木造住宅の構造|軸組工法とツーバイフォーはどこが違う?

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わたしたち日本人にとってなじみ深い木造住宅。

同じ木造でも、日本の在来工法と、アメリカ生まれのツーバイフォー工法ではつくり方や、特性が大きく異なります。

この記事では、木造住宅の構造と、木造にすることのメリット・デメリットをご紹介。木造住宅を長持ちさせるポイントも合わせて紹介しますので、今、木造住宅にお住まいの方もぜひご一読ください!

木造住宅の構造の種類~軸組工法とツーバイフォー

木造住宅の構造は、木造軸組工法(在来工法)ツーバイフォー工法(枠組壁工法)に二分されます。ログハウスなども木造住宅ですが、今回はこの二つに絞って説明します。

木造軸組工法

出典:日本建築学会「市民のための耐震工学講座 6. 木造(住宅について)」 (https://www.aij.or.jp/jpn/seismj/lecture/lec6.htm)

出典:日本建築学会「市民のための耐震工学講座 6. 木造(住宅について)」 (https://www.aij.or.jp/jpn/seismj/lecture/lec6.htm

柱や梁・桁の骨組みで構造体を構成するつくり方で、日本では古くから用いられ、最も普及している工法です。在来工法とも呼ばれます。

昔は、大工さんが木材を加工して柱や梁を組み合わせていくやり方が主流でした。今は耐震性を高めるため、ボルトや金物で接合部を固定し、筋交いを入れたり、構造用合板などを外側に張ることが一般的で、木造軸組工法、在来工法と言えばこちらを指します。

おもに柱・梁・土台で構造体が成り立っているので、間取りの自由度は高く、壁のない広々とした空間も実現可能です。窓の位置や大きさも、比較的自由にできます。
また、間取り変更を伴うリフォーム・リノベーションがしやすいのも大きなメリット。

小さな工務店からハウスメーカーまで、建てられる業者も多い一方、施工品質や性能にはばらつきも。職人の技術に左右されやすい面もあります。

また、この後紹介するツーバイフォー工法に比べ、耐震性が低いと言われますが、最近では技術が進化し、軸組工法でも高い耐震性を実現することはそう難しくありません。

ツーバイフォー工法

出典:日本ツーバイフォー建築協会「ツーバイフォー工法の構造材の例」(https://www.2x4assoc.or.jp/build/trait/file/trait.pdf)

出典:日本ツーバイフォー建築協会「ツーバイフォー工法の構造材の例」(https://www.2x4assoc.or.jp/build/trait/file/trait.pdf

ツーバイフォー(2×4)工法は北米発祥の工法で、日本では「枠組壁工法」とも。

主に2×4インチ(1インチ=2.54cm)の木材を組み合わせた枠に合板を張って、パネル状にした壁や床、天井を組み立てて建物をつくります。
木材や釘など、あらゆる部材が規格化されているので大変合理的で、設計・施工する人による質の差が出にくい工法です。

壁・床・天井の6面で構成されているため耐震性がとても高く、気密性・断熱性も高めやすいつくりです。また、枠となる部材が空気を遮断するため、火が燃え広がりにくいのもツーバイフォー工法の利点といえるでしょう。

最近は、ツーバイフォー(2×4)から発展したツーバイシックス(2×6)も増えてきました。2×6インチの木材を使用し、ツーバイフォーと同じ方法で建物を組み立てます。

一方、構造体が壁によって成り立っている点はデメリットにもなります。間取りや開口部の自由度が、木造軸組工法ほど高くはなく、リフォームの際、壁を撤去するのも不可能なことがあります。

木造軸組工法は柱・梁を組み立てて屋根をかけてから壁を張りますが、ツーバイフォー工法は床から壁の順で施工し、最後に屋根をかけます。
工事中に雨が降ると壁の中の断熱材が濡れやすく、養生がおろそかだと将来、壁の中で結露が発生して、木材が傷んでしまう恐れもなきにしもあらず、です。

基礎の種類~ベタ基礎と布基礎

建物を支えるのが基礎の役目。木造住宅では主にベタ基礎布基礎と2種類の基礎が使われており、それぞれ特徴があります。

ベタ基礎

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現在、木造住宅の基礎として主流になっているのがベタ基礎です。

立ち上がりと床一面を鉄筋コンクリートで一体的につくって、面で建物の重さを支えます。

鉄筋やコンクリートの使用量が増えるのでコストはかかりますが、建物の荷重が分散されるため耐震性が高い、地面から湿気やシロアリが侵入するのを防ぎ、土台や床下の木材が腐ったり傷んだりしにくい、と大きなメリットのある構造です。

布基礎

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立ち上がりの部分だけで建物を支えるのが布基礎です。コンクリートの使用量が少なく、コストが安いのが最大のメリット。

建物を支える部分が少なく、耐震性では不利なのが大きなデメリットです。湿気の影響を抑えるため、地面にはシートやコンクリートを施工しますが、それでもベタ基礎に比べると木材が劣化しやすく、シロアリ被害を受けるリスクも高まります。

最近では、布基礎を採用することはほとんどなくなりました。ただし土が凍るような寒い地域では、地面を深く掘って、凍らないところまで基礎を深くしなくてはならず、残土処理のコストがかかるので、北海道や東北では今でも布基礎にする例もあるようです。

