ローンには、住宅購入資金のための「住宅ローン」、リフォーム資金のための「リフォームローン」があります。
住宅購入とリフォームを同時におこなう場合、リフォーム・リノベーションの費用も「住宅ローン」で借入できることをご存知でしょうか。
その他にもお得な方法として、すでに購入済みの住まいをリフォームする場合に、リフォームローンでなく「住宅ローンの借り換え」をすることも可能です。
今回は、中古住宅の購入やリフォーム・リノベーションをご検討中の方へ、お得な2つのローン活用術をお伝えします。
2019年12月26日初出→2020年8月24日更新→2021年6月22日更新→2022年4月8日更新
目次
リフォーム・リノベーションに使えるローンの選択肢は2つ
リフォームやリノベーションをする場合、その費用を借入できるローンには2つの選択肢があります。
まず1つがリフォームローン。その名のとおり、リフォームやリノベーション専用に用意された金融商品です。もう1つが、住宅ローン。住宅ローンといえば住宅購入のための金融商品ですが、実はリフォームやリノベーションの費用も借入することが可能です。
近年、マイホームを手に入れるための選択肢として「中古住宅を買って、リノベーションする」という方法が人気を集めています。このように購入と同時にリノベーションやリフォームをおこなう場合、住宅ローンにリフォーム費用を組み込んで借入することができるのです。
そして、いま住んでいる自宅や、すでに購入済みの物件をリフォーム・リノベーションする場合。住宅ローンの返済中であれば、他の金融機関に借り換えすることによって、リフォーム費用もまとめて借入することができます。
リフォームローンのメリット・デメリット
リフォームローンは、リフォーム専用のローンです。「中古住宅を購入してリノベーションする」または「すでに所有している自宅をリフォームする」どちらの場合でも使うことができます。
リフォームローンのメリット
- 借入額が小さければ担保が不要
- 審査も比較的通りやすい
リフォームローンのデメリット
- 借入額の上限が少なめ(500~1,000万円程度)の銀行が多い
この場合、返済期間も短め(~15年程度)その分月々の支払額は高くなる - 住宅ローンに比べ、金利が割高である
- 住宅ローン控除の対象にならない
住宅ローン(一体型ローン)のメリット・デメリット
住宅ローンは、住宅購入資金として利用できるローンです。中古住宅を購入してリノベーションする場合は、物件の購入だけでなくリノベーション費用もまとめて借入することができます(一体型ローン)。
住宅ローンのメリット
- 借入額の上限が、リフォームローンに比べて高い(1億円程度)銀行が多い
- 返済期間は最長35年。長期間で少しずつ返済することが可能
- 金利は1%前後
- 住宅ローン控除の対象となる
住宅ローンのデメリット
- 審査が厳しく、ローンが組めない場合や、満額の借入が認められない場合がある
- 購入を伴わないリフォーム単体の場合は利用できない
住宅ローンには審査があり、年収や返済能力に応じて借入可能額が決定します。そうした審査基準の一つに、物件の担保評価というものがあります。
担保評価とは、金融機関が融資の際、担保として設定する不動産の評価金額をさします。万が一、借主が返済できなくなったときのために、その物件に「融資額に見合う価値があるかどうか」を評価します。
建物の価格は時間が経ち古くなるに従って下がるため、中古マンションや中古住宅は担保評価額も低く抑えられてしまう傾向があります。そのため借入可能額が少なくなったり、返済期間も築年数によっては建物の耐久性が考慮され、新築の場合より短く設定されることがあります。
また、戸建ての場合の注意点は、現行の建築基準法に違反している(再建築不可物件の購入や、建ぺい率・容積率をオーバーした増改築)など、そもそもローンを組むことができないケースがあること。必ず事前に確認しておきましょう。
住宅ローン控除はリフォーム費用も対象
住宅ローンを利用し、リノベーション費用をまとめて借入することで「住宅ローン控除(住宅ローン減税)の適用範囲が広がる」というメリットがあります。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人に適用される優遇税制です。毎年の所得税・住民税から「年末時点での借入残高の0.7%相当」が控除されます。
「中古を買ってリノベーション(住宅購入とリノベーションを同時におこなう)の場合、住宅購入資金には住宅ローンを利用し、リノベーション費用にはリフォームローンを利用する……。このように分けてローンを組んだ場合、リノベ部分には控除が適用されません。
ただし、住宅ローンで購入費用とリノベ費用をまとめて借りれば控除(上限あり)されます。
住宅ローン控除を利用するには、「床面積が50㎡以上である」・「ローンの期間が10年以上である」など、いくつかの要件を満たす必要がありますが、上手く利用すれば住宅購入費用やリノベーション費用の金銭的負担を大きく減らすことができます。
ケース別・ベストな選択肢
リフォームローンと住宅ローン、それぞれにメリット・デメリットがあることがわかりました。では、リフォームローンと住宅ローン、結局どちらを選ぶべきなのでしょうか?
