中古マンション購入のよくある失敗例とは?物件選びで注意すべきポイントを解説

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中古マンションを購入する場合、物件選びは重要です。ではマンション購入で失敗しないために、どのような点に注意すべきなのでしょうか?

中古マンションは新築と異なり、実物を見て購入できる点が大きなメリット。騒音や近隣トラブルなどはモデルルームでは確認できません。

この記事では、中古マンション購入でよくある失敗例と、失敗を避けるために物件選びで注意すべきポイントを紹介していきます。内見で見るべきポイントを確認していきましょう。

中古マンション購入のよくある失敗例

中古マンション購入を成功させるには、マンション選びで失敗してきた人の例を把握することが重要です。こちらでは、中古マンション購入のよくある失敗例を紹介していきます。

Case1.月々の住宅ローン返済が負担

多くの人は住宅ローンを組んでマンションを購入しますが、月々のローン返済が家計の負担となり、後悔する人も少なくありません。

「ローンを組むには金融機関の審査があるので大丈夫なのでは?」と思われる方がいるかもしれませんが、落とし穴になりやすいのが毎月かかる修繕積立金や管理費、固定資産税などです。毎月のローン返済だけなら問題なくても、修繕積立金や管理費もあわせると家計を圧迫してしまうケースが見受けられます。そのため、予算を組む際は住宅ローン以外の固定費もあわせて考える必要があります。

Case2.騒音・近隣トラブル

実際に住んでみて初めて「隣人が夜中まで騒がしい」「ペットが良く吠える」などのトラブルを把握するケースがあります。このような住人同士のトラブルは、マンションでは特に多く聞かれる悩みです。

マンションは隣の住戸と壁一枚で接しているため、音が隣家に響きやすい特徴があります。
壁や床のコンクリートが厚いマンションは防音性能が高く、音漏れがしにくくなっているものの、それでも足音やペットの鳴き声等が漏れるのを完全に防ぐのは難しいものです。

マンション内見時には、このような音が気にならないか実際に確認することが大切です。

Case3.目の前にビルが建ち日当たりが悪くなった

日当たりのよさが決め手となり物件を購入したはずが、購入後や入居後、目の前にビルやマンションが建ち、日が入らなくなってしまったという失敗があります。
日当たりが悪いと、日中でも部屋が暗くなり電気代がかさむデメリットも。

土地の利用方法は、「用途地域」によって制限されています。購入予定のマンションの周辺が、高い建物の建築が制限されていない地域だったり、音やにおいの出る施設、または大型商業施設等の建設が制限されていない地域だったりすると、マンション購入後にそうした施設が近くにできる可能性があります。

マンション周辺がどの用途地域に指定されているかは、インターネットで調べることができます。「○○区(市区町村名)+用途地域」で検索して、自治体のホームページで確認可能。マンション購入を検討する際は、周辺の用途地域も忘れずにチェックするようにしましょう。

Case4.住宅ローン控除が使えない

住宅ローン控除を利用するには一定の要件があり、住宅ローンを利用している人すべてが無条件に使える制度ではありません。

住宅ローン控除制度とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、一定期間ローン残高の0.7%が所得税から控除されるという制度。控除の利用を希望する人は多いですが、要件についてはよく知らない、という方も少なくないのではないでしょうか。

中古マンションを購入する場合とくに注意したい要件が、「新耐震基準であること」。購入予定のマンションが新耐震基準でないと、住宅ローン控除は受けられないのが原則です。

新耐震物件を見分けるには、まず築年数を確認しましょう。新耐震基準の適用が開始したのは、改正建築基準法が施行された1981年6月1日から。1981年5月31日までに建築確認を行った物件は「旧耐震基準」ということになり、基本的に住宅ローン控除を受けることができません。

ただし旧耐震時代の物件であっても、耐震診断を受けて必要な耐震補強工事を実施し、「耐震基準適合証明書」や「既存住宅性能評価書」を取得している物件に限り、住宅ローン控除の対象となります。

Case5.入居後に修繕積立金が倍増

マンション入居後に修繕積立金が値上げされ、「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースもあります。修繕積立金はマンションの維持管理に必要で、マンションの区分所有者は毎月管理組合に納めなければならない費用です。

修繕積立金の適正金額は、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、10階建ての中規模マンションの場合で、月額10,200円~19,200円が目安となっています(※専有面積60㎡として計算)機械式駐車場など、メンテナンス費用が嵩みやすい設備がある場合はその分積立金額も高くなります。

中には分譲時に修繕積立金を安く設定していて徐々に値上げしていく物件や、大規模修繕前に一時金を徴収するマンションもあります。修繕積立金が目安金額よりも極端に安い場合は、将来的な値上げの可能性を念頭に置く必要があるでしょう。

Case6.リノベーション費用が思ったより高かった

中古マンションではリフォームやリノベーションをすることを前提として購入する人も多いですね。リノベーション費用が思っていたよりも高額で、「工事資金を用意できない」「希望していた間取りや工事を諦めねばならず、思い描いていた理想の住まいとは程遠いものになってしまった」という失敗例もあります。

