住宅取得資金の贈与は最大1,500万円が非課税! 中古も利用可?

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住宅を購入するとき、ご両親から資金の援助を受ける予定の方もいらっしゃるかもしれません。

普通、親から贈与を受けた財産には、贈与税がかかります。
しかし、住宅の購入資金については、一定の条件を満たせば贈与税が非課税になる「住宅取得等資金非課税の非課税特例」があります。2019年10月の消費税増税の際には、非課税になる額が拡大されました。

うまく利用すれば金銭的な負担を軽くできる一方、実は使わないほうがベター、というケースも存在します。
住宅の購入を考えていて、親などから資金援助を受ける予定のある方は、ぜひこの記事をご一読ください!

2020年4月29日初出→2021年4月27日更新

1.住宅取得資金の贈与には非課税枠がある!

相手が親だとしても、個人から一定以上のお金や財産をもらった場合には、贈与税が課されます。

1年間に受けた贈与の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた額に対して課税され(110万円以下は非課税)、その額が大きくなるほど、税率は高くなります。

しかし、住宅を購入するために援助を受ける場合は、金額の大きさゆえ、贈与税の負担も大きなものに……。そのため、親などから住宅取得資金として贈与を受けた場合、贈与の一定額までは贈与税が免除される特例が設けられています。

特例が適用される期間は、2015年(平成27)から2021年(令和3)の間です。

相続時精算課税との違い

同じく、贈与税を軽減するのが「相続時精算課税制度」です。

被相続人が亡くなって、その他の財産を相続したとき、生前の贈与もまとめて相続税を支払う制度で、贈与は2500万円まで非課税になります。

住宅取得等資金贈与の非課税特例とも併用はできますが、最終的に多額の相続税を支払わなくてはいけません。
被相続人の遺産が、相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の人数)を上回るような場合、相続時精算課税制度を利用する方法だと、損をするリスクもあります。

2.非課税枠の金額は購入のタイミングで変わる

非課税枠は一定ではなく、住宅を購入(契約を結んだ)した時期や性能によって上限額が異なります。消費税8%の場合、または中古住宅(消費税が非課税)や、土地だけを購入する場合は以下の通りです。

出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)

出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

また、10%の消費税が適用される場合は、次のように非課税枠が拡大されます。

出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)

出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

なお、「省エネ等住宅」は、省エネ性・耐震性・バリアフリー性について、以下のいずれかの条件を満たす住宅を指します。

  • 断熱等性能等級4、または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 耐震等級2以上、または免震建築物であること
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること

また、110万円の基礎控除と、住宅取得等資金贈与の非課税枠は併用が可能です。
住宅取得資金等贈与の非課税枠が1500万円だとすると、トータルの非課税枠は1610万円となります。

3.非課税特例を利用するための要件

資金援助を受けたら、どんな場合でも非課税の特例を受けられるわけではありません。
「贈与を受ける人」「購入する物件」がそれぞれ要件を満たしていけなくてはいけません。まず、贈与を受ける人(受贈者)の条件を見てみましょう。

非課税特例を受けられる人の要件

  • 贈与を受けた時点で、贈与者が受贈者の直系尊属(父母・祖父母)である
  • 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上
  • 贈与を受けた年の所得税にかかる合計所得金額が2000万円以下
  • 2009(平成21)年から2014(平成26)年まで、贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがない(一定の場合を除く)
  • 自分の配偶者や親族など特別の関係がある人からの住宅取得、あるいは請負契約を結んでの新築・増改築でないこと
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額の全額を当てて、家屋の新築などを行う
  • 贈与を受けたとき、日本国内に住所がある(一定の場合を除く)
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住する、もしくは同日後延滞なくその家屋に居住することが確実だと見込まれる

例えば、配偶者の両親は直径尊属ではないので、資金援助を受けても特例は受けられませんが、養子縁組をした場合は適用されます

とくに落とし穴となりやすいのが、「贈与を受けた瞬間から、購入した住居に実際に住むまでの期間」です。贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していなかった場合、特例は適用されず、修正申告をしなくてはいけません。

非課税特例が適用される物件の要件

続いて、物件の要件を見ていきましょう。

  • 日本国内にある家屋
  • 家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの場合は専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、床面積の2分の1以上が受贈者の居住の用に供される

店舗などとの併用住宅でも、床面積の半分以上が居住スペースになっていれば、非課税特例を受けられるということになります。

中古の場合

中古住宅でも、新築の条件に加えて次にあげる条件のいずれかを満たせば、特例の適用対象になります。

  • 取得の日以前、20年以内(RC造など耐火建築物の場合は25年以内)に建築されている
  • 新耐震基準に適合している(証明書類が必要)
  • 取得の日までに耐震改修を行う(改修前に都道府県等に申請し、贈与を受けた翌年3月15日までに新耐震基準への適合が、証明書等で証明できること)

リフォームの場合

リフォーム(増改築等)資金の援助を受ける場合も、特例を受けることができます。

  • リフォーム後の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの場合は専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、床面積の2分の1以上が受贈者の居住の用に供される
  • リフォーム工事が、自分が所有、かつ居住している家屋に対して行われており、一定の工事に該当することが書類(確認済証や検査済証の写し、増改築等工事証明書)で証明されている
  • 工事費用が100万円以上

非課税特例を受けるための申告手続きと必要書類

住宅取得等資金の非課税特例の適用を受けるためには、確定申告が必要です。

仮に、贈与税の額が0円だとしても、税務署に申告しなければ特例を受けることはできません。申請には、所定の書類が必要です。新築・中古・リフォームのいずれも、次の3つについては共通となっています。

  • 贈与税の申告書
  • 戸籍謄本など(氏名や生年月日、直系尊属かどうかを確認できるもの)
  • 源泉徴収票または確定申告書など(所得税に係る合計所得金額を明らかにするもの)

