夫婦で組む住宅ローン「ペアローン」の上手な活用方法


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夫婦や親子で住宅ローンを借り入れる「ペアローン」。
夫、妻のどちらか一人でローンを組むよりも多くの額を借り入れることができ、住宅取得の可能性が大きく広がります。専用の商品をラインアップしている銀行もあります。

しかし、借入額の面からは大きなメリットがある一方、もしもの時の返済など、デメリットも存在します。

また、夫婦の収入を合算してひとつのローンを借りるなど、ペアローン以外の方法もあります。

住宅ローンは、その後の暮らしを左右する要素のひとつ。
今回は、ペアローンの良いところ、悪いところを知って、あなたのライフプランに合ったローンを利用するためのヒントをお伝えしましょう。

2017/8/17 初出→2019/7/13 更新

ひとり1本のローンがペアローン

ペアローンとは、一定の収入がある夫婦のそれぞれが債務者となって、住宅ローンを組むことをいいます。簡単に言うと、夫、妻が1本ずつローンを契約して住宅購入資金を借り入れるのがペアローンなのです。
(なお、夫婦だけでなく、親子で利用することもできます)

例えば、4000万円の住宅を購入する際に、夫が2000万円、妻が2000万円をそれぞれ借り入れる、ということになります。

通常、住宅ローンは年収で借り入れられる額が決まるので、希望する額を借り入れられないこともあります。
ですが、ペアローンだと、夫、妻、各々の限度額を合計した額を借り入れることができるのです。仮に夫婦それぞれの限度額が同じだとしたら、2倍のお金を借りられる計算になりますね。

夫は妻の、妻は夫の連帯保証人となって、お互いのローンの返済を保証しあいます。
一人でローンを契約する場合は、連帯保証人は不要なことも多いですが、ペアローンでは必須です。この点をよく覚えておいてください。

住宅ローン控除や返済上のメリットも

住宅ローンを借り入れている人は、一定の条件下で所得税の控除を受けることができます(住宅ローン減税制度)。

すまい給付金ウェブサイト「住宅ローン減税制度の概要」

出典:すまい給付金ウェブサイト「住宅ローン減税制度の概要」 (http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/

ペアローンは、契約上は2本のローンになるので、夫、妻それぞれが控除を受けることが可能になります。

また、金利タイプや返済期間・方法をそれぞれ設定できるのも、ペアローンの特徴です。
夫のローンは固定金利、妻のローンは変動金利にして、妻は金利に応じてローンを借り換える――こうすれば、ひとつのローンで変動金利にするよりも安定した返済計画を立てられ、かつ固定金利よりも総返済額を抑えることも可能でしょう。

人生設計に応じた返済計画を、よりフレキシブルに立てられることも、ペアローンのメリットのひとつだと言えるでしょう。

返済中に万一のことがあったときは……

住宅ローンを借り入れる際は通常、団体信用生命保険(団信)に加入します。契約者が返済期間中に死亡した場合、保険金でローンの残額を返済する制度で、万が一の場合でも家族にローンが残りません。

ペアローンを組む際は、夫婦それぞれの加入が条件です。
例えば夫が返済中に亡くなった場合、夫のローン残額は夫が加入した団信の保険金でまかなわれます。一方、妻のローンはそのまま返済を続けることになります。

ペアローンと連帯債務、連帯保証人の違い

ペアローン以外にも、夫婦ふたりで住宅ローンを借り入れる方法があります。

ひとつは「連帯債務型」と言って、夫婦それぞれの収入を合算したうえで、ひとつの住宅ローンを借り入れるやり方です。
名義上は夫か妻、どちらか一人が債務者となりますが、もう一人も連帯債務者という扱いになります。

ペアローンと同様、収入合算によって、通常のローンよりも多くの額を借りられます。
住宅ローン控除も、夫婦それぞれが適用を受けることができます。

団信は基本的に主債務者のみが加入する形になります。つまり夫が主債務者の場合、ローンの返済中に夫が亡くなった場合は残高がゼロになりますが、妻が亡くなった場合は団信の保証の範囲外となり、夫はその後も返済を続けなくてはいけません。
しかし、金融機関によっては夫婦連生団信といって、連帯債務者が亡くなった場合にも、残高を保険金でまかなうことができる商品が用意されています。
ペアローンの場合、団信はそれぞれの借入額にのみ適用されるのに対して、連生団信は全額に適用されます。保証の範囲が広いことから、連生団信に加入する場合、保証料が通常よりも上乗せされます。

ただし、連帯債務型ローンを組める金融機関は限定されています。代表的なのは、住宅金融支援機構のフラット35、ろうきん、三井住友銀行など。
もっとも、最近は共働きの夫婦が多くなったために収入合算の需要も高まっていること、またそれに伴い、もしもの場合の備えが手厚い連生団信の需要も増していることから、連帯債務型の商品を用意している銀行も増えているようです。

配偶者を「連帯保証人」にする

もうひとつが「連帯保証人」を立てるやり方です。
連帯保証人型は、あくまで一人がローンを契約します。
夫がローンを契約したら、妻がその連帯保証人になり、もし夫がローンを返済できない状況に陥った場合は妻が返済を肩代わりすることになります。

連帯債務型と違って、連帯保証人は住宅ローン控除を受けられず、また団信にも加入できません。夫婦どちらも一定の収入がある場合、節税効果は薄く、メリットはさほど大きくないと言えます。

ペアローン、連帯債務型、連帯保証型の違いをまとめると、下の表のようになります。

  契約者(ローンの名義人) 持分(所有権の有無) ローン控除の適用 団体信用生命保険への加入
ペアローン 夫、妻 夫、妻双方にあり 夫、妻のどちらも適用 夫、妻のどちらも加入
連帯債務型 夫または妻のどちらか 契約者のみにあり 夫、妻のどちらも適用 夫、妻のどちらも加入(フラット35のみ)
連帯保証人型 夫または妻のどちらか 契約者のみにあり 契約者のみ適用 契約者のみ加入

持分は支払額に応じて決まる

夫名義でローンを組んで購入した住宅は、夫の所有物とすることが普通です。妻名義なら妻の所有になります。
では、夫婦でお金を出し合う形になるペアローンで購入した住宅は、どちらの所有物になるのでしょうか?