リノベーション費用は、工事内容や物件の状態によって大きく上下します。希望の間取りや工事をするにはいくら費用が必要なのか確認しないまま物件購入を先行してしまうと、リノベーションの予算足りなくなってしまうリスクが。リノベーションを予定している場合には、物件探しの前にリノベーション会社に相談してプランの概要を決め、費用の概算見積もりをとっておく必要があるでしょう。

また物件の状態によっては、追加で修繕が必要だったり、配管経路が特殊で追加費用が必要な場合も。そうしたケースでも対応できる余力を残して予算を考えることが、失敗しない秘訣です。

Case7.計画していたリノベーションができない

建物の構造や技術的な問題で、計画していたリノベーションができないケースもあります。特に間取り変更を計画している場合は注意が必要です。建物の構造や配管経路がネックとなり、思い通りのリノベーションができない可能性があります。

マンション構造は大別して「壁式構造」と「ラーメン構造」の二種類があります。壁式構造は壁面で建物を支えているため堅牢であるというメリットがある一方で、建物の構造耐力上「壊せない壁」が住戸の中にも存在するのです。そのため、プランによっては間取り変更が思うようにできない場合があります。

また水廻りの変更を行う場合には、PS(パイプスペース)の位置を考慮しなければなりません。PSとは、上下水道管やガス管などを通しているスペースのこと。給水や排水を問題なく行うには、配管に一定の勾配が必要です。そのためPSからあまりにも遠く離れた場所にキッチンや洗面台を配置することはできません。

希望のプランが実現可能な「リノベ向き物件」を選ぶためには、まず物件探しの前にリノベーション会社と打ち合わせを行い、ある程度プランの概要を決めておくこと。そして物件を決める際は、リノベーション会社と一緒に図面や現地をよく検討することが重要です。

中古マンション購入で後悔しないための5つのポイントは?

以上のような失敗を避けるためには、次の5つポイントに注意しましょう。

  • 予算と資金計画
  • 立地・周辺環境
  • 築年数
  • 管理状態
  • (リノベーション前提の場合)リノベ向き物件か否か

予算と資金計画

まずお金の面で失敗しないためには、年収や家計状況に見合った予算や資金計画を立てるのがポイント。

このときヒントになるのが、金融機関の住宅ローン審査の基準です。
多くの金融機関のローン審査では「返済負担率」がチェックされます。返済負担率とは、一年間の返済額が年収に占める割合のことで、多くの銀行では返済負担率35%まで(年収400万円未満野場合は30%まで)を基準としています。一年間の返済額には利息も含まれ、3.5~4.0%の金利で計算されるのが一般的です。

下表は主要都市銀行の審査基準に基づき、

  • 返済負担率35%(年収400万円未満では30%)
  • 審査金利0%
  • 返済期間35年
  • ボーナス払いなし

という条件で、年収に対する借入可能額の上限を算出したものです。

年収 借入可能額(元金)
300万円 1,693万円
400万円 2,634万円
500万円 3,293万円
600万円 3,952万円
700万円 4,611万円
800万円 5,269万円
900万円 5,928万円
1,000万円 6,587万円
1,100万円 7,245万円
1,200万円 7,904万円

フラット35「ローンシミュレーション」を使用して算出

※実際の審査では、物件の担保価値、自動車ローンや学資ローンなどの借入状況、勤務先や勤続年数などが総合的に考慮されるため、限度額はケースバイケースで変わります。上記はあくまで目安とお考え下さい。

ただし中古マンションの購入には物件代金だけでなく、各種税金や仲介手数料などの諸費用がかかります。また、リノベーションを行う場合はその費用も見込んでおかねばなりません。

諸費用の金額は、中古マンションの場合、全体で物件価格の10%弱を見ておけばよいでしょう。住宅ローンに組み込むこともできますが、同額を手付金(頭金)として現金で支払う人が多数派です。

リノベーション費用は、工事内容や物件の状態によって上下しますが、専有面積60平米の一般的なマンションの場合いくらあればどんな工事ができるか、おおよその目安は下表のとおりです。

工事内容
※マンション 60㎡を想定
予算
800万円 1,000万円 1,500万円
水まわり設備の取り換え
内装(床、壁、天井)の一新
間取り変更
造作家具や素材へのこだわり
断熱工事 × ×

データ出典:SUVACO(https://suvaco.jp/doc/apartment_renovation_howmuch-230213

立地・周辺環境

住宅を購入するとき、多くの人がまず最初に「エリア」を考えます。通勤や通学の経路、買い物ができる商業施設の有無、駅・病院などの生活インフラ、子育て世帯なら保育所などへのアクセスの良さなど、暮らしの利便性を比較して検討するのが一般的。

住みやすさを左右するもう一つのポイントが、地域の治安です。各都道府県警察が犯罪発生マップを公開しているので、検討している地域でチェックしてみましょう。

また、地震や集中豪雨による水害などの災害のリスクも気になるところ。自然災害の発生の有無は如何ともしがたい部分がありますが、被害を受けにくい地域を選ぶというのもポイントに。そのうえでヒントになるのが、ハザードマップの活用です。

