音漏れはドアから?ドアの防音対策を解説!

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壁や床の防音対策はしっかりしているのに、どうも外に音が漏れていると気になっている方はいませんか?部屋の防音性を高めようと思った時、忘れていけないのはドアの防音対策です。

こちらの記事ではドアの防音対策が大切な理由や防音ドアを設置する場合のポイント、部材の選び方などを詳しく解説。ドアも防音対策をしっかりとして、外に音を漏らさず外からの騒音を室内に入れないような防音室を作りましょう。

ドアの防音が大事な理由

防音室に出入りするのにドアは欠かせませんが、そのドアにも防音対策が必須です。というのもドアならではの二つの理由があるからです。

壁よりも厚みがない

ドアは設置してある壁と比較しても厚みがないため音を通しやすく、遮音性が低い場所です。音は振動が空気を伝わることで私たちの耳に入ってきます。しかし壁が薄かったり、ドアの厚みがないと振動が伝わりやすく、結果として音が室外に漏れたり、外からの騒音が室内に入りやすくなってしまうという訳です。

したがってドアの防音性能をアップさせるにはドアに厚みを持たせる必要があります。またドア自体の構造も、中が空洞になっている木製のドアよりは、鉄製やコンクリート製など単位面積当たりの質量が大きな素材の方が遮音性能が優れています。ドアに密閉性や遮音性を持たせるにはドアの材質も重要です。

隙間ができやすい

ドアはその役割ゆえ、隙間ができやすいのが特徴です。扉を左右にスライドさせて開閉する引き戸では、壁とドアの間に隙間が生じます。また手前や奥に開く開き戸では、ドアの上下や丁番が付いている側、ロックをかける側に隙間が生じやすくなってしまいます。

当然普通のドアでは、ドアと床の隙間や壁との間から空気と共に音も漏れてしまうため、防音性能は低くなります。そのためドアの防音性能を高めるには、ドアと壁との間に隙間を作らない工夫が必要。
具体的にはドアと壁や床との間にゴムパッキンを使用して、隙間を極力なくすような対策です。

日常生活の音をデシベル(㏈)で表すと次のようになります。

  • 小さな寝息程度…20㏈
  • 静かな図書館内…40㏈
  • 普段の会話…60㏈
  • 目覚まし時計の音…80㏈
  • 地下鉄の電車内…100㏈

防音室で使用することが多い楽器の音源ごとの音の強さは以下の通りです。

  • ピアノ…90~100㏈
  • ボーカル…100~110㏈
  • ドラム110~120㏈

上の音のレベルを踏まえて、こちらはドアの種類ごとにどの程度の遮音が出来るかを示したものです。

  • 引き戸タイプのドア…マイナス10~20㏈
  • 簡易用防音ドア…マイナス30㏈前後
  • 音楽用防音ドア…マイナス50~60㏈

普通の引き戸タイプのドアでは、100㏈のピアノの音は80㏈程度までしか遮音できず、地下鉄の電車内程度の騒音になって外に漏れてしまいます。一方の音楽用防音ドアでは、50~40㏈程度にまでの防音効果が期待でき、日常的に好ましい音の大きさにまで下げることが可能です。

引き戸と開き戸どっちがいい?防音ドアのポイント

ドアの種類には、大きく分けて引き戸と開き戸の二種類があります。防音室のドアにはどちらが適しているのでしょうか?こちらでは防音ドアに適したドアの種類や材質、ドアハンドルの形状などを詳しく紹介します。

引き戸より開き戸

防音室のドアには、ズバリ引き戸よりも開き戸が適しています。上で少し説明したように、ドアと壁の隙間にはゴムパッキンを使用して音漏れを防ぎます。ゴムパッキンをただドアの周囲に付けただけでは事足りず、パッキンをつぶすようにして密着させることで空気を遮断します。

引き戸ではゴムパッキンをドアの圧力でつぶし続けることが難しいため、開き戸が適しています。最近では引き戸でも比較的防音性の高い商品が出ていますが、開き戸よりもバリエーションが少なく価格も高めです。

