空間を有効に活用し、デザイン性も高い造作カウンター。

オーダーメイドだからこそ、限られたスペースを最大限に有効活用したり、空間全体の調和を重視したりといった柔軟なプランニングが可能です。
一方で費用面や工期、配置変更が難しい点など、慎重に検討すべき要素もあります。

この記事では造作カウンターを取り入れるメリット・デメリット、後悔のない計画を立てるためのポイント、また実際の施工事例も紹介します。キッチンカウンターの造作を計画していらっしゃる方は、ぜひ参考になさってくださいね。

キッチン造作カウンターとは？

キッチンカウンターとは、キッチンまわりに設けるカウンターのことです。
既製品ではなく、お施主様の要望に合わせてオーダーメイドで設計・施工するものを「キッチン造作カウンター」と呼びます。

既製品とは異なり、使用目的に応じて、あるいは調理や配膳の動線に合わせて、寸法や配置を自由に決められる点が最大の魅力。たとえば調理台として使用したい、配膳や「ちょい置きスペース」が欲しい、ダイニングカウンターとして食事をしたい等、目的に合わせて高さや幅を自由に決められます。
また、空間に合わせて造り付けるため、無駄のないレイアウトが実現しやすい点もメリット。素材もインテリアに合わせて選ぶことができ、キッチン空間にこだわりたい人に選ばれています。

造作カウンターのメリット

こだわりがたくさん詰め込める造作カウンターの、メリットを紹介していきます。

家事動線に最適化できる

新築マンションや建売住宅といった既成の住宅では「対面キッチンの前面に小さなカウンター」が主流ですが、料理や食事ができる広いカウンターが欲しい人、前面ではなく側面にカウンターが欲しい人、「こんなカウンターがあれば良いのに」という要望は人それぞれ異なります。

カウンターで食事をするなら、座ったときにちょうどよい高さに。調理が目的なら、立って作業がしやすい高さに。造作カウンターなら、用途に合わせて寸法や配置を決めることができます。

シンクやコンロ、冷蔵庫などの調理家電の位置を考慮して、前面ではなく側面に設置することも可能です。家事動線を最適化できるので、日常の小さなストレスを軽減することができます。

空間を有効活用できる

限られた空間を有効に使うためには、スペースの無駄を作らないことが大切です。造作カウンターなら、部屋の間取りやキッチンのレイアウト、家具・家電の配置に合わせて設計することが可能です。

たとえばキッチンと横並びのレイアウトで大きなカウンターをしつらえれば、調理台にもダイニングテーブルにもなり、省スペース化に。

あるいはキッチン前面に配膳カウンターをしつらえ、カウンター下に食器棚を設ければ、配膳だけでなく収納空間としても活用することができます。

デザインの自由度

とくにLDK（リビング・ダイニング・キッチン）が一体となった間取りでは、キッチンまわりのデザインがリビングの印象を大きく左右します。

造作カウンターなら、ナチュラルな木のカウンター、すっきりとモダンなメラミン素材のカウンターなど、家具や内装に合わせて素材や色を選ぶことができ、システムキッチンのまわりをとりまく腰壁とのコーディネートも楽しめます。

既製品では「素材や色はいいけれどサイズが無い」「高さが微妙に合わない」ということもありますが、造作カウンターなら形状もサイズも自由に決められます。

造作カウンターのデメリット

一方で、造作カウンターにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

購入前に実物を見ることができない

まず、造作カウンターはオーダーメイドのため、既製品のように事前に完成品を見られないというデメリットがあります。

デザイナーに要望がキチンと伝わっていないと、思い描いていたイメージとの差が生じることも。理想どおりを実現するためには、プランニングではデザイナーと綿密な打ち合わせを行い、完成した姿のイメージギャップが生じないようよくコミュニケーションをとることが大切です。

気軽に配置変えができない

造作カウンターは壁に造り付けるため、設置後は動かすことができません。

子どもの成長や家族構成の変化といった将来的なライフスタイルの変化もある程度見越して、配置や仕様を計画する必要があります。

費用・時間がかかる

造作カウンターはデザインから素材選びといったプランニングに相応の時間を要します。
現場でイチから作るため施工にも時間がかかります。
既製のダイニングテーブルやカウンターキャビネットのように「置いて終わり」ではないため、その分コストもかさみやすい傾向にあります。

実際にかかる金額や時間は仕様によって千差万別のため、見積もりをとる必要があります。具体的に知りたい場合は、要望と予算をまとめ、工事にかかる金額は予算内に収まるか、プランニングの打ち合わせは何回必要で、施工にはどれくらいの時間が必要か、リフォーム会社に問い合わせてみるのが良いでしょう。

