マンションを早く、高く売るカギは不動産業者との媒介契約にあります。
価格や売り出し期間、広告活動、買い主との橋渡しなど、それぞれの手続きは不動産業者の契約内容次第です。
この記事では、分かりにくい媒介契約について理解しやすいよう解説します。効率的かつ高値で売却が見込める方法をチェックしてみましょう。
2017年3月30日初出→2021年11月12日更新
目次
媒介契約とは
媒介契約とは、不動産の売り買いや貸借契約などの営業などを、宅建業者に依頼する契約のことです。
そもそもマンションを売り出すときは、
- マンションの査定を行う
- 不動産業者と媒介契約を結ぶ
- 価格を決めて販売する
と、3つの手順で進めていきます。
このうち②の時点で、不動産業者(宅建業者)は、具体的な広告戦略や販売活動内容を、契約者に提示する必要があります。
査定結果や対応が妥当だと判断した場合、業者と媒介契約を締結し、マンションを売り出します。
- マイソク(物件概要や間取り図を掲載した資料)の頒布
- レインズ(不動産業者間のネットワークシステム)への登録
- 折り込みチラシのポスティング
- 不動産ポータルサイトへの掲載
- 自社サイトでの宣伝
……など、契約内容に合わせ、さまざまな広報活動を行います。
そして、購入希望者が現れたら、
- 内覧を受け入れる
- 価格や条件の交渉を行う
- 売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡し手続きを行なう
といった流れで、正式に売買が成立します。
売り出しから売却が決まるまでは、3~5ヶ月ほど。
うまくマッチングすれば売り出し後すぐ成約することもあります。
媒介契約を結ぶ際は、契約を結ぶ業者の広告戦略や販売手法をよく聞いて判断する必要があります。
不安な点や疑問点は、契約を結ぶ前に解決しておきたいところです。
一般媒介・専任媒介・専属専任媒介
媒介契約には(1)一般媒介、(2)専任媒介、(3)専属専任媒介の3つの種類があります。それぞれの特徴について解説します。
一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
他社への媒介依頼 | OK | NG | NG |
レインズへの登録 | 任意 | 7日以内に登録 | 5日以内に登録 |
販売状況の報告 | 任意 | 隔週で必ずおこなう | 毎週必ずおこなう |
売主が買主を探す | OK | OK | NG |
契約期間 | 無制限 | 3ヶ月更新 | 3ヶ月更新 |
一般媒介とは
一般媒介で最大のメリットは、いくつもの不動産業者に媒介を依頼できること(ただし、他社と契約する場合は契約先を明らかにしなくてはいけない)。
いくつかの業者に媒介を依頼する場合でも、価格などの条件は各社同じものにする必要があります。
デメリットは、他社で成約した場合、業者側は仲介手数料を得られません。そのため広告費用をはじめとした、販売にコストをかけにくくなります。
また、レインズへの登録が任意であるという点も注意が必要です。
レインズ(指定流通機構)とは、動産業者間のネットワークシステムのこと。レインズに登録すると、ほかの不動産業者に広く物件情報を知らせることが可能になります。
不動産売買では通常、売り手と買い手それぞれに不動産業者がつき、取引を仲介します(片手仲介)。ただし、同一の不動産業者が「売り」と「買い」の両方を仲介してもかまいません(両手仲介)。
この場合、業者は売り手と買い手の両方から仲介手数料を得ることができます。
両手仲介を主として営業活動をおこなっている業者のなかには、売り買い双方の仲介手数料を確実に得るため、他社を通じた購入希望をシャットアウトしてしまう会社もあるようです。
そのため、レインズへの登録をしないというケースもあり、いくつもの会社から売り出せることが特長である一般媒介を選んだにもかかわらず、かえって販売対象が狭くなってしまう可能性もあるのです。
なお一般媒介の契約期間に制限はありませんが、行政の標準約款では3ヶ月となっています。実務ではそれにならう場合が多いようです。
専任媒介とは
専任媒介では、売主は他の不動産業者と同意に媒介を依頼することができません(独占契約)。ただし、売主自身が買い手をみつけた場合は、業者を通さず直接売却することが可能です。
業者は2週間に1回のペースで販売状況を売主に報告する義務があります。売主が売れ行きをチェックできるため、業者は自然と成約に向けて活発に取り組みます。
一方で、両手仲介を狙い、他社からの問合せ対応に消極的な業者もいます。他社で成約するおそれがない分、業者が物件を囲い込んでしまう恐れも……。
専任媒介契約を結ぶ場合は、信頼できる業者を慎重に選びましょう。
契約の有効期間は3ヶ月。売れ行きが思わしくない場合、更新せず他社へ媒介を依頼したり、一般媒介に切り替えて他社と並行して売り出したりすることも可能です。
専属専任媒介とは
専属専任媒介も独占契約ですが、専任媒介とは異なる以下の3点があります。
①業者が「5日以内」にレインズに物件を登録する必要があること
②業者が「毎週」販売状況を売主に報告する義務があること
③売主が自分で買い手をみつけても直接売却できないこと
つまり、販売を完全に業者に一任するかたちになるわけです。
売主・業者ともに専任媒介より制約が多いため、強い信頼関係が必要です。
専任媒介ではレインズの登録を「7日以内」におこないますが、専属専任媒介では「5日以内」におこなう必要があります。そのため、専属専任媒介より専任媒介を好む業者が多いのが特徴です。
一般媒介、専任媒介、専属専任媒介、どれがベスト?
