アパート大家が知っておきたいリノベーションの基礎知識


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少子高齢化と人口減少で、アパートの空室率が上昇しつつある中、借主を探すには工夫が必要です。
リノベーションで他の物件と差別化すれば、家賃を下げずに、多くの借主を呼び込める可能性があります。

この記事では、アパートのオーナー様に向けて、借主の心を掴むためのリノベーションの基礎知識を解説します。

2016/1/29初出→2019/6/10更新

貸主として考えるリノベーション

借主が変わるタイミングや、クロスや給湯器等の耐用年数に応じて、内装や設備の交換といった基本的なリフォームを行うオーナー様は多いですが、より大規模なリノベーションを考えたことはありますか?

リノベーションとは、部屋を大規模に改装して、デザインや機能性を向上し、現代のライフスタイルに合わせた住まいにすること。
具体的には、既存の内装や設備をすべて解体し、間取り・デザイン・設備機器を一新するスケルトンリノベーション。あるいは、間取りは変えずに内装と水回り設備をグレードアップ……というように、目的や既存の部屋に応じて、さまざまなアプローチが考えられます。

借り主のために、どこまで変更を加えるべきなのか、収益物件たるアパート経営においては、費用対効果をよく検討しなくてはなりません。

アパートをリノベーションするメリット

アパートリノベーションのメリットは、「空室対策」、「賃料アップが期待できる」の2点。
時代にそぐわない間取りや設備――押入れしか収納がないとか、バランス釜でお風呂が狭いとか、そういった部屋は借主から選ばれにくくなっています。
部屋のつくり自体が古いアパートでは、汚れたクロスを交換したり、変色した畳を取り替えたりといった補修では、借主にとって魅力的な物件というには不充分かもしれません。

どこまで空室率を改善できるかや、どれくらい賃料アップが期待できるかは、一概には判断できませんが、もしなかなか借り手がつかないことに悩んでいるのなら、リノベーションは選択肢の一つです。

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リノベーションに必要な費用と期間

リノベーションの規模や内容に関しては、「想定している家賃料に見合うかどうか」「快適な住環境を維持するためにどんな工事が必要か」の二つの視点から考えて決めるとよいでしょう。

内装や設備機器をすべて解体し(スケルトン状態)、間取りから全てを刷新するスケルトンリノベーション(フルリノベーション)は、一般に10~15万円/㎡が目安とされています。
とはいえ、使用する建材のグレードや、既存の床・壁・天井の下地や配管の状態によって予算感は変わってきます。

あるいは、間取りがそのままで問題なければ、スケルトン状態にはせず、内装と水回りを中心とする設備機器のグレードアップという方法もあります。
こちらは解体費用が抑えられる分、スケルトンリノベーションよりも予算を抑制できます。

しかし「予算を抑えたいから」といっても、配管を何十年も変えていないとか、床に沈みや傾きがあるといった場合は、やはりスケルトンリノベーションで下地や配管を新しくするのが懸命でしょう。
コスト抑制はアパート経営においてもちろん大切ですが、築年数やコンディションに応じて適切な修繕工事を行い、快適な住環境をキープする、という視点ももっておきたいものです。

アパートリノベーションにかかる期間

一般的に、リノベーションにかかる工期は約3~4ヶ月
スケルトンリノベーションにせよ、そうでない場合にせよ、借主がいる時はリノベーションができない点や、リノベーション期間中は貸し出せない点に注意しましょう。

事前に押さえておくべき注意点

アパートリノベーションのデメリットは「お金がかかる」「リフォーム減税が受けられない」の2点
投資という視点から見れば、「リノベーション費用にどれくらい掛けるか」は最大の問題です。空室率の改善や、賃料によってリターンを得られるか、費用対効果をよく見極めねばなりません。

コストの抑制という点では、節税による間接的なリターンも含めて考える必要があるでしょう。
リフォームやリノベーションに関する優遇税制として、「リフォーム減税」という制度がありますが、これは自宅のリフォームを対象としたもので、投資用アパートに適用できないことも注意が必要です。

リノベーションの費用対効果

貸主にとって、アパートリノベーションの一番の重要事項は費用対効果を考えてリノベーションすることです。
必要以上にコストを掛けすぎ、賃料で回収ができないようでは、経営としては失敗です。
満室経営・家賃アップを目指すなら大規模に、家賃そのままに満室にしたいなら中規模にというように、目的に応じてリノベーションの規模や内容を検討しましょう。

具体的な予算感については、家賃をもとに何年で回収できるか、賃料設定の見直しも含め、試算してみましょう。

一般的には、アパートのリフォーム費用の目安は0.5ヶ月分~3年分とされています。
一方で、前述のとおり、スケルトンリノベーションの費用は10~15万円/㎡が平均的な水準です。60㎡の部屋なら、600~900万円は想定しておく必要があります。
しかも、部屋が小さくなればスケールメリットが少なくなるため、50㎡の部屋なら500~750万円に抑えられる、と単純に計算できるものでもありません。部屋の大きさに関わらず、水回りを中心とする設備機器の交換費用は、一定程度掛かります。

