センスのいいインテリア空間を演出するために、欠かせない要素が「色」。つまり、カラーコーディネートです。
インテリアそのものの配色や、家具・小物のデザインはもちろん大切ですが、どのようなカラーをどのくらい使うか、によって部屋のイメージは大きく変化します。
これから家づくりを始めるという方はもちろん、賃貸で一人暮らし中という方にも参考になるカラーコーディネートの知識とコツをご紹介します!
2019年4月18日初出→2020年3月20日更新
目次
部屋の役割と色の関係性
住まいは、私たちが日常生活を送るうえで、とても多くの時間を過ごす場所です。
疲れた体を休めるためだけでなく、仕事や勉強のやる気を養ったり、面倒でもやらねばならない家事をこなしたり、大切な子どもが成長していくための場であったりもします。
それだけに、心への影響が多いカラーコーディネートの重要性は、他の空間以上に高いと言えるでしょう。
ひとつの住まいの中でも、リビングや浴室、寝室や子ども部屋など…部屋ごとに役割や求められるものは千差万別です。
休息の場であるはずの寝室に、情熱や興奮のイメージがある「赤」を多用したら、たとえお気に入りの色だとしても、寝室のコーディネートとしては相応しいとは言えません。
一方で、ワンルームマンションのように、ひとつの部屋で複数の役割を兼ねている住まいもあります。ひとつの用途に特化したコーディネートは難しい側面もありますが、まずはその部屋でどういう時間を過ごす(過ごしたい)のかを考え、それに合った色を選ぶことが、カラーコーディネートの第一歩です。
カラーコーディネートと心理的効果
家具に限らず、同じ形のモノでも、色が違うだけで受ける印象はずいぶんと変わります。
もしも、全く同じデザインの服に、白・黒・赤・青……と色のバリエーションがあった場合。同じ人物が着ても、色味によっては相手に「全く異なるイメージを抱く」ということがあるのではないでしょうか?
例えば、夏目漱石の著書『坊っちゃん』に「赤シャツ」という、ちょっと陰険な性格に書かれている人物が出てきます。
もしそれが「白シャツ」というニックネームだったら……なんだか爽やかな印象を想像してしまい、そのキャラクターと色のイメージがちぐはぐな感じがしてしまいそうですね。
近年では、「色」が人間の心やからだに影響を及ぼすことが、科学的にも解明されつつあります。色の持つイメージによって、人の気持ちを盛り上げたり、逆に落ち着かせたり、癒しを感じさせることができるのです。
以下の基本的な9色のカラーだけでも、心やからだに与える効果にはこれだけの種類があります。
出典:一般社団法人色彩心理カウンセリング協会「9色のイメージ・効果・影響」 (https://shikisaishinri.jp/shikisaishinri/9color/)
ご存知の方も多いかもしれませんが、アメリカ大統領は選挙や演説など、勝負やアピールの場で身に付けるネクタイの色に、とても気を使っているそうです。
ドナルド・トランプ大統領も、ここぞというときは、赤いネクタイを締めていることが多いですね!
これは、自分自身の気分を盛り上げたり、周囲に「私は情熱的でリーダーシップのある人間だ!」という印象を与えるための戦略ではないかと見られています。
もちろん、大統領に当選した理由はネクタイだけではありませんが、このように相手に感じさせる印象をコントロールする力が、色にはあるのです。
色の組み合わせ方で空間の印象が変わる
その色が単体で持つ効果も重要ですが、インテリアでは「色の組み合わせ」が大切になります。
ひとつの色で空間を構成することは、そもそも難しいですし、リラックス効果があるからといって、すべてをグリーンでそろえてしまっては、かえって落ち着かない部屋になってしまうでしょう。
適切な色の組み合わせを知ることで、ステキな雰囲気の部屋が完成するのです。
有彩色と無彩色
そもそも色には、赤・青・黄色・緑のような「有彩色」と、白・グレー・黒といった「無彩色」の2つに分けられます。
さらに有彩色は、「色相」(色味の違い)/「明度」(明るさ)/「彩度」(鮮やかさ)の違いによって、さまざまな色合いに分かれていきます。
類似色から選ぶと失敗が少ない(色相環)
有彩色と無彩色の他にも、色には「反対色(補色)」という概念があります。下の色相環の図を見てみましょう。
円の反対に位置する色同士が反対色(補色)であり、並べたときにお互いの色を引き立てる効果があるとされています。
例えば、ソファに並べるクッションを反対色にするだけでも、カラーコーディネートとしては有効な手法です。
また、色相環で2つ程度となりの色までを「類似色」と呼びます。類似色を組み合わせるのも、カラーコーディネートの王道。
それぞれの色が対峙して散漫になることもありませんし、同系色でまとめるのと同じく、無難な手法です。
その他、「トーン(明度+彩度)」を揃える、無彩色と有彩色を組み合わせるなどの手法もあります。
カラーコーディネートの黄金比率
初心者の方でも、上手なカラーコーディネートを完成させるポイントにカラーコーディネートの黄金比率があります。
インテリアのカラーコーディネートを左右するのが、ベースカラー/アソートカラー/アクセントカラー、と呼ばれる3色の取り入れ方のバランスです。
ベースカラー:アソートカラー:アクセントカラーの黄金比率は、75%:20%:5%が基本です。この比率で組み合わせるのが王道です!
