マンションの売却を検討するとき、誰しも気になるのが「いくらで売れるだろう?」という点でしょう。
「査定」とは、売却前の家の条件や状態から「売ったらいくらの値がつきそうか」市場価値を不動産会社に評価してもらう仕組みです。
実際に売り出すときも、この査定価格を参考に、販売価格を決めることになります。
その際、物件を売ろうとしている人には「不動産会社は物件のどこを見て判断してるの?」「リフォームしてからの方が高く売れる?」などの疑問が浮かぶはず。
今回は、マンションの査定についてのお話です。マンションを売却する際の流れはもちろん、評価のポイント・訪問前に必要な準備についても解説します!
2019年12月26日初出→2020年11月4日更新
目次
マンション査定から売却までの流れ
「査定」とは、物件がいくらで売れそうか、不動産会社に市場価値を評価してもらう仕組みのことをいいます。
そうして出された査定価格をもとに、売却するかどうか、どの不動産会社を通して売却するのか、仲介先を決めていくのが通常の流れです。
査定の手順は、以下の通りです。
審査の手順
①査定依頼・訪問日の調整
②現地調査・書類の提示
③結果報告
この結果を受けて不動産会社を選び、媒介契約を結びます。媒介契約とは、売却のサポートを依頼する契約のこと。つまり、媒介契約を結んだ会社から物件を売り出す、ということになります。
ネット査定と訪問査定
物件を査定する方法は、ネットで行う方法と訪問による方法があります。次にその特徴について説明しましょう。
ネット査定
ネット査定は、WEB上で所在地や土地および建物の面積・築年数・間取りなどの情報を入力するだけ。あくまでも簡易的な方法であり、売却を考えている最初の段階で利用したい査定です。
ネット査定のメリットは、過去の取引データや近隣の物件価格などを基に査定を行うので、マンションを訪問される必要がないことです。
物件情報は5分もあればインプットでき、最短で1日もあれば査定価格が分かります。
また不動産会社の担当者とは、顔を合わせることもないので気楽に依頼できるのもメリットです。
ネット査定のデメリットは、査定額と大きく異なる可能性があることです。マンションを見ての査定ではないので、実際の傷み具合や日当たり・周辺環境などはわかりません。
したがって正確な査定額と乖離してしまうことも。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社の担当者がマンションを訪れて査定します。ネット査定を行う場合でも、不動産会社が決まった段階で訪問し、正確な査定価格を出すのが一般的です。
訪問査定のメリットは、現地調査を行ってマンションの状況や周辺環境を把握するので、正確な査定額の算出が可能ということです。
訪問査定のデメリットは、不動産会社の担当者が訪れて査定をするので、あらかじめ日程の調整が必要ということです。また調査時間もかかり、査定額は通常即日にはわかりません。
相見積もりは2~3社まで
査定額は不動産会社によって異なる場合があるので、一社だけでなく複数の会社に依頼しましょう。
しかしあまり多くの会社に査定を依頼すると、時間と手間がかかるだけでなく、かえって比較が難しくなります。したがって相見積もりは、2~3社に絞って依頼しましょう。
また査定の際には値段だけでなく、各社の対応も比較し依頼する不動産会社を決めたいところです。
「連絡などのやりとりはスムーズか?」「地域の市場や顧客の情報を把握しているか?」などをポイントに比較してみましょう。
不動産会社は、一戸建て・マンション・アパートなど物件の種類によって得意分野が異なる場合が往々にしてあります。
不動産会社は、大切な資産の売却を一緒にすすめるパートナーです。様々な点からみて、信頼できる担当者と一緒に進めるのが理想です!
マンション査定に費用はかかる?
マンションの査定そのものについては、ネットであれ訪問であれ、手数料が発生することはありません。ただし、仲介を依頼する不動産会社が決まると、仲介手数料が必要になります。
それでは物件の査定価格を上げるために、費用をかける必要はあるのでしょうか?通常査定をするために、物件のリフォームやクリーニングは必要ないといわれますが、なぜでしょうか?
