい」という噂レベルで考えた方がベターです。
当然、審査が甘いと噂されている銀行を狙っても、審査に落ちる可能性はあります。

一方で、金融機関によって重視される審査項目には個性があります。
A銀行の基準ではダメだったけど、B銀行では審査に通る――そんなことも珍しくはありません。
例えば、団体信用生命保険に、健康上の理由で加入できないとします。
確かに加入を条件とする銀行は多いのですが、「フラット35」のように団信加入は任意としているローンも存在します。

「自分は〇〇だから無理」とあきらめるのは早計。ご自身の状況にあったローン・銀行を探してみましょう。
大手銀行・地方銀行・信用金庫・ろうきんといった、複数の金融機関でローン審査を受けることで、住宅ローンを組める可能性があります。

また、メインバンクとして預金口座をもっている銀行や、不動産会社の提携の金融機関は、優遇が用意されており、金利など有利な条件で借入できる場合があります。

金融機関やローンの選び方については、下記の記事もぜひ併せてご覧ください。

転職は審査に影響する?

勤続年数や雇用形態が審査基準に達していなければ、当然審査には通りません。
たとえば、転職したので勤続年数が短い、正社員ではなく契約社員である……といった事がこれに当たります。

かつては、勤続年数2年以上を条件とするところが多数派でした。
ですが近年は転職が珍しくなくなったせいか、条件を緩和する銀行も増えています。「キャリアアップする転職なら1年未満でもOK」ということもあるようです。

雇用形態も、契約社員やパートだから必ずNGというわけではありませんが、どうしても固定給の正社員が有利になる傾向があります。

車のローンや学資ローンなどが残っていると不利になる?

車のローンや奨学金、携帯電話の分割払い等の借入状況によっては、借入額に影響が出ます。
現在抱えている借入の額をきちんと計算に入れて融資額を決めることで、審査に落ちる可能性は低くなります。

また本審査までの間に新たにローンを組んだり、キャッシングや消費者金融を利用すると、借入額が変動することになるので避けましょう。

盲点となりやすいのがクレジットカード。
キャッシング付きのカードは、たとえ使用していなくとも、キャッシング枠を借入とみなす金融機関もあります。
また、ポイントや特典をめあてにいくつもカードを所持している方がいますが、管理しきれず支払いが延滞してしまう場合もあるようです。
使わないクレジットカードは解約する、もしくはキャッシング枠だけでも外すことをおすすめします。

自営業でも住宅ローンは組める?

自営業の人は、審査基準が会社員とは異なります。そのため「会社員に比べて審査が厳しい」というイメージをもたれていますが、決して自営業だから融資が認められない、ということはありません

たとえば、所得のチェック。会社員は基本的に昨年の給与明細を提出することになりますが、自営業だと所得は確定申告書でチェックされます。
そして多くの金融機関では、この確定申告書の過去3年分を提出するよう求めています。
したがって「3年以上事業を続けていること」が融資の条件となります。

※銀行によっては2期ないし1期でOKという場合もあります。また医師や弁護士といった特殊な国家資格者は、1年でも利益が出ていれば申込可能という場合もあります。

自営業とローン審査に関する詳細は特集記事がありますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。

独身でも住宅ローンは組める?

独身者でも、住宅ローンを組むことは可能です。
金融機関が何より重視するのは「一定の基準に達する年収と月々の安定した収入があり、個人の信用情報(クレジットカード情報など)に問題がないこと」。

また独身だからといって、金利の優遇幅に影響が出ることもありません。

懸念点をあげるとすれば、パートナーに頼らず一人で支払っていかなくてはいけない分、年収・収入の安定性・本人の属性が、よりシビアにチェックされる傾向にあること。
住宅ローンを組むときは、いま一度、ご自身の勤め先・勤続年数・個人の信用情報などに欠点がないかをチェックしましょう。

独身者と住宅ローンに関する詳細は特集記事がありますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。

外国籍でも住宅ローンを組める?

住宅ローンは長期間による返済になるため、外国籍の方は永住権があるかどうかが大切なポイントになります。
実際、多くの金融機関では「永住権を持っていること」を必要条件としているところがほとんどです。

しかし近年では、「配偶者が日本人である」といった条件をクリアしていれば、外国籍の方でも利用できるローンも増えてきています。

またローンを組む場合は、住宅ローンを組む銀行の普通預金口座を開設する必要があります。
外国籍の方の場合、その口座を開設するための条件が、やや厳しい傾向にあるのが実情です。

こういった場合、過去に外国籍の人のローン取扱い実績のある銀行や、本国の銀行で日本支店がある銀行でローンを組むことで解決できる可能性があります。

おわりに

ひかリノベのお客さまの中にも、過去に審査で落ちてしまった経験をお持ちの方がいらっしゃいます。
しかし担当者が状況を調査・ヒアリングしたうえで、違う金融機関をご案内した結果、希望通りの融資が認められたケースが多数あります。

ローン選びで悩んでいる方も、ぜひひかリノベにご相談ください。担当者が、お客様一人ひとりに合ったローンをご案内します。

現在、ひかリノベのサービス概要をまとめたパンフレットと施工事例集のPDFデータを無料で配布中です。下記ダウンロードボタンより、どうぞお気軽にご覧ください。

記事監修

櫨元 宏(宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー)

宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザーの有資格者。中古リノベから注文住宅まで、13年間におよぶ建築業界での営業経験をもつ。プライベートでは料理をこよなく愛する一面も(クックパッドにてレシピ公開中!)「食と住は生活の“根っこ”だと思います。キッチンへのこだわりを口にされるお客様は非常に多いです。一方で水廻りのリフォームは、物件によって制約も生じやすい部分。知識と経験をもとに『リノベ向き物件』をご紹介します」<

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