木造住宅のメリット・デメリット

木造住宅のメリットとしては、次のような点が挙げられます。

木造住宅のメリット

  • 建設コストが安い
  • 設計の自由度が高い
  • 業者の選択肢が多い
  • 調湿性に優れている

国税庁が定めている、1㎡あたりの工事費用は鉄筋コンクリート造(RC造)268,000円に対し、木造は172,000円。100㎡の住宅だとすると、木造のほうがおよそ1000万円は安く済む計算になります。

前に説明したように、木造軸組工法なら間取りの自由度が高く、建材なども木造軸組工法を前提に開発されていることが多いので、外観、内装ともさまざまなデザインに対応しやすいのです。

また、工務店、設計事務所、ハウスメーカーなど、多種多様な業者が木造住宅を供給しています。デザイン、性能、価格など、それぞれの会社に得意分野や特徴がありますから、自分にあった家を手に入れやすいのも木造のいいところ。

木材は湿度を蓄える性質があります。多湿な時期は吸湿し、乾燥しているときは逆に水分を放出するので、内装に木材を使えば快適な湿度を保ちやすく、結露やカビを防止する効果も期待できます。木の質感・触感も大きな魅力ですね。

一方、以下のような点がデメリットだと言われます。

木造住宅のデメリット

  • 耐震性が低い
  • 火災に弱い
  • 劣化しやすい・耐久性が低い
  • 質(仕上がり)に差が出やすい

鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べれば、耐震性で木造が劣るのは否めません。ただ、建築基準法で、大地震でも倒壊しないようにつくることが定められていますし、耐震性を高める部材・工法も多数開発されているので、それほど心配する必要はないかもしれません。

また、火災に弱いと言っても、石膏ボードなど火に強い建材を使い、耐火構造、準耐火構造とすることである程度防火・耐火性能を高めることができます。ただ、その分コストもかかるという意味では、RC造に比べると不利かも。

木材は腐ったり、シロアリの被害を受けやすい素材。劣化対策やメンテナンスをおろそかにしていると、取り返しのつかない劣化が発生してしまう可能性もあります。

部材が規格化されているツーバイフォー工法はともかく、木造軸組工法は現場で部材を加工して取り付けたりすることも多いため、施工する職人の腕によって仕上がりに差が出やすい面もあります。

断熱材がきちんと施工されず断熱性が下がる、すき間ができて気密性が低くなる、ビスや釘を打つ場所を間違えて耐震性に悪影響が出ている――こうした事例は今でもよく耳にします。正しく施工できる会社を選ぶことが肝心です。

木造住宅に長く住むためのポイント

木は傷みやすいと言っても、古い神社仏閣や、古民家がたくさん残っているように、木造でも100年以上使い続けることは何ら難しいことではありません。

木造住宅を、長く健全な状態で保つためには、まず新築する際に耐久性を高めることが重要です。

シロアリを寄せつけないよう木材を薬剤で処理したり、万が一雨漏りや結露が発生しても躯体内に水や湿気がたまらないよう、通気層を設けたり、湿度を通す気密シートを使うといった対策が大切。天井や床下には、状態を確認しやすいように点検口を設けましょう。

点検口は、ほとんどの施工業者が言われずとも当たり前に設置するもの。しかし中には、コスト削減のために省略してしまう例もあるようです。

点検口がない住宅は、売却の際に床下や天井裏の点検ができず、査定が著しく不利になる場合も。
ご自宅に点検口がきちんと設置されているか確かめたい場合は、床や天井を見ればすぐに解ります。中に入れる四角い口があれば、それが点検口です。

また、耐震性や断熱性もきちんと確保し、将来、家族構成やライフスタイルが変わっても住み続けられるよう、リフォーム・リノベーションの可能性も考慮して間取りを考えましょう。

そして、住み始めてからも定期的な点検・メンテナンスを忘れないように。

不具合があっても、発見が早ければ補修も最小限で済みます。また、どんなに丁寧に使っていても、外壁の塗り替えや設備機器の交換が10~15年に一度は必要になります。

新築した会社が定期的に点検・メンテナンスをしてくれることも多いですが、中古住宅を購入した場合などは、メンテナンスやリフォームを頼める会社を見つけておくといいかも。
メンテやリフォームの費用も、必要なメンテナンス・リフォームのサイクルを考えつつ積み立てておくことが大切です。

ここまで、木造住宅の特徴を解説しましたが、この記事を読んで、今お住まいの家の住み心地や性能に不安を感じたり、リフォームしたいと思った方もたくさんいらっしゃると思います。
そんなときはひかリノベにご相談ください。木造戸建て住宅のインスペクションや断熱・耐震改修の専門家が、あなたのリノベーションをサポートいたします。

下記はひかリノベの戸建てリノベーションのサービスページです。戸建てのフルリフォーム・リノベーションをお考えの方はぜひご覧になってみてくださいませ。

記事監修

大宮 良明(一級建築士、既存住宅状況調査技術者)

一級建築士、既存住宅状況調査技術者の有資格者。木造建築の構造計算をはじめ、安全性に配慮した設計を得意としている。「住まいのデザインは見た目のカッコよさはもちろんですが、それ以上に暮らしやすさや安全性が大切だと考えています。長い目で見て『こうして良かった』と思える家を、いっしょにつくっていきましょう」

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