これは、夫婦それぞれの支払(ローンの借入)額に応じた割合が、それぞれの持分になるというのが正解です。
はじめに述べた、4000万円の住宅を夫2000万円・妻2000万円のペアローンで購入するケースなら、持分は夫50%:妻50%の割合となります。

では、頭金1000万円を夫が出し、残り3000万円のうち夫2000万円、妻1000万円というパターンではどうでしょう?
この場合は、夫が合計3000万円を支払うことになりますから、持分は夫75%、妻25%となりますね。

持分と贈与税に注意

単独名義のローンであっても、夫、妻の持分比率を任意に決めることはできます。
ただし、この場合は税法上、贈与とみなされる点に注意してください。夫の単独名義のローンで購入した住宅の持分を妻に配分する場合は、比率に応じた贈与税を支払わなくてはなりません。

夫婦でペアローンを組んだ場合、夫、妻の借入額が同じであれば、持分比率が50%対50%になるので贈与税はかかりません。
また、例えば借入額が夫75%・妻25%で、持分を50%対50%にするなら、妻は25%分については贈与税を支払う必要はなく、残り25%分の贈与税を支払えばいい、ということになります。

手続き費用はペアだと2倍?

夫婦それぞれでローンを契約するということは、同時に契約手続きもそれぞれ行わなくてはいけないことを意味します。必要書類も、基本的に2通必要になります。

勘のいい方はお気づきでしょうが、手続きに関わる諸費用も、夫婦それぞれにかかってしまうのです。
事務手数料や登記手数料、印紙税は、それぞれが所定額を支払わなくてはいけません。つまり、単純計算で単独名義のローンの2倍、コストがかかることになってしまいます。

連帯債務型や連帯保証人型は、夫婦で収入を合算しているとはいえ、契約上は1人が契約しているので1人分の出費ですみます。

一方、保証料などは「借入額×〇%」で額を決めることも多く、この場合はペアローンでも単独名義のローンも、支払う額は変わりません。

金利の安さやいくら借りられるかだけを見て選んでしまうと、予想外の出費を強いられることもあるかもしれません。ローンを選ぶときは、手数料や保証料も忘れずチェックしましょう。

「2人で返す」ことを意識しよう

ペアローンを利用する場合は、返済計画の立て方も注意したいポイントです。

夫、妻がそれぞれローンを借りているということは、返済も各々に一定の収入があることを前提にしているということです。
ローンを組む段階では共働きで、夫婦どちらもある程度の収入を得ていたとしても、例えば妻が妊娠、出産を機に仕事を辞める、つまり収入がなくなることになったら……? 産休、育休を取得して職場復帰する方もいれば、子育てに専念したいという人もいるでしょう。
転職したら収入が下がってしまった、なんて事態もありえますね。

こうした場合、ひとりで借りられる額以上のお金を借り入れることになるペアローンは、返済の負担がいっそう重くなってしまうことになります。

また、妻が専業主婦になったりして収入がなくなると、所得税も発生しません。当然ながら住宅ローン控除は受けられず、節税の恩恵が受けられないということになってしまいます。

離婚、死別……もしもの時はどうする?

あまり考えたくないことかもしれませんが、離婚することになってしまったり、どちらかが亡くなってしまったら、どう返済していけばいいのでしょうか。

ペアローンで購入した住宅は、夫婦それぞれに持分(所有権)があることは前に述べたとおりです。
離婚しても、所有権が双方にあることは変わりませんが、住宅は簡単には分割できません。

簡単なのは、双方の同意のもと、その住宅を売却してしまうことです。住宅を売って得たお金でローンを返済すればいいのです。

もし、売らずに所有し続ける場合は、ローンの残債をどうするかを考えなくてはなりません。
夫、妻のどちらかにローンを一本化するなら、ローンを借り換える必要が生じ、新たに金融機関の審査を受けなくてはなりません。2人分の収入の合計で借りたお金を、1人で返すとなれば条件は厳しくなります。

そのまま2人で所有し、ローンも各々が返済し続けることもできますが、初めに述べたように、ペアローンは相手の連帯保証人になっていることが前提。
もし相手の返済が滞ったり、返済不可能な状況に陥ると、否が応でも自分で返済しなくてはいけなくなります。

うまく利用すれば、より理想に近い住まいを手に入れられるかもしれないペアローンですが、デメリットもないわけではありません。
「より多くの資金を調達できるから」という理由だけで選ぶのではなく、ご自身、そしてご家族のライフプランに沿った返済ができるローンを選びましょう。

ひかリノベでは、金融機関選びから皆様の住まいづくりをサポートいたします。住宅ローン、資金計画の不安も、遠慮なく担当者にご相談ください。

 

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【執筆】荒井 隆大(ライター)
【監修】三好 海斗(宅地建物取引士)

 

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