バリアフリーリフォームで安全・安心な住環境をつくる


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日本社会が抱える問題のひとつが、高齢化社会です。65歳以上の人口は3000万人を超え、総人口の約3割を高齢者が占めるまでになっています。
暮らしの基盤となる住まいにも、高齢者の住みやすさが求められるようになっています。

これを読んでいる方の中には、第二の人生を送るための住まいをお探しの方もいるかもしれません。
あるいは「親も歳をとってきたし、そろそろ同居しようかな」などと考えている方もいるのではないでしょうか。

そんな時に考えていただきたいのが、住まいの安全性を高める「バリアフリーリフォーム」です。
ご自身、そしてご家族が一生安心して暮らせるよう、早めに備えておきましょう。

住まいには危険がいっぱい?

加齢に伴い身体的な能力が衰えていくと、若いころは平気だったことが難しくなったりしますよね。住まいと関連する事柄としては、次のようなことが考えられます。

  • ごくわずかな段差でもつまづきやすい
  • トイレで立ち上がったりするのが困難
  • 急な階段の昇り降りが負担に
  • 入浴するとき、浴槽をまたぐのが大変
  • 杖や車椅子が必要になる

もちろん、体の状態は人それぞれ。高齢になっても、上にあげたことを難なくこなせる方もいるでしょう。

増える高齢者の転倒事故

しかし、特に筋力やバランス感覚の衰えによってつまずいたり、ふらつきやすくなり、結果的に転びやすくなる傾向があります。
高齢者の転倒・転落事故は増加傾向にあり、家庭内の転倒事故が原因で亡くなる人も増えています。

消費者庁「御注意ください!日常生活での高齢者の転倒・転落!」

出典:消費者庁「御注意ください!日常生活での高齢者の転倒・転落!」 (https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/pdf/caution_009_180912_0001.pdf

転倒して大きなけがを負ってしまうと、その後介護が必要になってしまうケースも少なくありません。

消費者庁「御注意ください!日常生活での高齢者の転倒・転落!」

出典:消費者庁「御注意ください!日常生活での高齢者の転倒・転落!」 (https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/pdf/caution_009_180912_0001.pdf

ある程度の体の衰えは避けようがありません。高齢になっても安全で、快適に過ごせるような環境を、あらかじめ整えておくべきでしょう。

みんなに優しいバリアフリーな住まい

高齢化社会の中で、「バリアフリー」という言葉がしばしば使われるようになりました。住まいでも、リフォームでバリアフリー化したり、新築時からバリアフリーなつくりにしておくことが増えています。

バリアフリーとは、高齢者や障がい者にとっての物理的な障害を取り除くことを指します。
駅や公共施設などで、車椅子の人が利用するためにエレベーターやスロープを設けたりするのもバリアフリーのひとつですね。
住宅の場合、段差の解消や、手すりの取り付けなどがバリアフリー化の代表的なポイントでしょう。

バリアフリーな住まいは、高齢者だけではなく、あらゆる人にとって暮らしやすい環境を作り出します。

例えば、足元が見づらい妊娠中の女性にとっては、段差がないことはつまずく危険をへらします。
また、けがや病気で一時的に車椅子や杖を使わざるを得ない状況になった時も、バリアフリーな住まいだったら安心して生活することができます。
早いうちからある程度のバリアフリー化をしておくことは、家族みんなの暮らしもより安全にしてくれるのです。

段差をなくし車椅子でも暮らしやすく

それでは、バリアフリー化の具体的なやり方を見ていきましょう。あわせて標準的な費用も紹介します。

必ずやっておきたいのが、室内外の段差の解消
部屋で床の高さが違う場合はもちろん、ドアのレールなどもつまずく原因になります。

床の高さに差があるなら、低いほうに床材を重ね張りして高さを揃える方法がおすすめ。できれば、滑りにくく、柔らかめの床材を選ぶのがいいですね。
また、スロープを設置して、高さの違いを補うという手法もあります。傾斜がついて滑りやすくなるので、滑り止めを取り付けておきましょう。

室内ドアは、車椅子の使用を想定して引き戸にしておくのがベターですが、床にレールをつけるタイプのものは段差ができてしまうのでNG。
交換する際は、ノンレールタイプ(上吊り式)を選びましょう。
同時に、少ない力で開けられる、手を放してもゆっくり閉まるなど、安全に配慮した仕様かどうかもチェックしたうえで選びましょう。

手すりは位置や形状に気を付けよう

足腰が弱って歩行が困難になったら、体を支えるための手すりを取り付けましょう。
転倒・転落事故が起きやすい階段はもちろん、立ち上がったりまたいだりする動きが多いトイレ、浴室にもマストなリフォームです。

