女性のためのマンション購入術~平均年収は? 価格帯は?

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「住宅すごろく」を存知でしょうか? これは、都市・建築計画学者の三宅醇さんが提唱した概念です。

独身時代のアパート生活から、結婚して賃貸マンションに引っ越し、子どもが育ってきたら分譲マンションを購入。子どもが大きくなったらマンションを売って、郊外の庭付き一戸建てを手に入れる――高度経済成長期に、このようなライフプランを理想とする風潮が生まれ、長らくそれが正しいと信じられてきました。

しかし、ライフスタイルの多様化、社会情勢や経済状況も大きく変わった現在、住宅とライフプランの関係も様変わりしています。
一人暮らしの単身者でも、賃貸ではなくマンションを購入する人が増え、独身女性でも住宅ローンを組んでマンションを買うケースは、もはや珍しくはなくなりました。

今回は、実際にマイホームを手にした方たちのライフスタイルや年収、物件の選び方など、最新データをもとに「女性のためのマンション購入術」を解説します。

2019年3月7日初出→2020年8月11日更新

シングルのマンション購入が増加

住宅金融支援機構の2017年度「フラット35利用者調査」によると、注文住宅や建売住宅、中古でも戸建だと、家族の人数は3人以上が多数派です。
一方、マンションは2人以下が半数以上を占めており、しかも中古マンションだと、4分の1近くが1人、つまり単身者なのです。
このデータを見ると、独身の一人暮らしでもマンションを購入して住むケースは確実に増えているといえるでしょう。

2017年度フラット35利用者調査 家族数の構成比 出典:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf)

2017年度フラット35利用者調査 家族数の構成比の図
出典:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf

また(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」によると、住宅を購入しようとしている(検討者)、または実際に購入した(購入者)人の3分の1が女性です。
また、男性は検討者よりも購入者のほうが「既婚」である割合が高いですが、女性は検討者・購入者で独身・既婚の差はあまりありません。
これらのデータから、住宅を購入する独身女性は少なくないと考えてよいでしょう。

『ひとり住まい』のための持ち家検討者・購入者の性別/婚姻状況別特徴 出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf)

『ひとり住まい』のための持ち家検討者・購入者の性別/婚姻状況別特徴の表
出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf

購入者の平均年齢は?

では、実際にマンションを購入した女性たちは、何歳ぐらいのタイミングで決断しているのでしょう。

前述の(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」によると、働きはじめの20〜30代前半より、ある程度収入が安定し、金銭的なゆとりが出てきた30代後半〜40代のタイミングで購入に踏み切る人が多いようです。

『ひとり住まい』50㎡未満の住宅検討・購入における男女比較の図</br>出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」より50㎡未満の住宅検討・購入における男女比較(<a href="https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf">https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf</a>)

『ひとり住まい』50㎡未満の住宅検討・購入における男女比較の図
出展:(一社)不動産流通協会(FRK)『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」より50㎡未満の住宅検討・購入における男女比較(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf

購入の動機は?

女性の住宅購入の理由で多いのは、次のような内容です。

  • 資産的な価値があるから
  • 毎月家賃を払い続けるのは無駄だと思うから
  • 老後の安心のため

中でも「老後は持ち家のほうが安心」と考える女性は90.1%に達しており、男性よりも住まいを資産として考えている人が多いようです。

『ひとり住まい』住宅購入を検討した理由</br>出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(<a href="https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf">https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf</a>)

『ひとり住まい』住宅購入を検討した理由の図
出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf

また、検討段階で将来的な結婚(配偶者と同居)を考えていた人は、男性では約2割なのに対し、女性は1割ほど。ずっと「一人暮らし」であると考えている人は、男性83.1%・女性87.5%です。
「自分の資産を持ちたい」「結婚を考えていない」、経済的にも精神的にも自立したいと考える女性が増加傾向にあることがわかります。

50 ㎡未満物件購入者の年齢・年収・職業の男女比較</br>出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(<a href="https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf">https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf</a>)

50 ㎡未満物件購入者の年齢・年収・職業の男女比較表
出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf

年収と価格帯の関係

マイホームの購入は「人生でもっとも大きな買い物」と言われます。自分の収入で住宅ローンが組めるのか、返済し続けることができるのか――そう不安に感じる方も多いでしょう。

単身者の利用が多い住宅ローン『フラット35』の利用者調査の結果を見てみると、利用者の世帯年収は、全体的に600万円未満が多いよう。年収が400万円未満という人も、3割を超えています。

2017年度フラット35世帯年収(融資区分別)別利用者の図 出典:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」(a href=https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf)

2017年度フラット35世帯年収(融資区分別)別利用者の図
出典:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf

続いて「世帯年収に対して、何倍の金額を購入に要したか」を示す年収倍率を見てみると、新築マンションでは年収の6.9倍、中古マンションでは5.6倍が平均値となっています。

