東京23区の南西部に位置する世田谷区。
世田谷、北沢、玉川、砧、烏山の5地域にわけられますが、どの地域もおおむね住宅が多く、都内でも有数の閑静な住宅地です。
栄えた商業地もあり、交通の便の良さや、自然が豊かという特徴から、都心回帰が進んでいると言われつつも「世田谷に住みたい」という人は少なくなく、特に子育て世代には根強い人気を誇る地域です。
今回は世田谷区の子育て環境の「いま」を、区の統計データをもとに解説します。
1.「待機児童ワースト1自治体」の今は?
2.保育園の定員は拡充中
3.妊娠中から手厚い支援
4.子育ての不安に寄り添うサポート
5.親子のおでかけも安心
6.スマホアプリで子育て支援
目次
「待機児童ワースト1自治体」の今は?
世田谷区は、都内で最も待機児童数が多い自治体です。子育て世代の方々にとっては気になるポイントではないでしょうか。
2018年4月1日時点で、世田谷区の待機児童は486人。
特に、0歳から2歳までの多さが目立ちます。2017年までは、5年連続で全国ワースト1となるほど、待機児童の多い自治体として有名です。
ただし、上の表を見ればお分かりのように、待機児童の数は減少傾向にあります。
東京都福祉保健局の調査によれば、2017年からマイナス375人と、世田谷区は都内で最も待機児童が減った自治体でもあります。
保育園等を利用する子どもが増えている一方、待機児童は減っているのです。
保育園の定員は拡充中
全国的に待機児童数の多さが問題になる中、当然ながら世田谷区は待機児童の解消に力を入れています。
2017年度には、保育施設の新設などによって、1275人分の定員増加を達成しています。
次のグラフを見ていると、保育園等の定員は増加を続けているのに対し、待機児童数は2016年から17年にかけてぐんと減少し、翌18年にはもっと減ったことがわかります。
さらに、今年4月に向けて、1396人分の定員拡充を目指しており、特に入所できない人数が多い0~2歳児を対象とする施設を重点的に整備する方針を掲げています。
また、2015年度から本格的に始まった「子ども・子育て支援新制度」によって、幼稚園と保育園の機能を融合させた「認定こども園」の普及を図ったり、一時預かり、学童保育、病児・病後児保育といった子育て支援の仕組みの整備が進んでいます。
子育て世代にとっては、むしろいい環境が整備されつつあるといえるでしょう。
妊娠中から手厚い支援
世田谷区は、待機児童の解消以外にも、妊娠・出産・子育てに対するサポートに力を入れており、「妊娠期からの切れ目のない支援」というキャッチフレーズを掲げています。
各種サービスが使える「せたがや子育て利用券」
妊娠中に区の総合支所保健福祉センターで面接を受けると、以下のような産前・産後サービスを利用できる「せたがや子育て利用券」がもらえます。
1セットあたりの額面は1万円で、有効期限は配布された月から2年間。
妊娠後に世田谷区に転入した人や、長期の里帰りなどが理由で面接を受けられない人でも配布を受けることができます。
また、出産したら双子や三つ子だった場合、子どもの人数分の利用券がもらえます。
健診などの助成券入り「母と子の保健バッグ」
どの自治体でも、妊娠した場合は妊娠届の提出が必要です。届け出ると母子健康手帳が発行されますが、世田谷区では手帳と同時に「母と子の保健バッグ」がもらえます。
バッグの中には、妊娠中の健診や子宮がん検診の受診票や、産前・産後の歯科検診、子育て支援ヘルパーの家事・育児サポートが受けられる「さんさんサポート」の利用券など、各種の助成券が入っています。子育て支援アプリや産後ケアの案内、子育て応援とうきょうパスポート(商品の割引や、粉ミルク用のお湯の提供といったサービスを協賛企業から受けられる利用券)なども同時にもらうことができます。
妊娠中に転入した場合でも、総合支所や保健所に届け出れば「母と子の保健バッグ」が配布されます。
医療に関する助成が楽に受けられるようになるので、必ずもらっておきましょう。
子どもが生まれたり、他の自治体で受給していた場合は、国の「児童手当(旧子ども手当)」の申請も忘れずに。
子育ての不安に寄り添うサポート
子どもが無事生まれてほっとするのもつかの間、すぐに育児期間が始まります。
