マンションの売却にかかる税金〜計算方法&知って得する軽減制度


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マンションを売却すると、所得税をはじめとした各種税金がかかります。
その中には「必ずかかる税金」と「利益が出た場合にかかる税金」があります。

一方で、課せられる税の中には、一定の条件を満たす場合に軽減措置が適用されるものも。
売却で得た利益を、必要以上に手放してしまうことのないよう、この記事でポイントをおさらいしておきましょう。

2016/9/8初出⇒2019/11/14更新

売却時に課税される5つの税金

自宅マンションを売却した際にかかる税金には、必ずかかる税金と利益(譲渡所得)にかかる税金があります。

印紙税・登録免許税は、全ての売主に課税されます。
所得税・住民税・復興特別税は、購入時よりも高く売れたときだけ課税されます。

   税の種類 支払い時期
必ずかかる 印紙税 売買契約のとき
登録免許税 ローン完済後、法務局で抹消手続きをするとき
利益が出た場合にかかる     所得税 源泉徴収のとき
住民税 毎年度はじめ頃(4~5月)
復興特別税 確定申告のとき

それぞれの金額の目安を、くわしく見ていきましょう。

印紙税

まずは、印紙税から詳しく解説していきます。

印紙税とは、契約書や領収証に貼る収入印紙の代金のこと。
不動産を売買する際は、売買契約書に収入印紙を購入して貼ることで、税金を納めます。

印紙税の金額は、物件価格によって次の表のとおり決まっています。
2020年3月31日までは軽減税率が適用されます。表右側のオレンジの欄をご覧ください。

契約金額 本則税率 軽減税率
100万円~500万円 2,000円 1,000円
500万~1,000万円 10,000円 5,000円
1,000万~5,000万円 20,000円 10,000円
5,000万~1億円 60,000円 30,000円
1億~5億円 100,000円 60,000円

参照:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm

登録免許税

マンションを買う際に、住宅ローンを組んだ人は、土地・建物が抵当に入っています。売却する際は、これを外さなければなりません。
つまり、ローンを完済し、抵当権抹消登記の手続きをとるわけです。
上記のように登記や登録を行うと、登録免許税が課税されます。抵当権抹消登記の場合(土地・建物合わせて)2,000円が課されます。

所得税・住民税

買ったときよりも高い価格で売れて、譲渡所得を得た人に課される税です。
税率は売却のタイミングによって変わります。

  • 購入後5年以下
  • 購入後5年以上

この2通りです。

所得税・住民税の計算方法

    • 買ってから5年以内に売却した人(短期譲渡所得)

譲渡所得×39%(所得税30%+住民税9%)

    • 買ってから5年以上経過してから売却した人(長期譲渡取得)

譲渡所得×20%(所得税15%+住民税5%)

参照:国税庁 土地や建物を売ったとき(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm

復興特別税

復興特別税は、2011年3月11日に起きた東日本大震災に対する、復興支援を目的とした税金です。
こちらも所得税・住民税と同様に、買ったときよりも高い価格で売れて、譲渡所得を得た人に課せられます。

2013年1月1日から、全所得者に納付が義務付けられており、基本的には、給与から天引きされる形で納税します。
そして、年末調整の際に、過不足を清算する、という流れです。

復興特別税の計算方法

譲渡所得にかかる所得税額に2.1%を加算

マンション売却で得た利益「譲渡所得」とは

譲渡所得とは、売却によって得た利益のこと。買ったときに比べて「どれくらい高く売れたか」ということです。
ただし、諸費用である、仲介手数料・登記費用・各種税金なども考慮して算出します。
売却価格から購入価格や売買に伴う諸費用を差し引いたものが譲渡所得になります。

譲渡所得の計算方法

売却価格 − (取得費用+譲渡費用)