引き戸にはドアの前後にスペースがいらず、バリアフリー対応にしやすいなどのメリットがありますが、どうしても引き戸でなければ…という方以外は開き戸をおすすめします。

スチール製ドアがおすすめ

防音室のドアの材質は、スチール製がおすすめです。音は空気を振動させることで私たちの耳に入ってきますが、音の性質として、質量が重ければ重いほど振動の伝達に抵抗が生じます。つまりコンクリートや鉛といった質量が重い材質ほど、音を遮断しやすいという訳です。

突板(つきいた)のドアよりは無垢材の木製ドアの方が遮音性が高く、それよりもスチール製のドアの方が質量が重いため防音室のドアに適しています。スチールは鉛よりも価格が安く、コンクリートよりも劣化しにくく加工しやすいので、防音室のドアに多く採用されているのです。

防音室のドアをスチール製にすると、2000ヘルツの音が55㏈も減衰できる商品も。高級感があり意匠性が高い木製の防音ドアもありますが、遮音性だけを比較するとスチール製が最も防音室のドアにおすすめです。

ドアハンドルにも気を配ろう

防音室ドアを設置する場合は、ドアハンドルの形状や種類にも気を配ってください。防音室のドアハンドルに適しているのは「グレモンハンドル」というローラー締まりのハンドルです。「グレモン錠」と呼ばれることもあり、ドアを閉めてハンドルを回すとドア枠とパッキンの付いたドアが多点で密着し、簡単により高い気密性を保つことが出来ます。

更にグレモンハンドルは、ハンドルとロックが連動しているので、レバーの上げ下げだけでロック操作が可能です。構造が単純だということで壊れにくく、ピッキングされやすいという弱点がありますが、室内側の扉なら防犯上も問題ありません。

ドアにゴムパッキンを付けても、普通のドアハンドルだとパッキンをギュッと押し切ることが出来ません。したがって本格的な防音ドアを設置したい場合は、ドアパッキンを締め付けられてしっかりとドアを固定できるグレモンハンドルを選ぶといいでしょう。

まとめ

せっかく防音室を作ったからには、出入りするドアも遮音性の高いものを選びましょう。ドアは壁よりも厚みがなく、ドア枠との間に隙間ができやすいため、普通のドアではなく防音対策を施したドアを設置しなければなりません。

左右にスライドして開閉する引き戸よりも、前後に動く開き戸の方が防音室のドアに適しています。音を遮断するには質量が大きく、加工しやすく価格が比較的安いスチール製のドアがおすすめ。そこに付けるドアハンドルは、多点締めが可能で高い気密性をキープできるグレモンハンドルがいいでしょう。

オプションで二重ガラスが入った覗き窓や鍵を追加できるような商品もあります。簡易的な防音ドアなら30㏈ほど、本格的な防音ドアは50~60㏈も音をカットしてくれます。防音室のドアは、防音室の使用目的や楽器の種類に応じた性能を選びましょう。

このように防音室工事は壁や床天井だけでなく、ドアや窓などの開口部の防音対策が欠かせません。また建築の知識だけでなく楽器の音の響き方や建物への音の伝わり方に関する知識も必須。お宅の防音室工事をする場合は、必ず防音工事に特化した業者に依頼して下さい。

この度ひかリノベでは、防音工事のスペシャリストである昭和音響さんと提携しました。
昭和音響さんは一般住宅だけでなくライブハウスなど、高い防音技術が必要な現場での実績が豊富。
防音室を新設するには、家の骨組みまで露にするスケルトンリノベーションのタイミングがベストです。マンション、一般住宅の防音室リフォームは、是非ひかリノベにお任せください。

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記事監修

昭和音響

一級建築士在籍の防音設計事務所。マンションや一戸建・築古・木造と幅広く防音工事を手掛ける。防音性能はもちろんのこと、ピアノやドラムなど楽器それぞれの最適な音量や表現方法にも着目し、気持ちよく演奏ができる防音室を提供している。2021年よりひかリノベと提携。これにより、ひかリノベでもお部屋の防音工事が可能となりました。

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