親とは離れているし、新しい地域に移り住んだばかりで近くに知り合いもいない……そんな心細い状況で子育てをしなくてはならない人も多いでしょう。
自治体の公的な子育て支援は、今の子育て世代にとってはなくてはならぬものです。
専門のコーディネーターや相談員を各所に配置
子育てにはさまざまな悩みがつきもの。昔は親や、近所の人々が知恵や手を貸してくれたのでしょうが、今はそうもいかないケースも多いはずです。
世田谷区では、「世田谷区地域子育て支援コーディネーター」や「世田谷区子ども家庭支援センター子育て応援相談員」を委託事業者の拠点や、各地域の総合支所に配置し、妊娠・出産や子育てに関する相談に対応しています。
区のサービスや助成を利用したい、といった具体的なことはもちろん、誰に相談していいかわからない不安や悩みの相談にものってくれます。
今現在、世田谷区に住んでいる人はもちろんですが、これから区内に引っ越す予定の人も利用できるサービスです。
不安なこと、気になることがあれば、まずはコーディネーターや相談員に会ってみるのもいいのではないでしょうか。
年齢や状況に合わせた一時預かりサービス
時には子どもから離れて疲れを癒したい、と思うときもあるでしょう。病気になってしまったり、仕事で帰宅が遅くなってしまうこともあるはず。世田谷区では、こうした場合に備えて、子どもを一時的に預かるサービスを多数展開しています。
ほっとステイ
親の理由を問わずに利用できる子どもの一時預かりサービス。満1歳以上の未就学児が対象(一部拠点では0歳児にも対応)
トワイライトステイ
仕事など、親の帰宅が遅くなる際、児童養護施設で最長22時まで子どもを預かるサービス。対象は小学生
子どものショートステイ
病気や出産、家族の介護などで子どもの面倒を見られない場合、7日を上限に子どもを児童養護施設で預かるサービス。1歳から12歳までが対象
ワークスペースひろば型
区内2カ所の「おでかけひろば」に、仕事ができるワークスペース(デスク)を設置し、合わせて子どもの一時預かりを実施。生後4カ月から3歳の未就園児を預かる
他にも、民間の幼稚園で夜間の短時間預かりを実施していたり、委託施設で0歳児を1週間ほど預けられる「赤ちゃんショートステイ」などがあります。
「おでかけ広場」で子育て仲間を見つけて
親にとっても子どもにとっても、近くに友達や仲間がいるのは大事。同じ子育て世代の仲間をつくりたい、というひとは、「おでかけひろば」に出かけてみましょう。
「おでかけひろば」は、オープン中ならいつ行ってもOK。親も子も、過ごし方は自由です。
授乳・おむつ替えのスペースも完備されており、しかも育児経験の豊富なスタッフが常駐しているので、子どもを遊ばせながら相談することができます。
各地域に5~8カ所のひろばが設けられており、イベントなども定期的に開催されています。登録が必要ですが、基本的に利用は無料です。
自然の中で遊べる施設を紹介「せたがや外遊び」
冒頭でも少し触れたように、世田谷区は自然が豊かで、公園など外で遊べる施設も豊富にあります。せっかくですから、親子で外へ出かけて自然を楽しみたいものです。
世田谷ライフを親子で楽しむために、ぜひ目を通しておきたいのが「せたがや外遊び」リーフレット。親子で楽しむことができる外遊び活動が紹介されています。区役所や児童館で配布されており、また世田谷区のホームページでも閲覧できます。
スマホアプリで子育て支援
まだまだたくさんある世田谷区の子育て支援策。充実しているだけに、必要な情報を探すのは大変そうと感じる方もいるのではないでしょうか。
ここで紹介したいのが「せたがや子育て応援アプリ」。自身の状況にあった情報をすぐに探せるだけではなく、さまざまな施設のマップや保育施設の空き情報の検索、健康診断や予防接種の時期の通知など、子育てに便利な機能が満載のアプリです。
iOS、Androidのどちらにも対応しており、それぞれApp Store、Google Playからダウンロードできます。
ひかリノベでは、世田谷区での中古マンション/中古一軒家のご紹介から、リフォーム・リノベーションの設計・施工、住宅ローンのご案内まで、住まい探し・住まいづくりを一貫してお手伝いしております。
「人気の地域だからいい物件は見つからないかも……」とあきらめる前に、ぜひ一度ご相談ください。
【監修】坂田 皓基(宅地建物取引士)