さらに、新築・取得(中古購入も含む)の場合は、次の書類が必要です。

    • 請負契約書や売買契約書の写し(契約・取得の相手や契約締結の年月日、価格と消費税がわかるもの)
    • 家屋の登記事項証明書(中古で築年数や床面積が記載されていない場合は、それらを明らかにする書類も)
    • 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買かし保険の保険付保証明書(中古住宅の場合)
    • 耐震改修の申請書および証明書(中古住宅で耐震改修を行う場合。詳細は以下表を参照)

出典:国税庁「住宅取得等資金の非課税のチェックシート・添付書類 新築又は取得用」 (https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/yoshiki2019/pdf/037.pdf)

出典:国税庁「住宅取得等資金の非課税のチェックシート・添付書類 新築又は取得用」 (https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/yoshiki2019/pdf/037.pdf

リフォームの場合は、次の書類を用意する必要があります。

  • 工事の請負契約書の写しなど(契約の相手や締結の年月日、費用や消費税額、工事の完了年月日がわかるもの)
  • 家屋の登記事項証明書
  • 確認済証、検査済証の写し、または増改築等工事証明書
  • リフォームかし保険の保険付保証明書(給排水管や、雨水の侵入防止に係る部分を公示するとき)

「省エネ等住宅」で非課税枠の優遇を受ける場合は、性能を証明するための書類も必要です。住宅性能証明書・建設住宅性能評価書の写し、リフォームの場合は増改築等工事証明書などが該当します。

国税庁のホームページに、チェックシートが掲載されているので、詳しい内容はそちらをご参照ください。

申請期間は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間となっています。期間内に申請しないと、特例は受けられませんのでご注意を。

※新型コロナウイルス感染症の影響により、令和元年度の申告期限は4月16日に延長されました。また、外出が難しいなどの理由がある方は、4月17日以降でも申告が可能です。詳しくは国税庁のお知らせをご覧ください。

5.非課税特例を使わない方がお得な場合もある!?

今なら最大で、1500万円まで贈与税が非課税になる住宅取得等資金贈与の非課税特例ですが、デメリットがないわけではありません。

例えば、次のような2つのケースは、特例を利用するときに注意が必要です。

ケース①住宅ローン控除制度と併用する場合

毎年、ローン残高の1%を所得税・住民税から控除する住宅ローン控除。
贈与税の非課税特例とも併用可能な制度ですが、住宅ローンの借入額と、贈与を受けた金額の合計が住宅の購入費用を上回ると、ローン借入額の一部が減税の対象外になります。

例えば、ローンの借入額3000万円・贈与額1000万円で3500万円の住宅を購入したとしましょう。この場合、ローン控除の対象になるのは、住宅の購入費用3500万円から贈与の1000万円を引いた2500万円分となります。

贈与税の減税より、住宅ローン控除による控除額のほうが大きければ、ローン控除だけに絞ったほうがお得といえます。

ケース②親の住宅を相続する予定がある場合

親の住宅を相続すると、「小規模宅地等の特例」を受けられる場合があります。

小規模宅地等の特例は、被相続人が亡くなったときに、原則として同居していた親族がその住宅を相続する際、相続税を計算するための土地の評価額を、最大で8割減額してくれる制度です。

「原則として同居」と書きましたが、被相続人の子どもで住宅を所有していなければ、例外として同居していなくてもこの特例が受けられます。

ですが、贈与を受けて住宅を取得すると、「住宅を所有していない」という条件を満たさなくなってしまいます。
特に、地価の高いエリアでは相続税も高くなるので、贈与税が軽減されても相続税の負担のほうがはるかに大きいことも考えられます。

6.国税庁の新型コロナウイルスの対応

第3章では、贈与を受けた瞬間から購入した住居に実際に住むまでの期間が、特例を受けられるかのポイントになるとお話しました。

しかし、2020年は世界中で感染拡大がみられる「新型コロナウイルス感染症」の影響で、社会に様々な影響が出ています。住宅業界も例外ではありません。

そこで、本来であれば「贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していなかった場合、特例は適用されず修正申告をしなくてはいけない」とされる条件にも、コロナ対策の特例が国税庁より発表されました。

租税特別措置法70条の2第10項・第11項には、「災害に基因するやむを得ない事情」により、取得期限までに新築等ができなかった場合または居住期限までに居住ができなかった場合には、それぞれの期限が1年延長され、特例の適用を受けることができるとの記載があります。

新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言などによって、感染拡大防止の取組に伴う工期の見直し・建物に使用する資機材等の調達が困難感染者の発生などにより工期が延長される……といったことも可能性として考えられます。

そういったケースは、上記の特例の適用を受けられる条件の「災害に基因するやむを得ない事情」に該当するものと認められることとなりました。

新型コロナウイルス感染症による、贈与の特例における具体的な対応は、個々の事情によって異なるため、不明な点がある場合は、所轄の税務署へお問い合わせください。

住宅は、一生でもっとも高価な買い物。当然、かかる税金も高額になるため、しっかり節税してよりお得な住宅購入を目指しましょう。


【記事監修】尾高 等(住宅ローンアドバイザー)

住宅ローンアドバイザーの有資格者。住宅購入が目的ではなく、その後も続く人生のファイナンシャルプランを、長期的な視点から提案する。「かつては頭金が2割ないと住宅購入は難しく、多額の現金投資をしなければ理想の住まいはつくれませんでした。しかし歴史的な低金利や、100%融資も可能となった現在、マイホーム購入のあり方は多様化しています。新築、中古、マンション、戸建、いろいろな住居の選択肢がある中から本当に満足できる空間とは何なのか。一緒に探していきましょう」


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