参照:国税庁 建物の取得費の計算(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm

取得費用には、マンションの購入代金はもちろん、諸費用(仲介手数料・登記費用・各種税金など)のほか、リフォーム・リノベーションをした場合、その費用も含まれます。
譲渡費用も同様で、売却代金のほか、諸費用(仲介手数料・登記費用・各種税金など)が含まれます。

ここで注意したいのが、建物は古くなるにつれて価値が下落していく(減価償却)ことも考慮しなくてはいけない、という点です。
したがって取得費用は、購入価格から減価償却分を差し引いて計算します。

RC造のマンションは、税法上の法定耐用年数を47年と定めています。
つまり、1年に2.2%ずつ価格が下がっていくことになります(償却率)。

マンションの減価償却の計算方法

購入価格×0.9×2.2%×築年数

※減価償却は、建物代金のみが対象となります。土地代金は対象外。

参照:国税庁 減価償却資産の耐用年数(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340M50000040015&openerCode=1#207

では、実際に譲渡所得や減価償却を算出し、課税額を計算してみましょう。

Q.

4,000万円(建物2,000万円・土地2,000万円)の新築マンションを購入した。諸費用は200万円かかった。
10年後、このマンションを4,500万円で売却した。このときの諸費用は150万円だった。
この場合、所得税・住民税はいくら課税されるか?

A.

マンションの減価償却は、2,000万円×0.9×2.2%×10年=396万円。
よって、築10年時点の建物価格は、2,000万円-396万円=1,640万円。

マンションの取得費用は、建物1,640万円+土地2,000万円+諸費用200万円=3,840万円。

譲渡所得は、4,500万円-(3,840万円+150万円)=510万円。

購入後、5年以上が経過してからの売却なので、課税額は 510万円×20%=102万円。

共有物件の譲渡所得は誰のもの?

いまは共働きの家庭が増えて、住まいも夫婦の共有とするケースが多くなっています。
この場合、譲渡所得も持分に応じて分け合うことになります。

たとえば、夫婦で半分ずつ共有している自宅を売却し、500万円の譲渡所得を得られた場合、夫250万円・妻250万円と分け合うことになるのです。
また、このあとで説明する減税制度の3,000万円特別控除や10年超所有軽減税率といった特例も、夫と妻、それぞれ控除を受けることができます。

ですから、もし仮に5,000万円の譲渡所得があったとして、夫の単独名義だった場合は控除額の上限は3,000万円ですが、夫婦の共有であった場合は、実質6,000万円まで控除を受けられるのです。
ペアローンにおける住宅ローン控除と同様ですね。

知らきゃ損する!? 軽減制度

譲渡所得にかかる税金については、売却したマンションが自宅であった場合に限り、とくべつに軽減措置が用意されています。

  • 所有期間が10年超のマイホームの軽減税率の特例
  • 3,000万円の特別控除
  • 買い換え特例

所有期間が10年超のマイホームの軽減税率の特例

10年を超えて所有したマイホームを売却する場合、軽減税率が適用されます。

10年超所有軽減税率の要件

  • 売却した年の1月1日時点で、10年を超えて所有していること
  • 前年・前々年とこの特例を受けていないこと
  • 買い換え特例や繰り越し控除の特例など、他の特例をいっしょに受けていないこと
  • 以前に住んでいたが、いまは住んでいない家を売る場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

参照:国税庁 マイホームを売ったときの軽減税率の特例(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm

この特例を受けた場合の課税額は、つぎの表のとおりです。

所有期間が10年超のマイホームの軽減税率

    • 譲渡所得のうち6,000万円以下の部分

譲渡所得×14%(所得税10%+住民税4%)

    • 譲渡所得のうち6,000万円を超える部分

譲渡所得×14%(所得税15%+住民税5%)

譲渡所得が6,000万円を超えることはめったにありませんので、基本的に「所有期間が10年を超える場合、譲渡所得にかかる所得税・住民税は14%」と覚えておけばよいでしょう。

