快適な湿度は何%?家の中の湿度を適正に保つ方法とは

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お部屋の湿度は、季節やその日の気温で大きく変化します。

湿度が高いとカビが生えやすくなり、建物に悪影響が起こります。
反対に湿度が低い状態では、肌やのどが乾燥して痛めてしまう可能性もあり、人間の健康面への悪影響が心配です。

日本の四季は、温度だけでなく、湿度変化も大きいのが特徴。
今回の記事では、より快適で健康な住環境に保つために重要な、湿度コントロールのポイントを解説します。

2021-5-25初出⇒2023-03-22更新

室内の快適な湿度とは?

人間が快適に過ごせる湿度は、40~60%だとされます。

湿度は体感温度とも関係が深く、温度が同じでも湿度が高いと暖かく、逆に乾燥していると寒く感じます。ですから、季節によって最適な湿度の値は多少変わります。

外気温が高くなり、湿度も高い夏場は、室温25~28℃で湿度50~60%を保つのが良いとされています。
外気温が低く、室内は暖房等で乾燥しやすい冬は、室温18~25℃で湿度40~50%が理想的な値です。

(データ出典:東京都福祉保健局『健康・快適居住環境の指針』

湿度が高すぎると、カビやダニの発生に繋がる

多湿な環境における最大のリスクは、カビやダニです。

カビ・ダニは、湿度50%以上になると動きが活発になり、60%を超えると急激に数が増えていくとされます。

(データ出典:文部科学省『カビ対策マニュアル』

ダニはカビを餌にするので、カビもダニもどんどん増えていく悪循環に。

カビの胞子やダニの死骸は、アレルギーの原因(アレルゲン)となってアレルギー性の病気を引き起こしたり、アトピーを悪化させたりすることにつながります。酷いときには、呼吸器系の病気にかかってしまうリスクも。

シックハウス症候群の原因となる、建材に含まれる化学物質(ホルムアルデヒドなど)も、湿度が高くなるほど空気中の濃度が高まっていく傾向にあります。

また、湿度が高い所に長時間いると汗をかきにくくなり、代謝が下がり、血流が悪くなって体のむくみや冷え、肩こりなどを誘発します。湿度の高い季節は、気圧も大きく変化しやすいので、自律神経失調症にかかってしまうケースも。

じめじめとした湿度の高い部屋は、そこに住んでいるだけで、人間の健康に悪影響を与えてしまうのです。

湿度が低すぎると、喉や肌のバリア機能が低下する

湿度が低い、乾燥した空間で過ごすデメリットも確認してみましょう。
(前述の東京都福祉保健局の基準にしたがって、湿度40%以下の状態を想定してお話します)

インフルエンザや新型コロナなどのウイルスは、湿度が低い環境で活性化する特性を持っています。乾燥した空間で過ごしていると、人間の鼻や喉の粘膜は乾き、空気中の異物が体内に侵入するのを防ぐ働きが低下してしまいます。結果として、風邪やインフルエンザといった病気(感染症)にかかるリスクは高くなります。

2020年11月、冬の到来を前に、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が行った「緊急提言」および提言に基づく政府の対策でも、寒冷地では「適度な保湿(湿度40%以上を目安)」が重要だと記されています。

肌も、乾燥するとバリア機能が低下して荒れやすくなり、かさつきや痒みを引き起こすほか、シミやシワの原因になることも。化粧のノリも悪くなります。乳幼児はまだ肌のバリア機能ができあがっていないので、赤ちゃんのいるご家庭は特に注意が必要です。

また、冬場は静電気が気になる方も多いはず。
一定の湿度があれば、空気中の水分を通じて静電気が放出されますが、乾燥した空間では逃げ道がなく、静電気が身体や物に溜まることになります。それによって、何かを触ったときに電気が流れ、痛みを感じるのです。ビリッとした時の不快感はもちろん、たまった静電気はホコリも引き寄せてしまいます。

湿度を快適に保つ方法

雨が降れば湿度が高くなることは、誰もがすぐ理解できるはず。ですが、天候以外にも湿度を左右する要素はたくさんあります。

一般的に湿度といった場合は「相対湿度」を指します。気温が高くなるほど空気中に含まれる水分(水蒸気)は増えるので、同じ値でも空気中の水分量は異なります。

エアコンで部屋を暖房すると、空気中の水分量は変わらないまま空気の温度だけが上がるので、相対湿度が下がる(乾燥する)ことになります。
反対に、冷房時は相対湿度が上がる(じめじめする)ことになります。

多方、同じ暖房でも、石油ストーブやガスファンヒーターなどを使った場合は、灯油やガスが燃えるときに水蒸気が大量に出るので、湿度は上昇します。
快適な湿度を保つには、冷暖房機器の特性を考慮した使い分けが重要です。

もちろん、窓の開閉を適切におこなったり、扇風機・サーキュレーターを利用して、換気・通風をコントロールすることも大切です。

また加湿器や空気清浄機も上手に使いながら、総合的に湿度をコントロールしていきましょう。

湿度を下げる方法~梅雨や夏、雨の日に

外気の温度・湿度が高まる梅雨時〜夏場にかけては、湿度を下げる工夫が必要です。

例えば、「換気をおこなう」「除湿機を使用する」「エアコンを除湿運転にする」といった方法があげられます。
日常生活には欠かせないお風呂や料理、洗濯といった行為でも水蒸気が大量に発生し、室内の湿度が上昇する原因に。とくに浴室の扉は開けっ放しにしないようにしましょう。

