住まいを探していると、「リノベーション物件」に出会うことがあります。
中古住宅の中には、リノベーションを済ませた状態で売り出されている物件もあり、賃貸の検索サイトでもリノベーション物件の特集が組まれるほど人気も高まっています。
新築同様にきれいで使いやすい住まいに、新築よりも安い費用で住めることで人気を集めているリノベーション物件。しかし、新築と同じ感覚で選ぶと失敗するかも……!?
今回は、リノベーション物件を選ぶ際のメリット・デメリットとポイントをご説明します。
2016年5月17日初出→2020年8月24日更新→2021年9月9日更新→2022年7月12日更新
目次
そもそもリノベーションとは?
リノベーションは、“物事に新たな価値を与える”という意味の「Innovation」と、“再び”を意味する「Re」をくっつけた単語です。
既にあるものに新しい価値を付けなおす、と言い換えると分かりやすいでしょうか。
住宅・建築の分野では、既存の建物に手を加えて付加価値を高めることを指します。
リノベーション物件とは?
リノベーション(済み)物件とは、改修工事を行って、使い勝手やデザイン性を高めた物件のことを指します。
家全体を丸ごとリノベーション(フルリノベーション)したものもあれば、一部あるいは内装だけのリノベーションまで、改修の内容や範囲はさまざまです。
一般的には、比較的規模の大きい工事を行っている事例が多いようです。
中古マンションをリノベーションした物件は、不動産会社などが前のオーナーから物件を買い取り、リノベーションを行ったうえで販売するケースがほとんど。
このように、事業者が物件を買い取って販売する方式を「買取再販」と呼びます
リフォーム物件とリノベーション物件、何が違う?
リノベーションではなく「リフォーム(済み)物件」と言われる物件もありますね。
リノベーション物件との具体的な違いが、今ひとつわからない方も多いのではないでしょうか。
実は、リフォームとリノベーションには厳密な区別がありません。
一般的には、リフォームは傷んだり古くなった部分を補修・交換することで、元の状態に戻す(マイナスをゼロにする)ことを指す言葉として使われることが多く、賃貸住宅でいう「原状回復」だと捉えてもいいでしょう。
一方、リノベーションは先ほども説明したように、元の状態にはない付加価値を与えるのが大きな目的です。“プラスアルファ”という表現がわかりやすいかもしれません。
例えば、断熱改修や耐震補強において新築時と同等以上に性能を高めたり、間取りを変更して全く違う家族構成やライフスタイルに対応させるような改修が、リノベーションと表現されることが多いようです。
リノベーション物件のメリット
新築よりもリーズナブル
リノベーション物件最大のメリットは、何と言っても価格や家賃が安いことです。
間取りや内装、設備機器、場合によっては躯体にも手が加えられ、住宅としては新築と同等以上のレベルに達しています。
一方、建物自体はそれなりの築年数が経過しているので、一般的に新築の相場よりも安く販売・賃借されることが多いのです。
人気エリアの新築物件は非常に高額ですが、リノベーション物件ならあなたの予算に合った物件も見つかるかもしれません。
広さや設備の面でも、新築よりも選択肢が広がるでしょう。
デザイン性が高い物件が多い
分譲マンションや賃貸アパートは、誰が入居するかわかりません。そのため、白い壁に木目調のクッションフロアや塩ビタイルの床といった、無難なインテリアでまとめられていることも少なくありません。
一方、リノベーション物件は、付加価値としてデザインにもこだわっている物件がたくさんあります。デザイナーズマンションのような空間に仕上がっている物件もあれば、古民家やヴィンテージマンションなど、古さを逆手にとり「魅力」として変えている物件も。
賃貸にお住まいの方で、「ありきたりの部屋はもう飽きた」「ちょっとおしゃれな部屋に住みたい」といった方にも、リノベーション物件がおすすめです。
キッチンやお風呂など、設備機器にワンランク上のグレードの製品が使われていることも多々あります。
「賃貸だけど広いキッチンで料理を楽しみたい」「ゆっくりお風呂につかるのが好き」といった要望がある程度固まっている方は、ぜひリノベーション物件を重点的にチェックしてみてください。
すぐに入居できる
中古住宅を購入してリノベーションをする場合、リノベーションの設計や工事には一定の時間がかかります。
自由にプランニングできる・素材や設備を自由にチョイスできるという利点である半面、仮住まいの家賃がかかったり、工事の遅れによっては入居が遅れるリスクもあります。
しかしリノベーション物件なら、購入後すぐに入居することが可能です。
プランや設備が100%自由にならない点はデメリットかもしれませんが、入居までの住居費は最小限に抑えられるので、経済的にはお得だと言えます。
また、転勤や子どもの進学に合わせて「いつまでに必ず入居したい」という方にとっても、即入居可な点はメリットになるでしょう。
リノベーション物件のここに注意
リノベーション物件を選ぶ際、気を付けたいポイントがいくつかあります。
どこまでリノベーションされているのか
