マンションの遮音等級とは?快適に過ごせる目安は?

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マンションに住むうえで、音の問題は避けて通れません。マンションの防音を考える際にポイントになるのが、壁・床・窓の防音性能です。

これらの防音性能を示す指標として、「遮音(しゃおん)等級」という値があるのをご存じですか?

この記事では、この「遮音等級」について解説します。マンション内で騒音の被害者や加害者にならないために必要な遮音等級の目安と、リノベーションやリフォームで遮音性能を向上させる方法をご紹介。

マンション内の騒音が気になる方や、マンションの防音リノベーションをお考えの方は、ぜひ参考になさってくださいね。

遮音等級とは?

遮音等級とは「建物の防音性能を示す指標」です。壁、床、窓サッシのそれぞれに、遮音性能を示す等級があります。

遮音とは、文字通り「音」を「遮る」ことをいいます。外部からの音の侵入や、室内から室外への音の漏洩を防ぐのが遮音です。

防音には遮音の他に、音を吸収することで外に漏れるのを防ぐ「吸音」や、振動を抑えることで音の発生を抑制する「制振」「防振」といった要素があります。

防音は遮音がすべてではないものの、マンションでの生活音を防ぐことが目的の場合、遮音は非常に重要な要素となります。

壁の遮音等級(D値)

壁の遮音等級は「D値」で表します。D値は、人の話し声やテレビの音声などの「空気伝播音」を、どれほど遮れるかを示す指標。D値が高ければ高いほど、遮音性能が高いとされています。

D値による遮音性能と音の伝わりの目安は、次の通りです。

遮音性能 テレビ・ラジオ・人の話し声 ステレオやピアノなどの大きな音
D-55 通常では聞こえない かすかに聞こえる
D-50 ほとんど聞こえない 小さく聞こえる
D-45 かすかに聞こえる 聞こえる
D-40 小さく聞こえる 曲がはっきりわかる
D-35 聞こえる よく聞こえる
D-30 話の内容が分かる 大変よく聞こえる
D-25 はっきり内容が分かる うるさい

出典:日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」

マンションの戸境壁(隣の住戸との間の壁)の遮音等級は、通常D-55以上あればよいとされています。D-55という等級は、上の表で分かる通り、通常では人の話し声が聞こえないとされる程度。

ただし壁の遮音等級は、どのような音を防ぎたいかによって適正値が変わります。例えばピアノなどの楽器を演奏したい場合は、通常よりも高いD-60~65というレベルの遮音性能が必要でしょう。

実際にマンションの防音リフォームでD値を高めるためには、建物の躯体と下地ボードの間の空間に防音シートや吸音材を詰めるなどの方法がとられます。

床の遮音等級(L値)

床の遮音等級は「L値」で示します。L値は、足音や床に伝わる衝撃音を、どれほど遮れるかを示す指標。L値の目安は以下の通りです。

遮音等級 人の走り回りや飛び跳ねなど,低音域の音 椅子の移動音や物の落下音など,高音域の音 生活実感,プライバシーの確保
L-40 かすかに遠くから聞こえる感じ ほとんど聞こえない 気配は感じるが気にならない
L-45 聞こえるが意識することはあまりない 小さく聞こえる 上階の生活が多少意識される程度
大きな動きは分かる
L50 小さく聞こえる 聞こえる 上階の生活状況が気になる
歩行などが分かる
L-55 聞こえる 発生音が気になる 上階の生活行為がある程度分かる
スリッパによる歩行音が聞こえる

出典:日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」

L値には、ナイフやフォークなどを落としたときに発生する、軽く高い音「軽量衝撃音」の遮音等級を示す「LL値」と、人の足音や子どもの飛び跳ねなど、重く鈍い音「重量床衝撃音」を示す「LH値」の二種類があります。
いずれも数値が小さいほど、遮音等級が高くなります。壁の遮音等級を示すD値とは、遮音等級の表し方に違いがあるので注意しましょう。

LL値で示す軽量衝撃音は、床材の選び方によって軽減できます。例えば遮音フローリングを使うと、LL-45~40にまで遮音性能を高められます。
これまで無垢フローリングは、遮音性の点からマンションでの採用は難しいのが現状でした。しかし無垢材に遮音材を張り合わせることで、必要な遮音性能を確保することが可能になりました。
マンションによっては、管理規約で床材のLL値を指定しているところもあります。まずは床材の指定があるか、管理規約を確認してみましょう。

LH値で表す重量衝撃音は、躯体のコンクリートの厚み(スラブ厚)によって音の伝わり具合が変わってきます。大人が静かに歩く足音は、スラブ厚180㎜程度もほとんど気になりませんが、子どもが走り回って遊ぶ足音は、スラブ厚が200㎜以上でないと下階に響いてしまうでしょう。
リフォームで重量衝撃音を和らげたい場合、スラブ厚は変えられないものの、二重床にして仕上げ面と躯体の間に空気の層を作る方法や、グラスウールなどの緩衝材を床下に詰めるといった施工を行います。

窓サッシの遮音等級(T値)

最後におさえておきたいのは、窓サッシの遮音等級を示す「T値」です。T値は窓の外の車や電車の走行音などを、どれほど遮れるか示す指標です。音は波動でもあるため、窓などの開口部を入り口にして、室内に入り込むことがあります。T値が大きいほど遮音性能が高く、T値ごとの低減の目安や窓サッシの種類は以下の通りです。

T値 低減の目安 ガラス・サッシの種類
等級なし およそ15dB提言 単層ガラス
T-1 およそ25㏈低減 単層ガラス
T-2 およそ30㏈低減 単層ガラス
T-3 およそ35㏈低減 防音複層ガラス
T-4 およそ40㏈低減 二重サッシ

参照:日本建築連合会「建具の遮音性能を表す等級」

一般的な住宅地のマンションの場合、窓サッシの遮音等級はT-1以上あればいいですが、幹線道路沿いや線路沿いの物件の場合は、T-3以上が望ましいとされています。
また楽器演奏をする人やペットを飼っている人で、マンション自体は演奏や飼育OKだが、他の部屋への音漏れが心配という人もT-3以上の窓サッシがおすすめ。

リフォームでマンションの窓の遮音性能を高めるには、内窓に遮音等級がT-1ないしT-2のサッシを採用して二重窓に施工するという方法がよくとられます。
マンションでは管理規約で外窓のサッシ交換を勝手にできないため、内側に窓を1枚増やすという施工方法が一般的です。

まとめ

マンションで暮らしていくうえで、音の問題は重要な要素です。この記事では、そのなかでも特に壁・床・窓の「遮音」に着目してきました。

壁の遮音等級は「D値」、床は「L値」、窓は「T値」という数値で表すことができます。
壁は下地と躯体の間に防音材を詰めたり、床は防音フローリングを選んだり、窓は二重窓を施工したりと、リノベーションで遮音性能を高めることは可能です。

ひかリノベでは、首都圏の中古マンションを多数紹介しています。さらにマンションのリノベーションや防音リフォームも行っています。
マンションの防音についても、知識の豊富なスタッフがおります。防音リフォームをご検討の方や、これからマンションを購入したいとお考えの方はどうぞお気軽にご相談ください。

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記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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