お住まいの地域や場所も、湿度と関係します。
マンションの低層階や一戸建ての室内などは、地面に近く、湿度が高くなりやすい場所です。反対に、高層階の住戸は乾燥しやすい環境にあります。

水はけが悪い土地や、近所に川がある、緑の多い地域であるといった場合にも、室内の湿度が高くなる傾向です。そういった場所の近くにお住まいの方は、こまめな換気や除湿を心がけるよう意識してみてください。

湿度を上げる方法~乾燥する冬や春に

外気の温度・湿度が下がる冬〜春にかけては、エアコンなどの暖房によって乾燥が進みやすくなるため、適度な加湿が必要です。

加湿器がない場合は、バケツに水を入れて筒状に丸めた新聞紙をさして立てておくことで、簡易的な加湿器として活躍してくれます。
夏場とは反対に、乾燥している時期は浴室の扉を開けっ放しにしておくのも一つの方法です。
洗濯物(タオルなどがおすすめ)の部屋干しをしたり、カーテンを霧吹きで湿らせておいたりするのも良いでしょう。
また、インテリアとしてわたしたちに癒しを与えてくれる植物も、水蒸気を発散するので、たくさん観葉植物を置いたりすると、室内の湿度は高くなります。

ですが、何事もやりすぎは禁物。過度な加湿には注意しましょう。

エアコン暖房と異なり、石油ストーブやガスファンヒーターは大量の水蒸気を出すため、気温とともに湿度も上昇します。
石油ストーブやガスファンヒーターをお使いの方は、加湿のしすぎにならないよう十分ご注意ください。湿度が高い状態になると、冬でもカビが発生する可能性もあります。

快適な湿度を保つ住まいづくりのコツ

ここまで、湿度を快適に保つ方法について解説してきました。

しかし、「そもそも湿気が滞留しやすい住まいである」「隙間風によって温度管理のし難い住まいである」といった場合には、自分で対策するだけでは湿度問題を解決できないこともあります。

根本的な解決のためには、間取りの変更によって通風を改善したり、調湿効果のある建材を利用して湿度管理がしやすい住まいづくりをする必要が出てきます。

風通しのよい間取り

個室が多い間取りは、空気の流れが悪い場所ができやすいもの。
陽当たりの悪い北側の個室は気温が低く、相対湿度が高くなりがちです。

換気の面からも、空気の流れをきちんとつくることは重要です。

家全体を空気が通り抜けるような間取りにすることで、特定の部屋だけがじめじめするような事態を改善することができます。

室内窓で風の巡る住まいに

換気の面からも、空気の流れをきちんとつくることは重要です。

風通しの悪い個室には、室内窓をつけるのがおすすめ。

梅雨時など多湿な時期でも、室内窓を開け放っておけば湿気がこもってカビが生える心配はありません。個室を収納として使うような場合にも有効です。


調質建材で湿度をコントロール

湿度が高いときには水分を吸い、乾燥しているときは水分を放出する特性を持った建材を「調湿建材」といいます。

住宅に使われる調湿建材は、人間にとって快適な、湿度50%前後を保てるような特性を持っています。代表的なものとして、ゼオライトや珪藻土、エコカラットなどが挙げられます。

クロスにも調湿を謳った商品はありますが、こちらは気休め程度であまり効果を期待できるものはまだ登場していません。

調湿建材の多くは、ただ湿度をコントロールしてくれるだけではなく、臭いやホルムアルデヒドなど化学物質を吸収してくれる機能も有しており、お部屋の快適さをさらに高めてくれます。

調湿建材については、下記の記事で詳しく特集しています。ご興味のある方はぜひお読みになっている記事とあわせてご覧ください。

断熱施工で室温を一定に

前述のように、温度と湿度には相関関係があります。

壁や天井、床に断熱材を入れたり、内窓をつけたりして断熱性を高めると、年間を通じて室温が変化しにくくなります。そうすることで湿度も季節も問わず、適度な値を保ちやすくなります。

結露も発生しにくくなり、光熱費も安くなるので一石二鳥ですね。

おわりに

たかが湿度、とあなどってはいけません。時には、わたしたちの健康にも影響を及ぼす要素です。
しかし調湿や換気というテーマは、耐震や断熱よりも重要度が低く見られがちな現状があります。
というのも、住宅リフォームの補助金・助成制度において、調湿・換気は(断熱や耐震に比べ)優先度が低い、という事情もあるかもしれません。
そのため、断熱や耐震の知識がある住宅・建材メーカや建築士はたくさんいらっしゃいますが、湿度と住宅の関係に詳しい方はあまり多くないのが実情です。

湿度が室内の快適性を左右する重要な項目であるという認識があるひかリノベでは、湿度に詳しい建築士が在籍しています。
みなさまのご希望や住まいの特性に応じて、調湿建材のご提案から最適なプランづくりまで、リノベーションを通した快適な暮らしづくりはひかリノベにお任せください。

当社ひかリノベは、オーダーメイドのリノベーションと中古マンション・中古戸建の売買仲介サービスをご提供しています。
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記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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