「リノベーション済み」とひとくちに言っても、リノベーションの範囲や内容はさまざまです。
賃貸住宅や一部の不動産会社は、アクセントクロスを張ったり、床材を変えるなど、表層的な部分だけの工事で「リノベーション」と称している可能性もあります。
こうした物件は見た目が良くても、配管が古いままだったり(漏水や嫌な臭いが発生しやすくなります)、防音性や断熱性の面では劣ってしまうことも……。
細かいところでは、コンセントの位置・数も住み心地に大きく影響します。
もちろん、内装だけの工事でも問題ない物件もありますが、見た目だけに捕らわれすぎないよう注意して物件選びをする必要があります。
耐震性は大丈夫か
リノベーション物件は築年数が20~30年ほど経過しているものが多いため、耐震性・耐久性は要チェックポイントです。
1981年5月以前に建てられた物件は、現在の耐震基準(新耐震基準)を満たしておらず、大地震で倒壊するリスクが高まります。
建物の構造によっても差が出てくるため、旧耐震物件のすべてがダメというわけではありませんが、物件選びの際は気を付けたいところ。
マンションの場合、躯体を勝手に工事することはできませんし、一戸建てでも耐震補強は大掛かりで、再度大掛かりなリノベーションを行う必要があるかもしれません。
せっかくリノベーション物件を購入するなら、新耐震基準(1981年6月以降)の物件を中心に探しましょう。
建物の電気容量は充分か
集合住宅では、建物全体で使える電気の容量に限りがあります。
古い建物は電気容量が少なく、特に一人暮らし向けの物件の場合、各部屋の契約容量(ブレーカーの容量)が20Aになっている物件も珍しくありません。
エアコンと電子レンジの組み合わせのように、大量の電気を使う家電を同時に使うと、すぐにブレーカーが落ちてしまいます。これでは生活も不便です。
契約容量を増やすことが不可能な物件もあるため、ブレーカーに表示されている数字を事前に必ず確認しましょう。
住宅ローンは使えるか
リノベーション物件を含む中古住宅購入時に、住宅ローンを利用する場合、築年数を融資の条件にしている金融機関があります。
築年数が基準よりも経過していると、融資を受けられない・借入期間が短くなるなどの制限が課されます。
最長を35年として、築年数に応じて短くしていく、というケースが一般的です。
「マンションに制限はないけど、一戸建ては築年数も考慮する」というパターンもあります。
また住宅ローン控除も、マンションは築25年以上・木造一戸建ては築20年以上だと、新耐震基準への適合を証明する書類がないと利用できません。
消費税がかかる?
初めに説明したように、リノベーション物件は買取再販が多数を占めます。
中古物件は個人間売買が一般的で消費税が非課税になりますが、売主が事業者となる買取再販は消費税の課税対象になります。
ただし「住まい給付金の給付対象となる」あるいは「不動産取得税の軽減措置が受けられる」など、補助や税制優遇も用意されています。
これらを活用することで、購入費用の負担を軽くすることも可能です。
リノベーション済み物件をリフォームできる?
新築同様のリノベーション物件を購入しても、住んでみたら不満が出てくることも考えられます。
先ほどもご説明したように、リノベーション済みといっても表層的な部分を変えただけの物件も少なくありません。
デザインやプランを大きく変えようとしても、建売や賃貸のように、ある程度最大公約的なデザインや間取りにせざるを得ない面もあります。
実際のところ、中古住宅を購入した人の半数以上が、購入5年以内にリフォームを行っているというデータもあります。
大部分は入居前・直後なのですが、「1年~5年以内」も10%を超えている点に注目してみましょう。100%希望に沿う物件を見つけるのが難しいことが伺えますね。
老朽化対策に加え、ライフスタイルに対応するためのリノベーション(間取り変更など)が多い傾向にあることも、ひとつの裏付けといえるでしょう。
そこで皆様にご提案したいのが、リノベーション物件の購入に合わせてプラスアルファのリフォーム・リノベーションを実施するという手法です。
内装をお好みの色やテクスチャで仕上げたり、床を無垢材に張り替えたり、キッチンや浴室、トイレを最新のものに一新したり――より自分らしく、満足できる住まいを実現できます。
さらに、この手法のメリットは、リフォーム・リノベーション費用も住宅ローンに組み込んでしまえること。後からのリフォームは資金調達がネックになります。少なくない出費が、家計を圧迫するかもしれません。
また、リフォームローンは住宅ローンよりも金利が高く、返済期間も短い(月々の返済額が増える)のが通常。住宅ローンでリフォーム・リノベーションの費用を支払うほうが、断然お得です。
住宅リノベーションのひかリノベでは、物件探しからリノベーション設計・施工までワンストップでお住まいづくりをサポートいたします。リノベーション費用を住宅ローンに組み込むことを考えるなら、物件探しからリノベーションまでひとつの会社で完結する方法が合理的です。
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