2017年度フラット35利用者年収倍率の図(マンション)出典:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」

2017年度フラット35利用者年収倍率の図(マンション)
出典:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf

一方、実際に単身女性が購入した住宅の価格は、平均2085.8万円。2000万円~2500万円がボリュームゾーンです。頭金は平均884.9万円ですが、最も多いのは500万円未満となっています。

『ひとり住まい』最も購入に近かった/実際に購入した住宅の購入金額・頭金の図 出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」

『ひとり住まい』最も購入に近かった/実際に購入した住宅の購入金額・頭金の図
出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」(https://www.frk.or.jp/suggestion/201801_hitorisumai.pdf

首都圏の場合、新築マンションは約5600万円、中古マンションは3300万円程度が2018年の相場だといわれています。広さや間取り、築年数、立地も当然考慮しなくてはいけませんが、比較的割安感のある物件が選ばれているようです。
「老後の不安」を感じて家を買ったという女性が多い中、いかにお得な物件を選ぶかは、重要なポイントになっているのでしょう。

独身でもローンは組める?

「単身世帯だと審査がきびしいイメージがある」という方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、基本的に、住宅ローンの審査基準には、既婚者と独身者で違いはありません。
金利の優遇幅などの借入条件においても、「独身だから」「女性だから」といった理由で不利な扱いになることもありません。

ローンの審査でなにより重視されるのは「一定の基準に達する年収と月々の安定した収入があり、個人の信用情報(クレジットカード情報など)に問題がないこと」です。
こうした条件をクリアできていれば、パートナーの有無や性別に関わらず、ローンを組むことができます。

ただし、パートナーに頼らず一人で支払っていかなくてはならない分、年収・収入の安定性・本人の属性(職業や勤続年数など)が、よりシビアにチェックされる傾向はあるといえます。
詳しい内容は、以下の記事『独身でも住宅ローンは組める?単身者の審査のポイント・注意点』をご覧ください。

物件選びのポイントは?

実際に単身女性がマンションを購入する際、気をつけるべきポイントは何でしょう? 広さでしょうか、設備でしょうか。

女性はライフスタイルの変化を多く経験します。特に結婚や出産など、中には予定通りにはいかない変化もあるでしょう。
そのほかにも、転勤・転職、親の介護で実家に戻る……といった理由から、引っ越す可能性も十分考えられます。そういった状況を見据えて、「売却も考えたマンション購入」を考えておくと、将来の変化にも安心です。

資産としてのマンション

将来売却する場合にどれくらいの価値があるのかを、リセールバリューといいます。
資産価値が下がりにくいという意味でおすすめなのが、中古マンション、それも築20年以上の物件です。

通常、マンションの価格は築年数が古くなるにしたがって安くなり、築20~25年程度で底値を迎えます。ですから築20年以上の物件を購入すれば、将来売却することになっても損が出にくい。つまり資産価値が安定しているといえます。

また20年前は現在より土地の余剰があったため、立地の良い物件が多い点もメリットです。
立地の良い物件は価格も下がりにくいので、この点からも築20年以上の中古物件は資産性が高いといえます。

実際、中古住宅を選ぶ人は増え続けています。例えば、フラット35の融資区分別(取得した住宅の種類による区別)では、戸建・マンションを問わず「中古」の割合が増えています。

リーマンショックが影響したと思われる2009年を除けば、この10年間、中古住宅を購入するためにフラット35を利用する人は増えており、マンションでは1割を超えるまでになりました。それだけ中古住宅が住まい選びの選択肢として定番化した、といえるでしょう。

『ひとり住まい』最も購入に近かった/実際に購入した住宅の購入金額・頭金の図</br>出展:(一社)不動産流通協会(FRK)「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」

2017 年度フラット35利用者の融資区分の図
出典:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査」(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf

ただし、中古物件を選ぶときは、建てられてからある程度の時間が経過しているため、物件選びには特に注意が必要です。
耐震性がちゃんとあるか、管理状態は良いか。
室内の内装や設備はリフォームやリノベーションによって交換ができますが、建物全体にかかる部分、共用部分については、個人では改善が難しいので、物件選びの段階でよく確認しておく必要があります。

当社ひかリノベは、オーダーメイドのリノベーションと中古マンション・中古戸建の売買仲介サービスをご提供しています。
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記事監修

三浦 英樹(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー)

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーの有資格者。中古不動産購入からリノベーションの設計・施工、インテリアコーディネートまでワンストップで理想の住まいを提供する『ひかリノベ』代表。「住宅は立地や景観、環境のよい『場所』で選び、購入と同時にリフォームやリノベーションを施すことで、自分らしい暮らしをリーズナブルに取得することが可能となります。住宅ローンの返済に縛られることのない、豊かなライフプランの実現を、家探し、家づくりを通じてサポートいたします」

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