国土交通省が運営しているハザードマップポータルサイトでは、洪水・土砂災害・津波・道路防災などに関する情報を地図に重ねて確認できる「重ねるハザードマップ」や、市町村が独自に公開している「わがまちハザードマップ」を公開しています。

また、朝日新聞デジタルでは、大地震発生時の地盤の揺れやすさを調べられるシミュレーターを公開。こちらも地域を選ぶ際の参考にしてください。

また、立地は物件価格を決定づけるポイントでもあります。建物の価値は年数が経つにつれて下落しますが、土地の価格はほぼ変わりません。将来的に売却する可能性を考えるのであれば、資産価値の高いエリアを選ぶことも重要です。

資産価値を左右する重要な要素の一つが、最寄り駅からの距離です。駅から徒歩15分を超えると需要が大きく低下します。また、エリアの利便性にも注目。再開発により新たな住民の流入が見込まれるエリアは人気が高いので、築10年を超える物件でも価格が落ちにくいのが特徴です。

築年数

中古マンションは新築よりも価格が安く立地が良い物件が多いですが、築年数が古いほど「あと何年住めるか」という点が気になります。

しかし、建物の寿命は築年数で一概に語れるものではなく、管理状態に大きく左右されます。築40年ほどで雨漏りや配管などの水漏れなどの問題が起こる家もあれば、管理状態が良ければ築100年を超えても住宅として問題なく使用できる建築もあります。「あと何年住めるか」を考えるときには、適切なメンテナンスが行われているかどうか、建物の管理状態をよくチェックしましょう。

とはいえ住宅ローン控除の利用を希望する場合は、新耐震基準が控除の要件となっていますから、選択肢は自ずと「築年月が1981年6月以降の物件」に絞られます。

価格の安さを重視するなら、築25年以上の物件がおすすめです。中古マンションの価格は築20年~25年で底値に至ります。その後は変化が緩やかになるので、リセールバリューが安定しているという意味でもおすすめです。

管理状態

マンションの管理状態をチェックするには、次のような点に注目して外観を見てみましょう。

  • 外壁の塗装剥げ・タイルの浮き
  • 外壁・廊下・バルコニーのひび割れ
  • 屋上防水の膨らみ

また、駐車場や駐輪場・エントランス・ゴミ置き場など共用設備の掃除が行き届いているか、きれいに使われているかといった利用状況からも、管理にたいする意識が分かります。マンションを内覧する際は、外観や共用設備などにも目を光らせ、日ごろの手入れが行われているか、管理組合が機能しているか判断しましょう。

管理組合が保管している管理書類からも、建物の管理状態をチェックできます。通常、管理組合には、過去の修繕履歴や今後の修繕計画といった書類があります。これらの書類は、不動産会社を通じて取り寄せが可能です。次のようなポイントに注目して、書類をチェックしてみましょう。

  • 管理規約、長期修繕計画、これまでの修繕記録
  • 毎月の管理費・修繕積立金の金額
  • 修繕積立金の貯蓄額
  • 管理費や修繕積立金の滞納状況

(リノベーション前提の場合)リノベ向き物件か否か

リノベーションやリフォーム前提で中古マンションを購入する場合、部屋の内装や間取り、キッチンやユニットバスなどの住宅設備機器は変更が可能なので、内見時にはそれほど気にする必要はありません。

一方で部屋の広さや日当たり、眺望は工事で変えられないので、内見時によくチェックしましょう。
エントランスのオートロック等の共用設備も、個人では変えられない部分。さらにマンションではバルコニーや玄関ドアは共用部分となるため、基本的に所有者が勝手に手を加えることはできません。

マンションによっては、防音性能を保つために使用する床材が指定されていたり、制限されているところも。希望する工事が制限されないかについては、管理規約をチェックする必要があります。

構造上壊せない構造壁の有無や水回りの配管経路が、間取り変更の妨げとなる可能性も。マンションの構造や配管経路については、素人目ではなかなか分かりません。そのため、事前にリノベーション会社に内見に同行してもらったり、図面等を確認してもらうといいでしょう。

リノベーション会社の中には、物件探しからリノベーションの計画、施工まで一貫して行う「ワンストップリノベーション」の会社があります。リノベーション前提で中古マンション購入を検討している方は、初めからワンストップリノベーション会社に依頼するのがおすすめです。

おわりに

マンション購入は、多くの人にとって大きな買い物であるがゆえに後悔したくないもの。こちらで紹介したよくある失敗例を知っておけば、購入前に注意すべきポイントが見えてくるはずです。

リノベーション前提の場合は建築の知識も必要になるため、自分一人では工事の可否が判断しにくいです。そのため、物件探しの段階からワンストップリノベーションの会社の依頼することをおすすめします。

当社ひかリノベは、物件探しからリノベーションまでワンストップでお任せいただけるリノベーション会社です。物件仲介のみを行う不動産会社と異なり、建築知識に基づいた物件紹介が可能。それぞれのリノベーション計画に合った「リノベーション向き物件」をご案内します。「中古を買ってリノベーション」を検討している方は、ぜひ当社ひかリノベにご相談ください。

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記事監修

尾高 等(宅地建物取引士)

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