手すりを取り付けるには、ねじなどを打つための下地が必要。場合によっては下地の補強も必要になってきます。
まだ手すりが必要なほどではない――そんな方も、リフォーム・リノベーションをするなら将来の手すり取り付けに備え、下地を補強しておくのもおすすめです。

手すりの最適な位置や形状は、体格や手の大きさ、利き手(右利きだからといって右に設置するのがいいとは限りません)によって変わってきます。
建材メーカーのショールームでサンプルを実際に触ってみたり、バリアフリーリフォームの実績が豊富な専門家に相談するなどして、ご自身、ご家族に合った手すりを取り付けましょう。

夜中でも足元がしっかり見えるよう、照明付きの手すりや足元照明をつけるのもいいですね。

トイレは余裕のある広さに

トイレは一日に何度も使う場所だけに、体の負担をできるだけ減らすことが大切です。

しゃがまなければ利用できない和式トイレは、洋式トイレに。

また、車椅子や介護が必要になったときのために、スペースの拡張や手すりの取り付けも頭に入れておきましょう。
可能ならば、寝室の近くにトイレを移動すると、夜中トイレに行くときの事故のリスクを減らすこともできます。

お風呂は温度にも要注意

日本人の暮らしには欠かせないお風呂。高齢になっても、安全に入浴できるようにしておきたいものですね。

古い浴室はタイル張りだったりして、濡れると滑りやすくなっています。濡れても滑りにくい、あるいはすぐに乾くような床にしましょう。
浴槽も、高さがあるとまたぎにくくなります。一般的に、またぎやすい高さは30㎝から40㎝程度だと言われています。高さを抑えるには、床に浴槽を埋め込むタイプ(半埋め込み式)のものがいいでしょう。

同時に、浴槽に入るときに腰掛けられるように、縁が広めのものを選ぶとベターですね。

浴室でもう一つ気を付けたいのが、温度。
冬、浴室や脱衣室の温度が低いと、熱いお湯につかったときに血圧が急激に上昇し、意識の低下や心疾患を招く「ヒートショック」を発症する恐れがあります。

できれば断熱性を高め、温度差をなくすのがベスト。最近のユニットバスは、浴槽も含めて高断熱化が進んでいるので、予算に余裕があれば高断熱型のタイプを選びましょう。
浴室に暖房を設置するだけでも、ヒートショックのリスクは軽減できます。乾燥機能付きの機器なら、洗濯物を干したりするのにも役立ちます。

介護保険を使ってバリアフリー化を

バリアフリーリフォームには、介護保険制度が利用できます。

介護が必要な(「要支援」または「要介護1~5」の認定を受けた)人が住む住宅でバリアフリーリフォームを行う場合、リフォーム費用20万円までのうち9割、つまり最高で18万円が支給されます。

介護保険制度の対象になるリフォーム

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

介護保険を利用してバリアフリーリフォームを行う場合、担当のケアマネージャーとの打ち合わせなどが必要になります。
まずは市区町村の窓口で相談してみましょう。

また、バリアフリーリフォームの標準的な費用(最高200万円)の10%を所得税から控除する「特定増改築等住宅借入金等特別控除」制度もあります。
同制度は、「50歳以上」「もしくは介護保険法に規定する要介護または要支援の認定を受けている」「所得税法上、障害者である」「高齢者等の親族と同居している」のいずれかの条件に当てはまる個人が行うバリアフリーリフォームが対象です。
なお、補助金等の交付を受けえてバリアフリーリフォームを行う場合、その補助金の額が控除されます。

※適用条件として、この他所得制限(3,000万円まで)や、「床面積が50㎡以上である」「工事費用が100万円を超えており、その1/2以上が自己の居住用部分の工事費用である」「改築後6ヶ月以内に入居する」等の要件があります。

その他、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」「次世代住宅ポイント制度」など、バリアフリーリフォームを対象とした補助制度や、独自の支援を行っている自治体もあります。ひかリノベでリノベーション行う際は、こうした制度の利用も可能ですので、利用を希望する方はぜひ、お気軽にご相談ください。

歳をとっても健康に暮らしたい――多くの方がそう願っていることでしょう。食生活や運動なども大切ですが、生活の場として重要な意味を持つ住まいも、歳を取ったときのことを考えたつくりにしておくべきではないでしょうか。
「今は元気だから大丈夫」などと思わないで、将来のために備えておくことが、いつまでも安全で、快適に生活していく基礎になるのです。

 

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【監修】目黒 千雅(二級建築士)

 

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