黄金比率に合わせて、内装・インテリア・小物と組み合わせて行けば、失敗はぐっと少なくなります。
ベースカラーは、床・壁・天井など、その空間の基調となる色。これは、言ってしまえば部屋そのものの色と言えます。
あとからは変えにくい部分でもあるので、白のように「他の色と合わせやすい」、あるいはグレーなど「有彩色を引き立てるような色」にするのがポピュラーです。
他方、ベースカラーよりもバリエーションを楽しみやすいのが、アソートカラーとアクセントカラーです。
賃貸のマンションやアパートでも、アソートカラーやアクセントカラーは、家具や小物によって、比較的自由にコーディネートすることができます。
アソートカラーは「従属色」とも言い、建具・家具・カーテンなどのカラーがそれに当たります。
アクセントカラーはその名の通り、「部分的ながらテーマになるような色」。
クッションやラグ、ソファのカバーなど、ワンポイントのアイテムで加えると良いでしょう。スペースに占める割合は小さいですが、インテリアの印象を大きく左右し、遊び心を演出してくれます。
アクセントカラーは、もっとも手軽に変えられる要素でもあるので、季節に合わせたり、部屋のイメージを一新したいと思ったときなど、ベースカラーやアソートカラーとの組み合わせを意識しながら変化を加えていくと、同じ部屋でも印象を180度変えることもできます。
悩んだときはナチュラルをキーワードに
ここまでご紹介した、カラーコーディネートの手法を「自分でやるのは難しそう…」と思っている方もいるかもしれません。そんなときは「ナチュラル」というキーワードを基準に、カラーコーディネートをしてみましょう。
アソートカラー(黄金比率のうち20%)の要素として大きなウェイトを占めるのが、家具です。
モダンなモノトーン、カラフルでポップなもの、ウッディで温かみのあるものなど、好みは人それぞれですが……中でもブラウン系の木製家具は、どんな色ともマッチしやすいものです。
ベースカラーに使われることの多い白やグレーとの相性も良く、アクセントカラーにはビビッドな色を合わせてもメリハリが効いて素敵ですし、淡い色を合わせても無理なく馴染みます。
住まいに好みの彩色を!
住まいと色の関係を語るうえで欠かせない人物、ブルーノ・タウトというドイツ人建築家をご存知でしょうか。
彼は、1933年から36年にかけて日本に滞在し、「桂離宮」や「伊勢神宮」を高く評価しました。外国人が日本の伝統に目を向けたことがショックだったのか、当時は日本人のあいだで桂離宮がちょっとしたブームになったそうです。
日本の伝統建築、とくに家など一般的な建物では、木や紙・土といった「素材自体を全面に押し出し、装飾がないことが特徴のひとつ」として、よく取り上げられます。
タウトもそこに共感したーーーそれが通説となっていました。
しかし、彼はまた「建築には色彩がなくてはならない」ということも主張し、自身の設計した建物の多くに、鮮やかな彩色を施していました。
色彩は視覚的な面だけでなく、人のこころに決して小さくない影響を及ぼすものです。
「自宅や自分の部屋では、リラックスしてのんびり過ごしたい」とお思いの方は多いはず。カラーコーディネートにほんの少し気を遣うだけでも、穏やかな癒しの空間が実現できます。
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