その答えは、「中古を買ってリフォーム」なのか「自宅リフォーム」なのかで異なります。
中古を買ってリノベーション
「中古を買ってリノベーション(住宅購入とリノベーションを同時におこなう)」の場合、住宅購入資金に住宅ローンを利用し、リノベーション費用にリフォームローンを利用する……というように、分けてローンを組むことで、諸費用も2本分かかってしまうと金銭的な負担も大きくなります。
しかし、住宅ローンでまとめて借りてしまえば、諸費用を一本にまとめることができるだけでなく、金利も抑えることが可能です。最終的な返済額を考えると、住宅ローンでまとめて借入(一体型ローン)した方がお得になることが多くなります。
簡単に試算したものを、以下の表にしました。
ここでは、住宅ローンとリフォームローンを別々に組んだ場合と、住宅ローンで一括借入した場合の総支払額を比較しています。
住宅ローン+リフォームローン | 一体型ローン | |
住宅ローン |
毎月の返済額:5.2万円 |
毎月の返済額:7.8万円 |
リフォームローン |
毎月の返済額:7.4万円 |
– |
合計 | 毎月の返済額:12.6万円 総返済額:3,512万円 |
毎月の返済額:7.8万円 総返済額:3,271万円 |
たとえば、物件価格が2,000万円、リノベ費用が1,000万円、この全額をローンで借りる場合。すると毎月の返済額は4.4万円。総返済額は66万円と、一体型ローンの方がお安くなります。
※金利は2021年6月現在の相場から、平均的な水準として「住宅ローン0.5%」「リフォームローン4.0%」として計算しました。
リノベーション費用を住宅ローンでまとめて借りるには、「ローン申込みのタイミングで、ノベーションにかかる費用が明らかになっていること」という制約があります。
ローン申込みと同時に審査を受けることになりますが、このときにリノベーション工事費用の見積書を、融資を受ける銀行などに提出しなくてはいけません。
そのため、「とりあえず物件を購入してからリノベーションを計画する」というのはNG。物件探し・売買契約・ローンの申込み……ここまで進めるまでの間に、リノベーションプランを確定しておきましょう。
自宅のリノベ①まだローンが残っている場合
住宅ローンでは、リフォーム資金だけを借入することはできません。あくまでも「住宅費用とリフォーム費用がセットであること」が条件となります。
この場合、住宅ローンを利用するには、住宅ローンの残債にリフォーム費用を加えた金額で、新たな金融機関へ借り換えをおこなうことになります。
借り換えには、抵当権設定や登記登録にかかる費用、ローン取扱手数料なども新たに必要となります。これら諸費用も考慮したうえで、リフォームローンに比べて「本当にお得になるのか?」という判断をする必要があります。
多くの場合、リフォームローンを新たに組むよりは、借り換えを選んだほうが返済金額の総額は抑えられるようです。これは、リフォームローンは住宅ローンに比べて金利が割高のため、リフォーム費用が高額であればあるほど利息も高額になるためです。
とくに、住宅を購入したタイミングが10年以上前という方は、当時と比べて現在は住宅ローンの金利も大きく下がっています。利息の「ムダ払い」をなくすという意味でも、借り換えはメリットが大きいといえるでしょう。
自宅のリノベ②既にローンを完済済みの場合
この場合は、住宅ローンの大元となる住宅費用に該当する部分がないため、利用できるのはリフォームローンのみになります。
ローンを申し込むには何が必要?
