リノベーションの計画において「見積もり」は欠かすことのできないステップです。
リノベーションはオーダーメイドの家づくり。費用はお施主様の要望に応じて決まります。
実際にリノベーション会社に見積もりを取るとき、どのような点に注意して要望を伝えればいいのでしょうか。また、提示された見積書の見方とは?
この記事では、見積もりの取り方のコツ、提示された見積書の見るべきポイントはどこなのか、また複数のリノベーション会社の見積もりを比較する場合、着目すべきポイントは? といった疑問にお答えします。
目次
リノベーションの「見積もり」とは
見積もりとは、工事の依頼を検討しているリノベーション会社に、工事にかかる費用を提示してもらうことをいいます。
リノベーションはオーダーメイドの家づくりですから、費用もケースバイケース。既存の設備や内装はどこまで残すのか、下地組みからやり直すのか表層だけ変えるのか、採用する内装部材や設備機器のグレード等、工事内容によって費用は大きく変わります。
自分の要望を反映すると工事費用はいくらになるのか、見当がつかないことには、工事に踏み切れませんよね。そのため、リノベーション計画の最初の段階で、「私の要望を反映するといくら必要か」、個別に費用を算出する必要があります。これがリノベーションの『見積もり』です。
リノベーションとリフォームの違い
「リノベーションはオーダーメイドの家づくり」だと上でご説明しました。リノベーションとは、住まいの抜本的な「改修」を目的とした、デザイン設計を伴う工事をいいます。動線の無駄をなくして家事負担を軽減したい・収納は各室に分散するのではなく一箇所に集約したい等、暮らしの要望をヒアリングし、個別にプランを作成・提案します。
また、リノベーションは既存の建物に手を入れる工事です。建物の状態は、物件によってさまざま。配管や下地のコンディション、断熱や防音などの住宅性能など、「見た目に解らないけれど安全性や快適性に重要な部分」にどこまで手を入れる必要があるのかによっても、工事費用は変わってきます。
このように、リノベーションの費用は一概にいくらと言いづらい側面があります。
見積もりを出すには、リノベーション会社に要望をヒアリングしてもらい、さらに施工する物件の現地調査を実施した上で工事費用を算出しなくてはいけません。デザイン設計を伴わないリフォームに比べ、予算書が手元にくるまでやや時間がかかるのです。
一方でリフォームとは、「修繕」を目的とした、デザイン設計を伴わない工事をいいます。たとえば、色褪せたクロスの張り替え、外壁の再塗装、キッチンやトイレの設備交換などが代表的な工事内容です。大半のリフォーム工事は規模も内容も限定的で、工事費用も「設備や部材の購入価格+設置費用」で比較的容易に算出できます。
概算と見積もり
とはいえ、プランや仕様を決める前に「だいたいいくらになりそうか」まずは目安を知りたいという人も多いのではないでしょうか。
過去の事例から、何をすればおおよそいくらかかるのか、目安となるおおよその金額を提示してもらうことを「概算(概算見積もり)」といいます。
当社ひかリノベでは、過去の事例から多くのお客様がご要望された工事内容、標準的なグレードの内装部材と設備機器で、施工面積ごとの概算金額をご提示しています。
概算は2パターン用意しており、一つは既存の部屋や壁や床を解体し、設備や配管もすべて取り外す「フルスケルトンリノベーション」の場合。もう一つは間取りと配管は既存のまま生かし、内装や水回り設備といった「表層」を替える場合です。
もちろん、設備や素材にハイグレードな商品を採用したり、キッチンや浴室の造作・家具の造作といった工事を要望している場合は、この概算金額よりも予算は多く見ておく必要があります。概算金額は、あくまでベースとお考え下さい。
個別的な要望を反映した金額は、リノベーションのプラン(間取りやデザイン)・仕様(床材や壁材などの内装部材・キッチンや洗面台などの設備機器・スイッチやコンセントなどのアクセサリ類)を決めた上で、正式な見積もり(本見積もり)を作る必要があります。キッチンや洗面台・浴室・家具などの造作を希望する場合は、その内容も決める必要があります。また物件の状態を把握するため、設計者・施工管理担当者による現地調査も必要です。
プラン案と見積書ができるまでにかかる時間は、現地調査と打ち合わせ(要望のヒアリング)のあと、通常1〜2週間ほどです。
見積もりの上手な取り方のポイント