その理由を説明しましょう。
事前のリフォームやクリーニングは不要
中古マンションは、通常使用の範囲内での傷みや劣化があることは購入希望者の前提となっています。
またリフォームは買主が自分の思うように行いたいと考える人が多く、売主が勝手にリフォームをしても必ずしも高く売却できるとは限りません。
中古マンションを購入する買主は、「自分のライフスタイルに合わせてリノベーションを行いたい!」と考えている人も多いのです。
そのような人にとって、あてがいぶちのリフォームは余計なおせっかい!リフォームやクリーニングをする費用があれば、その分価格を安くしてくれた方が買い手はありがたいでしょう。
またリフォームした場合には相当の費用が必要ですが、かかったお金を全額価格に上乗せできるとは限りません。
いくらきれいにしても築年数や床面積は変えられないので、近隣の物件と比べ上乗せした分どうしても割高感が増してしまいます。
買主側のライフスタイルやセンスに合わない間取り・内装・設備etc…になってしまっていた場合、かえって敬遠される原因にも。
売却にあたってリフォームを考えるのであれば、買主にアピールできるデザインや機能を戦略的に取り入れる必要があります。そのエリアで物件を探している人にはどんなニーズがあるのか、不動産会社といっしょに考えてみましょう。
査定のときに勝手にリフォームすると費用が無駄になりかねませので、まずはご相談を。
査定前の事前準備
ネットで簡易査定を行っても、最終的には訪問査定で正確な査定価格を出してもらわなければなりません。
訪問査定の際には周辺の相場やマンションのアピールポイントを把握しておくこと、また査定に必要な書類も用意しておきましょう。
価格相場を把握しよう
売却しようとするマンションが、適正な査定価格かどうかを知るためには、周辺の相場を知らなければなりません。
近隣相場を把握していないと、不動産会社の言いなりになり、思わぬ安い価格で査定されてしまうことも……。
また不動産会社の中には契約を得たいがために、高額の査定を出す場合もあります。
したがって市場とかけ離れた査定を付けた場合には、その根拠を聞くこと!
きちんとした根拠がなくあいまいな説明の場合には、媒介契約を避けた方が良いでしょう。
近隣の相場を知る手段としては、次のようなものがあります。
レインズマーケットインフォメーション
国土交通大臣指定の不動産流通機構が、運営・管理する不動産流通標準情報システム。直近一年間に売買された価格情報を検索できます。
土地総合情報システム
国交省が運営するサイトで、不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できます。
不動産会社のWebサイト
不動産会社のサイトを見れば、いま販売されている物件の情報を知ることができます。最新の相場情報を知るにはうってつけです。
ただし、現在売却中の物件の価格は、当然「売り出し価格」です。
最終的な成約時には、価格交渉を経てまた違った金額になる場合もあります。
首都圏の物件ならば、当社ひかリノベHPでも公開しています。
一都三県で販売中のあらゆる物件を網羅したWeb物件検索システムです。
マンションの仕様・住心地・設備機能を整理
高い査定を得るためには、売買契約を結んだ際の書類だけでなく、マンションの特徴を把握しておくことが必要です。
周辺環境や住み心地などは実際に住んでみないとわからないので、次に挙げる項目などについては整理しアピールできるようにしておきましょう。
- 標準仕様以外に特別に注文した仕様・調度品や設備
- リフォームした場合にはその履歴
- 駅までのバス便が頻繁にあることやタクシーの捕まえやすさなど交通の便利性
- 間取りの使い勝手が良いことや眺望の良さ
- 防犯や交通安全対策が行き届いているなどの安全性
- 近隣スーパーは品ぞろえが良くて安いなど買い物の便利さ
また良い点だけでなく、設備の故障や雨漏り・結露・配管からの漏水などがあれば、包み隠さず話しましょう。隠したまま売却し問題が発生した場合には、売主の瑕疵担保責任を問われることもあり得ます
訪問査定の必要書類
訪問査定の際には、購入価格や権利関係・建物構造・管理状況などの確認も行われるので、次のような書類をあらかじめ用意しておきましょう。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 登記簿謄本
- 間取り図
- パンフレット類
- 管理規約
査定価格を左右する「10のポイント」
では、不動産会社は査定において、具体的にどのような点をチェックしているのでしょうか。
評価基準のポイントは、各社独自の指針もありますが、ある程度共通しています。高評価を得るためには、このポイントをあらかじめ理解しておくことが大切です。
査定の評価基準主要10項目
- 立地
- 築年数
- グレード
- 施工・販売会社
- 共用施設
- 管理状態
- 階数
- 陽当たり
- 広さ・間取り
- 専有部分の設備や内装の傷み
立地
立地はマンションの市場価値を決める、もっとも重要な条件の一つです。
駅からの距離が近い(徒歩10分以内)、最寄駅に急行列車が止まる、複数の路線が乗り入れている、などの条件は高評価につながります。
また、日々の買い物をするスーパーや、学校・保育園へ通いやすい、病院・銀行などが徒歩圏内にある、物件周辺の治安や環境(騒音が少ない・街灯が設置されている)が良好である、なども住人の安心感に繋がるため高評価です。