しかし、いつまでも建築当時の仕様のまま更新せずにいると、借主からは「古くさくて、住みにくいアパート」というイメージを持たれてしまいます。
空室が増えると、維持費だけが嵩み、充分な収益を得られない「負動産」になってしまいかねません。

SUUMOの調査によると、賃貸住宅入居者に「家を探すときに重視する項目」「現在住んでいる家を検討した際にあきらめた項目」は次のグラフのとおり。
このアンケート結果から、「築年数」は家選びの決め手としては優先順位の高い項目ではない、ということがいえそうです。
翻って言えば、築年数が古いアパートであっても、設備や間取り・セキュリティなど、快適な住環境が整っていれば、築浅物件や新築物件にも対抗できる可能性はある、ということです。

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引用元:SUUMO「きっかけは? 重視する条件は? 857人に聞いた引越し・住み替えの実態調査2017」
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_data/hikkoshi-sumikae2017/

収益アップのカギは借主のニーズを知ること

リノベーションのポイントは、ニーズに合ったリノベーションをすること。
どういった物件が人気なのか、どうすれば空室がなくなるか。リノベーション雑誌の賃貸特集や、リノベーション会社の施工事例を見るなどして、いま人気のデザインや、借主がもとめる機能を知ることが最初の一歩です。

またひかリノベでは、アパートオーナー様や、賃貸目的のリノベーションも手がけています。
下記の個別相談会にて、どんな部屋が借主の心をつかむのか、リノベションプランの相談も受け付けていますので、どうぞお気軽にご相談ください。

「一括借上げリノベーション」の落とし穴

最近では、アパートをサブリースで借り上げ、オーナーに原資がなくてもサブリース会社の負担でリフォームを行い、借主を募集する。もし借り手がつかなくても、サブリース会社が家賃保証を行うので、安定した家賃収入を得られる、とうたう会社もありますが、契約内容をしっかり確認しなければなりません。
費用(貸主が払う費用は具体的に何があるのか)、免責期間(サブリース会社からオーナーへの賃料の送金が免除されている期間はどれくらいか)、解約(契約が一方的に切られる場合があるのか)、条件変更(賃料の減額がなされる可能性があるか)など、しっかり確認してください。

リノベーションのサブリースというのは、まだ目新しいですが、新築のサブリースのトラブルは、ニュース等でも多く報告されています。
2018年に大きく報道され、まだ記憶に新しい「かぼちゃの馬車」事件も、新築シェアハウスのサブリース契約をめぐるもので、スマートデイズが客付けに失敗、資金力が底をつき、家賃保証ができなくなったことが発端でした。
もちろん多くのサブリース会社は、破綻リスクの少ない仕組みをととのえ、誠実に運営しているに違いありませんが、「自己資金0円でリノベーションができ、空室による減益の負担を負わずに済む」と安易に飛びつくのは危険も伴います。

借主にリノベーションをしてもらう選択

最近では、「借主が自由にリフォームしても良い」ことを打ち出している賃貸住宅(リノベーション賃貸)が増えてきています。
オーナーにとって、リノベーション賃貸は「リフォームにお金をかけなくてよい」「入居後は長く住んでもらえる傾向がある」という2つのメリットがあります。借主負担でリノベーションしてもらえる上、自分でリノベーションしたら、愛着が出て長く住んでもらえることが期待できる――そもそも「自己負担でリノベーションしたい」というくらいなので、借主自身が長く済むことを想定している場合が多い、といえます。

ただし、原状回復義務はどうするか、どこまで改修を許容するかなど、あらかじめ書類で決めておくことが重要です。
内装や間取りがあまりに個性的すぎるとか、一般的に必要とされる設備機器を「自分は要らないから」となくしてしまう(浴槽をなくしてシャワールームだけにする、キッチンを簡易的にしてしまうなど)とかいった場合、次の借主がつきにくくなってしまうリスクがあるためです。

また、最近は「カスタマイズ賃貸」という選択肢が注目されています。
費用を借主が負担する代わりに、借主の希望通りにリノベーションする方式です。
クリーニングやリフォームの負担なく現況のまま貸し出せる点や退去時にグレードアップして戻ってくる点で、魅力的な選択肢といえます。
もちろん、かえって資産価値が落ちるような変更は禁止することが重要です。

リノベーション可能な範囲や費用負担は、あとからトラブルにならないよう賃貸借契約を結ぶ前にきちんと話し合っておくこと。
国交省が『DIY型賃貸借のガイドブック』を公表しているので、事前の確認事項をチェックしておきましょう。
しっかりと信頼関係を築いて、長く大切に住んでもらえるように手配しましょう。

リノベーションは、貸主にとって、賃料を下げずに集客を図る大事な方法です。
ひかリノベでは、アパートオーナー様や、賃貸目的のリノベーションも手がけています。
借主の心をつかむリノベーションプランの相談は、下記個別相談から受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

 

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【執筆】堀田 隆大(ライター)
【監修】坂田 皓基 (宅地建物取引士)

 

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