失敗しないキッチン造作カウンター計画のポイント

造作カウンターのメリット、デメリットについて解説しました。続いて、造作カウンターを計画するにあたり、失敗しないためのポイントを解説していきます。

適切な高さ・奥行の考え方

必要な高さや奥行は、用途や使い手に応じて決まります。

調理台として使う場合、立ったままの作業が中心となります。
一般的に、立って作業しやすい高さは「身長÷2＋5cm」が目安。身長160cmの方であれば約85cmが目安となります。
奥行は最低でも60㎝。70～80㎝ほどあるとゆとりがもてます。

ダイニングカウンターの場合、座って食事をするのにちょうどよい高さに合わせます。一般的なダイニングテーブルの高さは、70cm～75cm程度。さらに快適な高さを追求するなら、椅子の座面とカウンター天板の差尺25cm～32cmに設定するとよいでしょう。奥行や幅は、何人掛けとするかに応じて変わってきます。

配膳や「ちょい置き」が目的の場合、高さはキッチンと同等の85cm程度。
奥行は置きたいものに応じて変わりますが、およそ40cm程度が使いやすい寸法です。

このように、用途によって快適な高さ・奥行は変わってきます。調理台として使いたいのか、ダイニングテーブルとして使用したいのか、配膳の一時置き場をつくりたいのか。カウンターの目的や役割を明確にしたうえで、デザイナーに適切なサイズを提案してもらいましょう。

レイアウトの考え方

レイアウトも用途に応じて計画します。対面キッチンの前面もしくは横並びに配列するケースが多いですが、前面とするか横並びとするかは、シンクやコンロといった設備や、冷蔵庫などの調理家電へのアクセスを考慮して、効率的な動線をつくることが大切です。

たとえばキッチン前にダイニングセットがあり、配膳の一時置きとしてカウンターを設ける場合は、キッチン前面にカウンターを取り付けるとよいでしょう。一方でキッチン横にダイニングセットがある場合は、横に広めに張り出した形のほうが合理的な動線になります。

キッチン背面の壁面にカウンターを配置するケースもあります。この場合、調理・配膳の補助スペースや家電置き場として活用でき、作業動線をキッチンまわりで完結させやすいメリットがあります。たとえばダイニングがキッチンから少し離れて配置されている間取りでは、背面カウンターを配膳前の一時置きや盛り付けスペースとして利用することで、動線の無駄を減らすことができます。

実例でみるキッチン造作カウンターの活用アイデア

造作カウンターの実例を紹介します。キッチンに造作カウンターをご検討の方は、是非参考にしてみてください。

横並びレイアウトの多目的ダイニングカウンター

横並びレイアウトの多目的ダイニングカウンター（事例：https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0098/）

タモ材の造作カウンターを前面から横に回り込むようにしつらえ、文字通り「食が暮らしの中心」となるキッチンです。

ムードたっぷりのバーカウンター

ムードたっぷりのバーカウンター（事例：https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0102/）

家電収納も扉付を選び、見せない収納でいつもスッキリとしたキッチン。腰壁のカウンターはバーのような雰囲気が楽しめ、ご夫妻にとってお気に入りの場所だそう。昼間は仕事や、お子様の宿題スペースにも。

腰壁の笠木を幅広にとってカウンターに

腰壁の笠木を幅広にとってカウンターに（事例：https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0127/）

腰壁の笠木を幅広にとって、ちょい置きも可能なカウンターに。キッチン背面の壁幅いっぱいにしつらえたキャビネット上には、マットな質感のブラックカラーで統一した調理家電が一列に並び、インテリアアクセサリーのよう。

ちょい置きにピッタリの小さなカウンター

ちょい置きにピッタリの小さなカウンター（事例：https://hikarinobe.com/constructioncase/case_0120/）

ダイニングに張り出したキッチン側面には腰壁をしつらえ、小さなカウンターを造作。配膳やコーヒータイムに活躍しています。

おわりに

キッチン造作カウンターは、用途や動線に合わせて寸法やレイアウトを自由に設計でき、機能性とデザイン性を高められることが大きな魅力です。一方で、費用や工期がかかること、完成形を事前に確認しにくいこと、配置変更が難しい点には注意が必要です。

後悔しないためには、ライフスタイルや日常の動線を明確にし、高さや奥行を適切に設定すること、そしてキッチンとダイニングの位置関係に応じたレイアウト計画が重要です。紹介した事例も参考に、ご自分とご家族にとって最適な配置を考えてみてくださいね。

キッチンカウンターの計画には、信頼できる工務店やデザイナーとの相談が重要です。当社ひかリノベは、オーダーメイドのリノベーションと中古マンション・中古戸建物件の仲介を行っているリノベーション会社です。家探しからのリノベーションをご希望の方は、物件探しから設計・施工まで。居住中のご自宅のリノベーションは、工事中の仮住まい探しから設計・施工まで、ワンストップでおまかせいただけます。

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