住宅ローン申し込みの際に必要な書類は、事前審査時・本審査時・契約締結時と場面によって異なります。また、金融機関によっても必要な書類は異なりますが、ここでは一般的に必要となるものについて解説していきます。
事前審査時に必要な書類
事前審査に必要な書類は、大まかにいえば本人確認できるもの・収入を証明できるのも・物件を確認できるもの、これら3点が必要です。
種類 | 書類 | 入手先 |
事前審査申込書 |
住宅ローン借入申込書 |
金融機関 |
本人確認書類 |
運転免許証 |
本人 |
収入証明書類 |
給与所得者:前年の源泉徴収票・住民税決定通知書・課税証明書など |
勤務先 税務署 |
物件確認書類 |
購入予定物件の販売チラシ |
不動産会社 |
なお、夫婦の収入を合算したり、親が土地を提供したりする場合では、さらに書類を求められることがあります。また、ほかに借入がある場合は、返済口座通帳のコピー、ローン償還予定表などを提出する必要があります。
本審査時で必要な書類
事前審査に通ったら、既に提出した書類に加えて下記の書類を用意する必要があります。
リノベーション費用も含めて融資を受ける場合には、通常の書類に加えて、リノベーションの設計図面・リノベーション見積書・工事請負契約書などの書類も要求されます
種類 | 書類 | 入手先 |
本審査申込書 | 住宅ローン借入申込書 | 金融機関 |
本人確認書類 | 住民票 印鑑登録証明書など |
市町村役場 |
収入確認書類 | 給与所得者:前年の源泉徴収票・住民税決定通知書・課税証明書など 個人事業主:確定申告書・納税証明書など 会社役員:決算報告書・源泉徴収票など |
勤務先 市町村役場 |
物件確認書類 | 売買契約書 重要事項説明書 物件の概要書 登記事項証明書 公図 間取図 リノベーションの設計図面 リノベーション見積書 工事請負契約書 戸建ての場合:建築確認済証および検査済証(もしくはこれに代わる書類) |
不動産会社 建築会社 |
契約締結時に必要な書類
住宅ローン契約をする際には、下記のような書類が必要です。
種類 | 書類 | 入手先 |
借入契約関係書類 | 金銭消費貸借契約書 抵当権設定契約書 保証委託契約書 |
金融機関 |
本人確認書類 | 運転免許証 健康保険証 パスポート 住民表など |
本人 |
融資金の振込口座 | 入金口座の通帳 届出印 |
本人 |
リフォームローンを利用して、リノベーションをおこなう場合
リフォームローンの申し込みは難しく考える必要はなく、リフォームプランと費用が決まった段階で申し込みをすればOK。前もって金融機関にリフォームプランを提出する必要はありません。
リフォームローンでは、事前審査のときに添付書類が不要な金融機関もあり、本審査で必要な書類を添えて申し込みをすればOKな場合もあります。
また、少額の借入は担保不要の場合もあり、審査や手続きは比較的簡単です。なお契約の際にはリフォームの見積書や請負契約書が要求されます。
申し込みのタイミングは?
「住宅ローンを利用する」または「リフォームローンを利用する」この場合では、それぞれ資金の借入申し込みのタイミングが異なります。
住宅ローンを利用して、リノベーションを行う場合
住宅ローンを利用して中古物件を購入し、リノベーションやリフォームをおこなう場合には、別途リノベーション計画を作成しておかねばなりません。
金融機関に住宅ローンの借入を申し込む時に、リノベーション計画に必要書類を添えて提出しなくてはならないためです。
住宅ローンを利用してリノベーションをおこなうときの流れは、次のようになります。
1.中古物件を探す
自分のライフスタイルに合わせて、リノベーションができる中古物件を探します。
2.金融機関に事前審査を申し込む
良さそうな中古物件が見つかったら必要書類を添えて、金融機関に事前審査を申し込みます。
3.中古物件の売買契約を結ぶ
事前審査に合格したら、不動産会社に物件の申し込みを行い、売買契約を締結します。契約締結の際に、金融機関の融資を受けられなかった場合には、契約を解除できるというローン特約を結んでおかねばなりません。
4.金融機関に本審査を申し込む
事前審査が通ったら、金融機関に本審査を申し込みます。本審査ではリノベーションを含んだ借入の申し込みをするので、この時点でリノベーションのプランを決めておかねばなりません。設計図や見積書・工事請負契約書などを添えて提出します。
5.住宅ローン契約(金銭消費賃貸借契約)
本審査に通れば、住宅ローンを契約し物件の引き渡しを受けます。
リフォームローンを利用して、リノベーションを行う場合
リフォームローンの申し込みは単純で、リフォームプランと費用が決まった段階で申し込みをすればよいだけ。前もって金融機関にリフォームプランを提出する必要はありません。
リフォームローンでは、事前審査の際の添付書類は不要の金融機関もあり、本審査で必要な書類を添えて申し込みをすれば良い場合もあります。また少額の借入では担保不要の場合もあり、審査や手続きは比較的簡単です。なお契約の際にはリフォームの見積書や請負契約書が要求されます。
まとめ
今回は、住宅ローンとリフォームローンの特徴、必要書類や申込のタイミングについて解説しました。
中古物件を買ってリノベーションするには、借入上限額が大きい・返済期間が長い・金利が低い・住宅ローン控除の対象になるなどの理由から「住宅ローン」がおすすめです。
一方リフォームのみの場合は、担保が不要・審査も通りやすいなどの特徴から「リフォームローン」を選ぶのがおすすめです。
どちらのローンが合っているかは、ご自身のライフプランや工事の内容・予算・諸費用・月々の返済可能額などを考慮して決めましょう。
ひかリノベは、物件探しからリノベーション、住宅ローンのご相談まで一貫してサポートしているワンストップリノベーション会社です。ご紹介した「一体型ローン」のご案内もしております。ぜひ、お気軽にご相談ください!
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