人気エリアや、価格設定が良好であるといった条件がない場合、業者側が積極的に動きやすい専任媒介のほうが、早く・高く売れる可能性は高いでしょう。
ただし、一社に販売を任せることになるため、業者がその地域の顧客をよく知っているか、Webやチラシ広告の集客力はどうか……といった点をよくチェックすることも重要なポイントです。
業者選びの際は、次の3つを担当者に確認しましょう。
- 近隣でマンションを探している顧客はいるか
- 最近、同エリア内で成約した実績があるか
- 現在この地域で売り出している物件について、Webやチラシ広告の反響はあるか
価格にはこだわらずなるべく早く売りたいときは、一般媒介契約がおすすめです。
価格が割安であるほど不動産会社同士で競争が生まれ、早期の成約が見込めます。
とくに都市部では、一般媒介契約の競争力が高いケースも。
人気の高いエリアでは「物件が出たらすぐ購入したい」と待っている購入希望者が多くいて、レインズへの登録を待たずして購入申込みが複数入るケースもあります。
ただし価格が割高であるほど、競争が生まれず売れにくい物件となるため注意が必要です。
以下に、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
マンションの売却方法で悩まれている方は、ぜひ参考になさってください。
一般媒介のメリット・デメリット
一般媒介のメリット
- いくつもの業者で手広く売り出せる
一般媒介のデメリット
- 業者にレインズ登録義務がないため、物件情報が広がりにくい
- 業者に販売状況の報告義務がないので、売れ行きがわかりにくい
- 複数社で平行して販売するので、対応が煩雑
専任媒介のメリット・デメリット
専任媒介のメリット
- 業者が販売状況を報告するので、売れ行きをチェックできる
- 物件情報は必ずレインズに登録される
- 自分で買い手を見つけた場合、直接売却が可能である
一般媒介のデメリット
- 1社のみに任せるため、売れ行きが業者の販売力に左右される
- 独占契約のため、両手仲介を狙った業者に物件を囲い込まれるおそれがある
専属専任媒介のメリット・デメリット
専属専任媒介のメリット
- 業者が販売状況を報告するので、売れ行きをチェックできる
- 物件情報は必ずレインズに登録される
一般媒介のデメリット
- 1社のみに任せるため、売れ行きが業者の販売力に左右される
- 独占契約のため、両手仲介を狙った業者に物件を囲い込まれるおそれがある
- 自分で買い手を見つけても、業者を通さないと売却できない
よく選ばれているのは?
ここまで、3つの媒介契約の内容について説明してきました。
では、実際に一番選ばれている媒介契約の種類はどれなのか……気になっている方もいるでしょう。
平成 27 年度より公益財団法人日本住宅総合センターがおこなった「中古住宅取引における媒介契約と取引価格に関する調査研究」によると、マンション売却を希望した方が実際に売却確定時に交わしていた媒介契約の種類のパーセンテージは、多い順に以下のとおり。
- 専属専任媒介契約 35.9%
- 専任媒介契約 25.6%
- 一般媒介契約 15.0%
また、同調査にて「売却時に媒介契約を交わしていた仲介業者に満足したか」という質問で、「とても満足」と答えた人の比率がもっとも高いのは『専属専任媒介契約』という利用者のデータがあがっています。
専属専任媒介契約と他を比較すると、1週間ごとに必ず売れ行きの報告連絡があること、自分では売りにくい物件を早く売却できる可能性が高いことが売主側の安心材料でもあり、選ばれた理由といえるでしょう。
また依頼する仲介会社が1社で済むため、複数の仲介会社と同時にやり取りをしなくていいという点も、選択理由の一つと考えられます。複数社に依頼するということは、それだけ手間がかかることになります。そういった時間や費用をできるだけ省きたい方には、専属専任媒介契約が人気のようです。
業者買取ってどうなの?
業者によっては、買取保証があるケースもあります。
「半年経っても売れない場合、○○円で買い取ります」という内容の保証で、価格は相場より安くなります。市場価格の6~7割となることが多いようです。
ひかリノベの物件売却サービスでは、基本的に買い取りはおこなわず、中古住宅をお探しの方と家を売りたい方をマッチングする「仲介」をメインとしています。
またひかリノベが扱う物件は、リノベーションやフルリフォームを前提とした現況物件です。既存の内装や設備を解体し、買主様の希望の間取りやデザインに作り変えることを前提としているため、売主様に売却前のリフォームやクリーニングをしていただく必要はありません。
現況のまま、市場価格で不動産売却できる。従来よりも、売主さまにとってお得な売却のかたちをご用意しています。
住み慣れた自宅、相続した物件や土地の売却をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
物件売買の専門知識をもったひかリノベ担当者が、お客様のご相談に応じさせていただきます。
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