物件情報を見ると、「敷地面積」「建築面積」「延床面積」と3つの「面積」を目にします。
しかし、それぞれが何を指し、3つの違いは一体何なのか、正確に知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
それぞれの定義と違いを知っておくと、物件情報の理解が深まります。
このの記事では「敷地面積」「建築面積」「延床面積」の違いについて、ポイントを押さえて分かりやすく解説します。
目次
敷地面積とは
敷地面積とは、建物が建っている敷地(土地)全体の面積を指す言葉です。「土地面積」と呼ばれることもあります。
敷地面積は水平投影面積といって、真上から見た状態で決まります。
例えば斜面があって、実際に建物を建てられる面積が限られている土地であっても、斜面を含めた数値で表します。
建築面積とは
建築面積とは、建物が建っている部分の面積のこと。坪で表示する場合は「建坪」と記載される場合もあります。
敷地面積と同じく、建物を真上から見たときの外周で計算します。
普通は1階部分の面積ですが、2階以上の面積が1階よりも広ければ、最も広い階の面積を建築面積とします。
延床面積とは
延床面積とは、建物の各階の床面積の合計です。「建物面積」「延べ面積」ともいいます。
2階建てなら、1階の床面積と2階の床面積を足した数字が、その建物の延床面積となります。なお各階の床面積は、柱か壁の中心線を基準にして測ります。
吹き抜け、ロフトなどは、延床面積には算入しません。
一方、玄関や庇は奥行2m以上であれば含めます。バルコニーは1mを超えると、超えた部分を含めることになります。
住宅の面積、平均はどれくらい?
「広い家に住みたい」とお思いの方も多いかもしれませんが、スペースがありすぎるとかえって住みにくい側面もあり、広い分、建築費用もかかります。
戸建て住宅の場合、どのくらいの面積が適正なのでしょうか。
住宅金融支援機構の「2021年度フラット35 利用者調査」によると、延床面積の全国平均は注文住宅で123.8㎡、建売住宅で101.8㎡となっています。
首都圏に限ってみれば、注文住宅は123.8㎡と全国平均に等しいですが、建売は98.0㎡と少し小さめです。
また敷地面積の全国平均は、注文住宅で252.3㎡、建売住宅で134.7㎡でした。
首都圏に限ってみれば、注文住宅は174.0㎡、建売は110.6㎡。
注文住宅は建売に比べ、敷地を広くとっている場合が多いようです。
また、国の住宅関連施策の方向性を決める住生活基本計画では、住宅の広さについて「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」を提示しています。
最低居住面積水準とは「健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な面積」を示す数値であり、以下のように定められています。
最低居住面積水準
- 単身者:最低居住面積水準=25㎡
- 2人以上の世帯:最低居住面積水準=10㎡×世帯人数+10㎡
計算式に当てはめてみると「4人家族なら50㎡は確保しましょう」ということですね。
誘導居住面積水準とは、「豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積」のこと。戸建て住宅の場合、次のように定められています。
誘導居住面積水準
- 単身者:誘導居住面積水準=55㎡
- 2人以上の世帯:誘導居住面積水準=25㎡×世帯人数+25㎡
同じく4人家族として計算してみると、理想は125㎡。
先ほどご紹介した、注文住宅の延床面積の平均値と同じくらいです。
住宅を建築する際のさまざまな制限
住宅の建築に際しては、それぞれの地域によって建築物の広さや高さに制限が設けられています。
そのため、土地を購入して建物を新築したり、リノベーションで増築する場合には、制限の内容についてよく理解しておく必要があります。
ここでは、代表的な制限についてご紹介します。
建築面積の上限
まず、建物の建築面積には一定の制限が設けられています。
建築面積の上限は、下記のとおり決められています。
建築面積の上限 = 敷地面積 × 建ぺい率(%)
「建ぺい率」とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
この「建ぺい率」は、地域ごとに上限が決まっています。上限は用途地域と都市計画に応じて定められ、30%〜80%の間で設定されています。角地(行政が指定しているところ)や防火地域内に耐火建築物(RC造)を建てる場合には、10%緩和されます。
延床面積の上限
延床面積にも上限が設けられています。
延床面積の上限は、下記のとおり決められています。
延床面積の上限 = 敷地面積 × 容積率(%)
「容積率」とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。
この「容積率」は、前述の建ぺい率と同様、用途地域によって上限が決められており、住宅が建つような地域であれば50%〜500%の間で設定されています(商業地域では最大1300%となっているエリアも存在します)。
なお、敷地に接している道路の幅員が12m未満の場合は、第1種・第2種低層住居専用地域などでは「道路の幅×40」、その他の地域は「道路の幅×60」が容積率の上限です。
高さ制限(斜線規制)
さらに、建物の高さにも複数の制限があります。
建ぺい率の制約がある地域でも、容積率に余裕があれば、階数を増やすことで延床面積を増やせそうですが、高層化にも限度があるということです。
主だった制限は、次の3つ。これらの規制は、建ぺい率や容積率の制限よりも優先されます。
道路斜線規制
建物に対して、道路に面した一部の高さを制限する。建物と道路の向かい側の橋を結んだ斜線に収まるように建てなければならない。
隣地斜線規制
隣地の境界線から、用途地域ごとに決められた高さと角度で建物の高さを制限する。
北側斜線規制
北側の隣地に対し、用途地域ごとに決められた高さと角度で建物の高さを制限する。第1、2種低層住居専用地域、および第1、2種中高層住居専用地域に適用される。
接道義務
建築基準法では「接道義務」といって、原則として敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなくてはなりません。
例外的な措置として、接している道路が「みなし道路(都市計画区域・準都市計画区域内で、特定行政庁が指定した幅員4m未満の道路)」である場合、建物は道路から2mセットバックすれば、新築や既存の建物の建て替えが可能になります。
この場合、セットバックした部分は敷地面積に含めません。
例えば200㎡の土地で、20mがみなし道路に接しているとすると、セットバック分は20m×2m=40㎡。したがって敷地面積は160 ㎡となり、建ぺい率や容積率も160㎡を基準に計算することになります。
おわりに
住まいにまつわる3つの「面積」のうち、ついつい敷地面積や延床面積に目が行きがちになりますが、思い通りの家を手に入れるには建築面積も大切な要素です。
中古住宅を買うにしても、増築できるかどうかは建築面積次第となるため、戸建て住宅を購入する場合は注意が必要です。
物件探しの前に、しっかりと理解しておくことをおすすめします。
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