このように、見積もり(本見積り)はリノベーション会社の設計担当者と打ち合わせを行い、プラン内容を詰めていくことで金額が定まっていきます。
この打ち合わせで要望を正確に共有することで、正確な見積もりが作られるのです。抜け漏れや認識違いがあると、誤った金額が算出されてしまうリスクも。
ここでは、正確に要望を伝え、より精度の高い見積もりを出すために、打ち合わせの際に留意したいポイントを解説していきます。
要望と優先順位を整理する
より精度の高い見積もりを出すためには、設計者に要望を正確に伝えることが重要です。
「LDKを広くしたい」「足が伸ばせる浴槽を設置したい」「壁一面を本棚にしたい」など、皆様それぞれに実現したいことがあるでしょう。これらの要望を予めリストアップし、優先順位をつけておくようにしましょう。
たとえば、家族間で住まいの理想や要望にズレが生じていると、打ち合わせの場で喧嘩になる場合もあります。打ち合わせをスムーズに進めるためにも、予め設計者に伝える内容を家族で話し合っておくと良いでしょう。
ポイントは優先順位を明確にすること。要望の中には、「絶対に譲れないもの」と「あったらいいな」という温度感のものがあると思います。それらを予め明確に振り分けておくことです。要望を全て反映させると予算オーバーしてしまう場合には、取捨選択をしたり、代替案を考えたりする必要が出てきます。
住まい作りで失敗して後悔しないためにも、要望のリスト化は打ち合わせ前に必ず行っておくのがおすすめです。
予算をはっきりと伝える
誰しも予算には限りがあるはず。
見積もりは、予算を聞き取ってプランを作り、「このプランだといくらになるか」を算出します。最初の段階で予算の上限を伝えていれば、その金額に合わせてプランを調整することができます。
(その際、要望の優先順位も解っていれば、取捨選択や代替案での調整がしやすくなります)
設計者との最初の打ち合わせでは、要望リストと併せ、予算の上限をハッキリと伝えておくことが大切です。
見積もりを比較する際の注意点
複数社に相見積もりを取り、比較したいという方もいらっしゃるでしょう。他社同士のプランと見積もりを比較検討するには、どのような点に注意して判断したら良いのでしょうか。
相見積もりは3社まで
複数のリノベーション会社に相見積もりを取る場合、課題となりやすいのがスケジュール管理。前述のように、見積もりは現地調査とプランの打ち合わせが不可欠です。現実的に、三社を超えると並行して進めるのは難しくなります。ご自身の負担を増やしてしまわないためにも、十分注意しましょう。
見積もりの条件を統一する
たとえば二社に見積もりを同時に依頼する場合。A社では「リビングと部屋をつなげてLDKにしたい」と依頼し、B社では「間取りの変更はなし」と依頼すると、リノベの内容が全く異なってしまい比較検討が難しくなります。
あるいは予算を聞かれたときに、A社には1,000万円、B社には500万円と答えてしまうと、プランも根本的に変わってくるので、他社との正確な比較検討が難しくなります。
リフォームやリノベーション後の住まいのイメージを明確にし、見積もりを依頼したすべての会社に同じ条件、同じ予算で見積もりを依頼しましょう。
比較すべきは金額より内容
実務上、お見積もりの打ち合わせでは、設計者はまず予算の上限を聞き、その範囲内で可能なプランを提案するという流れが一般的です。したがって、どの会社から見積もりをとっても金額に大きく差が出ることはまずありません。一方で、提案されるプラン内容には、各社の個性が出ます。
伝えた要望をどれだけクリアしているか、提案がどれだけ魅力的か。これからいっしょに家づくりを進めていくパートナーとして信頼関係が築けそうな会社かどうかを、よく考えることが大切です。
建物の構造によっては、壊せない壁(構造壁)があったり、配管経路の問題から要望通りに間取りの変更ができないケースもあります。とくに戸建てに比べて、中古マンションは管理規約による工事の制限が多いことから、出来ること・出来ないことの条件も物件ごとに異なります。
技術的な判断は、リノベーション会社によって分かれることもしばしばです。「困難だ」と言われたら、困難である理由を質問するのはもちろん、他の方法はないか代替案を設計者に相談してみましょう。その質問に対する返答や提案が、リノベーション会社選びの決め手になることもあります。自分が一番納得できる説明や提案をしてくれた会社を選ぶことが、リノベーション成功のコツです。
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