また、所得税額が安くなるのにともなって、復興特別所得税の金額も安くなります

3,000万円の特別控除

実は自宅を売る場合、譲渡所得が3,000万円を超えない限り税金はかかりません。
譲渡所得が3,000万円を超えることはめったにありませんので、実際には多くの人がこの特例によって所得税・住民税の支払いを免除されることになります。

3,000万円の特別控除の要件

  • 自分が居住する家であること
  • 前年・前々年に、この特別控除や買い換え特例、繰り越し控除の特例を受けていないこと
  • 収用等による特別控除など、他の特例をいっしょに受けていないこと
  •  以前に住んでいたが、いまは住んでいない家を売る場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
  •  親子や夫婦など、特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

参照:国税庁 マイホームを売ったときの特例(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

ここで注意したいのが、この「3,000万円の特別控除」と住宅ローン減税との併用はできないということです。
つまり、この特例を受けると、新居を購入する際に住宅ローン減税が使えなくなってしまいます。

譲渡所得が少額である場合、あえて特別控除を受けず、新居の購入に住宅ローン減税を使う方がお得になる場合もあります。
まずは2章であげた計算方法で、譲渡所得によって課税される所得税・住民税を算出し、10年間で受けられる住宅ローン減税の総額と比べてみましょう。

買い換え特例

新居へ買い換えをする人は、新居が売却したマンションの売価より高い場合、所得税・住民税の課税を免れることができます。
また新居の方が、安価な場合も、課税のタイミングを、将来「新居を売却するとき」まで先送りすることができます。

買い換え特例の要件

  • 売却する家に、その年の1月1日時点で10年を超えて居住していること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 新居の土地面積が500平米以下、床面積が50平米以上であること
  • 新居は築25年以内であるか、新耐震基準に適合していること
  • もとの家の売却の前年〜翌年の間に、新居を購入すること

参照:国税庁 特定のマイホームを買い換えたときの特例(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

この特例を受けた場合、課税対象となる譲渡所得は、買い換えによって得た利益です。
つまり、家の売却で得たお金が、新居の購入費用を上回った分となります。

買い換えの場合の譲渡所得の計算方法

収入金額−必要経費

収入金額とは、もとのマンションの売却価格と新居の購入価格の差額です。
また必要経費とは、買い換えに要した費用全般をいいます。

収入金額の計算方法

もとの家の取得費用−新居の購入価格

必要経費の計算方法

(もとの家の取得費用+売却の諸費用)×収入金額÷売却価格

とはいえ、実務では課税自体が免除される3,000万円特別控除を使われる方が多いでしょう。
買い換え特例も、3,000万円特別控除と同様、住宅ローン減税との併用は認められませんので、「住宅ローン減税を使うために3,000万円特別控除をあえて受けないことにした」という方にもマッチしません。
もとの家を親族に売却した場合など、この特例が検討されるケースは、実際にはやや限定的になります。

損失が出た場合の救済措置

もし、自宅マンションを売却して損失が出た場合は、4年間にわたって所得税と住民税が控除されます。

譲渡損失の繰越控除の要件

  • 売った年の1月1日時点で5年を超えて所有していること
  • 売却の時点で住宅ローンが残っており、その残額が売却価格を超えていること
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないこと
  • 年間所得が3,000万円以下であること

参照:国税庁 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3370.htm

上記を満たす場合、譲渡損失またはローンの残債、いずれか少ない方と同額が年間所得から控除され、所得税・住民税が安くなります。

譲渡損失の計算方法

売却価格−(取得費用+売却費用)

実際に例をあげて、計算してみましょう。

Q.

取得費用4,000万円のマンションに10年住んだあと、2,000万円で売却した。このときの売却費用は70万円。
ローンの支払いは、残り3,000万円。
この場合、譲渡損失の繰越控除により所得税・住民税はいくらになるか。
なお、年間所得は600万円とする。

A.

