換気はなぜ必要?正しい換気方法・換気効率の良い間取りとは?

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新型コロナウイルス感染症予防の目的もあり、以前よりもこまめに換気をおこなうようになったという方も多いのではないでしょうか。

換気をすることで、さまざまな感染症の予防効果が期待できるのはもちろん、他にもたくさんのメリットを得ることができます。

例えば、冬場の厄介な「結露」の発生を予防する効果や、家具や建物を長持ちさせてくれる効果もあります。

今回は、換気の重要性や効果的な方法、住宅との密接な関係について解説します。

簡単な実践方法と、上手に換気をするポイントもご紹介しますので、ぜひ参考になさってください!

2021年4月5日初出→2022年8月23日更新

健康にとっての換気の必要性

換気が与えてくれる効果は、住宅や家具に対してだけではありません。

そもそも、換気設備の設置は、住宅を建設する際に義務付けられている項目です。
シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなど、化学物質の室内濃度を下げることを目的とし、2003年の建築基準法改正のタイミングで原則として定められました。
それ以降、新しく建築される建物に対して、換気設備の設置が義務付けられたのです。

この改正によって、原則として、全ての建築物に機械式の換気設備(24時間換気システムなど)を設置し、住宅の場合は「1時間半で室内の半分以上の空気を入れ替えなければならない」と義務付けられました。

改正以前の既存住宅はこの対象ではありませんが、換気が健康や住宅自体の維持に関して重要であることには変わりません。

換気は、皆さんの「健康」を守るための大切なポイントです。まずは、私たちの身体面にフォーカスした換気の必要性をみていきましょう。

シックハウス症候群の予防

空気汚染が原因で、発症するといわれている「シックハウス症候群」。

目のかゆみや鼻水などの症状を引き起こす健康障害で、アレルギーに似た症状が出るという特徴があります。
症状がひどい場合には、めまいや吐き気といった症状が起こることもあるため、こまめな換気で汚れた空気を外に出してあげる必要があります。

2003年の建築基準法改正の際も、このシックハウス症候群の原因の一つと考えられているホルムアルデヒドの濃度を下げることが焦点となり、現行の建築基準法に反映されることとなりました。

アレルギー物質やウイルスを除去する

換気を怠って部屋に「湿気」や「粉塵」が溜まることで、カビダニの発生が促され、それによってアレルギーや病気を発症する恐れもあります

冬場の一酸化中毒を防ぐため

寒いからといって換気をしないでいると、特に古い暖房機器を使用している場合、一酸化炭素中毒を引き起こす危険性も考えられます。
室内の酸素濃度が低下し、一酸化炭素が急激に増加することで起こる一酸化炭素中毒。

頭痛・めまい・吐き気などの症状がみられ、最悪の場合、意識障害が起こる可能性も……。
空気の汚染は、直接目で確認することができません。とくに、石油ガス薪ストーブを使用しているご家庭では、30〜1時間に一回の換気が理想的です。

精神面にリフレッシュ効果を与えてくれる

感染症予防以外の目的で、とくに多いのがこの理由ではないでしょうか。

「季節に関係なく、朝は必ず空気を入れ替えるのが日課」「外出先から帰ってきたタイミングで空気を入れ替えるようにしている」というように、換気が毎日のルーティンに組み込まれている方もいるでしょう。

換気によって、部屋に溜まった二酸化炭素を外に逃がし、新しい空気(酸素)を取り込むことで、心も体も同時にスッキリさせることができます。

家にとっての換気の必要性

次に、換気が必要な建物や家具など、「物」と「換気」の関わりについてみていきましょう。
まずは、大切な「住宅」を守るために、換気が必要な理由について解説します。

除湿効果がある

換気を行うことで、家の中に溜まっている湿気を外に逃がす効果があります。

梅雨の時期でなくとも、意外と部屋の中には湿気が滞りやすいもの。調理中や入浴時に発生する湯気、部屋干しした洗濯物からも湿気は発生しています。
家に湿気が滞ることで、床や壁、家具の劣化にもつながり兼ねません。適度な除湿を行うことは、カビの発生を抑えることにも繋がります。

結露を防ぐ

戸建住宅に対し、マンションはとくに気密性が高いといわれています。
「室内の気温を一定に保ちやすい」というメリットがある反面、外との気温差が大きくなりやすいという問題を抱えています。
結果的に、湿気がこもって窓際やサッシに結露が発生しやすいというデメリットもあるのです。

マンションに限った話ではありませんが、結露はカビの発生や健康面への悪影響を引き起こす原因となる可能性があるため、十分な注意が必要です。

コロナ禍における換気の効果とは

私たちが今のコロナ禍で換気を行うことは、どのような良い効果を生み出すのでしょうか。
ここでは、新型コロナウイルスと換気の重要な関係性についてご説明します。

ウイルスが長時間漂うのを防ぐ

新型コロナウイルス感染症の発症に至るまでには、いくつかの感染経路が確認されています。

まず、ウイルスがついた手や指で、顔や鼻・口を触ってしまうことで感染する「接触感染」。感染者がくしゃみや咳をし、そのときに飛沫したウイルスを吸い込んで感染する「飛沫感染」が主な原因といわれています。

換気を行わなかった場合、空気の流れが悪い密閉空間で飛沫したウイルスが長時間漂うことになります。ウイルスが空気中に漂い続けることで遠くまでウイルスが移動し、感染リスクの範囲を広げる恐れがあるのです。

家の中での話に置き換えてみると、家族間での感染リスクが高まる可能性も考えられますね。

自分でできる・効果的な換気の方法

予算の関係で、空気清浄機の購入や暖房器具の買い替えが難しいという方でも、すぐに試せる効果的な換気のポイントをお伝えします!

