老後の住まいのベストチョイスは持家?賃貸?


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日本人の平均寿命は80歳を超え、今や「人生100年」とも言われる時代。“老後”の期間もどんどん長くなっています。

どんな年齢でも住まいは生活の大きな基盤ですが、お金が絡むものだけに、老後の住まいをどうするかは大きな問題だと感じる人は多いようです。
若いうちに購入して住まいを確保した方がいいのでしょうか?それとも、賃貸でライフスタイルに合った住まいに住み替えていく方がいいのでしょうか?

持家、賃貸、それぞれメリットとデメリットがあります。あなたの人生設計にとってどの選択肢がベストなのかを考えるためのヒントをお伝えします。

「老後」の期間は15年から20年

厚生労働省の調査によると、2017年の時点で日本人の平均寿命は男性81.09 年、女性87.26年でした。男女とも前年比で0.1年ほど平均寿命が延びていますね。

厚生労働省「平成29年簡易生命表」

出典:厚生労働省「平成29年簡易生命表」 (https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/dl/life17-02.pdf

仮に、年金の支給が始まる65歳を老後の始まりとすると、男性は16年、女性は22年も「老後」の暮らしが続くのです。
1960(昭和35)年時点だと、男性2年・女性5年ですから、この60年間で4倍から8倍長くなったという計算になります。

老後の生活資金も、それだけ多くかかるということ。働かなくてならない期間が長くなったり、若いうちにより多くの貯蓄をしておかなくてはならないとも言えます。

健康状態によって経済的負担は増す?

高齢になるほど、病気にかかりやすくなります。がんや心臓・循環器系の疾病は命に係わる病気ですし、風邪が肺炎に悪化するなど、軽い病気が重症化する可能性も、高齢者ほど高くなります。

また、認知症患者も高齢化の進展に伴い増加し、社会問題化しています。

「健康寿命」という概念をご存知でしょうか? 日常生活に支障が出ない程度の体の状態を保つことができる年齢のことです。
2016年時点で、日本人健康寿命の平均は男性72.14歳、女性74.79歳です。伸びているとはいえ、平均寿命とは8年から13年の差がありますね。

内閣府「平成30年 高齢社会白書」

出典:内閣府「平成30年 高齢社会白書」 (https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/gaiyou/s1_2_2.html

将来、もし日常生活が困難な状態になって、介護が必要になったり、老人ホームに入居しなくてはならなくなった場合、ヘルパーやデイサービス、施設の利用料が必要になります。

現代の老後は、そうしたコストも見込んでおかなくてはならないのです。

老後の住まい、ベストな選択肢は?

安心して暮らすために、なくてはならないのが住まいですが、現役時代に比べ収入が減ってしまう老後の生活では、できれば出費を抑えたい要素でもあります。

老後の住まいの問題でしばしば話題になるのが「持家がいいか、賃貸がいいか」。

ローンさえ払い終われば住居費の出費はない持家と、環境の変化に応じて場所や広さ、家賃(出費)の選択の幅がある賃貸。持家派には持家派の、賃貸派には賃貸派の根拠があるようですが、お仕事も収入も、家族構成も家庭の事情も人それぞれですから、どちらでなくてはいけないということではありません。
ご自身の人生で、これから起こり得ることを想定したうえで、住まいの計画を立てることが必要です。

持家のメリット、賃貸のメリットを知る

まず、持家、賃貸、それぞれに考えられるメリットを見てみましょう。

持家のメリット

持家は、ローンの返済が終わってしまえば、住まいに関わる出費は、固定資産税や、マンションなら月々の管理費・修繕積立金ぐらいです。
ある程度の収入がある、家計に余裕があるうちにローンを完済してしまえば、経済的な負担はかなり軽くなるでしょう。

子どもと同居する、老人ホームに入るなど、今の住まいを離れるにしても、売却すればそのお金を住居費や、生活費に充てたりもできますね。

また、リフォーム・リノベーションも自由自在。子どもたちが独立したので夫婦2人の生活に合わせたり、介護が必要になったときのバリアフリー化も、みなさんのライフスタイルや体の状態にぴったりな住まいをつくることができます。

賃貸住宅のメリット

賃貸住宅は、住み替えが容易なのが最大のメリットでしょう。

長い人生、転職や転勤、子どもの教育、親の介護など、さまざまなイベントが起こります。中には想定していないことも起こるかもしれません。そんな時、賃貸住宅ならその時々に都合のいい場所、広さ、家賃の住まいを探して転居すればいいだけ。

住宅ローンを組む場合、頭金を用意することも多いですよね。
頭金を支払うと、貯蓄が減ります。そんなタイミングで子どもの教育費や、親の介護費が必要になったら家計は大変。
賃貸住宅なら、引っ越すにしても持家の頭金ほどの負担ではありませんから、急な出費にも強いといえるかもしれません。

持家、賃貸、どんなデメリットがある?