さらに周辺の開発が進行中であるなど、今後人口の流入が期待できる地域は、より評価が上がりやすくなります。
築年数
築年数が新しいほど価格は高く、古いほど価格は低くなります。建物や住宅設備が、年月の経過とともに消耗していくためです。
一般に建物の価値は、おおよそ築25年で底値となり、その先は変化がゆるやかになっていきます。
ただし、土地は経年の影響を受けないので、地価の上昇によって建物価格の下落を補い、中には買ったときより高く売れるマンションもあります。
築年数において、とくに重要なのが「新耐震基準が適用されているか」という点です。新耐震の物件は、購入者にも安心感があり、高評価に繋がりやすいのです。
新耐震基準が適用されはじめたのは、1981年(昭和56年)6月1日以降。したがって新耐震基準が適用されている物件とは、この日以降に建築許可が下りた物件ということになります。
グレード
何をもって「グレードが高い」とするかは、一概にいうのは難しいですが、セキュリティや各種サービス、共用施設が充実している物件は、その分高価でも納得感があります。たとえばこんな物件は、ハイグレードといえるのではないでしょうか。
- エントランスや外観に高級感がある
- 住民専用ジムやゲストルームなど共用施設が充実している
- ホームセキュリティシステムが完備されている
- コンシェルジュがいる
施工・販売会社
大手デベロッパーの販売であったり、大手施工会社が建築した物件である場合は、人気が高く、高値が付きやすい傾向です。
秀和レジデンス、パークマンションなどは、都内の代表的なブランドマンションです。
共用施設
宅配ロッカーや24時間ゴミ出しOKのステーションがあったり、ゲストルームなど、便利な共用施設が揃っていることも高評価に繋がります。
また、戸数に対して充分な台数の駐車場があるか、エントランスやエレベーター、敷地内に防犯カメラが設置されているかといったセキュリティ面も、評価に影響するポイントです。
管理状態は、経年による建物価格のマイナス評価をゆるやかにしてくれます。建物は経年によって美観が損なわれたり、設備の故障が起きやすくなったりしますが、手入れ次第で見た目も美しく、住環境も快適に保つことができます。
配管や躯体の状態など、目に見えない部分の管終了状態を正確に把握するのは簡単ではありませんが、目に見える部分からある程度推測することが可能です。
- 定期的に外壁塗装や屋上防水などをメンテナンスしているか。
- 共用部分の清掃が行き届いているか。
- 常駐している管理人の有無。
- 共用施設(集合ポストやゴミ置き場など)の使用状況。
また、外壁塗装や防水処理など、定期的に行われる大規模修繕については、過去に実施した修繕の記録と、今後の計画を作成することが、国土交通省によって推奨されています。
これらの長期修繕計画、修繕記録がつくられていること、またその内容が適切であることも、評価につながる重要なポイントです。
- 長期修繕計画および過去の修繕記録があるか。
- 長期修繕計画は、国土交通省のガイドラインに基づいた適切な内容となっているか。
- 長期修繕計画に基づいて、定期的に修繕が実施されてきたか。
- 修繕積立金は充分に貯蓄されているか。
階数
マンションでは、階数が高くなるほど、物件価格も上がる傾向があります。
タワーマンションは、上層階と下層階で価格が違うと聞いたことがある方もいるでしょう。上層階は眺望がよく開放感があるほか、日差しが遮られることなくたっぷりと射し込んでくるため、人気が高いのです。
特に3階以上は査定価格が高く、さらに上にいくほど価格は高くなっていきます。
また、角部屋も人気のため、高値がつきやすいようです。
陽当たり
一日を通して日差しがよく入る南向きの物件は、人気があります。
とくに都市部は建物が密集している地域が多く、採光にすぐれたマンションはそう多くないという事情もあり、人気が集中しやすいのです。
とは言え、せっかく南向きの部屋も、隣の建物に光や眺望を塞がれてしまっては意味がありません。目の前に背の高いビルが建っている、もしくは今後立つ予定がある場合は、マイナス評価に繋がるため注意が必要です。
広さ・間取り
広さは物件価格と比例します。
一般に、ファミリーで住むことができる60㎡以上は、高評価を得るのに有利な広さです。なぜなら、結婚や子どもの誕生など、家族構成の変化をきっかけに住宅購入を考える人が多いためです。
ただし、必ずしも広ければ広いほど良い! というわけではなく、その地域の需要によって、評価は多少変化します。
専有部分の設備や内装の傷み
クロスの汚れや床材の傷みなど、通常の経年劣化の範囲内であれば、価格に影響はありません。なぜなら、中古マンションはリフォームやリノベーションを前提に探している買主も多いためです。
ただし、ペットの飼育状況や、売りたい物件がゴミ屋敷である等、特殊なケースは減額対象になる場合があります。
まとめ
マンションを売却するためには、まず不動産会社の査定を取らなければなりません。
その場合高い査定を取ろうと、リフォームやクリーニングをする必要はありません。築古マンションを購入しようと考えている人は、自分のライフスタイルに合わせてリノベーションやリフォームをしたいという人が多いからです。
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