ペアローンはやめたほうがいい?メリット・デメリット・向いている夫婦を解説

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夫婦で住宅ローンを組める「ペアローン」。大きな金額の借入ができるという利点がある一方で、夫婦の片方の退職や死亡、離婚などにより予測できない将来に不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

この記事では、ペアローンとはどのような仕組みなのか、具体的なメリットやデメリット、そして「収入合算」との違いを詳しく解説します。ペアローンはどのようなご夫婦に向いているか、資金計画の参考になさってくださいね。

ペアローンとは? どんな仕組みなの?

まずは、ペアローンとはどのような仕組みになのか見ていきましょう。

夫婦がそれぞれローンを組む

ペアローンとは、一つの物件に対し、夫婦ふたりで組む住宅ローン。共働き世帯向けの住宅ローンです(夫婦以外にも、親子で利用することも可能です)。

ペアローンでは、同一世帯内の二人(夫と妻、あるいは親と子)がそれぞれ契約者となり、2本のローンを組みます。そして各々、自分が借りた分を返済していきます。

例えば5,000万円の住宅を購入するにあたり、夫が3,000万円、妻が2,000万円をそれぞれ借り入れるというイメージです。

お互いに連帯保証人となる

ペアローンを組む場合、夫は妻の、妻は夫の債務(ローン)に対する連帯保証人となり、お互いの返済を保証しあいます。

単独の住宅ローンでは連帯保証人が不要なケースが多いですが、ペアローンでは夫婦それぞれがそれぞれの連帯保証人になることが一般的です。

物件の所有権は二人で共有する

ペアローンで購入した物件の所有権は、2人の共有持ち分となります。
夫の名義で住宅ローンを組んだ場合、その名義は原則として夫で、夫の所有物となります。逆に妻の名義なら、妻の所有物ということに。しかし夫婦で負担しあうペアローンの場合は、それぞれの負担割合に応じた持分を所有します。

前出の例(5,000万円の住宅 夫3,000万円・妻2,000万円)でいうと、持分比率は夫60%:妻40%となります。

では、頭金1,000万円を夫が出し、残り4,000万円を夫3,000万円、妻1,000のペアローンにした場合はどうなるでしょうか。
この場合、夫が4,000万円、妻が1,000万円の負担となるため、持分比率は夫80%:妻20%となります。

ペアローンのメリット

ペアローンにはどのようなメリットがあるのでしょうか? とくに単独で組む通常の住宅ローンと比べてどんな利点があるのか、解説します。

借入額を増やせる

ペアローンにすると、住宅ローンの借入額を増やすことができます。

住宅ローンの審査では、申込者の年収に応じて融資可能額が設定されます。年収によっては購入したい物件の価格に届かないケースも出てきます。

それに対してペアローンは、一つの物件に対して、夫と妻がそれぞれローンを組むという仕組み。単独ローンではとても手の届かないような物件でも、2人でローンを組むことができれば、購入可能性が高まりますね。

例えば、購入したい物件価格が3,000万円だけれど、夫単独では2,000万円の借り入れしか望めない場合。ペアローンを利用して、妻も1,000万円の借り入れができれば、希望する物件を購入することができるようになります。

夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できる

ペアローンを組むと、夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できます。住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、下記のような一定の条件下で所得税の控除が受けられます。これを「住宅ローン控除」といいます。

ペアローンは契約上、2本のローンを組むことになるので、夫婦2人ともが住宅ローン控除を受けられるという訳です。

  新築 中古
控除率 年末ローン残高の0.7%
控除期間 13年間 10年間
最大控除額 年間21万円(認定住宅は35万円) 年間14万円(認定住宅は21万円)
借入限度額 3,000万円(認定住宅は5,000万円) 2,000万円(認定住宅は3,000万円)
主な要件
  • 床面積が50平方メートル以上
  • 借入金の償還期間が10年以上
  • 合計所得金額が2000万円以下
新耐震基準

ペアローンのデメリット

ペアローンは、上述のようにさまざまなメリットがある一方で、次のようなデメリットや注意点もあります。

手続き費用が2本分かかる

夫婦それぞれが住宅ローンを契約するということは、契約手続きもそれぞれ行う必要があります。提出書類が2通必要になるだけでなく、事務手数料や登記手数料、印紙税や登録免許税といった諸費用も二人分かかることに。つまり単独名義のローンの2倍手続き費用がかかってしまいます。

とはいえ、(多くの金融機関で「借入額の○%」と設定されている)保証料は、ペアローンでも単独名義でも、最終的に支払う金額は変わりません。

一方が退職した場合は?

住宅ローンを契約したときには共働きで、2人とも一定の収入を得ていた場合でも、ローン返済中にライフスタイルの変化や思いがけない事情から、一方が退職する可能性も。

例えば妻が妊娠、出産を機に退職したケースや、産休・育休期間中に収入が減ってしまったケース。または病気やケガで仕事をセーブせざるを得なくなった場合や、転職・失業して収入が下がってしまったという事態もあり得ます。

このような場合に、ペアローンで高額な借り入れをしていると、二人分の負担がどちらか一方の肩に重くのしかかることに。
収入が無くなると、翌年の所得税がゼロになったり減額されたりします。そうなると住宅ローン控除による節税の恩恵が受けられなくなります。

一方が死亡した場合は?