続いて、持家を選んだ時、賃貸を選んだ時のデメリットも考えてみましょう。

持家のデメリット

今はほとんどの人が、20年から35年のローンを組んで住宅を購入します。

住宅ローンの返済は、収入や家計状況を踏まえて計画しますが、万が一収入が下がったり、予想外の出費が多かったらどうなるでしょうか。
病気で働けなくなった、介護のために仕事を辞めざるを得なくなった、子どもが留学したいと言い出したetc…
収入が少なくなったからといって、住宅ローンの返済額は変わりません。念願のマイホームが、逆に家計を圧迫する原因になってしまうかもしれないのです。

そして、多くの人が見逃しがちなのが「メンテナンス」です。

住まいは、時間が経つほど傷んでいきます。構造、設備、内装と、周期は異なりますが必ず点検や修繕、交換が必要な時がやってきます。
マンションであれば管理組合が大規模修繕計画を立て、費用も積み立ててくれますが、戸建て住宅はその費用を自分で用意しなくてはなりません。
マンションだって、専有部のメンテナンスは自分で費用を用意する必要があります。

賃貸のデメリット

賃貸住宅に住む限りは、毎月家賃を払わなくてはいけません。収入が現役時代と比べて減っても、それなりの出費が必要になります。
その分、現役時代に貯蓄をしておかなくてはならないと言えます。家賃と住宅ローン返済額が同じぐらいだとすると、老後の住居費のために、ちょっと我慢しなくてはいけないかもしれませんね。

高齢になると、そもそも賃貸住宅を借りにくくなることも頭に入れておきたいポイントです。高齢化が進む中で、改善の動きも見られますが、年を取ってから新しい住まいを探すことはまだまだ難しいのが現状です。

バリアフリー化された賃貸住宅や、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のように、高齢者向けの賃貸住宅も増えてはいます。

国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」

出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」 (https://www.mlit.go.jp/common/001222402.pdf

ですがまだまだ少数ですし、家賃も割高です。老後の暮らしに適した住まいのバリエーションが少ないのも、賃貸住宅のネックです。

結局、持家と賃貸のどちらがいいの?

持家と賃貸、それぞれのメリット・デメリットはご理解していただけたと思います。それでは、老後を考えた時、持家と賃貸のどちらを選ぶべきなのでしょうか?

この問いには、実は正解はありません。

住まいは、住まい手であるみなさんの価値観によって理想像が大きく変わります。結婚している方もいれば、独身を選ぶ人もいますし、子どもの有無や人数も違います。都心で暮らしたい人もいれば、郊外や地元で暮らすのが理想という方もいるでしょう。

価値観が多様化している今、全ての人にとって正解の選択肢はありません。みなさんがご自身、ご家族のライフスタイルや人生設計に応じて選んでいただくしかないのです。

将来の家計を見通して考えよう

いずれにせよ、お金の計画はしっかり立てておく必要があります。
持家、つまり住宅ローンを組むなら、借り入れの時点でファイナンシャルプランナーなどと相談して資金計画を立てているでしょう。ある程度は将来のことも想定していると思います。とはいえ、限度額めいっぱいまで借りるなど、無理は禁物です。一定の収入があるうちに返済できるよう、余裕のある住宅購入・資金計画を立てましょう。

一方、賃貸の場合は、その時の収入や家計に応じた家賃の住まいを選ぶことが多いのではないでしょうか。
しかしその反面、高齢になると住み替えが難しい、決して安くはない賃料の支払いが続くなど、歳をとってからのリスクや負担が大きくなりがちです。
老後の家計の負担をなるべく減らしておくという意味では、将来に不安を感じている方ほど、購入も選択肢として検討してみるのがベター、といえるかもしれません。

老後を見据えた住宅ローンの組み方

住宅ローンを組むときには、資金計画が重要です。
定年までに返済が終わるのが理想ですが、年齢によっては返済期間が老後にかかることもあるでしょう。その場合でも、事前にきちんと計画を立てておけば、経済的なリスクを減らすことができます。

ローン返済の負担を軽くするポイントとして、ぜひ気を配っていただきたいのが「ランニングコスト」のこと。具体的には光熱費や、メンテナンス(維持管理)の費用のことを指します。

今、みなさんの光熱費は月にいくらぐらいでしょうか?数万円かかるという方も珍しくないでしょう。
光熱費を削減できれば、家計も楽になりますし、住宅の購入費用も高めに設定できます。
断熱性を高くしたり、高効率のエアコンや給湯器を導入して、省エネ化を図りましょう。
光熱費は長く住むほどかかるものですから、省エネな住まいはどんどんお得になっていきます。月1万円光熱費が安くなれば、30年後にはトータルで300万円以上安くなります。

メンテナンスのコストも、多少はかかるにしても、耐久性や維持管理に配慮された住宅なら、負担は小さくなります。
中古住宅は、インスペクションで現状をきちんと把握し、適切な修繕を施しましょう。
マンションなら、管理が行き届いていて、計画的な修繕が実施されているマンションを選ぶのがベターです。状態が良ければ、修繕積立金が大きく値上がりするような事態も起きにくいでしょう。

住まいを担保に借りる「リバースモーゲージ」

高齢になってから住み替えが必要になったり、大規模なリフォームをしなくてはならず、お金が必要になることもあるかもしれません。
高齢になってから住宅取得や、リフォームの費用を調達する場合に利用できるサービスとして、「リバースモーゲージ」があります。

リバースモーゲージは、みなさんが所有する住宅を担保にしてお金を借りる仕組みです。月々返済していくのではなく、利息だけを支払っていき、契約者が亡くなったときに住宅を売却して(または相続人が)、一括で返済します。

住宅金融支援機構「リ・バース60」

出典:住宅金融支援機構「リ・バース60」 (https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/yushihoken_revmo/index.html

まだリバースモーゲージを取り扱っている金融機関は多くありませんが、老後の住まいとお金を考えるときには有効な手法です。頭に入れておくと、役立つときが来るでしょう。

経済的な余裕は、暮らしの余裕につながります。
社会状況は不変ではあり得ないので、住まいを買う、買わないは別として、自分の将来とお金のことを、若いうちからしっかり考えておきましょう。

ひかリノベでは、みなさまの人生設計に合わせた資金計画をご提案します。不安や疑問は、どんなことでもお気軽に担当者にご相談ください。

 

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【執筆】荒井 隆大(ライター)
【監修】 三部 浩一(宅地建物取引士)

 

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