2ヵ所の窓を開ける

できれば窓を2ヵ所開けて、空気の通り道を作ってあげましょう!
そうすることで、開ける窓が1ヵ所の場合よりも、効率的な換気を行うことができます。

ポイントは、風の流れを確認し、入口となる窓は狭く出口となる窓は広く開けること。そうすることで空気の流れに勢いがつくため、短時間でも十分な換気をおこなえます。

換気は短時間でこまめに

過度な換気は、せっかくエアコンを使用して温度調節をした効果を下げてしまい、効率的ではありません。

一日に1回30分の換気をするよりも、1回5分程度を3〜4回に分けて換気をおこなう方が、換気の効率アップだけでなく、電気代の節約にもつながります。

湿度が低い時間帯を狙う

換気を行うのにベストな時間帯は、湿度が低いといわれている12〜16時です。

とくに春夏は12〜16時秋冬は12〜14時のあいだがベストといわれていますので、参考にしてみてください。

各ご家庭の生活パターンによっては、この時間に換気するのが難しい方もいらっしゃるかもしれません。そういった場合でも、換気を諦めるのではなく、できる時にこまめな換気を心掛けましょう。

扇風機やサーキュレーターを活用する

「そもそも窓を2ヵ所開けることが難しい」「高層マンションだから窓が数センチしか開かない……」といったお悩みもあるかもしれませんね。

空気の通りが悪い場合には、扇風機やサーキュレーターを配置するのもひとつの方法です。

とくにサーキュレーターは、直進性の高い風を発生させるため、換気が難しいケースにも適しており活躍してくれます。

リフォームで住まいの換気性能をアップ

時間や予算が許すのであれば、住宅の換気性能をアップさせるリフォームを検討するのも良いでしょう。換気システムについて詳しくご紹介します!

熱交換換気システム

外の冷たく新鮮な空気と、室内の温かく汚れた空気を循環させる目的で使用するのが、熱交換換気システムです。

換気扇を通す際に、お互いの熱を交換することで、冷たく新鮮な空気を温かい状態で室内へ供給することが可能に
窓を開けることなく、絶えず新鮮な空気を取り込むことができるうえ、光熱費も大幅に節約できるという優れた設備です。

熱交換換気システムは、新型コロナウイルスの感染予防対策でも効果を発揮します。とくに、一日に何回も換気するのが難しい場合におすすめです。
冬場の換気と寒さの問題でお悩みの方は、ぜひ熱交換換気システムの導入を検討してみてください。

ただし、熱交換換気システムを取り付ける場合、基本的にはスケルトンリノベーションでないと設置は難しくなります。

熱交換換気システムを採用したリノベーション事例

中古マンションを購入しリノベーションを施した、こちらの事例。もとは築20年のオール電化マンションだったため、給湯・空調・換気を一台で行う多機能システムが設置されていました。それらひとまとめになっていたものを別々に計画し直し、熱交換型換気システムを採用。これにより室内空気環境を改善するとともに、省エネにも成功しました。

換気のいい間取りとは?

これから新しく家を買う方、リノベーションを検討している方に向けて、換気効率のよい間取りをご紹介します。

換気のいい間取りとは、「風通しのいい間取り」ということ。
だからといって、むやみに窓の数を増やせばいいという訳ではありません。風の通り具合は、立地季節によっても変化するため、風の流れをしっかりと理解して設計することが重要です。

戸建ての場合、二階建て以上の住宅なら「吹き抜け」を作ることで、風通しのいい家にすることができます。
そして大切なポイントは、窓を配置する場所。理想は、各部屋に2つずつ窓を設ける間取りです。空気の通り道をスムーズに作れるため、風通しのいい状態を作りやすくなります。

窓を2つ設置することが難しい場合でも、部屋の入口(ドア)と窓を使って、風の通り道を作ることができれば、換気のいい部屋にできますよ。

風通しの良さを意識したリノベーション事例

こちらも、ひかリノベが施工を担当した事例です。一直線に窓を配置することで、遮る壁もなく、全体に風が通り抜ける間取りへと変身させました。

まとめ

季節によっては、換気を億劫に感じてしまうことも少なくないでしょう。
しかし、効率的な換気のポイントさえ抑えることができれば、短時間の換気でも健康面だけでなく住宅の寿命も伸ばすことができます。
家の構造上、ご紹介した換気の実践が難しいという方でも、サーキュレーターの活用やリフォームによって、快適な空気循環の実現が可能です。

ひかリノベでは、熱交換換気システムの設置はもちろん、湿気による結露を防ぐタイプの窓設置など、機密性能を高めて断熱効果をUPさせるなど、複合的な断熱リフォームのご提案が可能です。

住まいに関するお悩みは、ぜひリノベーションのひかリノベにご相談ください!

家探しからのリノベーションをご希望の方は、物件探しから設計・施工まで。居住中のご自宅のリノベーションは、工事中の仮住まい探しから設計・施工まで、ワンストップでおまかせいただけます。

現在、ひかリノベのサービス概要をまとめたパンフレットと施工事例集のPDFデータを無料で配布中です。下記ダウンロードボタンより、どうぞお気軽にご覧ください。

記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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