万が一、夫婦の一方が死亡した場合、ローンはどうなるのでしょうか。

住宅ローンを契約する際は通常、「団体信用生命保険(団信)」への加入が必須です。これはローン契約者が返済期間中に死亡あるいは高度障害になった場合に、保険金でローンの残債をすべて返済する制度。万が一の場合でも、遺された家族には返済すべきローンが残りません。

ペアローンの場合、夫婦それぞれが団信に加入します。
夫が返済中に亡くなった場合、夫のローン残額は、夫が加入していた団信の保険金で賄われます。遺された妻は、自分の返済分のみを返し続けることになります。

つまり遺された側は、自分が契約した分のローンを返済すればいいという形になります。

離婚した場合は?

では、離婚した場合はどうなるのでしょうか。

ペアローンで購入した住宅は、夫婦それぞれに持分(所有権)があります。離婚しても持分が双方にあることに変わりありませんが、住宅は簡単には分割できない点が問題となります。

最も簡単なのは、合意の元でその住宅を売却してしまうこと。住宅を売って得た資金でそれぞれのローンを一括返済すれば、その後の返済で揉める心配がありません。

離婚後もどちらかが住み続けたいなど、売らずに所有し続ける場合には、ローン残債をどうするかという問題が出てきます。

夫か妻のどちらかに残りのローンを一本化する場合、ローンを新たに借り換える必要が出てきます。この場合、新たに金融機関の審査を受けなければなりませんが、2人分の収入の合計で借りていたものを1人で返済するとなれば、当然条件が厳しくなります。

離婚後も物件の持分はそのまま、ローンも各々が返済し続けることも可能ですが、前出の通りペアローンは相手の連帯保証人になっていることが前提です。万が一、相手の返済が滞ったり、返済不可能な状況に陥ってしまったときは、離婚したとはいえ連帯保証人である自分が、相手の代わりに返済をしなければいけません。

収入合算とペアローンの違いとは?

ペアローン以外にも、夫婦2人で住宅ローンを借り入れる方法があります。それが「収入合算」という方法です。
そして「収入合算」には、「連帯債務型」と「連帯保証型」の2種類があります。

こちらではペアローンと「収入合算」の違い、さらには「連帯債務型」と「連帯保証型」の違いについても解説していきます。

連帯債務型

収入合算(連帯債務型)」は、夫婦の収入を合算して、共有名義で住宅ローンを組む方法。
ペアローンと同様に、収入の合算によって単独ローンよりも大きな額の借入が可能です。また住宅ローン控除に関しても、夫婦それぞれに適用できます。

ペアローンとの大きな違いは、夫婦のどちらかが主債務者となり、他方は連帯債務者になるという点です。

団信は基本的に、主債務者のみが加入します。主債務者が亡くなったときには団信の保障が受けられますが、連帯債務者が亡くなったときには保証は受けられず返済免除になりません。

しかし最近では、「夫婦連生団信」といって、連帯債務者にも適用される団信を用意している金融機関もあります。
ペアローンの団信は各々の借入額に適用されるのに対し、連生団信は全額に適用されます。補償範囲が広いので、保証料は通常よりも高めに設定されているのがデメリットです。

連帯債務型の住宅ローンを利用できる金融機関は、住宅金融支援機構の「フラット35」やろうきん、三井住友銀行など一部です。もっとも最近では、共働き世帯が多数派となっていて、収入合算の需要が高まっていることや、それに伴う連生団信の需要も増していることから、連帯債務型のローン商品を扱う金融機関も増えているようです。

連帯保証型

「収入合算」のもう一つの種類が、「連帯保証型」です。
ペアローンや連帯債務型との違いは、ローン契約者はあくまでも1人だけであるという点です。

例えば夫が契約者になった場合には、妻は連帯保証人になります。契約者が返済不能となったら、代わりに連帯保証人が返済義務を負います。

連帯債務型と違い、連帯保証人は団信に加入できず、住宅ローン控除設けられません。そして契約者が亡くなったときには団信の保証を受けられますが、連帯保証人が亡くなっても返済免除にはなりません。

住宅ローン控除による節税効果も単独ローンと変わらないため、連帯保証型のメリットはさほど大きくないと考えます。

まとめ~ペアローンに向いているのはどんな夫婦?

ペアローンには借入額を増やせるという、非常に大きなメリットがあります。一方で、契約時の諸費用が2倍になる、離婚した場合に様々な問題が起こる可能性がある、といったデメリットもあります。

とはいえ、片方が退職したケースでは、単独ローンを組んで契約者が退職した場合に比べれば、却ってダメージは小さいといえます。どちらかが死亡した場合も、遺された側がフルタイムワークを続けている限りは、いままでどおりの支払いが続くだけですから、負担が「増える」わけではありません。

夫婦ともに安定した収入があり、完済するまで共働きを続ける予定」というご夫婦には、ペアローンは魅力的な選択肢です。

住宅リノベーションのひかリノベでは、物件探しからリノベーション、資金計画までワンストップでお住まいづくりをサポートいたします。住宅ローン・資金計画の不安も遠慮なくご相談ください。

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記事監修

三浦 英樹(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーの有資格者。中古不動産購入からリノベーションの設計・施工、インテリアコーディネートまでワンストップで理想の住まいを提供する『ひかリノベ』代表。「住宅は立地や景観、環境のよい『場所』で選び、購入と同時にリフォームやリノベーションを施すことで、自分らしい暮らしをリーズナブルに取得することが可能となります。住宅ローンの返済に縛られることのない、豊かなライフプランの実現を、家探し、家づくりを通じてサポートいたします」

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