譲渡損失は、2,000万円-(4,000万円+70万円)=▲2,070万円。
ローンの残債は、2,000万円-3,000万円=▲1,000万円。
したがってローンの残債の方が少ないので、こちらを年間所得から差し引く。

年間所得は600万円なので、この年の所得は600万円-1,000万円=▲400万円となり、所得税・住民税は課税されない。

実務では、会社員の所得税・住民税は給与から源泉徴収されるため、払いすぎた分が年末調整で還付される、という形になります。

投資目的の場合は消費税がかかる

はじめから転売目的で入手した物件・賃貸に出して家賃収入を得ている物件(自宅として居住していた物件を、転勤等が理由で賃貸に出した場合も含む)は投資用と見なされ、税制も自宅を売却する場合とは異なります。

もっとも大きな違いは、売却代金に消費税が課税されるということです。

ただし、利益の小さいサラリーマン大家さん等は「免税事業者」といって、支払いが免除されています。
ボーダーラインは、2年前の課税売上が1,000万円を超えているか否かです。

この場合、売却益が出たかどうか(買値より高い売値がついたかどうか)に関わらず、売却価格に対して消費税が課税されます。
とはいえ、課税対象となるのは建物価格だけ。土地は対象外です。

売却によって譲渡所得を得たときは、消費税のほかに、所得税・住民税が課税されることになります。
購入してから5年以内の売却は譲渡所得の39%、5年超なら譲渡所得の20%が課税されます。
また、復興特別税として、所得税の2.1%が加算されます。

投資用の場合、自宅の売却と違って3,000万円の特別控除・所有期間が10年超のマイホームの軽減税率の特例・買い換え特例は使えません。
たとえ利益が少なくても、10年以上所有していても、かならず所得税や住民税が課税されます。

ただし損失となったときは、所得税・住民税は課税されません。
また、同じ年に他の不動産を売却して得た譲渡所得は損益を通算し、年間の所得税・住民税を節約することができます。

相続した物件の相続税・所得税・住民税

相続した物件は、いわばタダで手に入れたことになるため、売却代金がまるまる譲渡所得として計上されると考えやすいのですが、実際はそうではありません。
相続によって亡くなった方(被相続人)の取得費用も引き継ぐことになるため、当時の購入価格をもとに損益を計上します。
また所有期間についても、被相続人がその物件を取得した日からカウントされます。

もし30年前に、当時3,000万円で購入した物件を相続した場合、取得費用は「3,000万円から30年分の減価償却をした価額」となります。
所有期間は30年。たとえ相続して間もなくても、30年間所有し続けていたものと見なされるのです。

このように、引き継いだ取得費用を計上して、なお売却益がみとめられた場合は、所得税・住民税が課税されます。

「相続税もとられたのに、さらに所得税もとられるの!?」と思う人もいるかもしれません。
そこで政府は、相続物件を売却したタイミングが、相続税の申告期限(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月間)から3年以内であった場合には、納めた相続税額の一部を取得費用として計上できる、という軽減措置を用意しています。

 

ここまで、様々な算出方法などをお伝えしてきましたが、状況によって税率が軽減されたりと、ちょっとややこしいなと思われる方が多いかもしれません。
ひかリノベでは自宅の売却のサポートも行っておりますが、その場合種々の税金がいくら掛かるのか、どの軽減措置を利用するのが一番ムダがないか、減税制度との兼ね合いも含めてご案内しています。
自宅の売却をお考えの方は、売却個別相談会を開催しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

【記事監修】三浦 英樹(ひかリノベ代表取締役)

ひかリノベ代表取締役 三浦 英樹

ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士。中古不動産購入からリノベーションの設計・施工、インテリアコーディネートまでワンストップで理想の住まいを提供する『ひかリノベ』代表取締役。「立地や景観、環境のよい場所の中古住宅の購入と同時にリノベーションを施すことで、自分らしい暮らしをリーズナブルに取得することが可能となります。住宅ローンの返済に縛られることのない、豊かなライフプランの実現を、家探し、家づくりを通じてサポートいたします」。

 

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